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徴用工問題 「今度こそは」か 重大局面の日韓関係

2022-07-30 18:45:25 | 日記
徴用工問題 「今度こそは」か 重大局面の日韓関係

7/30(土) 10:00配信


韓国政府が開いた徴用工問題の解決を模索する「官民協議会」の終了後、記者団の取材に応じる原告側の関係者=ソウル市内の韓国外務省前で2022年7月14日、坂口裕彦撮影
 タイムリミットは着実に迫っている。本当に大丈夫なのか。日韓関係の未来がかかる重大局面にさしかかっているだけに、徴用工問題をめぐる韓国側の動きは何とも心配だ。  

◇日韓関係を揺さぶる判決  韓国最高裁(大法院)は2018年、日本の植民地だった第二次世界大戦中、日本企業で働かされた韓国人の元徴用工らへの賠償を命じた判決を確定させた。このため、敗訴した日本企業が韓国国内に持つ資産を売って、原告への賠償に充てる「現金化」に向けた裁判所の手続きが着々と進んでいる。 

 なぜ判決は、日韓関係を大きく揺さぶるのか。日本政府が、元徴用工への損害賠償を含む戦後補償問題は1965年の日韓請求権協定で、「完全かつ最終的に解決された」と判断しているからだ。

  この協定に基づいて、日本は韓国に対して、有償・無償計5億ドルの経済協力を行った。

日本政府は「韓国最高裁が出した判決によって生じた問題は、韓国国内で解決すべきだ」と主張している。

日本が過去の不幸な歴史を直視し、反省を忘れてはいけないのはもちろんだが、「国同士で約束したことは守るべきではないか」という日本政府の主張は妥当に思える。 

 タイムリミットと書いたのは、敗訴した三菱重工業の特許権や商標権の売却命令が最高裁で8~9月にも最終確定するとの見方が出ているからだ。

日本企業に実質的な被害が出た場合、日本政府は報復措置に乗り出す構えで、日韓関係は根っこから崩れかねない。

◇改善に前向きな尹大統領  三権分立を理由に傍観した文在寅(ムン・ジェイン)前大統領とは異なり、5月に就任した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、冷え込んだ日韓関係の改善を目指している。

尹氏に近い複数の関係者は「腹が据わっていて、人の面倒見も良いリーダーだ。

日本には好印象を持っている。お酒も好きだから、酒豪とされる岸田文雄首相とは絶対に気の置けない仲になれる」と口をそろえる。 

 6月には羽田空港とソウルの金浦空港との間の航空路線が再開したが、もっとも前向きだったのは、尹氏自身だったという。

人的交流の拡大が、硬直した日韓関係をほぐすと踏んでいるようだ。 

 実際、尹氏は記者会見でも、率直な発言が目立ち、「元検事総長」の前職から連想される重々しいイメージとはずいぶん異なる。

尹氏と4日に韓国大統領府で会談した経団連の十倉雅和会長は「日韓関係を正常化するという尹氏の強い決意、熱意は揺るぎない。ユーモアも気遣いもある人だ」。

傍らで聞いていて、尹氏の人柄に好感を抱いたことが伝わってきた。 

 けれども、「それなら徴用工問題も心配なし」とはならない。

韓国政府が楽観的で、解決案づくりも詰めが甘いように思えてならないからだ。

  たとえば、尹氏と岸田氏が先月28日、北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議に合わせて、スペイン・マドリードで数分間、初めて顔を合わせて交わした会話。

日本政府の発表では、岸田氏は尹氏に対して「非常に厳しい日韓関係を健全な関係に戻すため、尽力してほしい」と伝えた。

ところが、韓国政府の発表では、岸田氏は「より健全な関係に発展できるように努力しよう」と尹氏に話したことになっていた。

まるでニュアンスが違う。

 ◇ボールは日本政府にも  尹政権発足から約2カ月。ようやく、といった感じで韓国政府は4日、解決策を模索する「官民協議会」を発足させた。

韓国政府が日本企業の賠償金をいったん肩代わりする案や、日韓両国の企業や個人による寄付で基金を作って、原告への賠償に充てる案が浮上している。

しかし、一部の支援団体は

「韓国政府は、日本の要求に合った解決策を探している」と反発して、会合への不参加を決定。合意形成は難航している。

 尹政権の支持率の低下も気がかりだ。

世論調査会社「韓国ギャラップ」が15日発表した調査結果によると、尹氏の支持率は32%で、不支持率は53%。

政権の求心力が低下するほど、多様な世論をまとめあげて難題を決着させることは難しくなる。

尹氏に近い関係者は「韓国の世論が納得してくれる解決案を作るには、日本側の協力が必要だ」とこぼしていた。 

そんな簡単な話ではないだろう。日韓両政府は15年に慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」で合意した。

