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韓国、「ウォン急落」ドル資金不足顕在化、日米との通貨スワップ協定に「必死」

2020-03-25 17:53:40 | 日記
勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。



韓国、「ウォン急落」ドル資金不足顕在化、日米との通貨スワップ協定に「必死」


掲載者コメント

日本は恩義を感じない韓国と通貨スワップ協定を結んではならない。通貨スワップ協定を締結したん途端に安心して反日行為をする韓国人の行為に何度も経験している。



2020年03月17日

韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評.

3月17日午前11時33分現在、ウォン相場は1ドル=1240.63ウォンと急落している。

前日終値1226.0ウォンから14.63ウォンの急落だ。ウォン不安が、駆け足で迫って来た感じが強い。


過去2回のウォン危機では、ドルを調達するのが困難になった銀行が企業などに貸し付けた外貨を回収し、輸出手形の買い入れも大きく減らした。

このため企業がさらに厳しい状況となり、実体経済が悪化し金融不安につながる悪循環が起きた、とされる。

韓国にとっては、コロナ禍が通貨危機を招くかどうかの瀬戸際に来た。

『朝鮮日報』(3月17日付)は、「外国人資金引き揚げに備え、米日と通貨スワップを速やかに締結すべき」と題する記事を掲載した。



(1)

「米連邦準備理事会(FRB)は15日、ゼロ金利と量的緩和だけでなく、通貨スワップ金利の引き下げという緊急対策を講じた。

ゼロ金利と量的緩和が主に米国企業と金融市場を対象とする国内向け対策とすれば、

通貨スワップ金利の引き下げは主な経済同盟国がドルを調達しやすくする海外向けの対策だ。

しかし、韓国はFRBと通貨スワップ協定を結んでいないため恩恵は受けることが難しい。


FRBは、先のゼロ金利発表と同時に、通貨スワップ金利の引き下げを行なった。

米国が通貨スワップ協定を結んでいるのは、欧州連合(EU)、英国、カナダ、スイス、日本の5通貨だけ。

いずれも、世界経済の主要パートナーである。これらのうち、日本を除いた相手との通貨スワップ金利を下げた。日本は、その緊急性がないから除外したのであろう。

(2)

「FRBは同日、通貨スワップ協定を結んだ欧州連合(EU)、英国、カナダ、スイスの中央銀行に対するスワップ金利を0.25%引き下げると表明した。

通貨スワップとは、当座貸越を利用するように、米国と協定を結んだ国がいつでもドルを引き出して使えるようにする制度だ。

FRBは通貨スワップ締結国にドルを低金利で貸し付けるだけでなく、融通期間も延ばすことを決めた」

FRBは、世界経済が動揺を来たせば最後の砦として、自由主義経済圏を防衛する姿勢を明確にした。

日本は、「安全通貨国」という折り紙がついており、円安ではなく円高に大きく振れるという「駆け込み寺」の役割を果たす。

韓国は、目先の問題でこの日本を敵に回してしまった。現在の「反日」を考えれば、困った時の日本詣は通用しない。


(3)

「専門家は、「金融・為替市場の危機を防ぐため、米日などと速やかに通貨スワップ協定を結ぶべきだ」と指摘した。

NEAR財団の鄭徳亀(チョン・ドック)理事長(元産業資源部長官)は

「米国が金利を急激に引き下げ、当面は外国人の資金引き揚げはないとみられるが、コロナウイルスがさらに拡散し、中国経済がハードランディングすれば、韓国には大きな危機が訪れかねない」とした上で、

「そうなれば外国人の投資資金が大量に流出する」と懸念した。

鄭理事長は「今急いでこそ、米国などと最大限大きな規模の通貨スワップ協定を結ぶことができる」と述べた」

米国は、前記の5通貨以外に通貨スワップ協定を結ぶ意向はないと伝えられている。

韓国が、FRBへ申し込んでもすんなり決まるか疑問である。

韓国の恐れるのは、中国経済の破綻である。

韓国は、この中国へ全幅の信頼を寄せてきた。日本を疎遠にして中国へ接近する。

通貨政策としては、真逆のことをしてきた代償はきわめて大きい。

政策当局者も人間の感情を持つ。ロボットではない。生身の人間である以上、現在進行形の反日騒動が影響を与えないとは考えられない。


(4)

