日本と世界

世界の中の日本

嵯峨隆「頭山満」を読む

2022-07-06 17:56:07 | 日記
嵯峨隆「頭山満」を読む

続壺齋閑話 (2022年7月 6日 17:30) | コメント(0)

嵯峨隆の著作「頭山満」(ちくま新書)は、近代日本の右翼運動を中心的に担った政治結社「玄洋社」の指導者頭山満の伝記である。

頭山の個人的な経歴を逐年的に追うといった体裁で、頭山の思想の特徴とか、政治結社としての玄洋社の果たした役割などには大した言及がない。

だから読者はこの本を読んでも、日本の右翼運動の歴史的な意義とか、それに玄洋社が果たした役割について、明確なイメージを結べるわけではない。

頭山という個人が、義侠心にかられた熱血漢だったというような、たいして意味のない評価を聞かされるだけである。


玄洋社といえば、敗戦以前の近代日本の右翼運動そのものであるし、昭和天皇も一目おいていた。

広田弘毅が組閣するについては、彼が玄洋社の社員だったことを理由に、そのファッショ的な傾向に懸念を抱いたといわれる。

そのような団体であるにかかわらず、玄洋社自体の活動については、ほとんど触れていないに等しい。

その一方で、頭山が日本の政界に強い影響力をもち、一民間人にかかわらず、貴顕なみの待遇を受けていたのは、頭山個人というより、玄洋社の力を背景としたからだと思うのだが、この本では、頭山個人のもつ魅力・能力が彼をして日本の行く末を左右するほどの力を持たせたというふうに描かれている。

それほどこの本の著者は、頭山満という人間に惚れ込んだようである。


この本がもっとも重点をおいているのは、アジア主義者としての頭山満である。頭山は、宮崎滔天らとともに孫文を支える活動をしたし、また、インドの革命家たちとの交流もあった。頭山のアジア主義とは、アジア諸国が一丸となって、英米の侵略に対抗し、アジアこそが世界の中心になるべきだと主張するもので、日本がそのアジアのリーダーになるべきだというものだった。こうしたアジア主義は、戦前の右翼の多くが共有していたものだったが、その運動の中心に玄洋社がおり、そのリーダーとして頭山がにらみを利かせていたということなのだろう。


頭山のアジア主義は、日本中心の考えであり、日本がアジアの長兄として、中国やインドを従えるべきだというものだった。だから、中国やインドが日本の意向に素直に従わないときには、武力を用いて従わせるべきだということになりかねず、そこから侵略的な傾向が生まれる。頭山が体現していた日本のアジア主義は、平和的というよりも侵略的傾向が強かったというのが、著者の一応の見立てのようである。


頭山には、大した政治的な見識は見られないようだが、アジア主義とか皇国思想といったものは認められる。そうした思想の基盤を、頭山は西郷隆盛から受け継いだ。頭山には、体系的な思想はみられず、きわめてプラグマティックな考え方をしていたようだが、その考え方の大部分は西郷隆盛から受け継いだというのである。アジア主義もその一つである。西郷にも、日本がアジアのリーダーになるべきだという考えがあって、それがかれのユニークな征韓論の背景になるのだが、そうした西郷の考えを頭山が引き継いだというわけである。


著者は、玄洋社と自由民権運動とのかかわりに注目している。自由民権運動については、さまざまな評価が可能であるが、板垣らが中心になった民権派の運動には、権力闘争的な要素が強くみられる。維新を達成した藩閥勢力には、その後日本の権力を握った主流派と、反乱氏族を中心とする抵抗派というべきものの、二つの流れがみられる。玄洋社は、不平士族と深いかかわりがあり、また板垣ら民権派ともつながりがあった。そんなわけで、玄洋社を代表とする日本の右翼運動は、維新という大事件の陰画としての側面を指摘できる、というのが著者の見立てである。もっとも著者は、さらりと触れているだけで、掘り下げた分析は行っていない。