しかし、文前政権は19年に、合意に基づいて韓国で設立されていた元慰安婦を支援する財団を一方的に解散。

合意は骨抜きにされた。合意時に外相として汗をかいたのに、メンツを潰されたのは岸田氏本人なのだ。 

 一方で、北朝鮮は核・ミサイル開発を加速し、軍事、経済両面での米中対立も深まっている。

特に安全保障面で、日米韓3カ国が連携する重要性は増している。

良好な日韓関係は国益にもつながり、同盟国の米国も期待している。

文前政権が放置した問題に取り組む尹氏の顔を簡単に潰してよいのかということもあるだろう。

  14日の官民協議会に出席した原告側の関係者は「日本政府は強硬な姿勢を崩していないから、日本企業だけでも必ず謝罪すべきだ」と述べた。

基金を作って肩代わりする場合は、被告企業の参加が最低条件だとも伝えたという。

18日の日韓外相会談で、朴振(パク・ジン)外相は

「現金化される前に望ましい解決方法が出てくるように努力する」。

本気なのなら、尹氏や朴氏が原告らと真摯(しんし)に向き合ってはどうだろう。  

そしてボールは日本政府にもある。

「今度こそは」と期待して手を差し伸べるのか。

それとも「言葉だけならいらない」と突き放すか。判断は難しいが、韓国政府が真摯な答えを持ってきたなら、真正面から受け止めて協力すべきだろう。

【ソウル支局長・坂口裕彦】

中国経済大幅減速~安定成長への課題

2022-07-30 18:03:15 | 日記
中国経済大幅減速~安定成長への課題


2022年07月18日 (月)

神子田 章博  解説委員


日本企業の、ビジネスにも大きな影響を及ぼす中国経済の減速が目立っています。2か月余りにわたった上海市の外出制限が大きなつめ痕を残す形となりました。

きょうはその要因と、当局が打ち出した景気対策の効果、中長期の安定した成長にむけた課題について考えていきたいと思います。

解説のポイントは三つです。

1) 消費と生産の激しい落ち込み
2) 回復にむけた対策と課題
3) 生かせるか 民間企業の活力

1)消費と生産の激しい落ち込み

 まず中国経済の現状と景気減速の要因についてみてゆきます。
中国の今年4月から6月のGDP国内総生産の伸び率は、前の年の同じ時期に比べて実質でプラス0点4%。

前の期の4点8%から大幅に減速し、最初にコロナの感染が広がった一昨年1月から3月以来の低さとなりました。

上海で4月、5月とまるまる二か月の外出制限、そのほかの主要都市でも厳しい行動制限がとられたことから、4月の小売業の売上高が去年の同じ月に比べてマイナス11点1%、5月もマイナス6点7%と消費が大幅に減少。

なかでも自動車は、供給不足という要因も加わって、4月はマイナス47点6%、5月もマイナス12点6%と激しく落ち込みました。

また上海は海外や、製造業が集積する近隣の地域から、様々な製品や部品が集められ、そこから中国の内陸部に運ばれるという巨大な国際輸送基地です。

その機能が大幅に低下したことで、各地で自動車やスマートフォン、パソコンなどの生産ができなくなりました。

中国の工業生産は、4月はマイナス2点9% 5月は0点7%のわずかな増加にとどまりました。

日本でも自動車メーカーで中国からの部品が調達できずに、車の生産ができなくなるといった影響も出ました。

2)回復にむけた対策と課題

このように経済が大きく減速した中国ですが、習近平国家主席は、今年後半に開かれる共産党大会で党のトップとして異例の3期目に入ることを目指しているといわれます。

このため、この夏以降景気を押し上げようと、様々な対策を打ち出しています。

その一つが、自動車販売のてこ入れです。

先月から、購入時に販売価格の10%にあたる税金を最大で5%引き下げました。

自動車減税は、リーマンショックの直後にも使われた景気対策の切り札で、先月の自動車販売は23点8%のプラスにまで回復。

ただ、ウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰で、中国でも先月の消費者物価指数が2点5%のプラスと、上昇率は前の月より0点4ポイントもあがりました。