「韓国はリーマンショックでウォン相場が1ドル=1500ウォンまで下落するなど、通貨危機による不安がピークに達した2008年10月に300億ドル規模の韓米通貨スワップ協定を結び、山を乗り越えた。

しかし、同協定は延長されず、10年2月に終了した。

韓米通貨スワップと共に「防波堤」の役割を果たしてきた韓日通貨スワップ協定も15年に終了した。

新型コロナウイルスの事態で金融不安が長期化した場合に備える最後の安全弁がなくなった状態だ」

通貨危機ほど、当該国にとって惨めなものはない。自国への誇りはズタズタに断ち切られるからだ。

韓国は、これまで2度までも苦汁を飲まされてきた。そのたびに、日本の世話になった。その恩を忘れて、反日に走っているのだ。日本の受けた感情的問題も考えるべきだろう。



(5)

「『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)は最近の社説で、「金融市場の安定のため、FRBはオーストラリア、韓国、中国、台湾、香港などと通貨スワップ協定を結ぶべきだ」と主張した。

韓国企画財政部、韓国銀行など関係当局は通貨スワップ協定について、「金融のセーフティネットを強化するために努力している」とコメントした」

WSJが、社説で米国はオーストラリア、韓国、中国、台湾、香港などと通貨スワップ協定を結べと提起したのは、それだけ世界経済の脆弱性を危惧したものだ。

この中に、中国が入っていることに注目すべきであろう。

中国経済のハードランディングが、現実課題として浮き上がっていることだ。

私は、韓国が中国と通貨スワップ協定を結び、意気揚々としていたことを批判したことがある。

韓国が、通貨危機を迎える事態に陥れば、中国経済も同様の混乱に落込んでいるのが理由である。

脆弱通貨のウォンと人民元が、通貨スワップ協定を結んでも意味はない。どうやら、現実はその方向に向かっているようである。



韓国、「大ショック」米国専門家、アジアの信頼国で日本48%1位「韓国は9%」

2020-03-25 17:27:43 | 日記


勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。


2020-03-24 05:00:00

韓国、「大ショック」米国専門家、アジアの信頼国で日本48%1位「韓国は9%」

テーマ:ブログ

世界では、アジアが21世紀の最大の発展地域と目されている。

米国専門家が、そのアジアで最も信頼できる国家は、日本とする比率が48%にも達したことが分かった。韓国は9%である。

日本外務省が、米国で定期的に行なっている世論調査結果である。昨年11月、米国の世論調査会社の手で実施された。

韓国にとっては、はなはだ不愉快な結果であろう。

文政権になって、ことごとく「反日政策」を繰り出し、「これでもかこれでもか」と日本を叩いてきた。

慰安婦問題、徴用工賠償問題の二点において、日本の非人道的行為を糾弾してきた。

世界中に「少女像」を設置して、日本を批判し続けている。

昨年7月からは、日本が輸出手続き管理強化を始めると、「反日不買運動」を展開して対抗した。



文大統領は、「二度は日本に負けない」「日本を追い抜く」と演説して、国内から「親日一掃」を宣言するという「準戦時体制」のような雰囲気を作り出した。

すべて、今年4月15日の総選挙目当ての「反日利用」である。また、GSOMIA(日韓軍事情報総括保護協定)を破棄する戦術に出て、米国と対決姿勢に出る局面もあった。

今回の世論調査が行なわれて時期は、GSOMIAを巡って、韓国と日米が対立していた時期直後に当る。

米国専門家は、韓国が狭量な振る舞いをするのを目の当たりにして、韓国評価を下げたのであろう。

米国は、中国の軍事的膨張を抑制すべく、「インド太平洋戦略」を構築している。日本・米国・豪州・インドが連携して中国に対峙する戦略である。

韓国は、米韓同盟国でありながら、この「インド太平洋戦略」への参加態度を保留している。

中朝への配慮だ。米中双方に、「好印象を与えよう」という二股外交である。

米国専門家が、この韓国を高く評価するはずがない。

韓国は、米国と同盟を結びながら、米国の敵対国の中国と誼を通じる点で、最も警戒すべき存在に堕している。

米国が、韓国を警戒するのは当然であろう。

『中央日報』(3月23日付)は、「米専門家集団、信頼するアジア国家、日本48%で1位、韓国は9%」と題する記事を掲載した。



米国の一般市民(1015人)と専門家集団(200人)を対象に実施された調査で「アジア地域で米国の最も重要なパートナー」を問う質問への回答が日本、中国、韓国、オーストラリアの順だったと、日本外務省が最近明らかにした。

