所得分配の改善なしには輸出が増えても経済成長は難しい
2014.03.09 20:59
多くの専門家たちは国内消費が戻ってこないのは家計所得の構造的な萎縮に原因を求めなければならないと診断している。 1997年の外国為替危機以後、個人部門に不利な所得分配が改善されない中で、消費回復速度もまた速まらないという話だ。 昨年冬、ソウル麻浦区(マポグ)の路上で老人が廃紙をいっぱいに載せたリアカーを引いている。 イ・ジョングン記者 root2@hani.co.kr
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輸出が増えれば家計所得が増え
消費が回復するだろうという展望は
世界経済パラダイムの変化と
国内の構造的問題を誤って読んだ結果
個人の可処分所得が増えてこそ
消費が増えて関連産業競争力が高まる
輸出が深い不振のドロ沼から抜け出せずにいる。 昨年と一昨年、輸出がほとんど増加できなかったが、今年に入って2月まで前年対比0.6%の増加に終わっている。
もちろんまだ今年が十ヶ月も残っているので2月までの輸出不振に過度に落ち込む必要はないが、とにかく今年の年間輸出が6.4%増えると期待した政府の展望に支障が生じる可能性が高まっているのは事実だ。
我が国の輸出は米国の金融危機が発生する以前である2001年から2008年までの7年間、毎年平均16%ずつも増加してきた。
昨年末、政府と多くの経済研究所が発表した今年の経済展望を見れば、ほとんどが先進国経済の回復に力づけられ輸出が増え、これが家計消費の増加に連結されると予想していることがわかる。
しかし現在までの輸出状況を見る時、このような展望に支障が生じる可能性が見える。 そして輸出が回復しないならば、これを前提に展望した内需回復期待も引っ込めなければならないだろう。
先進国の景気回復が我が国の輸出増加につながり、これが再び家計所得の増加を通じて消費回復につながるという経済展望は、世界経済のパラダイム変化と国内経済の構造的な問題をまともに反映できないものだ。
我が国の輸出が回復できないのは、先進国の景気が回復していないということではなく、輸出は増やし輸入は減らそうとする先進国の意図のためだ。
そして、このような先進国の意図は中国の対先進国輸出不振を持たらし、これが中国に機械・素材・部品などを売っている我が国の輸出に打撃を与えているということだ。
一方、消費が戻ってこないのは、輸出不振ではなく家計所得の構造的な萎縮に原因を求めなければならない。
1997年の外国為替危機以後、法人部門の可処分所得が年平均15.3%増加する間に、個人部門の可処分所得は5.4%の増加に留まった。
そのために国民所得全体に個人部門が占める比重は、1997年の73.6%から2012年には63.6%に低下した。
消費萎縮はまさにこのためにあらわれたことであり、輸出不振のためではない。
最近は輸出も振るわず消費も振るわないと見ると、あたかも消費不振の原因が輸出不振のためであるかのように見えるが、実状は輸出が伸びても個人部門に不利な所得分配が改善されないならば消費回復速度はそれほど速くないだろう。
先月25日に政府が発表した‘経済革新3ヶ年計画’を見れば、我が国の経済が現在処している問題点を政府がどのように診断しているかを知ることが出来る。
政府が診断した問題点は、第一に基本が正しく立てずにいるために経済が停滞している、
第二に我が国の経済成長エンジンがなくなりつつある、第三に輸出と内需間の不均衡に構造的脆弱性が拡大しているなどの三点だ。
この内、二番目と三番目が先に述べた世界経済のパラダイム変化にともなう輸出不振と家計所得の構造的萎縮にともなう消費不振という問題点を指摘したものだ。
以前に比べて政府が比較的正確な診断を提示したと言える。
それでは今後、我が国の経済が進まなければならない方向は明確になる。
大きく見れば2点だ。
まず、変化した成長パラダイムに適応できる新しい産業に集中的な投資が起きなければならない。
新しい産業は既存のように先進国需要と中国の投資に依存する重化学工業ではなく、家計消費に依存する産業にならなければならない。
そして、家計所得が大きくならなければならない。 いくら投資が多くなされても、売上がきちんと発生せず利益を確保できないならば効果がないことであり、これは需要基盤である家計所得が大きくならなければならないことを意味する。
政府が発表した資料にはこのような部分が多く反映されている。
ベンチャーおよび創業活性化のために今後4兆ウォンの財政資金を支援し、青年創業資金を7600億ウォン拡充することなどは、新しい成長産業に投資を増やす方向であり、同時に雇用拡大を通した所得増大方案でもある。 その他に、雇用保険対象の拡大、失業給付体系の改善、希望を育てる通帳の拡大なども所得増大方案に属する。
しかし、新しい成長動力を求めて内需と輸出が均衡を成し遂げる最終目標を達成するには、更に必要なことがある。
これまでの政府政策は重心がどうしても投資側にあるようだが、需要拡充が更に必要だ。
投資側から対策を見つけることは新しい産業を開発し、生産性を向上させることを意味するのであり供給側面での対策だ。 これが重要ではないとは言わない。
しかし需要の拡充がなければ、いくら供給の側面で良い対策を出したところで効果はない。
例えば、先に述べたように需要がなければ新しい産業に投資が起きても自然発生的な成長は難しい。
そして生産性を向上させ経済を活性化するのは働き手が不足している時には非常に適切な対策だが、今のように良い働き口が多くなく、所得が不足した状況で生産性向上を追求すれば雇用の悪化で家計所得をさらに圧迫する結果を持たらすだろう。
今は所得拡充方案をもう少し充実させ、攻撃的に施行しなければならない時点であるようだ。
家計所得が増えれば消費が増えて、すると自然に関連産業が成長しながら自ら競争力を備えられるからだ。 そのためには政府が積極的に所得分配を改善する方案を考慮してみなければならない。
これは相当な社会的合意を必要とするので、政府の政治的力量がいつにも増して必要だと言える。
チョン・ミンギュ韓国投資証券研究委員
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