物価の上昇が続けば、人々の財布のひもは、締まり、消費の低迷が続くことも考えられます。

もうひとつ、中国政府が力を入れているのが、不動産市場のテコ入れです。

 中国では投機的な取引を抑制するための措置が導入された結果、当局の予想を超える不動産市場の停滞を招くことになりました。

このため、中国の金融政策当局は今年1月と5月の二回にわたって住宅ローンの基準となる金利をひき下げたり、購入の際に必要な頭金に関する規制をゆるめたりして、不動産市場の活性化を図ろうとしています。

しかし習指導部はもともと、すべての国民が豊かになる共同富裕というスローガンのもとで不動産価格を抑えようとしてきたはずです。

住宅の価格が高騰して庶民の手がとどかなくなれば、格差の一層の拡大につながるからです。

それが想定外の景気の落ち込みを招いたことで、規制の緩和に追い込まれる形となりました。

ただ中国では、男性が結婚するには自分の家をもつ必要があり、家がなければ結婚できないとも言われ、住宅を購入する中心的な世代は30歳前後。

その世代の人口がいま減少に転じていて、住宅への需要そのものが縮小するともいわれています。

政府のテコ入れ策がどこまで効果を生むか不透明な部分も残ります。

さらにコロナを封じ込めるため厳しい行動制限を求めるいわゆる“ゼロコロナ”政策の行方も焦点となります。

経済にマイナスの影響も指摘されるゼロコロナ政策ですが、習主席は先月の演説でも「総合的に考えて最も経済的で効果的な感染防止対策だ」と強調しました。

確かに再び感染が広がり、上海のような外出制限につながれば、経済は大きな打撃を受けることになります。

その一方で、中国政府は、海外からの入国者の隔離期間を原則として14日から7日に短縮しました。

ゼロコロナ政策がビジネスに与える影響が大きすぎると訴える外国企業の要望などを踏まえたもので、経済回復にむけて外国企業の力を借りたい思惑がうかがえます。

ただ、隔離期間の短縮は感染のリスクを高める方向に作用します。今後も感染を抑えながら、経済は動かし続けていくという綱渡りの対応が続くことになります。

3)生かせるか民間企業の活力

さてここからは中国経済の中長期的な課題について考えていきたいと思います。

中国政府は、去年3月、2035年までに、一人当たりのGDPを中レベルの先進国並みに引き上げるという方針を示しました。

具体的な数字は示していませんが、日本の6割程度にあたるポルトガルなどを目標にかかげ、年平均で4点7%の成長を続けてGDPの規模を二倍にすることを目指しているとみられています。

果たしてそれを実現できるのか。そこで注目したいのが、中国政府と民間企業の関係です。

いまから10年前、共産党のトップに就いた習近平国家主席はその翌年の2013年、3中全会と呼ばれる党の重要会議で、

「市場に資源配分における決定的な役割を果たさせる」として、

民間企業の経済活動を重視することで力強い成長をめざす方針を示したと受け取られました。

しかし習主席が党のトップとして二期目に入る2017年の共産党大会では、党・政・軍・民・学 つまり民間企業を含め共産党がすべての活動を指導する方針を強調、あわせて国有企業の強大化を打ち出すなど、国有企業をより重視する姿勢を打ち出しました。

共産党が経済を直接コントロールできることが一党支配に必要と考えたためだとみられます。

そして去年は、ネット通販の大手アリババに対して独占禁止法違反で巨額の罰金を科したり、義務教育段階での営利目的での学習塾の経営を禁止したり、民間企業活動への介入する事案が相次ぎました。

これらの政策をめぐっては、企業間の公正な競争の維持、富裕層だけが塾の教育を受けることができるという格差の解消をはかろうとした面もありますが、一方で、「共同富裕」を推し進める観点から、一部の民間企業に利益が集中する構造にメスをいれようとしたとも指摘されています。

しかし、その結果、企業が委縮して事業活動にブレーキがかかり、中国経済の成長の勢いを鈍らせるおそれがあるという批判も招きました。

こうした中で今年3月の李克強首相の演説では、それまでの党の声明に盛り込まれていた「資本の野蛮な成長の防止」など民営企業に否定的な表現が消え、経済の成長にむけて民間の企業活動を重んじる姿勢をのぞかせたもの見られています。

 中国政府としては、今後の民間企業の活発な活動を通じて国全体の成長のパイを大きくしたい。

しかし築かれた富は一部の巨大企業に集中させることなく、低所得層にまで恩恵が届くようにすることが求められているのです。


民間の活力を最大限に生かしながら、共同富裕という社会主義国家としての要請にこたえてゆくことができるのか。

中国経済の今後の成長、そして日本の経済にも影響が及ぶだけに、その微妙なバランスのかじ取りの行方を、目を凝らしてみていく必要がありそうです。

(神子田 章博 解説委員)