「アジアで最も信頼できる国」を問う質問に対する回答は、日本、オーストラリア、韓国、中国の順だった。

米国の世論調査機関ハリスが日本外務省の依頼を受けて昨年11月に実施した調査の結果で、先週、日本外務省が出入り記者団に関連資料を公開した。


(1)

「米国の一般国民を対象にしたインターネット調査で、「アジア諸国の中で最も重要なパートナー」に関する回答は、日本(34%)、中国(22%)、韓国(10%)、オーストラリア(4%)、ロシア(4%)、インド(1%)の順だった」

米国の一般国民は、米国にとって「アジア諸国の中で最も重要なパートナー」に関する回答で、日本が34%で1位。中国は2位である。韓国は3位だが、日本の3分の1しか支持を得られなかった。

中国は、GDPで日本の3倍になるが、それでも日本を上回る支持を得られなかった理由は、南シナ海での島嶼の不法占拠と軍事基地化が警戒されているのであろう。

韓国を重視する率が低いのは、韓国外交の二股問題にあろう。

米国は今や、中国を仮想敵に見なす論調が増えている。

米国対象のスパイ行為は、中国を警戒させるに十分な理由である。韓国は、その中国へ秋波を送っている。韓国が、米国から重視されない理由だ。


(2)

「『アジア諸国の中で米国が最も信頼できる国』を問う質問については、日本(37%)、オーストラリア(11%)、韓国(9%)、中国(8%)の順だった。政官界、学界、言論界、宗教界、労働関係分野で「指導者的な地位」にいる200人を対象に実施された電話調査の結果も同様の傾向が見られた」

「アジア諸国の中で米国が最も信頼できる国」を問う質問については、日本(37%)が3分1を占めて1位である。韓国は日本か大きく引き離され8%で3位である。米国の一般国民は、日本を重視していることが鮮明になっている。

(3)

「『アジアで最も重要なパートナー』に対する回答は、日本(42%)、中国(18%)、韓国(17%)、オーストラリア(13%)、インド(5%)、ロシア(1%)の順」


(4)

「『最も信頼するパートナー』は日本(48%)、オーストラリア(32%)、韓国(9%)、中国(4%)の順だった」

(5)

「米国の一般市民の調査で、韓国に対する信頼度(9%)は中国の信頼度(8%)とほぼ同水準だった。韓国の数値は、昨年と同じで、中国では6%から2%ポイント上昇した」


「アジアで最も重要なパートナー」や「最も信頼するパートナー」で、日本が40%台を占めているのに、韓国は日本から大きく引き離されている。

韓国の「反日」が、日米韓の三カ国安全保障体制をひび割れさせているという認識とみられる。

中国の軍事的台頭が、アジアの平和を攪乱する。こういう認識で、韓国は「親中朝」の立場であり、微妙に食い違っている。米国は、その点で韓国へ不安を感じるのだろう。

歴史的に言えば、韓国は中国から酷い扱いを受け、搾取されてきた国である。

それでもなお、中国を慕っているのは儒教文化によるものだろう。

日本に対しては、韓国近代化において大きな利益を受けたが恨んでいる。

韓国による歪な日中観は間違っている。だが、日本としてどうにもならないもどかしさがある。この際、米国の価値観によって、韓国の歪んだ日中観を糺して貰うほかない。

(6)

「専門家集団の調査では、韓国に対する信頼度(9%)が中国(4%)より高かったが、2018年(20%)、2017年(14%)と比べると大幅に低下した。日本外務省の依頼で実施された調査でもあるが、全体的に日本関連の数値が上昇したのも特徴だ」


韓国に対する米国の信頼度は低下している。

2019年  9%

  18年 20%

  17年 14%
GSOMIA破棄騒ぎが、韓国に対する信頼度を大きく引下げたと言えよう。米韓同盟国が、1桁の信頼度しか得ていないのだ。片や日本は48%である。文政権は、親中朝路線を反省すべきことを示している。



韓国売り」が止まらない。米国との為替スワップも効果がなかった。新型肺炎を引き金に1997年の国家破たんが再現するのか――。

2020-03-25 16:57:56 | 日記
韓国売り」が止まらない。米国との為替スワップも効果がなかった。新型肺炎を引き金に1997年の国家破たんが再現するのか――。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年3月24日 掲載


