前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

マイルス・デイヴィス 『ビッチェズ・ブリュー』 (Bitches Brew)

2010-02-28 09:02:13 | クラシック以外の音楽
マイルス・デイヴィスの 『Bitches Brew(ビッチェズ・ブリュー)』 を聴きました。


以前に聴いたマイルスの 『Kind of Blue』 は、
コード進行に基づいて各奏者がアドリブを繰り広げるコード・ジャズから
モードの中でアドリブを行うモード・ジャズにシフトした点で
ジャズの歴史上、革命的な作品とされているようです。



  モードはクラシック音楽では「旋法」と訳されて使われることが多いです。
  以下は私の理解している範囲の「モードとは」です。

  「モード」とは(大雑把にいうと)音階のことですが、
  西洋音楽は長い間、長調・短調の2つの音階で形作られてきました。
  (例えば、ド(ハ音)から始まる長調音階は「ハ長調(C Major)」)

  しかし長調・短調以外にも古くから伝わる音階や、ある民族・地方に特有の
  音階などもあります。
  (例えば、ドリアン旋法、フリギア旋法、日本のいわゆる「ヨナ抜き音階」)
  
  グレゴリオ聖歌などそうですし、ブラームスの交響曲第4番の第2楽章も
  フリギア旋法が使われています。

  コード進行も長調・短調の音階から作られているので
  その意味では、コード・ジャズも長い西洋音楽の伝統の中に組み込まれますが、
  モード・ジャズはそれらコードではなく、長調・短調以外の音階を使って
  その中でアドリブを行う、ということのようです。

  ※厳密には「音階(scale)」と「旋法(mode)」は異なるようですが・・・。



音楽を専門的に学んでいないので、ただ旋律を聴いて
「このキーは何だ」「コード進行はどうだ」ということは
もちろんわかりませんし、どんなモード(旋法)かもわかりませんが、
それでも 『Kind of Blue』 はとても美しいなあと感じます。


一方、『Bitches Brew』 の革命的な点というのは、ネットのいろいろな解説を読んでも
今ひとつ"焦点"がよくわかりません。

電子楽器の大胆な使用、ロックやファンクとの融合などの点も挙げられていますが、
ジャズの発展の歴史や当時の音楽状況を知らないで今聴いている限りでは、
やはりよくわかりません。


ただ、1曲目の 「Pharaoh's Dance」 やタイトル曲の 「Bitches Brew」 は
パーツ、パーツで録音した音源を複雑に編集し「再構築」されています。
ジャズというと、全員でセッションを繰り返しながら、
いわば「ライブ」で録音されていると思っていたのでかなり意外です。

録音にあたってマイルスは、それぞれの曲にふさわしいミュージシャンを揃え、
曲によってはライブやセッションなどで「予習」をしたり
コミュニケーションが十分にとれた段階で演奏に入ったりと、
かなり緻密に計算した上で作品を作っています。



単にプレーヤーとして優れていたから「帝王」と呼ばれたわけではない、
作曲/編集、理論、バンドリーダー、そして新しい才能の発掘・・・
全ての面で「カリスマ」だったということが、なんとなくわかってきました。


タイトル曲の 「Bitches Brew」 は27分に及ぶ大曲ですが、
聴いていて全く飽きませんし、むしろ引き込まれます。
ジャズ云々ではなく「現代音楽」として素晴らしい作品では
と感じます。


クラシックとは別に、もう少しマイルスの後も追いかけてみようと思います。
(膨大すぎて完走は無理でしょうが・・・)

中山康樹 『マイルスの夏、1969年』

2010-02-25 21:59:13 | 
中山康樹さんの『マイルスの夏、1969年』を読みました。
マイルスとはジャズ・トランペッターのマイルス・デイヴィスのことです。


ジャズについてはほとんど知りません。
CDは、ビル・エヴァンスとマイルス・デイヴィスのものを
数枚持っている程度です。

最初にビル・エヴァンスのCDを買ったのはかなり前のことです。
クロノス・カルテットという現代音楽専門の弦楽四重奏団が演奏しており、
あくまでも「現代音楽」の一種として買いました。


マイルスのCDを聴いたのはTV番組がきっかけです。
2~3年前にNHK教育「私のこだわり人物伝」で紹介されて
興味を持ちました。
その時のナビゲーター、菊地成孔さんの著書なども読み
まず買ったのが『Kind of Blue』です。
(菊地成孔さんについては別の機会にアップしたいと思っています)



『マイルスの夏、1969年』は、『Kind of Blue』と双璧をなす
傑作アルバム『ビッチェズ・ブリュー(Bitches Brew)』が
誕生するまでの軌跡を追った著書です。
(私に"傑作"かどうかを判断する能力はありません)


といっても、どのような内容かよくわからないと思います。
私にもよくわかりません。
数々の有名ミュージシャンの名前が挙がってきますが、
どの位凄い人たちなのか皆目見当もつきません。

ただ、周りにいるミュージシャン達にも予想のつかない、
マイルス自身の頭の中にだけあった「完成形」に向けて
メンバーを厳選し周到な準備をした上でレコーディングに
望んでいく様子は、とてもスリリングでした。



言いたいことは他にもあるのですがうまくまとめ切れません。



本にあわせて『ビッチェズ・ブリュー』も買って聴いています。
その感想はまた後日・・・。