2 呉善花 恨と火病と疑似イノセンスと― 異常な反日行為と心の病

2022-07-30 16:06:21 | 日記
2 呉善花 恨と火病と疑似イノセンスと― 異常な反日行為と心の病 
 
 
自分を無罪とする責任回避 
 
 恨の多い人がそのまま恨を抱え続けていくと、一種の怒り症侯群である火病にまで至ることが少なくない。「怒りや悔しさをまともに発散できなくて、無理矢理に我慢するうちに火病になる」のだが、多くの人はそこまで我慢することなく、四方に怒りを爆発させていくことになる。韓国人がしばしば激しやすいといわれる理由もそこにある。 
 いずれにしても、なぜ韓国人は一方的に自らを純化し、無実の者として自己責任を回避し、恨を抱えて生きようとするのだろうか。アメリカの精神医学者ロロ・メイの「疑似イノセンス」論は、この疑問に明快な答えを与えているように思う。 
 イノセンス(innocence)とは、「無罪・無実、無害の・悪意のない、純粋・無邪気」などを意味する言葉である。イノセンスそのものを生きているのが子供だが、大人になってもイノセンスの見かけをもって生きているような人がいる。つまり自分を擬似的にイノセンスで装うのだ。これがロロ・メイのいう疑似イノセンス(Pseudo-innocence)である。心の内のイノセンスではなく、外から見たときだけのイノセンスである。 
 ロロ・メイは「それは決して大きくなりすぎることのない子供らしさやある種の過去への固着から成っている。それは、無邪気というよりむしろ幼稚だ」として次のようにいう。 
 「これは神経症に見られるイノセンスと平行関係にある。このイノセンスは、決して生き抜いてこられたものではなく、幼児のままに固着してしまうイノセンスで、ただ敵対的で冷たいあるいは支配的な親に対して身を守るだけのために、その幼児性にしがみつくのである」(小野泰博訳「わが内なる暴力」) 
 なぜ世間の荒波を生き抜こうとせず幼児性にしがみつくのか。それは外部の権力から自らを守る防御のためで、疑似イノセンスは「外的な力の形態とかあるいは地位および威信といった内的な力の形態を含む、権力の現実に直面しなければならないときの防御壁」(同書)なのである。 
 ここは多くの日本人には容易に理解できないところかもしれないが、韓国社会に生まれて大人になった私にはとてもよくわかる。韓国の社会には、地位や威信などを含む権力のまことに不条理な働きが、排ガスのように充満しているからだ。子供からすれば、大人になることは不条理な人間になることに等しいとすら思えてくる。 
 疑似イノセンスは「自分を無罪とする責任回避」で大きく特徴づけられる。韓国の旅客船セウォル号沈没事故の犠牲者を追悼するポストイット・ボードに、青少年らによる無数のメモが貼り出された。新聞報道されたものからいくつか拾ってみる。 
 「姉さん、そして兄さん、もう二度とこんな国に生まれないでください」「さようなら。兄さんが、必ず悪い大人たちと最後まで戦って、二度とこんな悲しみが無いようにするから」「冷たい海中に恐ろしさで真っ青になって泣いた私たちの後輩を考えなさい。こんな権力に耳をふさいで目をとじる人々ならば、本当に嫌いだ」「道徳を学ぶ理由は何ですか? どうか大人たちは非道徳的に生きないでください。花のように美しい私たちの命を安全にして欲しい」「互いに利益だけ考える社会だ。大人たちの欲望のために姉さん兄さんの命が一日で消えた」(ハンギョレ新聞日本語電子版2014年4月25日) 
 韓国各地のポストイット・ボードは、こうした国家、権力、社会、大人の罪・責任を問う子供たちの悲痛な声に満ち溢れていた。 
 社会の制度・秩序・慣習を受け入れていくことで、子供はイノセンスを脱して大人になる。大人としての自覚と責任をもって生きていこうとする。これがまっとうな社会でのあり方だ。しかし韓国のような不条理が大手を振ってまかり通る社会では、大人になりたくない子供たちをたくさん生み出すことになる。 
 「幼児のままに固着してしまうイノセンス」をもって、「花のように美しい自分、責任がない自分、無罪である自分」を守ろうとする。こうして疑似イノセンスで自らを装う大人になっていく。 
 そうした人たちは、人間ならば誰もが内部に抱えている不道徳性とか反秩序性といった破壊的な力を、自分のなかには認めようとしない。そして、自らを潔癖であり無罪であるとする一方で、他者に対しては道徳的な完全性を求めて強く批判する。 
 この態度がロロ・メイのいう疑似イノセンスである。そしてロロ・メイがいうように、自己内部の破壊的な力が抑圧されると、極めて暴力的な形で噴出するのである。 
 「責任回避の防御物としてのイノセンスは、また成長を妨げる防御物である。こうしたイノセンスは、われわれの新しい認識を妨げ、人類の苦悩とともによろこびをわがこととして感じとることをできなくしてしまう。この苦悩とよろこびは、擬似的なイノセンスの人間には閉ざされているものである」(同書) 
 多くの恨を抱えさせているのが擬似イノセンスである。恨はキム・ジョンウ氏がいうように「弱くて善なる人間が強い人間に感じる劣等意識、葛藤として見える」面をもつことは確かだが、その主体は自分を「無罪、無責任、純粋」と装う疑似イノセンスにある。自分には責任がないのだから、自分にふりかかる火の粉はすべて他者によるものである。こうした「他人のせい」へのうらみが恨として溜め込まれるのである。
 
