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ウォール街「米国は債務多い国から資金引き揚げる」…来年審判台に立つ韓国経済(下)

2021-11-30 18:21:33 | 日記
ウォール街「米国は債務多い国から資金引き揚げる」…来年審判台に立つ韓国経済(下)

11/30(火) 17:26配信


■再評価を受ける借金漬けの韓国経済  

米国がドル政策の大転換を宣言し、韓国経済も試練に直面した。「ドル覇権」を持つ米国が資金供給を引き締めれば、国際金融市場の資金が先進国に大移動するからだ。シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、ブリッジウォーターなどウォール街の投資銀行やヘッジファンドは各国の経済状況、中央銀行の利上げペースを考慮し、資金の回収量を決定する。ウォール街の専門家は「借金が多く、融資や投資資金の回収が難しいと判断される国から真っ先に資金を引き揚げる」と語った。世界的な利上げ局面で債務が多い新興国の債務不履行(デフォルト)が多いのはそのためだ。 【表】今年政策金利を引き上げた中央銀行

 国際通貨基金(IMF)によると、5年後の2026年時点で韓国の政府債務は国内総生産(GDP)の66.7%に達し、今年末(51.3%)に比べ15.4ポイントも上昇する見込みだ。

政府債務の増加ペースは主要35カ国でトップだ。  

高麗大のキム・ジンイル教授は「韓国は最近数年間、政府と家計の負債が急増している。

ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズなどの格付け会社と世界的な金融機関が韓国の政府、金融機関、企業の負債規模に耐えられるのか冷静に評価することになる」と話した。

 ■急激な金利上昇の可能性  

海外資本の離脱を防ぐためには、中央銀行が金利を引き上げ、インセンティブ(誘因)を提供することだ。韓国も例外ではない。

その上、最近急騰する住宅価格も韓国の利上げを促している。

韓国は住宅賃料だけを消費者物価に反映しているが、米国や欧州連合(EU)、ニュージーランド、オーストラリアなどの例に従い、住宅所有者の住居費用も反映した場合、消費者物価は現在よりもっと上がるからだ。 

 そうした複雑な要因もあり、韓国銀行による利上げの時期が早まり、ペースも速まる可能性があると専門家は懸念している。

金利が上昇すれば、借り入れ金で住宅や株式を購入した20-30代の返済負担が増大し、株価は下落圧力を受ける。

専門家は借金漬けの韓国経済が揺らぎ、世界のホットマネー(投機資本)の攻撃目標になりかねないと心配している。 

キム・ギフン経済専門記者

ウォール街「米国は債務多い国から資金引き揚げる」…来年審判台に立つ韓国経済(上)

2021-11-30 18:18:15 | 日記
ウォール街「米国は債務多い国から資金引き揚げる」…来年審判台に立つ韓国経済(上)

 2022年の世界経済で最大の話題は全世界の中央銀行による金融政策引き締めだ。19年12月にコロナ流行が始まって以降、中央銀行が景気低迷を避けるために供給した莫大な資金を経済正常化に向けて回収する作業だ。米国の中央銀行に相当する連邦準備理事会(FRB)は今月から利上げに先立ち、国債の買い入れ額を減らし始めた。ロシア、ブラジル、ハンガリー、チェコは年初来既に数回の利上げを実施した。ノルウェーとニュージーランドは住宅価格高騰を抑制するために利上げに乗り出している。

【表】今年政策金利を引き上げた中央銀行
 FRBが資金供給を減らせば、ウォール街の投資銀行は世界各国に投資した資産の割合を縮小、再調整する作業を進める。その流れの中で、借金漬けの韓国経済も財務健全性の審判台に立つことになる。

■資金供給減らし始めた米国
 FRBのパウエル議長はコロナ感染拡大を受け、20年3月に2回にわたり、政策金利を1.5%も電撃的に引き下げ、現在の0.00-0.25%に抑えた。また、国債を年間1200億ドル買い入れることで資金を供給した。そのおかげでコロナによる衝撃は軽減されたが、資金がだぶつき、物価が上昇し始めた。FRBは今年の米国の消費者物価が年率4.2%上昇すると予想している。物価管理目標(2%)の2倍を超える。

