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人民元、「国際通貨入り」も消えぬ先安観

2016年10月04日 09時42分42秒 | Weblog

人民元、「国際通貨入り」も消えぬ先安観


経済部 湯田昌之

2016/10/3 12:26
 
日本経済新聞 電子版
 念願だった「国際通貨の仲間入り」を果たした中国の通貨・人民元が今週に入って売られている。
 
世界各国の中央銀行が自国通貨の安定のために保有する外貨準備に人民元が積極的に取り込まれていないことが国際通貨基金(IMF)統計で明らかになったことが一因だ。
 
伸び悩む景気を背景に中国人民銀行はこの先、緩和的な金融政策をとるとの見方も根強く、人民元の先安観が消えない。

IMFは1日から人民元をSDR(特別引き出し権)に採用した。

SDRはIMFが加盟国に割り当てる準備資産だ。

通貨危機などが起こった際に自国通貨とドルなどの主要通貨を交換する場合の資金融通手段となる。

SDRは米ドルやユーロ、日本円などで構成しており、ここに加わることは「国際準備通貨」として一定の地位を認められたことを意味する。

SDR入りに向け、中国は外貨準備の情報公開の緩和などを進めてきた。

2015年に大きく下落して市場の混乱につながった人民元相場の安定にも腐心してきた。

15年8月から16年7月にかけて1ドル=6.2元程度から6.7元程度まで下落した相場は、このところおおむね6.6~6.7元の間で推移している。

SDR入りが人民元相場の安定に寄与するとの見方も市場の一部では出ていたが、人民元は3日には1ドル=6.68元程度となり、前週末30日の6.67元程度から下落した。

「IMFからSDR入りのお墨付きがあっても、各国中銀が人民元建ての外貨準備を大きく増やすことはない」(みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト)との冷めた見方があるためだ。

IMFが9月30日に公開した外貨準備統計(COFER)でも「世界の外貨準備高の通貨構成比率に大きな変化は認められなかった」(SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミスト)という。

SDRに組み入れられたとしても市場自由化はまだ初期段階にあり、中国当局による厳しい取引規制が残る人民元が各国中銀の外貨準備のなかでシェアを大きく高めるのは無理がある。

 外貨準備としての存在感が高まらなければ中銀による人民元買いは増えず、相場を下支えする力にも限界がある。

「人民銀は年内にも金融緩和に踏み切る」(丸山氏)との観測は強く、人民元が再び大幅な下落局面を迎える可能性は捨てきれない。



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