妄想による偶像への崇拝を選挙投票と引き換えに押し売りする姿は滑稽ですらある=米グレンデール 
 擬似イノセンスでは、自分をイノセンスと装うことが、自分が生きるための戦略として利用される。民族レベルでいえば、韓国が無罪であることが、韓国が(民族の誇りを失うことなく)生きるための戦略として利用される。そこで日本は韓国にとって、どこまでも有罪でなくてはならない、責任が追及されなくてはならない、この世になくてはならない対象なのである。 
 彼らの関心は、自分(韓国)が善であり道徳的に正しいという聖なるイメージを維持することに向けられる。他者(日本)が自分の純粋さにどれほど応えてくれるかを期待し、自分自身の汚れのないイノセンスを再確認し続けようとするのである。 
 
韓国人と人格障害 
 
 外部の権力から自分を守る防御として、イノセンスで自らを装う。その装いが強固であればあるほど、対人関係にさまざまな障害が生じてくることは疑いない。 
 十年ほど前のことだが、韓国の新聞で「二十歳の男性の45%が対人関係障害の可能性」という記事を読んだ。韓国の研究チームによる人格障害の調査だが、「この数値は、米国やヨーロッパなど先進国の平均11~18%に比べて、2・5~4倍に達する」という(東亜日報日本語電子版2003年2月10日)。 
 記事には「今回の研究結果は国内学術誌『精神病理』と米国の学術誌『精神医学と臨床神経科学』に掲載される予定」とあったから、学術的な研究であるのは間違いない。 
 人格障害(パーソナリティー障害)とは通常、「偏った考え方や行動パターンのため、家庭生活や社会生活、職業生活に支障をきたした状態」とされている。関係する書物(岡田尊司著「パーソナリティー障害がわかる本―『障害』を『個性』に変えるために」)を何冊か読んで深く考えさせられたのは、その偏り方が韓国人一般に見られる精神的な傾向ときわめて酷似していることだった。 
 それら書物から私なりに整理してみたところでは、人格障害の人には次のような性格の偏向が強く見られる。(一)善悪、白黒、敵味方など、中間のない両極端の考えに陥りやすい。(二)「私とあなた」(自分と他者)の区別があいまいで自分本位。(三)容易に他人を信じることができない。(四)自分は理想的・完璧だという思いと、自分は劣等で価値がないという思いが同居している。(五)物事を受け止める心が弱くて狭く、処理できなくなると暴発的な行動を起こしやすい。 
 いずれについても、韓国人の精神的な特徴と、とてもよく合致していると思わずにはいられない。疑似イノセンスがそうであるように、考え方が極端なので、広い視野をもって物事を判断することができない。自己本位で自分を絶対視しやすいので、自分が善い(正しい)と思うことは他人もそうだと思い込む、何かまずい事態が起きても自分ではなく他人に問題があると考える、といったことが生じやすい。 
 他人が信じられないので、表面的にしか親しい振る舞いができず、本当に他人に心を許すことができない。プライドが高いので、自信過剰とも見えるが、実際には自信がなく劣等感に苛まれている。受け止める力が弱いので、すぐに感情的となり、冷静に物事に対処することが難しくなる。 
 
