平成太平記

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朴槿恵氏、真の課題は高齢化

2013年01月23日 16時42分49秒 | Weblog
大接戦となった韓国大統領選挙を朴槿恵氏が制した。彼女の前に立ちはだかるのは急速に進む高齢化だ。この難問に、朴氏は持ち前の現実主義で臨む。

「選挙の女王」の異名を持つ、保守セヌリ党の朴槿恵(パククンヘ)氏が大接戦の韓国大統領選を制し、2月25日、女性として初めて韓国大統領に就任する。

 選挙戦における最大の争点は格差解消と財閥規制を柱とする経済民主化だった。韓国の富は財閥に集中しており、国民の生活は苦しくなる一方だ。

10大財閥に属する83社の営業利益は2012年上半期、上場企業全体の70%を占めた。大手製造業の正規職の平均年収が約5600万ウォン(約440万円)に対して、中小企業の非正規職のそれは1700万ウォン(同130万円)に満たない。

だが朴氏にとって最大の課題は高齢化だ。15~64歳の労働人口は2016年をピークに減少に転じる。

高齢者貧困率は既に45%を超えており、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最高だ。高齢化は潜在成長力を低下させる。


財閥規制は高齢化対策にならず
高齢化に対する特効薬はない。中堅中小企業の育成は、雇用の拡大を通じて高齢化対策に寄与する。



しかし、実行に時間がかかる。韓国の学生の大企業志向は根強い。韓国統計庁の調査では、「就職したい職場」の1位は国家機関で28.7%。これに大企業(21.6%)が続く。


職業を選ぶ基準は「収入」が38.3%、「安定性」が29.2%で1位と2位を占める。こうした文化を変えるのは政治の枠を超える作業だ。優秀な若者が中堅中小企業に行か
なければ、業績は伸びず、雇用は拡大しない。

朴槿恵氏は父である朴正煕(パクチョンヒ)元大統領と同様に現実主義でこれらの問題に対処する意向のようだ。

彼女は2012年4月の総選挙以降、厳しい規制を財閥に課さない方向に転じた。対立候補だった革新系の文在寅(ムンジェイン)候補が財閥との対立を強調したのに対し、朴氏は「ともに歩む」姿勢を示した。

足元の景気鈍化を重視した判断と見られる。
韓国のGDP(国内総生産)伸び率は右肩下がりで、昨年7~9月期は前期比0.1%まで落ち込んだ。

事実上のゼロ成長である。韓国経済は財閥企業に依存している。グループ企業間の株式持ち合いを規制して投資余力をそげば、景気悪化に拍車をかけかねない。


規制強化はさらに、財閥企業の国外移転を促すリスクすらある。昨年6月以降、ウォン高基調にあり、韓国企業の輸出に不利な環境が続いている。

ウォン安政策は輸入物価を押し上げる危険があり、家計債務が拡大する中で実行するのは困難だ。

韓国の電力需給は逼迫しており、昨年8月に料金を値上げしたばかり。空洞化が進めば、高齢化に備えることはおろか、現状維持すら難しくなる恐れがある

朴槿恵氏は選挙戦で日韓間のFTA(自由貿易協定)である日韓経済連携協定の交渉再開を促した。

これも現実的判断の1つと言える。高齢化による国内市場の縮小に備えて、韓国企業にとっての市場を拡大する必要がある。幸い、日韓交渉の足かせになっていた韓国の対日貿易赤字が2010年春から縮小傾向にある。

李明博(イミョンバク)大統領は中韓FTAを先行して進める意向を鮮明にしていた。日韓関係を同大統領以上に進める姿勢は「親日」との批判を受けかねないが、領土・歴史問題と経済問題を切り離す現実的判断と解釈できる。

さらに、この日韓交渉は中韓FTAで韓国の交渉力を高めるテコに利用できる。

「韓国は中国に自動車の関税引き下げを求めたいはずだが、中国は自動車産業を育成中だ。あまり高い水準のFTAにならない可能性がある」(日本総合研究所の向山英彦・上席主任研究員)。

日韓交渉が妥協を引き出す材料になるかもしれない。
 現実主義者である朴槿恵氏にいかに対するのか。2013年は日韓関係改善に向けて、安倍晋三首相の現実度が試されることになる。



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