前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

リプチンスキー『タンゴ』(第9回恵比寿映像祭)

2017-02-19 00:38:21 | 美術関係
恵比寿にある東京都写真美術館を中心に行われている、
第9回恵比寿映像祭を観に行ってきました。




全体としてはあまり面白くはなかった(無料なので文句は言えません)
・・・のですが・・・。


そんな中、ある映像作家の名前に目が留まりました。

 ズビグ・リプチンスキー(Zbig Rybczynski)
 作品名『タンゴ』(Tango)


この名前、作品名、見たことがある。知ってる・・・


すっかり忘れていた懐かしい記憶が蘇ってきました。


 部屋に入ってしまったボールを取りにきた少年
 赤ん坊のお守りをする女性
 空き巣に入ってきた泥棒
 服を着る裸の女性
 食事をとる中年男性・・・

同じ動作を繰り返す人たちが徐々に増えていきます。

本来は別の時間軸に存在する人たちが、
無理やり「一つの時間」に閉じ込められていくかの様。

でもそれらは、まるでパズルのピースの如く決して交わらず、
絶妙に「隙間」をすり抜けていく。

同じことの反復が混沌や複雑さを生み出していく。
まさにミニマリズムの極致のような作品です。



1980年/8分10秒
1983年アカデミー賞 最優秀短編アニメーション受賞


まだデジタル映像技術のない(乏しい)時代に、
オプチカル・プリンターによる合成という手法を用いて、
1日16時間、7ヶ月かけて作られたそうです。


恐らくは今から30年近く前(高校か大学時代)に、
テレビで紹介された断片映像を観て興味を持ったのだと思います。
名前を憶えていたということは、よほど強烈な印象だったのでしょう。

そんな作品とこんなところで出会えるとは・・・(しかもフルバージョンと)


そしてそれは、今と変わらない"趣味・趣向"をすでに持っていた、
"若き自分"との邂逅のようでした。