ありのままの自分を愛すること 
 
 人格障害は自己愛の障害、つまり「ありのままの自分を愛すること」のできない障害だといわれる。自己愛が傷ついたり損なわれたりしているために起きるもので、幼い自己愛に支配されている一種の幼児性とも見られている。 
 「ありのままの自分を愛すること」ができないと自分が嫌になってくる。引っ込み思案から、ひきこもりにもなりがちである。しかし、そういう嫌な自分に我慢がならず、逆に「自己愛」を過剰に膨れ上がらせていく人がいる。このタイプの人が陥る人格障害が自己愛性人格障害といわれるものだ。 
 自己愛性人格障害(Narcissistic Personality Disorder)とは、ありのままの自分を愛することができず、自分は優れていて素晴らしく特別で偉大な存在でなければならないと思い込む人格障害の一類型である(米精神医学界「精神障害の診断と統計マニュアル」)。両親・家族が社会同様に「ありのままの自分を愛してくれる」体験に乏しいため、「ありのままの自分を愛すること」ができず、自己愛性人格障害になりやすいと考えられている。
 
セウォル号沈没事故で高校生ら乗客を置き去りにして身分を隠し、
われ先に逃げ出した船長 
 
 何種類もある人格障害のなかでも、自己愛性人格障害の病像はとくに、韓民族の性格的な特徴をそのまま極端化したものであるかのようだ。以下が診断基準となっている。 
 【診断基準】誇大性(空想または行動における)、賞賛されたい欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち五つ(またはそれ以上)によって示される。 
 (一)自己の重要性に関する誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待)(二)限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。(三)自分が〝特別〟であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人たちに(または施設で)しか理解されない、または関係があるべきだ、と信じている。(四)過剰な賞賛を求める。(五)特権意識、つまり、特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待する。(六)対人関係で相手を不当に利用する、つまり、自分自身の目的を達成するために他人を利用する。(七)共感性の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。(八)しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。(九)尊大で傲慢な行動、態度 
 (高橋三郎・大野裕・染矢俊幸訳「DSM‐IV‐TR 精神疾患の診断・統計マニュアル新訂版」)。 
 自分をイノセンスで装い、いつしかそれが本当の自分だと思い込んでいく先に、こうした病理的な心的現象が出てくるように思われる。人格障害に関連する精神医学・心理学の書物が記すところを私なりに整理・解釈してみると、自己愛性人格障害の人の対人関係には次のような特徴が見られる。 
 ▽「ありのままの自分を愛すること」ができないので、優越的な存在だという自分で作った幻想の自分を愛そうとする。▽自分より優れたものを認めたくないので、他人の優れた能力や才能を無視する。▽他人を見下し・軽蔑・侮辱することが快感となる。▽自分の優越幻想がなかなか示せないとなると、過ぎたことであろうとも他人の欠点・難点を探し出してはなんくせをつけていく。▽人をバカにしているので、自分もいつバカにされるかわからないと疑心暗鬼になる。▽閉じられた自己幻想から出ようとせず、他人に心を開くことがなくなる。 
 韓国人がしばしば示す自民族優越主義、反日民族主義、反日行為には、こうした心的傾向との同質性を強く感じさせられる。 
 
反日が常軌を逸すると思える根拠 
 
 多くの韓国人が示す反日行為が「常軌を逸している」と感じられるのは、これまで見てきたように、火病に現われる複合的な怒り症候、人格障害に現れる各種の性格的な偏向ときわめて近似しているからである。しかし彼らは病者なのではない。彼らは、他者に依存したり他者や社会を攻撃することによって、火病や人格障害に陥ることを回避している「代償的擬似健常者」なのである。 
 自分には罪がないのに(イノセンス)、なにゆえに自分はこれだけの苦労を背負わされるのかと、コンプレックス(恨)が心の凝りとして固まっていく。これが高じると火病にまで至る。外部の権力から自らを守ろうとする疑似イノセンスが、ありのままの自分ではなく誇大にピュアーな幻想的自分を愛するようになっていく。それが高じると人格障害にまで至る。 
 韓国人の反日行為が「常軌を逸している」と感じられる根拠は、火病や人格障害と近似する心性を内部に抱えた「代償的擬似健常者」が、韓国社会に多数生み出されていることにあるのではないか。そこには、儒教・朱子学に特有な潔癖主義、厳正主義を重んじる、伝統的な制度文化が、諸個人に対する外部の権力として強く作用していると思う。 
 儒教的な制度文化に覆われた社会では、制度規範としての絶対的な勧善懲悪(善を勧め悪を懲らしめる)が人々の心の内面を圧迫する。そこでは、人々は自分の表面を勧善懲悪の構えで飾り立てて生きるしかなくなっていく。 
 しかし現実はまことに不条理なものとしてある。疑似イノセンスが入り込む余地がそこにある。固まっていくコンプレックス=恨を抱え続け、「アリラン」の歌のようにそれが解けていく先に希望をもとうとする。現実には他者より抜きん出て俗世間で成功することが一途に目指されていく。 
 朝鮮半島の伝統的な社会では、そうした人々の恨をバネとする上昇志向が社会を活性化させる原動力となっていた。良くも悪くも、排他的な自己愛と自己繁栄のエネルギーが、自分の一族や自分が所属する小集団の繁栄へと一途に向けられてきた。