韓国観察者の鈴置高史氏が隣国の通貨危機を読み解く。
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新型肺炎発の韓国の通貨危機 米国の助けも不発で日本にスワップ要求…23年前のデジャブ

ウォンの対ドルレート(3/2~3/24)

為替も株も底なし沼

鈴置:3月23日のソウル外為市場は前週末比20・00ウォン安の1ドル=1266・50ウォンで引けました。

 3月19日に米FRB(連邦準備理事会)が韓国を含む9カ国の中央銀行と為替スワップ協定を結ぶと発表したのを受け、3月20日は1日で39・20ウォンもウォン高に振れました。

韓国紙には安堵の声があふれました。しかし1営業日後の23日には、再びウォンは売られる展開に戻りました。

 新型肺炎による経済悪化を懸念して始まった激しい「韓国売り」は、米国との期間6カ月、規模は600億ドルのスワップをもってしても食い止められなかったのです。

 3月24日は16・95ウォン高の1249・55ウォンで引けましたが、「ウォン売り」の空気が市場から払しょくされたわけではありません。

 なお、FRBのサイトはこのスワップを「liquidity arrangements (swap lines) =為替スワップ」と表記していますが、韓国銀行のサイトは「bilateral currency swap arrangement=通貨スワップ」と書いています。

 通貨スワップなら韓銀のウォン買いにも使えますが、為替スワップだと韓国の市中銀行へのドル供給に用途が限られます。

 両者の違いに関しては、匿名の国際金融専門家が主宰するサイト「新宿会計士の政治経済評論」の「韓銀、為替スワップを通貨スワップと意図的に誤記か?」(3月23日)が詳しく解説しています。
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新型肺炎発の韓国の通貨危機 米国の助けも不発で日本にスワップ要求…23年前のデジャブ

韓国の通貨スワップ(2020年3月24日現在)

外貨準備の不足を市場は見透かす

――株も持ち直すかに見えたけれど、再び売られました。

鈴置:KOSPI(韓国総合株価指数)も同じ構図でした。スワップ報道を受け、3月20日は10営業日ぶりに上げた。しかし、週明けの3月23日の終値は前日比5・34%安の1482・46へと急落。

 24日は前日比8・6%高の1609・97で引けました。同日に政府が債券・株式市場の安定ファンドを創設すると発表したのを好感したためです。しかし、この地合いが続くと見る向きは少ない。売りの主役は外国人で、14営業日連続の売り越しを記録しました。

 新型肺炎の大流行を材料に、株価が下がるのは世界共通のこと。好ましくはありませんが、何とかなる。最後は政府がウォンを刷って買い支えればいいからです。3月24日発表の債券・株式市場安定ファンドも、まさにそれを実行するための基金です。

 韓国政府がどうしようもないのが、為替――ウォンが売られまくっていることです。急激なウォン安を防ぐには、通貨当局がドルを使ってウォン買いにでるしかない。

 しかし、そのドルの弾薬庫である外貨準備が足りないと市場は見透かしている。外貨準備の不足を補うはずの米国とのスワップも、韓国売りに対抗するには威力が足りないと判明しました。


韓銀総裁も副首相も「日本とスワップ」

――では、韓国政府はどうするのですか? 

鈴置:日本と通貨スワップを結ぶつもりです。3月20日、米国とのスワップが決まった直後に、韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が以下のように語りました。

「日本など他国とのスワップの計画はあるのか?」との記者の質問に答えたものです。朝鮮日報の「[一問一答]李柱烈『韓米通貨スワップの期間、状況により可変的』」(3月20日、韓国語版)から翻訳します。

・主要国であるカナダやスイスとスワップを結んだこともあり、その意味で、日本との通貨スワップも意味がある。今後、中央銀行間の金融協力の次元では、外国為替市場の安全弁をさらに強化するという観点から、主要国との協力を高めるための努力を続けていく。

 同じ3月20日、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相も日本との通貨スワップについて「(米国とのスワップに)追加し、様々な国と協定締結に努力する」と語りました。

