前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

しりあがり寿 『あの日からのマンガ』

2012-01-06 23:09:10 | 「その日」
発刊当初から各メディアで取り上げられ、すでに大きな反響を呼んでいる、
しりあがり寿さんの『あの日からのマンガ』を読みました。

しりあがり寿さんの作品を知ったのは高校時代です。
友人から薦められ、『エレキな春』『おらあロココだ』などの作品を読みました。

当時は「ヘタウマ」(一見下手に見えるが実は上手い)などと呼ばれる一群に
属していたと記憶しています。
絵柄はかなりラフですが、シュールかつブラックなギャグ漫画?で
私も一時期はまりましたし、そのころから一部のマニア、あるいは同業者から
高く評価(天才の呼び声も)されていました。


すでにお読みになった方も、また読もうと思っている方も多いと思いますので
内容について多くを語るつもりはありません。

正直、今、じっくりと読むことはできませんでした。
パラパラとページを捲りながら、飛ばし飛ばし読んだだけです。
それでも、なんども涙があふれ出てきます。


「地球防衛家のヒトビト」の「あの日」からの奮闘を描いた作品
原発内部の放射性元素たちが主人公の作品
「私は分かっていたの。皆の手に負えるような女じゃないって」と嘆くゲンパツさん


私のような一般凡人が、安易に「天才」という言葉を使うのは愚かしいことです。
でも、私には、自分なりの「天才の定義」があります。それは

  他の人達が想像できないようなものを創造できる人を天才と呼ぶ

というものです。

しりあがり寿さんは紛れも無く「天才」でした。


彼がこの作品や新聞等で語った言葉は、他の誰のどんな言葉よりも、
「あの日」のそして「それから」の現状を的確に表現しており、胸に響きます。


私たちは『原発は安全』ということに賭けていた。その賭けに負けたんです。
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その日、その時、その後・・・7

2011-03-19 11:35:56 | 「その日」
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平成23年3月18日(金)

4日ぶりに帰宅。
自分が利用した交通機関は正常。混乱もなく家に着く。

地震がおき、徒歩で帰った日からもう一週間たったのか・・・。
身体、心の疲れは少なくない。なのにどこか"現実感"が乏しい。


各国メディアが、被災時、被災後の日本人の行動について、
賞賛する声を紹介している。
曰く、「落ち着いている」「暴動がない」「助け合っている」・・・

確かに目に見えるような非道は少ない。
しかし、被災地以外では目に見えない"非道"が徐々に増えているように感じる。
これが日本人の特性か?


ACジャパン(旧公共広告機構)のCMが多いことに苦情が出ているという。
曰く、「しつこい」「不快感がある」「内容がそぐわない」・・・
あのCMがしつこく感じるほど、TVを見ている余裕がある立場の人だ。


被災地の状況、原発の状況、そして停電・交通の情報は気になる。
でも、報道番組は見る気がしなくなった。

速報性こそTVメディアの最大の武器であり唯一の武器だ。
しかし、「その時」から時間が経つにつれ
政府や東電の対応等、「したこと」に対する検証、非難ばかりだ。

まだ「今」できることがあるだろう?



「その瞬間」
最悪なのは何もしないこと、どうしようか判断に迷って無駄に時間を浪費すること。
「その瞬間」
最善だ、と信じて咄嗟にとった指示・行動は、後で検証して今後に活かすことはできても
非難することはできない。

そう思います。
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その日、その時、その後・・・6

2011-03-18 17:50:14 | 「その日」
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平成23年3月18日(金)

昨日と同じくいい天気だ。でも空気の冷たさは冬。
今日からお彼岸だというのに・・・。


出社時間を遅らせたり、早めに帰宅させたりしたので、
帰宅(出社)困難者は出ず。

念のためとっておいたホテルは自分で泊まることに。
会社まで徒歩で10分かからない場所なので、楽といえば楽だが・・・。


年末の忙しい時期、深夜近くまで仕事が終わらないため、
やはり会社近くのホテルに各自泊まってもらったことがあった。

仕事が終わってから1~2時間かけて帰って、数時間寝て又出社・・・
という日が続くと、当然疲労も溜まるし仕事の効率も悪いので。

その時は「身体が楽だ」ということしか感じなかったが、今回は少々異なる。


やはりずっと「仕事から解放されていない」という気になり、ストレスが溜まる。

「たまには仕事を忘れて、どっかに行ってリフレッシュ!」などというが
自分の家に帰るだけでも、普段は十分"リフレッシュ"されているのだ。
家・家族の有難みを改めて感じる。