 こうした「集団利己主義」の社会が根本的な解体を経ずして近代へ突入した。日本統治下での近代化推進で解体への道がつけられたとはいえ、戦後はその道を遮断し、反日を繁栄へのエネルギーとする国策が根を下ろした。「集団利己主義」の民族規模での強化が推進されたのである。



本稿は、拙著『「反日韓国」の自壊が始まった』(悟空出版)「第五章」前半を要点中心に圧縮し、新たな観点を加えて書き改めた。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


2022 ことしの朝鮮半島情勢は?

2022-07-30 15:31:20 | 日記
2022 ことしの朝鮮半島情勢は?

2022年01月11日 (火)
出石 直  解説委員


先週に続いて北朝鮮がまた日本海に向けてミサイルを発射しました。新型のミサイル開発を着々と進めているようです。

ことし4月にはキム・ジョンウン氏が正式に最高指導者に就任してから10年となり、9月には北朝鮮が初めて拉致問題について認め謝罪した日朝首脳会談から20年の節目を迎えます。

一方、韓国では3月に大統領選挙が行われ5月には新しい大統領が誕生します。最悪とも言われる日韓関係の行方が気がかりです。ことし2022年の朝鮮半島情勢を展望します。

【ポイント】

解説のポイントです。

▽ 年明けからミサイル発射を繰り返す北朝鮮。

拉致・核・ミサイル問題に進展はあるのでしょうか?

▽ 3月に投票が行われる韓国大統領選挙。政権交代を目指す野党陣営の内輪揉めで、情勢は混沌としてきました。今後の日韓関係への影響は?
▽ 後に朝鮮半島を取り巻く国際情勢から、今後の朝鮮半島情勢を展望します。
【拉致、核、ミサイル問題は?】

北朝鮮が発射したミサイルについては、詳細を分析中ですが、先週5日に発射された弾道ミサイルは、音速の5倍以上の速さでコースを変えながら飛行し探知や迎撃が難しいとされる極超音速ミサイルとみられています。
北朝鮮は一年前に策定した国防5か年計画で、極超音速ミサイルや中長距離巡航ミサイルなど戦略兵器の開発を重点的に進めるとしています。年末に開催された朝鮮労働党の中央委員会総会でもキム・ジョンウン総書記は「不安定な国際情勢に対処するため国家防衛力の強化を推し進める」と述べています。
北朝鮮はすでに日本を射程に収める核弾頭が搭載可能な弾道ミサイルを数百発保有しているとみられており、今後も新型の戦略兵器の発射実験を重ね、軍事力の高度化と多角化をはかるものとみられます。

その一方で北朝鮮は、今、深刻な食糧不足に直面しています。こちらはコロナ前の2019年と去年11月までの月別の中国との貿易額です。新型コロナ対策で国境の閉鎖が長引き、コロナ前に比べ10分の一以下に落ち込んでいます。中国から物資が入ってこなくなっているのです。年末の党中央委員会総会では、食糧不足を解決するための農業の改善が切実な最重要課題と位置付けられ、キム総書記は「農業生産を飛躍的に増やすことで食糧問題を完全に解決する」と決意を示しています。

こうした北朝鮮の厳しい状況は、拉致・核・ミサイル問題を前に進めていくうえではチャンスにもなりうるように思います。ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わって以降、非核化をめぐる交渉はストップし、北朝鮮は対話に応じる条件として米韓合同軍事演習の中止など敵視政策の撤廃を要求しています。しかし、こうした条件をつけてきていること自体、対話に未練を残していることの裏返しではないでしょうか。
国際社会に頼らずに食糧問題を解決することは難しく、どこかの時点で人道支援や経済制裁の解除などを求めて対話を模索してくる可能性は十分あると予測します。
とりわけ拉致問題を最重要課題としている日本には、一刻の猶予もありません。
北朝鮮が初めて拉致問題を認め謝罪した日朝首脳会談から20年という長い年月が過ぎてしまったことを深刻に受け止め、あらゆる機会をとらえて接触を試みる努力を続けていくべきと考えます。
【韓国大統領選と日韓関係】