 これも、日本との交渉状況を問う記者の質問に答えたものです。日経新聞の「通貨スワップ協定『様々の国と締結努力』 韓国経済副首相」(3月20日)が報じています。


 韓国は生きるか死ぬかの瀬戸際に立ちました。ウォンの価値がこのまま下がり続ければ輸入物価が跳ね上がり、必要なものも輸入できなくなります。

 
なおかつ、ドル建てで債券を発行していた韓国の企業、金融機関はウォンベースでの借金の額が膨らむわけですから、下手すればデフォルト(債務不履行)を起こします。

 いずれにせよ、韓国経済は死を迎えます。ウォン売りが続く限り、韓国は何が何でも日本とスワップ協定を結ぶしかないのです。

 すでに韓国は様々な国と2国間でスワップを結んでいます。しかしいずれも、相手国通貨建ての契約です。いざという時、ドル建て債務の返済には間に合わない可能性が大きい。

 ドルの発券国である米国以外に、米ドルでスワップを結んでくれるほど外貨準備の豊富な国は日本しかないのです。



「食い逃げ」されてきた日本

――日本は「ああいいですよ」とスワップに応じるでしょうか? 

鈴置:簡単には応じないと思います。これまで、日本は韓国とスワップ協定を結ぶたびに食い逃げされてきました。


 欧州金融危機の際、日本の野田佳彦政権は李明博(イ・ミョンバク)政権の求めに応じ、通貨スワップを30億ドルから700億ドル相当に増額しました。2011年10月のことで、期間は1年間です。

 ところが、韓国は直ちに掌(てのひら)を返しました。同年12月の日韓首脳会談で突然、「元慰安婦に補償しろ」と言い出した。翌2012年8月には李明博大統領が竹島に上陸しました。

 露骨な「スワップ食い逃げ」です。さすがに「アジアとの共生」が好きな民主党政権も、韓国とのスワップは延長しませんでした。



「食い逃げ」作戦は次の政権も同様でした。朴槿恵(パク・クネ)政権は日本にスワップを結ぶよう求めました。2国間の日韓スワップが2013年7月にすべて終了したので、保険が欲しくなったのです。

 2016年8月27日に日韓財務対話の場で、両国はスワップ再開に向け話し合うことで合意しました。すると、韓国は直ちに慰安婦合意を反故にしました。



 2015年12月28日に結んだこの合意で、韓国は「日本大使館前の慰安婦像の撤去に努力する」と約束していました。

 ところが外交部の林聖男(イム・ソンナム)第一次官はスワップ交渉再開が決まった10日後の2016年9月6日、韓国の国会で「政府も国民世論を把握しながら動くため、今の段階では政府が前に出てこの問題を推進する考えはない」と答弁したのです。

 さらには2016年12月、釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたのですが、韓国政府はこれも放置。何度もだまされた日本はついに怒り、2017年1月6日にスワップ協定の交渉中断を含む制裁に踏み切ったのです。
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「日本人は反省が足りない」

――「世界全体が大変な時だ。恩讐にとらわれず、スワップを付けろ」と言い出す人が出そうです。

鈴置:出るでしょうね。自民党にも「日本は韓国には悪いことをした」「日本人は反省が足りない」が口癖の領袖がいますから。それに永田町にも霞が関にも「日韓スワップは日本のためになる」と勘違いしている人がけっこう多いのです。

 2011年10月のスワップ――前述の「新宿会計士の政治経済評論」は「野田スワップ」と呼んでいますが――当時も、民主党政権や財務省は「韓国を助けないと、ウォン安になって日本の競争力が毀損される」と説明していました

 一見、それらしいけれど完全に誤った主張です。韓国は日本のスワップがあるからこそ、逆にウォン安を維持できたのです。

 韓国政府がウォン安に誘導しても、投機筋がそれに付け込んでのウォン売りは仕掛けにくい。いざとなれば、韓国は日本からドルを借りてウォン買いの反撃に出ると予想されるからです。

 日韓スワップを背景に、韓国は2009年年初以降、1円=16ウォン前後のウォン安・円高を1年以上も続けました。これでは日本企業がどんなに頑張っても勝てません。

 自動車部品の日韓貿易が日本の出超から入超に転じたのも、これが契機となりました。野田スワップが日本の産業を破壊したのです。

 野田元首相はじめ、当時の民主党政権幹部の人々はそれを知ってか知らずしてか、いまだに国会の赤絨毯の上をのほほんと歩いているのです。


IMF経由でコントロール

――しかし、韓国を助けないとウォン安がどんどん進みます。

鈴置:ウォンが下がり続ければ、デフォルトを起こします。それを避けるため、韓国はIMF(国際通貨基金)に救済を求めざるを得なくなります。韓国はIMFの指導下に入るわけです。日本は米国と図って、IMFを通じウォン安を阻止すればよいのです。