 物価が上昇すると、資金供給を減らし、インフレを抑制するのが中央銀行の最大の役割だ。そのため、FRBは年1200億ドル規模の国債買い入れを11月から毎月150億ドル削減する計画を11月3日に表明した。8カ月後の来年6月に国債買い入れ方式の資金供給が終了すれば、雇用状況を見ながら、利上げの是非を決定する方針だ。

 来年の物価上昇ペースが速まれば、利上げが予想より前倒しされる可能性もある。ウォール街では利上げが来年後半から始まるとの見解が主流だ。利上げは過熱した景気を冷やし、住宅価格のバブルを解消する役割を果たす。

■利上げを急ぐ各国中央銀行
 米国が金融引き締めのシグナルを出すかなり前から新興国と一部先進国は既に拡張的な財政基調を縮小してきた。半導体、自動車、食品などの供給不足に加え、天然ガス、石油などエネルギー価格が急騰し、物価が上昇しているためだ。ブラジル、ロシア、ハンガリーはそれぞれ年初来6回の利上げを実施した。メキシコ、ペルー、チェコも4回利上げした。チリ、ポーランド、コロンビアも利上げに同調した。

 利上げは新興国だけの現象ではない。先進国グループでもアイスランドが5月以降、3回の利上げを実施。ノルウェーが9月、ニュージーランドが10月に追随した。韓国も8月に政策金利を0.5%から0.75%に15カ月ぶりに引き上げたのに続き、11月25日には追加利上げを行い、1.00%まで引き上げた。カナダ、オーストラリアの中央銀行は利上げの前段階である国債買い入れの縮小、中断を決めた。




「尿素水不足」の韓国で食卓に欠かせないキムチも高騰 それでも文政権が中国に怒らない理由〈dot.〉

2021-11-30 17:54:56 | 日記
「尿素水不足」の韓国で食卓に欠かせないキムチも高騰 それでも文政権が中国に怒らない理由〈dot.〉

11/27(土) 9:00配信


韓国のキムチづくり 
 中国の輸出制限に伴う尿素水不足で物流などへの影響が起きている韓国。

11月21日、文在寅(ムンジェイン)大統領は国民からの質問に直接答える生放送のテレビ番組に出演し、

尿素水不足の問題は「政府が機敏かつ迅速に対応し、問題のほとんどは解決した」と答えた。

しかし、ソウル在住のフリージャーナリスト、キム・キョンチョルさんは「文大統領は自信満々に語っていましたが、まだ解決していない」と指摘する。

キムさんに、韓国の今を聞いた。 

【アンケート結果】好きな政治家、嫌いな政治家、1位は?

*  *  * 

「いま韓国でみんなが困っているのは、白菜の値段がものすごく上がっていることです」 

 キムさんはこう語る。韓国の家庭では11月下旬から12月上旬にかけて、1年分の白菜キムチを漬け込む一大イベント「キムジャン」が行われる。

 「わが家では毎年、白菜を30本くらい買うんです。ところが、今年は秋雨の影響で品数が少ないうえに、尿素水騒動の影響でトラックの運送費が跳ね上がって、白菜の値段が例年の約2倍になっている。

韓国の食卓にキムチは欠かせないですから、家計への影響は大きい」

(キムさん、以下同)

   ■空軍機で尿素水輸送のパフォーマンス  

中国が化学物質の一種である尿素の輸出手続きについて厳格化の方針を発表したのは9月。

翌月になると、実質的に輸出が停止した。

 慌てたのは尿素を100%輸入し、そのほぼすべてを中国に頼ってきた韓国だ。 

 影響が特に目立ったのは物流を担う運送業界。

トラックなどのディーゼルエンジンを動かすには尿素を原料とする尿素水が必要だが、あっという間に品薄状態に陥った。価格も高騰。

大勢のトラックドライバーが店頭から消えた尿素水を探し、さまよう事態となった。

 「どこに行っても買えないので、海外のネット通販サイトで日本製や中国製の尿素水を買う動きがおきました。いちばん高値のときで通常の10倍くらいになった。いまは約5倍ですが、それでもかなり高い」 

