前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

シベリウス 交響曲第5番変ホ長調

2010-03-25 21:37:10 | クラシック音楽
「極北の空に浮かぶ透明なオーケストラ」のために書かれた曲。


クラシックCDの名曲名盤を紹介する雑誌で
シベリウスの交響曲第5番変ホ長調を
こんな風に例えていた評論家がいらっしゃいました。

この曲を好きになってからこの文章を読んだときは
涙か出そうになりました。



作品は1915年に一旦完成しましたが、その後改訂が行われ
1919年に現在演奏される最終稿が完成します。

初稿は全4楽章ですが、第1楽章と第2楽章が合体するような形で
最終稿では3楽章形式になりました。

両者を聴き比べてみると、混沌とした部分が減って
かなりスッキリした感じがします。
(初稿の第4楽章では、不協和?に響くトランペットが
 唐突に出てきてちょっとびっくりします)

でも"空を漂う"ような全体の雰囲気は初稿からすでに感じられます。


初めてこの曲を聴く方や、有名な交響曲第2番が好きな方は
この、なんとも捉えどころのない感じに戸惑うかもしれません。
第2番やヴァイオリン協奏曲のような印象的な旋律にも乏しく、
短い"動機"のようなものが積み重なる感じです。

でも逆にその辺りが、湧き上る霊感のままに筆を走らせた、
極北の天空から聴こえてくる旋律をそのまま書き留めた、
といったようにも思えてきます。


音楽に限らず、芸術全般に言えることかもしれませんが、
作品が生まれ、一旦作者の手を離れたら、
その作品の解釈は、作者の思いとは別に鑑賞者に委ねられます。
おそらくは優れた作品ほど、鑑賞者にある種の「自由」を与え、
様々な観方、楽しみ方を提供してくれるのではないでしょうか。
(ときに作者が思いもよらぬような"新しい視点"も・・・)


シベリウスがこの作品に込めた"思い"は何だったのか、
初稿完成から改訂の間に心に去来したものは何だったのかは
もちろんわかりませんが、
私にはこの作品が、冒頭の言葉のように、
どこまでもどこまでも"透明"な曲のように聴こえます。

そして最後の最後に、休止を挟みながら力強く打ち鳴らされる
6つの和音が強烈な印象を残します。



シベリウスはフィンランド生まれですが(スウェーデン系だそうです)、
北欧圏からは優れた指揮者が多数輩出されています。

私のお気に入りは、ブロムシュテット指揮サンフランシスコ響の演奏です。
(ブロムシュテットもスウェーデン生まれです)
氏の指揮はN響定期公演で何度も聴いていますが、
透明感のある自然な表現にかけてはピカ一だと思います。

東京クヮルテットのハイドン

2010-03-22 14:06:13 | ハイドン先生の作品
東京クヮルテットが演奏する、ハイドン先生の弦楽四重奏曲
第77番『皇帝』と第78番『日の出』を聴きました。


  東京クヮルテットは1969年に
  桐朋学園大学の卒業生で結成されました。
  1970年にミュンヘン国際音楽コンクールで優勝。
  以降、メンバー・チェンジはありますが、
  世界のトップ・カルテットであり続けています。


古い録音の表記では、
「東京カルテット」「東京クァルテット」などもありますが、
現在は「東京クヮルテット」で統一されているようです。


今回買ったCDは80年代の録音のようです。
創立メンバーから第2ヴァイオリンが変わっていますが、
まだ全員日本人です。

彼らが「パガニーニ・カルテット」と呼ばれる、
ストラディヴァリウスのセットを使用するのは
1995年以降ですが、この録音も十分美しい音色です。


以前にクラシカ・ジャパンで
シューベルトの弦楽四重奏曲第14番『死と乙女』の
スタジオライブを観たときは、そのアンサンブルの凄さに
驚嘆しました。



このハイドン先生の2曲も素晴らしいです。
これがなんと中古CDで、210円!!で売ってました。
骨董屋で掘り出し物を発見した気分です。