 ちなみに1997年の通貨危機の際、韓国を救済したIMFは高金利政策を実施させました。すると、ウォンは急速に価値を取り戻しました。ウォン安・円高がもっとも進んだ時でさえ1円=14ウォン弱。それも瞬間風速でした。

 高金利のために、倒産する企業が多発しました。通貨安を背景に輸出しようにも、モノを作る会社の数が減ってしまったのです。

 韓国をIMF救済に追い込めば「ウォン安の脅威」はむしろ減少するのです。この辺の機微をなかなか政治家や財務官僚は理解できない。マーケットというものを知らないのか、韓国から鼻薬を嗅がされているのか……。
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キーセン外交でスワップ獲得

――「鼻薬」ですか? 

鈴置:中央日報は「韓国が厄介な隣国と生きていく姿勢」(2017年1月11日、日本語版)で「日本の財務官僚など頭をなでてやれば通貨スワップだって結ぶ」との趣旨の記事を乗せています。

 韓国の財務官僚の談話を引用しながら書いた記事で、彼らは「論介(ノンゲ)戦術」と呼んでいるそうです。

「論介」とは文禄・慶長の役の際、日本の武将を道連れに川に飛び込んで死んだキーセンの名です(「蟻地獄に堕ちた韓国経済、『日本と通貨スワップを結ぼう』と言い出したご都合主義」参照)。

「キーセン・パーティで釣れば、日本の役人など言いなりになる」と理解した韓国人も多いでしょう。韓国史を知る日本人が読めば「ここまで馬鹿にされているのか」と嘆息するでしょう。
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「百害あって一利なし」のスワップ

――韓国との通貨スワップは日本にとって「百害あって一利なし」なのですね。

鈴置:その通りです。極めて大きな経済的損害を受けるし、外交的にも「なめられる」からです。日本人は「スワップで助ければ、韓国はその好意を感じてくれ、関係も改善するだろう」と思い込んできた。

 でも、現実は正反対。「スワップさえもらえばこちらのもの」とばかりに、韓国は日本の足を引っ張りに来ます。韓国は「恩を仇で返す」国なのです。


鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年3月24日 掲載




新型コロナショック、韓国からの「資金引き上げ」が止まらない…

2020-03-23 11:32:22 | 日記
新型コロナショック、韓国からの「資金引き上げ」が止まらない…

真壁 昭夫(信州大学経済学部教授)

3/23(月) 6:31配信

現代ビジネス

新型コロナショック、韓国からの「資金引き上げ」が止まらない…

 足元、新型コロナウイルスによる世界的な経済・金融市場の混乱によって、投資家が株式や債券など価格変動リスクのある金融資産を投げ売りしている。


 その中でも、韓国から激しい勢いで資金が流出している。

 アジアの通貨市場では韓国ウォンの下落が突出している。

 マレーシアやインドネシアなどの新興国よりも韓国ウォンへの売り圧力は強い。

 また、世界的に見て韓国の株価下落率も大きい。

 いかに投資家が韓国から資金を引き揚げているのがわかる。

 投資家が金融資産を投げ売りする背景には、新型肺炎の収束の目途がつかないことがある。

 先行きが読めないことが、投資家の恐怖心理を大きく増幅している。

 先行きの目途が付かないため、リスクを取れない市場参加者が日に日に増えている。

 新型肺炎が世界全体で人の動線を寸断する中、韓国のように輸出入を通して世界経済に深く組み込まれてきた経済には、かなりの影響があることは間違いない。
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新型コロナショック、韓国からの「資金引き上げ」が止まらない…