 今月10日、韓国政府は尿素水を緊急空輸するため、空軍の輸送機をオーストラリアに派遣した。

韓国政府、尿素水不足で非常措置を発動

2021-11-30 17:26:32 | 日記
韓国政府、尿素水不足で非常措置を発動

11/11(木) 18:03配信


韓国政府、尿素水不足で非常措置を発動

韓国政府は、尿素水不足による物流混乱を避けるため11日、非常措置を発動した。

まず、車両用尿素水の購入量や販売先を制限した。

乗用車の運転手は一度に10リットル、貨物·ワゴン車の運転手は30リットルだ。

車両用の尿素水の販売先は、ガソリンスタンドに限られる。
クーパンのような電子商取引会社、Eマートなど大型マートでの車両用尿素水の販売は禁止される。

 政府のこのような強力な需給調整対策は、1976年の物価安定法制定以来、2度目だ。

昨年3月、「マスク不足」の時が初めてだった。

しかし、マスクと同様、今回も供給を増やす方式の本質的な解決策は見出せないまま、

需要を制限する「一時しのぎの処方」で、国民は不便を強いられているとの批判が出ている。

  産業通商資源省と環境省は、「尿素緊急需給調整措置」と「尿素水緊急需給調整措置」をこの日から施行すると発表した。

これを受け、建設現場や大手運輸会社のように、販売先を経ず、直接車両向け尿素水を大規模に購入する場合でなければ、一般消費者はガソリンスタンドでのみ、車両向けを購入することができる。

車両用の再販売行為も禁止されるため、使い残した尿素水をニンジンマーケットなどオンライン中古取引プラットホームで販売することはできない。

  ガソリンスタンドでの購買限度は10リットル、30リットルなどに制限されるが、ガソリンスタンドで車両に直接尿素水を注入する場合は、入れることができるだけ購買できる。

購入回数も制限されない。

貨物車運転手がAガソリンスタンドから車両用30リットルを購入した後、同日、Bガソリンスタンドからさらに30リットルを購入する行為も認められる。

運行距離の長い貨物車は、尿素水が足りないためだ。

ただし、車両用尿素水を購入するたびに「自動車排出ガス総合電算システム」に購買履歴が登録されるため、常識的に納得できない量を複数の場所で繰り返し購買すると、買い占め売り惜しみ行為として処罰される。

 尿素や尿素水の生産·輸入·販売業者は、毎日の輸入量、輸入先、今後2か月間の輸入予定量、販売量、販売単価などを把握し、翌日正午までに政府に報告しなければならない。

尿素と尿素水の輸出も原則として禁止される。

 ○マスクに続き2度目 政府のこのような統制は、マスクの時に続き2度目だが、若干の差はある。

昨年3月にはマスクを1週間、1人当たり2枚だけ購入できるようにし、価格も1枚当たり1500ウォン(約145円)にした。 

今度は価格を直接統制するカードは出さなかった。

しかし、状況が悪化すれば、価格統制政策を実施するとの見方が出ている。

環境省のキム·ポプチョン気候炭素政策室長は、尿素及び尿素水の価格を統制しない理由を問う質問に

「価格規制は、政府が取れる最後の手段」とし「政府が海外供給先を開拓するために努力しているため、まだ価格上限制を設定する必要がないと判断した」と述べた。

 政府の今回の措置が、車両用尿素の需給の安定にどれだけ影響を及ぼすかは、まだ分からないという見方が支配的だ。

10リットルでも車両用を販売するガソリンスタンドを探すことすら難しいからだ。

軽油車運転手の間では

「輸入に失敗した政府が運転手に責任を転嫁している」と不満の声が出ている。

根本的に解決するためには、安定的に持ち込める輸入先を確保すべきだという指摘が持ち上がっている。

政府は同日、中国ではなく第3国で年末までに導入する尿素1万5000トンのうち、車両用は9000トンだと明らかにした。

9000トンの車両用は41日で消尽する見通しだ。

 記者 チョン·ウィジン  justjin@hankyung.com

「恒大債務危機」に垣間見る、中国特有の政治経済上の問題点

2021-11-30 13:28:26 | 日記
「恒大債務危機」に垣間見る、中国特有の政治経済上の問題点

11/26(金) 8:01配信

2021年9月以来、大手開発業者を抱える中国恒大集団(本拠地深圳)が債務危機で揺れている。

不動産業界全体の債務膨張が深刻な問題であることは以前から指摘されており、恒大自体も1年前、同社が広東省政府に救済を求めたとされる文書がネット上に流出し、破綻の噂が流れた。

中国当局の対応、不動産業界全体やマクロ経済への意味合い、そして政治的要因が事態を複雑にしているという中国特有の問題を探る。

緊迫した状況下、現地報道は「抑え気味」



応急策? 

