前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

神の数式 第1回「この世は何からできているのか~天才たちの苦闘~」

2013-09-22 12:45:28 | テレビ番組
NHKスペシャル『神の数式 第1回 この世は何からできているのか~天才たちの苦闘~』
を観ました。

全宇宙の森羅万象を説明する創造主の設計図「万物の理論」(神の数式)を追い求める
物理学者達の格闘の歴史を追った番組です。


この手の話は好きなので、昔からごく簡単な入門書などを読みましたが、
薄ぼんやりとした輪郭程度すらも理解できていない・・・

でもどこかで聞き覚えのある登場人物や素粒子名がでてきて、
わからないなりにワクワクします。


現実世界の観測結果に基づいて、その現象を説明するために作られた数式ではなく、
(それに加えて)「神の数式」が備えているべき「美しさ」(対称性)にこだわり
考え出されたディラック方程式。

「物理法則は、数学的に美しくなければならない(ポール・ディラック)」


(ディラック方程式???)

方程式は色々な表記方法があるようで、これが正しいディラック方程式かどうか怪しいですが、
「多くの物理学者はディラック方程式の美しさに涙する」そうです。

自分にはこの美しさが永久に理解できないことが残念です。
(ベートーヴェンの英雄の美しさがわからないこと以上に)


番組中盤、マンハッタン計画の責任者で、
「原爆の父」という有り難くない名を与えられたオッペンハイマーらが考えた
電磁気力を表す方程式が出てきます。


オッペンハイマー。カッコいい!


しかし、その方程式から導き出される「無限大」という数値の問題。
それを解決に導いた一人が、朝永振一郎の「くりこみ理論」でした。


こちらは朝永振一郎。1965年、ノーベル物理学賞受賞。


原爆投下による敗戦からわずか3年後の1948年。

1943年にこの「無限大」の解決方法をすでに見つけていたにもかかわらず、
戦時中であったために欧米に発表する機会がなかった朝永の論文がオッペンハイマーに届きます。

「原爆の父」が生み出した方程式の問題点を、
原爆の被害を受けた国の物理学者が解決するという、因縁というか奇跡。


  戦争の荒廃と混乱のさなかにある日本で、国際的には完全に孤立した状態にありながら、
  朝永はどうにかして理論物理研究集団を維持し、ある意味では世界のどこよりも進んだ活動を行っていた。
  誰の助けも借りず独力で、シュウィンガーより5年も前に、コロンビア実験の助けもないところで、
  新しい量子電気力学の礎を築いたのである。
  ・・・吾々には深淵からの声のように響いた・・・
  (フリーマン・ダイソン)

感動的な逸話です。


神の数式の第2回放送は今日です。楽しみです。


ところで、ポアンカレ予想やリーマン予想といった過去のNHKスペシャルの理系番組?と同様、
今回の番組のナレーションも、上田早苗アナウンサーと小倉久寛さんです。
また番組内に登場するお馴染みの人?(ミチオ・カクやフリーマン・ダイソン)の吹き替えも
毎回同じ人が担当しています。

こういう「安定感」はいいですね。