高まる文政権への不信

 韓国メディアの論説などを見ていると、これまでにないほど文在寅大統領への批判が高まっているようだ。

 一つの要因として、文政権のコロナウイルスの感染対策の遅れがある。

 韓国では新たにソウル近郊の教会で集団感染が発生した。

 文大統領は中国を重視するあまり、入国制限などの初動動作が遅れた。

 さらに、国内での感染対策も不十分と言わざるを得ない。

 それは、市場参加者にとって軽視できないリスク要因だ。

 新型コロナウイルスが経済に与える影響を考える上で最も重要なポイントは、収束にどれだけの時間がかかるかだ。

 感染の食い止めに時間がかかればかかるほど、経済活動は停滞するだろう。

 韓国国外の状況に目を向けると、世界的に感染対策から国境封鎖などに踏み切る国が増えている。

 この状況は、韓国経済にとってかなり厳しい。

 過去の保守派政権は、財閥企業を優遇してきた。

 サムスン電子などは海外からヒト・モノ・カネを調達し、国内で汎用品を大量生産し、輸出することで業績を拡大した。

 それが第2次世界大戦後の韓国経済の成長を支えた。

 つまり、韓国経済の運営にはグローバルな人の移動などが欠かせない。



 しかし、文政権は労働組合などに配慮した政策を進め、最低賃金を大幅に引き上げるなどした。それが中小企業などの経営を圧迫した。

 また、中国経済の成長の限界などを受け韓国の輸出も減少した。

 それは、韓国経済が縮小均衡に向かい始めたことを示唆する。

 その上に新型コロナウイルスが発生し、文政権は窮地に立たされているといえる。


さらなる韓国経済混乱への懸念

 韓国からの資金流出の背景には、グローバル経済の需給が寸断され、韓国経済の混乱リスクの上昇と、文政権の政策行き詰まり懸念がある。

 韓国の文政権は金融・財政政策を総動員して景気を支えようとしているが、問題の大元の原因は人々の動線の寸断にある。

 それをどの程度の期間で終息させることができるか、それが韓国経済の先行きを左右するはずだ。

 足許、価格変動リスクへの忌避感の高まりや海外投資家による投資資金の回収から、韓国の国債流通利回りが上昇している。

 景気が減速、更には後退する中での金利上昇は、国家の資金繰りひっ迫懸念を高め、急速に企業や家計の経済的体力を奪うだろう。

 韓国の家計債務残高は可処分所得の186%に達しており事態は深刻だ。

 現在、韓国の民主主義の実力が問われている。

 1997年のアジア通貨危機、2008年のリーマンショックの際、韓国は主要国からの資金支援を受けることで経済の混乱を克服した。

 すでに与党・共に民主党内では、自国経済が非常事態に突入しており、主要国との通貨スワップ協定の締結を急がなければならないとの危機感が高まっている。

 韓国経済が底割れというべき展開を回避するために、主要先進国からの協力の取り付けは大きな役割を果たすだろう。

 ただ、いずれの国も自国の感染対策に必死だ。

 また、文氏は日米との安全保障連携に背を向け、南北統一を夢見てきた。

 そうした政策がむしろ、米国やわが国などの同盟国との関係をこじらせている。

 
韓国がこれまでの政策を改め、国力の安定に必要な政策運営の発想を早期に取り戻せるか否か、文政権の見識が問われている。
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真壁 昭夫(信州大学経済学部教授)

映画「パラサイト」が炙り出す「階層移動はほぼ不可能な世界トップレベルの格差社会」という韓国の現実

2020-03-22 16:56:54 | 日記
ハーバー・ビジネス・オンライン

映画「パラサイト」が炙り出す「階層移動はほぼ不可能な世界トップレベルの格差社会」という韓国の現実

2020.03.22

階層移動はほぼ不可能。世界トップレベルの格差社会

韓国映画『パラサイト/半地下の家族』がアジア映画として史上初のアカデミー賞4部門を受賞し、韓国の存在が一躍、世界に轟いた。

同映画は韓国社会の深刻な貧困問題を描き、観る者に衝撃を与えたが、そこでも描き切れないほどに実際の韓国社会には闇が溢れている。

その惨状は一部で「ヘル朝鮮」と揶揄されるほどだ。  

その根底にあるのがやはり「深刻な格差」と語るのは、韓国の社会情勢に詳しいジャーナリストの徐台教氏。

韓国では’70~80年代にピークを迎えた高度経済成長が’97年に破綻。

出生率はゼロ台に突入し、若者の未曽有の就職難に加え、階層の固定化が著しい。

’17年はOECD加盟国中、アメリカに次いで所得上位と下位10%の賃金格差が大きかった。また、大企業が0.1%、中小企業が99%以上でその中間はなく、双方の生涯賃金には大きな乖離がある。

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映画「パラサイト」が炙り出す「階層移動はほぼ不可能な世界トップレベルの格差社会」という韓国の現実


週刊SPA!