(出所)中国地元経済誌騰訊財経2021年8月8日付記事より転載

恒大上期財務報告では負債総額2兆元弱だが(1元=18円弱)、その他簿外・偶発債務が1兆元(ゴールドマンサックス推計)。

10月末時点、遅延していた債務返済の履行や住宅工事再開(珠江デルタ40カ所)といった動きもあるが、今後も満期を迎える債務が相次ぐ予定で状況は予断を許さない。

中国内でも投資家や住宅購入者の関心は高く、海外華字誌によると某関連サイト閲覧数は1.6億以上。

 ただ新華社や人民日報など官製メディアは社会不安定化要因とみてか関連報道は少なく、騰訊や網易などのサイトや経済専門誌も抑制的に報道している。

「恒大が倒産?」「倒産したら購入した住宅や投資したカネはどうなる」といった投資家の懸念に対し、

「負債を超える2.3兆元の資産があり倒産はない」

「万が一倒産しても、資産整理で債務返済され投資家が損失を蒙ることはない」など、

混乱を抑えようとする報道が多い。 

2016年以来、米経済誌フォーチュンが世界を代表する企業の1つに挙げている恒大の「カネは一体どこに消えたのか?」との一般投資家の素朴な疑問に対し、恒大の株主への巨額利益還元(分紅)は有名で、その大部分は恒大創業者の許家印氏とその「友人の重要株主」に流れ、許氏への分紅は17年以降400億元と報道。

許氏は騒ぎが起こる1カ月前に恒大集団の中核をなす恒大地産の法定代表人を降りて後任に責任をかぶせ(背黒鍋。

背中に黒い鍋を背負う→罪をひっかぶる)、自身は400億元を持って逃げた(脱身)など、同氏を非難する書き込みも目に付く。

 許氏は10月下旬恒大復工復産専門内部会議で、債務リスクを克服する戦略として、不動産開発・建設規模を圧縮し(販売額2020年7000億元強→10年以内に2000億元)、新エネルギー自動車産業を核とする集団に転換するとした。

直後、恒大関係の株価は一時的に急騰したが、中国内で同市場の競争は激しく、資金・技術・販売面でうまくいくのか市場で懐疑的な見方が多い一方、中央国有企業(国企)が恒大を引き取ることで当局と合意したうえでの発言との憶測もある。

 すでに8月、騰訊は
「許家印は王健林が関連会社の投げ売りをして自らを救ったことに学べ」として、
「東の壁を壊して西の壁を補強」、
つまり応急策として資産売却を提唱(図表1)。

王健林氏は恒大と並ぶ開発業者を抱える万達集団(本社北京)創業者。

万達は2017年経営危機に陥ったことがある。

他方、
「資産の60%は不動産で1000以上の子会社に分散。すぐに現金化できるわけではなく楽観できない」との指摘もある。
   恒大は筆頭株主だった盛京銀行(本拠地瀋陽)の持ち株の一部を国企に売却した他、グループの恒大物業の株売却計画もあった。

交渉先は事前に噂のなかった広東省の5大開発業者の1つで私企業の合生創展だったが、交渉は不成立。

合意していた文書の支払い条項修正をめぐって双方が対立した
(1)伝えられた持ち株比率51%の取得には合生手元現金の約半分の200億香港ドルが必要、

(2)国際格付け機関が最近合生格付け見通しを引き下げ、

(3)一部恒大幹部・株主の反対など、複雑な要因がからんだと推測される。

 その他、広東省国企などに接触し広州サッカー倶楽部グラウンドやその関連住宅、香港本社ビルの売却も検討。

ただ、恒大の複雑な債務状況をみて躊躇する企業が多いという。

上記、許氏の長期戦略にもかかわらず、2019年に買収したスウェーデン自動車メーカーNEVS(前身サーブ)の売却についても欧米投資家に接触しているとの話がある。

「恒大債務危機」に垣間見る、中国特有の政治経済上の問題点

11/26(金) 8:01配信

ジレンマに直面する中央当局は、本問題に一定の距離

[図表2]2021年不動産市況抑制策 (出所)