それにしても、一民間人に過ぎなかった頭山満が、日本の政治を左右するほどの影響力を持つようになった原動力はなにか。そこが、この本では十分分析されているとは言えない。




岐路に立った出産政策… ドイツの道か、日本の道か(ノーマットニュース・朝鮮語)

2022-07-06 17:32:20 | 日記
韓国メディア

「少子化を解消しつつあるドイツを見習おう」「大学院まで無料だ!」……いや、韓国がそうなるのは無理だって

2022年07月06日 カテゴリ:少子高齢化コメント:(64)タグ: 少子高齢化 合計特殊出生率 韓国社会

岐路に立った出産政策… ドイツの道か、日本の道か(ノーマットニュース・朝鮮語)

日本は韓国より10年早く低出産状況に入り、低出産政策も10年先に始めた。

日本の合計出産率は1974年を起点に人口代替水準以下に落ち、韓国は1983年に同様の状況が起きた。

低出産対策は日本が1995年、韓国は2006年に開始された。

これにより、日本の韓国の10年後を照らす「鏡」とされた。

しかし、2001年から合計出産率で逆転現象が生じた。

韓国の合計出生率は2001年1.31人で、日本の1.33人より低くなり、ますます格差が広がった。

2020年基準で韓国が0.84人、日本が1.33人である。

日本はそれでも1人以上で耐えているが、我々は2018年から1人以下に落ちた。

日本も家族のための福祉費用支出がヨーロッパに比べて著しく低いという指摘を受けているが、韓国はこれよりも厳しい。 (中略)

人口絶壁の深さとこれまでの財政投入効果を勘案すれば、韓国は日本を駆け抜け、よりギリギリな危険地帯に来ているといえる。

コロナ19流行の中で昨年3月、ドイツの新生児出産が1998年以来最高値を記録し、世界を驚かせた。

コロナの衝撃で世界各国の出産率が落ちる渦中に出てきたニュースだった。

コロナの影響で、2020年にドイツの合計出産率は2年前に1.57人より小幅下落した1.53を記録したが、ドイツは依然として低出産の罠から抜け出したベスト・プラクティスとして取り上げられる。 (中略)

韓国とは異なり、大学はもちろん大学院まで学費も全額無料だ。

ドイツが低出産・高齢化対策に投入する費用は、一年数百兆ウォンに達する。

2020年の児童手当でのみ456億ユーロ(62兆ウォン)を使い、無償教育のための教育予算は1586億ユーロ(214兆ウォン)に達する。
(引用ここまで)

 記事タイトルは「日本の道を行くか、ドイツの道を行くか」となっているのですが、

ドイツはおろか、日本も世界の国々すべてをぶち抜いて韓国独自の道を行っているのが実情です。

 先月の新生児数は2万人を切ったことがニュースになっていまして。
 6月の新生児数が2万人以下となるのは過去初めてのケースだそうです。

「6月出生児2万人壊れた」… 今年の合計出生率0.7人の可能性(JTBC・朝鮮語)

 このままだと以前書いたように今年の合計特殊出生率は0.77という人類未到の地に到達できそうです。
 っていうか、0.8人台ですら未到の地なんですけどね……。

 んで、コロナ禍でも出産率の増えたドイツを見習えという話をしているのですが。

 その中で「ドイツは大学も、大学院も無料だ」という一文があるのですが。
 うーん。

 その分、ドイツは小学生(10歳)の時点で大学に行けるかどうかを振り分けられているけどね?

10歳で進路が決まる?! 「受験のない国」ドイツの教育事情(朝日新聞EduA)