『パラサイト』で描かれた、ソウル市内の貧困層

階層移動はほぼ不可能。世界トップレベルの格差社会

韓国映画『パラサイト/半地下の家族』がアジア映画として史上初のアカデミー賞4部門を受賞し、韓国の存在が一躍、世界に轟いた。

同映画は韓国社会の深刻な貧困問題を描き、観る者に衝撃を与えたが、そこでも描き切れないほどに実際の韓国社会には闇が溢れている。


その惨状は一部で「ヘル朝鮮」と揶揄されるほどだ。  

その根底にあるのがやはり「深刻な格差」と語るのは、韓国の社会情勢に詳しいジャーナリストの徐台教氏。

韓国では’70~80年代にピークを迎えた高度経済成長が’97年に破綻。

出生率はゼロ台に突入し、若者の未曽有の就職難に加え、階層の固定化が著しい。

’17年はOECD加盟国中、アメリカに次いで所得上位と下位10%の賃金格差が大きかった。

また、大企業が0.1%、中小企業が99%以上でその中間はなく、双方の生涯賃金には大きな乖離がある。

所得の両極化の水準

PPP指数(購買力平価)に換算した月平均賃金の比較。韓国は日米よりそれぞれ差が開いている(出典:韓国・中小企業研究院)

上位と下位10%の賃金格差(’17年)

OECD各国との’17年統計比較。大企業と中小企業の間の中堅企業が存在しないがゆえの結果となっている

特権階級を乱用した朴槿恵は去ったが階級は残った

韓国では、上位30大学の卒業生であれば一応、大企業に就職することが可能です。


しかしそれ以外の大学卒や高卒だと難しく、安定した生活が得にくくなってしまう。

特権階級の力を乱用し尽くした朴槿恵前大統領が弾劾されてうやむやになっているが、階級はそのまま残っているわけです。

人間の立ち位置がカテゴライズされやすい韓国社会は本当に恐ろしいと常々感じます」

階層固定化の源流と言われているのが「386世代」である。

「’90年代に30代、’80年代に民主化運動に関わった’60年代生まれの者」を意味するが、この世代で大卒者が激増し、学歴による収入の格差が生じた。

それがそのまま階層として子供に受け継がれ、富の偏在が生じているといえる。

昨年曺国法務部長官(当時)が自らのコネで子供に不正入学をさせた事件もその象徴で、内申書の加点は親が金持ちであるほど有利になる実態が根強くあると言われている。

包容型福祉国家を目指したが失策続きの文政権

先進国の中でも、深刻な格差問題を抱える韓国だが、今のところ打開策は見えない。

「格差を含めた社会の葛藤を鎮静化させる『包容型福祉国家』というのが、今の韓国が目指す理想像。

具体的には、セーフティネットの拡充と機会の平等化、差別のない社会の実現です。

そんな文政権が真っ先に掲げたスローガンが『所得主導成長』です」  

具体的な実現例としては、日本でも話題になった最低賃金の引き上げだったが、結果としては雇用側の負担が増加し、逆に雇用が減る現象が起きてしまった。

さらに税制では昨年、高所得者や不動産所有者からはより多く税金を徴収する法改正も行われたが、一部の富裕層から大きな反発が起きた。

「方向性は悪くなかったが、自営業者が労働人口の25%を占める韓国では政府の一律的な政策はさほど効果的ではなかった。

さらに国会が富裕層派の保守派と公正な富の分配を求める進歩派で拮抗しているため、さまざまな規制緩和に関する法案は通らず、給料を上げただけで終わってしまったような面もある。

それ以降、文政権はもう所得主導という言葉を口にしなくなりました」 徐台教氏

頼みの総選挙も不発の可能性大

頼みの綱は、来る4月15日に実施される第21代国会議員総選挙。

20~30代の若い政治家がデビューし、格差や世代交代の問題が前面に出るチャンスになりうるが、現在の局面に鑑みれば、新型コロナウイルスの問題に覆われてしまう可能性が大だという。

「せっかくの好機だったのに、あまりにも惜しい。せめて総選挙が延期されればよいのですが」 【ジャーナリスト・徐 台教氏】

群馬県生まれ、’99年より韓国に在住。NGO代表などを経て、日本語による韓国政治ニュースサイト「コリアン・ポリティクス」編集長 取材・文/和場まさみ 安宿緑


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