次に韓国です。3月9日に投票が行われる大統領選挙は情勢が大きく変わってきました。当初は、革新政権の継続を訴える政権与党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)氏と、5年ぶりの政権交代を目指す最大野党「国民の力」のユン・ソギョル(尹錫悦)氏との互角の争いになると見られていました。ところが1か月程前からユン氏の支持が低迷し始め最新の世論調査では10ポイントの差がついています(韓国ギャラップ7日)。ユン氏の妻の経歴詐称疑惑に加え、運動の進め方をめぐって陣営内の意見が対立したことが原因と見られています。投票まであと2か月。ユン陣営が体制を立て直せるかが焦点で、今後、支持を伸ばしてきている中道系候補アン・チョルス(安哲秀)氏との間で野党候補の一本化を探る動きも出てきそうです。

日韓関係をめぐっては、与党候補のイ・ジェミョン氏が過激な発言を繰り返していましたが、年末には韓国に駐在する相星大使と面会して「未来志向の関係を作っていきたい」と述べるなど、言動に変化が見られます。

むしろ心配なのは、徴用をめぐる裁判で賠償の支払いを命じる判決を受けた日本企業の資産を売却する手続きが進められていることです。これはいわば時限爆弾のようなもので、実際に資産が売却されることになれば、日韓関係の基盤が崩れ、今以上に深刻な事態に陥ることは確実です。次の大統領が誰になろうと、この問題の解決がない限り日韓関係の修復は望めません。日韓両政府にはこうした危機感を是非共有してもらいたいと思います。
【朝鮮半島をめぐる国際情勢】
最後に朝鮮半島情勢に影響を与えそうなことしの主な予定を見ていきます。

2月には北京で冬季オリンピックが開幕します。北朝鮮はコロナを理由に参加を見送り、日本やアメリカが政府関係者を派遣しないことを決めている中で、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領の参加が取り沙汰されています。ことしは韓国が中国との国交を正常化させて30年の節目の年にあたり、米中両大国の間で揺れ動いている韓国の中国接近が進むかどうか注目されます。
3月には韓国大統領選挙、その後には米韓合同軍事演習が予定されています。軍事演習は新型コロナの感染拡大を理由におととしは中止、去年は規模を大幅に縮小して実施されました。ことしの演習がどうなるのか、それに北朝鮮がどう反応するかは、今後の米朝関係、南北関係を見ていく上で重要なポイントとなるでしょう。
4月にはキム・ジョンウン氏が正式に最高指導者に就任してから10年になります。この10年間で権力基盤を固めたとみられるキム総書記が、再び外交攻勢に打って出てくるのか、あるいは頑なに内向きの姿勢を続けるのか注目されるところです。
5月には韓国に新しい大統領が就任し、9月は日朝首脳会談から20年、11月にはアメリカの中間選挙、秋にも中国共産党大会が行われます。韓国の革新政権が続くのか、アメリカ中間選挙で共和党が大勝しトランプ氏復活の可能性が出てくるのか。北朝鮮はその行方を注視していることでしょう。
【結論】
朝鮮半島は日本の安全保障にとってきわめて重要な地域です。
5年前の2017年はアメリカと北朝鮮の対立で緊張が高まり、2018年には南北や米朝の首脳会談で対話ムードが広がりました。この2年間は新型コロナウイルスに翻弄されましたが、ことし2022年の朝鮮半島情勢も目まぐるしく動くことが予想されます。
できる限り正確にそして客観的に情勢の変化をお伝えしていきたいと思っています。
(出石 直 解説委員)



韓国の人口、建国以来初めて減少…合計特殊出生率は世界最低水準

2022-07-30 11:56:48 | 日記
韓国の人口、建国以来初めて減少…合計特殊出生率は世界最低水準

2022/07/29 19:37

【ソウル=中川孝之】

韓国の人口が昨年、1948年の建国以来残る記録で初めて減少した。

韓国統計庁が28日に発表した人口調査によると昨年11月時点で5173万8000人で、前年より9万1000人減った。

急速な少子化が浮き彫りになった。

韓国の首都ソウルの街並み(2020年10月撮影)

 韓国の人口は、1960年に3・0%増加したのをピークに2020年までゆるやかに増加していた。

 人口減の最大の原因は少子化で、女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率が昨年0・81と世界最低水準を記録した。

65歳以上の高齢者は、870万7000人と前年より41万9000人増えた。総人口に占める割合(高齢化率)は16・8%となった。