平成太平記

日常の出来事を書く

さよなら、幻想の国・韓国〔1〕/呉善花(拓殖大学教授)

2014年10月09日 13時43分01秒 | Weblog

さよなら、幻想の国・韓国〔1〕/呉善花(拓殖大学教授)

PHP Biz Online 衆知(Voice) リンク 10月1日(水)

■『朝日新聞』が誤報を認めても、韓国は変わらない


◆悲惨な「米軍慰安婦」の実態◆

 今年6月、米軍基地の近くで売春に従事していた「米軍慰安婦」122人が韓国政府に国家賠償を求めて集団訴訟を起こしました。

もともと米軍基地に売春婦がいたことは韓国社会では広く知られていました。

彼女たちは「ヤンコンジュ(洋公主あるいは洋姫)」と呼ばれ、人びとから後ろ指を差されたりしたものです。

主要紙には「容姿が整っていること」などを条件に「米軍接客」の女性を募集する広告が掲載され、報酬はかなり高額だったことを覚えています。

 こうした「米軍慰安婦」たちは朝鮮戦争(1950~53年)が終わったあとも50年代から80年代、さらに90年代に至るまで、売春街(基地村)で米兵を相手にしていました。

表向きの好条件と違って、その実態はかなり悲惨なものであり、引退後も元売春婦として差別を受けながら、孤独で貧しい生活を強いられてきたのです。

 以前からこの問題は韓国の国会でも取り上げられてきましたが、今年になって122人もの女性が集団訴訟に踏み切ったのは、昨年、一人の女性が告発本を出したことがきっかけになっています。

今年で64歳になるキム・ジョンジャ氏の証言録『米軍慰安婦基地村の隠された真実』には、韓国政府の厳しい管理下に置かれた基地村の実態が綴られており、私も大きなショックを受けました。

 本書によれば、キム氏は1950年生まれ。16歳のときに友人に騙されて基地村に連れていかれ、借金を肩代わりさせられてしまいます。

基地村には韓国語でポジュ(抱主)という民間業者たちのハウスがひしめき合い、多くの若い韓国人女性が米兵相手に売春をしていました。

1、2カ月我慢すれば、友人の借金は返せると思ったキム氏でしたが、稼ぎはすべて雇い主のポジュに奪われてしまいます。

それどころか、部屋代や化粧品代、美容品代などを請求されて借金は増えていく一方。鎮静剤と偽ってポジュから渡された薬はじつは麻薬で、その代金も借金に上乗せされており、いつ終わるとも知れない地獄の日々が続きます。

 一度は基地村から逃亡したキム氏でしたが、すぐにチンピラに連れ戻され、さんざん殴られました。

ポジュから賄賂をもらっている警察はそうした暴力行為を見て見ないフリです。

避妊具をつけることを嫌う米兵のせいで妊娠してしまう女性も多く、堕胎が日常的に行なわれていました。

彼女たちの唯一の希望は米兵の恋人になってアメリカに行くことですが、現実にはほとんどないことでした。絶望のあまり、キム氏は何度か自殺を試みますが、果たせません。

 問題の焦点は、彼女たちが働いていた基地村が国家の管轄下にあったことです。

月に一回開かれる会議には、憲兵やCID(米軍部隊犯罪捜査課)、保健所職員、警察署長、郡庁公務員などが来ていました。

彼女たちは「ドルを稼ぐ愛国者」として称えられていた、といいます。

性病にかかった疑いのある慰安婦たちは留置場のようなところに強制収容されました。ペニシリンを注射され、ショック反応で死んでしまう女性もいたそうです。あるいは収容所の上から飛び降りて、自ら命を絶つ女性もいました。

 昨年11月、「米軍慰安婦」の問題について野党議員が慰安婦施設を管理していた朴正熙元大統領の決裁署名入りの文書記録を基に、国会で政府を追及しました。

野党や左派勢力はこれを材料に、娘の朴槿惠大統領を攻撃する構えです。

もともと彼らには、この問題を追及すると旧日本軍の慰安婦の問題が霞んでしまい、結果的に日本を利することになるというジレンマがありました。

しかし慰安婦たちの高齢化が進んでいることもあって、現在は訴訟を支援しています。

今後は戦術を変えて「韓国政府が米軍慰安婦にひどい仕打ちをしたのは、日本の真似をしたからだ」という批判の仕方に変わってくる可能性もあります。

朝鮮戦争は韓国が仕掛けた?◆

 現在の韓国の左派勢力の中核をなすのは、金大中政権(1998~2003年)の親北政策を受け継いだ盧武鉉政権(2003~2008年)の支持勢力の残党だといえます。

2000年の金大中・金正日による南北頂上会談以後、韓国では反北朝鮮の主張が「反民主的な言辞」とされる一方、同じ民族への愛を唱える親北が民族主義の象徴とされました。