 10歳の時にギムナジウムに進めなかったら大学はほぼなし。しかも再チャレンジは相当に難しい。

 韓国がそんな社会になれるんでしょうかね。

 「ドイツを見習え」とか絶対に無理ですわ。

 韓国の場合はどう考えても大学教育そのものより「大学に通わなくてもなんとかなる人生」を提供できるようにすべきでしょ。

 ま、韓国でそれが実現できるのは本当に革命が必要ですけどね。

 あ、それと予定している孤児輸出の話でも書いておこうかな。

 ちょっとテーマの似ているベイビーブローカーの公開もあって、孤児輸出の現状をチェックしてまして。

 いくつか資料となるニュースソースを集めて書こうとはしているものの、なかなかテーマが重い。

 あと前にチェックしていた公機関の統計のURLが変更になってて見つからない。

 2ヶ月くらい書いては消しを繰り返してます。
 どうまとめるのがいいのやら。


"韓国経済の大黒柱"サムスン崩壊がまもなく現実になる

2022-07-06 16:35:46 | 日記
韓国経済 com
韓国経済を中心に北朝鮮・中国・台湾・日本そしてアメリカの経済状況を掲載するサイトです。

"韓国経済の大黒柱"サムスン崩壊がまもなく現実になる

現在の韓国経済を俯瞰すると、自動車、航空、国内の小売り、観光など、多くの業種で業績が悪化している。

韓国の景気停滞感は強い。そうした状況下、サムスン電子の半導体事業が韓国の経済を支えている状況が鮮明化している。

しかし、サムスン電子の先行きがどうなるかは見通しづらい。

1つには、米中対立が先鋭化し、米国が韓国に中国向けの半導体供給を見直すよう圧力をかけていることがある。

7月8日に米国のスティーブン・ビーガン国務副長官が訪韓した背景には韓国の対中政策を見直すよう圧力をかける目的などがあるのだろう。

それに加えて、中長期的な将来像を考えると、サムスン電子は重要顧客であるファーウェイなどの中国企業といずれライバル関係になる可能性が高い。

圧倒的な国からの支援を背景にする中国の先端企業との競争は口で言うほど容易ではない。

サムスン電子が自力で、中国企業との半導体分野での競争に対応できるかは不透明だ。

それは、サムスン電子の業績拡大に依存してきた、韓国経済の不安定性が高まる可能性があることを示唆する。

現在の韓国経済の状況を一言で表現するならば、サムスン電子の半導体事業によって、経済全体が支えられているというべきだ。

それは、サムスン電子と他の企業の業績動向を確認するとよくわかる。

今年4~6月期、サムスン電子の営業利益は23%増加した(速報ベース)。

増益を支えたのが半導体事業だ。巣ごもり需要やテレワークの増加が、同社の半導体メモリの需要を押し上げた。
https://president.jp/articles/-/36993?page=1


米国は、中国による台湾半導体への狙いを見つめながら、台湾防衛と同時に、米国内での半導体増産に力点を置く構えである。

これが、もたらす韓国経済への影響は計り知れないものがある。

韓国からの半導体輸出は全輸出の20%程度である。

このうち、米国と中国向けは、4対6程度で中国向けがやや多い状態だ。

この米国向けの半導体輸出が将来、米国内の生産に置き換わる可能性と、米インテルが新半導体開発でサムスンを引離すという情報が駆け巡っている。

この問題は、韓国経済にとって重大な局面転換を意味する。

韓国が、世界に占める半導体産業の世界地図は、これから塗り替えられようとしている。

韓国はグローバル経済の下で、半導体を米中へ自由に輸出してきた。

それが、今後は急速に変わろうとしている。

インテルは、世界4位のグローバルファウンドリーズを買収し、本格的にファウンドリー市場へ参入する意向を見せた。

これは、サムスンにとって脅威である。

TSMCが世界市場の過半を握っているのは、半導体企業と直接の関わりのない「中立性」を買われたものと指摘されている。

インテルが、別働隊でグローバルファウンドリーズを手中にすれば、大きな相乗効果を上げて、サムスンを蹴散らす要因になる。

サムスンにとっての脅威はこれだけでない。

「2025年にファウンドリー(半導体受託生産)市場で2ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1メートル)級半導体を量産する」と宣言した。

半導体業界は、第4次産業革命関連技術が発展し、半導体需要も増えると予想する。

日立の元半導体専門家である湯之上隆氏の予測によれば、2020年の世界の半導体需要4,331億ドルが、2050年には、8,622億~1兆123億ドルになるという。