中国現地報道より筆者まとめ
社会安定を最優先する当局は、恒大は大きすぎて潰せないが、高債務体質の象徴を単純に救済もできないというジレンマに直面しているというのが市場の見方。

当局は、(1)かつての米国のサブプライムローン危機と異なり、住宅購入頭金比率が高く、大きなリスクに繋がる恐れは低い、

(2)債務を超える資産がある、

(3)不動産業界の高債務体質改善の大方針から、いまのところ冷めた態度(淡定)で、地方政府や国企を表に出し本問題に一定の距離を置いている。

 人民銀行(PBC)と銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は9月までの恒大への行政指導(約談)のなかで、「不動産市場の健全で安定的な発展という国家政策を着実に実施する必要」「恒大は経営安定化に努力し、債務リスクを主体的に緩和し不動産市場と金融の安定を維持すること」と発言。監督当局の言いぶりとして、

前者は当局の政策は高債務体質の不動産企業は淘汰しシステミックリスクの発生を防ぐこと、

後者は恒大に対し、速やかに資産の売却を通じて債務問題を解決し、リスクが業界、金融全体に波及しないようにすることを求めたものと解されている。

 PBCが9月に開催した第3四半期貨幣政策委員会例会は、

「不動産市場の健全な発展と住宅購入者の合法的利益を擁護」と個別業界に異例な形で言及。

厳しい市況抑制策(図表2)を緩和するシグナルかと注目された。

他方、直後のPBCと銀保監会による不動産金融工作座談会では「房住不炒」、つまり「住宅は住むもので投機するものではない」が再度強調されたため、

政策の急激な転換はない(非急転弯)、

市場は守るが1企業を守るわけではない(保房不保企)との方針を示しただけなど、市場はその都度敏感に反応している。

 また10月、PBC、銀監会は記者会見などの場で質問に答え、

(1)市場情勢を踏まえず、やみくもに事業を多角的に拡張した恒大の経営がこうした事態を招いた、

(2)恒大固有の問題で大半の不動産企業の経営は安定、

(3)関係部門や地方政府が恒大に資産処理加速を促している、

(4)金融負債は総負債の3分の1以下で、債権者は分散し個々の金融機関のリスクエクスポージャー(リスクを有する金融資産)は大きくないため、金融全体のリスクに繋がることはないとの見解を示した。

4大銀行や中堅銀行も自行のエクスポージャーは小さく、制御されているとしている。

 10月24日付新華社は「10問中国経済」と題する包括的な経済論評記事を配信。

現在内外が関心を持つ10大問題として、2021年の下期にかけての成長率鈍化や電力不足などと合わせ金融リスク防止を掲げ、上記PBCや銀保監会と同じ見解を示したが恒大の名前への言及はなかった。

 中国の事務官僚や学者のあいだでは、次の点を考慮するとリスクの波及はないとの見方が強い。

 (1)債務は住宅購入者からの販売仮受金と銀行・金融会社債務、対外借入から成るが、仮受金は当局が厳格に管理、その他は一般に担保付きで、法に基づく資産整理の下で自己責任の範囲で各債権者が損失を負担 

(2)資金供給を担う銀行や国企を当局が厳格に管理 

(3)資金の国境を越える自由な移動はなお制限 

(4)欧米ほどレバレッジの高いデリバティブ(金融派生)商品はまだない

 (5)党が破産や債務整理の手続きを決める裁判所(法院)を支配 欧米が常々中国の特異性として批判している要因も多く、これらがアジア金融危機やリーマンショックの再来を防ぐとすれば皮肉なことだ。

 上記(1)について、多くの地方政府がすでに8月末から、

仮受金が他の債務返済など住宅建設以外に流用され、住宅建設工事が中断または手抜き(烂(ラン)尾楼)になって購入者に影響が及ぶことを防ぐため専担チームを設置し、

仮受金を指定口座で管理強化。

恒大の場合、全国280以上の都市で1300以上の不動産プロジェクトがあるが、2020年末時点仮受金1455億元、うち少なく見積もっても数百億元が流用された

(地元経済誌)。当局の意向を受けた銀行が他の開発業者にも同様の措置を採る動きがある。

金森 俊樹