その一方で、異民族に対する反日が愛国の象徴として重んじられるようになります。

 金大中政権に続く盧武鉉政権下で、「日帝植民地支配」についての「過去清算」がよりいっそう徹底して進められ、「日帝強占下親日反民族行為真相糾明に関する特別法」(2004年3月22日公布)が制定されます。

のちに改正(2005年1月27日)されて法律名から「親日」が除かれていますが、この改正で「親日反民族行為」の対象範囲は大幅に広げられました。

 このように親北=反日的な歴史教育政策を進めてきた結果、韓国国民の歴史認識は異常なものになってしまいました。

たとえば、「朝鮮戦争は韓国が仕掛けた(=北侵)」と聞けば、「そんなはずはない」と日本人なら一笑に付すでしょう。しかし、韓国ではそうではありません。

2013年、韓国紙『ソウル新聞』が高校生506人を対象にしたアンケート調査では、69%が「韓国側が朝鮮戦争を仕掛けた」と回答。

この結果を受けて朴槿惠大統領は「驚くべき結果」と発言するとともに、「毎回、誤った認識が高い比率を占めている。

このような状況が二度と出現しないようにすべき」と嘆きました。このように、いまの韓国の若者の歴史認識はそうとう歪んでいることがわかります。

◆国民全体が反日で「調教」状態

『朝日新聞』は8月5日付の紙面でこれまでの慰安婦報道での誤報を一部、認めました。

「吉田(清治)氏が済州島で慰安婦を強制連行したとする証言は虚偽だと判断し、記事を取り消します」としたのです。

この吉田証言は「日本の軍隊・関係者が統治下の朝鮮半島から慰安婦にする目的で若い婦女子を強制的に連行した」という証拠とされてきたもので、それが否定された以上、「河野談話」の見直しをあらためて進めるべきだと日本国民が考えるのも当然でしょう。

 しかし、この『朝日新聞』の誤報(本来は虚報というべきでしょう)問題は韓国のメディアではほとんど取り上げられていません。

「やっと朝日が誤報を認めた」「慰安婦問題についての再検証が韓国でも進むだろう」。

そう考えた日本人もいたかもしれません。しかし私からすれば、そのように考えるのは韓国の実情がわかっていない、といわざるをえません。

 日本軍によって20万人の朝鮮人婦女子が無理やりに従軍慰安婦にさせられたというストーリーを、韓国人は頭から信じ込んでしまっています。

いまさら「強制連行はなかった」といったとしても、韓国人が認めるはずはありません。

『朝日新聞』の誤報問題にしても、「愚かな日本人が、また愚かな嘘をいっている」というようにしか考えないでしょう。あえて黙殺しているというよりは、相手にしていない感覚です。

 つまり、どんなに真実を明らかにしたところで、一度できあがった韓国人の歴史認識はけっして覆ることはない、ということです。

 そもそも現在の韓国の反日民族主義は、「日本による植民地統治」という歴史体験を通して形づくられたものではありません。

では、どのように形づくられたのか。日本統治時代の歴史を「改竄」「捏造」することによってです。

韓国の反日民族主義をひと言でいえば、歴史を通じた幻想の体系です。

それはみんなが信じている幻想ゆえに、どんな真実よりも強いといえます。政治家であれ、研究者であれ、それを崩そうとすれば、国民やメディアから「親日=売国奴」という猛烈なバッシングを浴びることになります。

 問題なのは、いまのこうした韓国人の歴史観は国家の圧力によって強制されたものではなく(当初はそうであったとしても)、いまや「ソフトな感覚」としてすっかり根付いてしまっていることです。

政府の強制によって行なわれる反日姿勢であれば、まだしもコントロールできますが、すでに民衆レベルで子供のころから刷り込まれてしまっているため、社会の隅々にまで反日感情が広がっており、いわば国民全体が「調教」されてしまっている状態なのです。

 従軍慰安婦の問題について付言すれば、日本側は軍や官憲による「強制連行」があったかどうかを問題視していますが、韓国国内では(一部の専門家を除いて)普通の人はそうした細かい歴史的な争点には理解というか、関心がありません。

若い婦女子が日本軍相手に売春をさせられてきたこと自体が問題だとしているのです。そしてその反感の底には「夷族(日本人)によるわが民族」の凌辱という精神の次元が、意識的にせよ無意識的にせよ、強く関与していることは否定できません。

(『Voice』2014年10月号より/〔2〕につづく)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