(自分にとって)長かった一週間がようやく終わる・・・でも事態は一向に収束しない。
原発の状況次第では、さらに悪化する可能性もある・・・。

会社、仕事、社員、自分、家族・・・
なにかブレークスルーが必要だ。
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その日、その時、その後・・・5

2011-03-18 08:29:21 | 「その日」
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平成23年3月17日(木)

今朝も都会の空は青い。でも昨日より風は冷たい。


社員とのミーティングは30分の予定が1時間30分になってしまった。
でも、成果はあった。

やはりみんな、いろいろ言いたいことがあったようだ。
でも「非常事態」だし、わがままを言ってられないということも自覚している。
よかった。

暫くは週1回程度は話し合う場を設けることにした。


一人ひとり、自宅の場所も通勤経路も違う。担当している仕事も違う。
一律に「全員自宅待機」だとか「強制出社」とかはできないし、意味もない。

ある程度仕事の目処がついたところで、出社か自宅待機か、ということになった時
「各自の判断に任せる」としたところがあった。
しかし、これはよくなかった。

緊急時は、自分の判断でいろいろ指示せざるを得ないが、
それが一旦落ち着いてきたあとは、今後の対応について皆が話し合う方がよい。

「各自の判断に・・・」はかえって無責任であることがわかった。
気持ちに"迷い"を生じさせてしまうことはしてはならない。
それを学んだ。


「夕飯なにがいい?」「なんでもいい」は奥さんを怒らせる・・・
という理論と同じかもしれない?


夕方、大規模停電の可能性が報じられる。
これでまた、帰路は混乱だ。


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平成23年3月18日(金)

昨日と同じくいい天気だ。でも空気の冷たさは冬。
今日からお彼岸だというのに・・・。


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その日、その時、その後・・・4

2011-03-17 08:58:42 | 「その日」
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平成23年3月16日(水)

ホテルから徒歩通勤。
空は抜けるように青い・・・。

風が強い。ビルが揺れる。地震だか何だかわからない。


計画停電による鉄道網の混乱はまだあるものの、
その「混乱」にも慣れてきたか・・・。
定時での出社率が高い。

しかし、"日常"が戻ってくるに従い、
今まで気にしていなかった(抑えていた?)不平不満が顔を出し始める。


今、やらなくてはならない仕事を頑張る、という気持ち。
自分や家族の健康、安全が第一だ、という気持ち。

どちらも大事だ。
ただ、その比重は人によって微妙に違う。そして、その微妙な差が歪を生む。
前者が過半数を占める人からすれば、後者が過半数を占める人に対して
「自分だって大変なのに、あの人は楽してる、甘えてる」
と不公平感を感じてしまう。

職場に目には見えない不穏な空気が流れているように感じる。

誰も責めるわけにはいかない。だから余計に厄介だ。


 「非の打ち所のないマナーは、まったく損なわれていない」(米メディア)
 「なぜ日本では略奪が起きないのか」米メディアは相次いで、議論のテーマに取り上げている。


ネットでこんな記事ばかり探すのは、
きっと自分がしている事、自分の判断、指示が間違っていないと
認めてもらいたい・・・とうい気持ちの表れだ。
今、気が付いた。


精神科医の名越康文さんが言っていた。

  被災地で働く医師や看護師は、被災者の話を一方的に聞いているだけだと
  心に変調をきたすことがある。
  今日聞いた話、思ったことなどを毎日みんなで話す機会を設けると
  気持ちが軽くなり、改善したという実例がある・・・

「その日」以降、ニュース、報道番組を多数見てきたが、
その中で最も、というか唯一為になった話だ。

ここに記しているのも正にそうなのかもしれない。
無意識の防衛本能か・・・。

社員のみんなの心も開放させてやらなければならない。
時間が許すなら、ミーティングをしよう。

余震、計画停電、コンビニの食料品の激減等あるものの、
被災地から離れた都内では、一見「日常」が戻りつつあるように見える。

でも、見えない部分に「被害」はある。そしてそれは確実に進行している。
改めて恐ろしさを実感する。



「その日」以降、音楽を全く聴いていない。しかし、こんな時こそ音楽が必要だ。
今日は絶対、ハイドン先生を聴こう。トランペット協奏曲がいいな。

そう、心に決めた。


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平成23年3月17日(木)

今朝も都会の空は青い。でも昨日より風は冷たい。

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