北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ワグネルクーデター!ロストフ市ロシア南部軍管区司令部占拠とモスクワ南方三五〇kmのヴォロネジで戦闘

2023-06-24 20:00:12 | 防衛・安全保障
■プーチン大統領緊急声明
 2022年2月のロシア軍ウクライナ侵攻以来何が有っても驚く事はないと覚悟を決めてきましたが、今回は流石に。写真は富士総合火力演習のそれっぽいもので代用です。

 ロシアの民間軍事会社ワグネルが反乱を起こしロストフにあるロシア南方軍管区司令部を占拠しました。これは事実上のクーデター事件であり、ロシアのプーチン大統領は日本時間1600時過ぎに臨時のテレビ演説を行い、ワグネルの行動は反逆であると強い意志を表明しました。そのうえでプーチン大統領は厳しい措置をとると警告しています。

 プーチン大統領は、ロシアを守るためにできることを全て行うと発言、ワグネル創設者で経営者であるエフゲニープリゴジン氏が、ロストフ市内の全ロシア軍拠点をワグネル部隊が占拠したと主張している南部ロストフの情勢安定に向け、決定的な行動を執ると発言しています。なお決定的な行動、というものがなにを示すのかは明らかにされていない。

 ロシア南方軍管区司令部は隷下に第8軍、第1陸軍軍団、第2親衛陸軍軍団、第47ミサイル旅団や第238砲兵旅団、第49軍、第7親衛空挺師団、黒海艦隊、カスピ艦隊、第4空軍などを隷下に置く重要司令部で、ロシアの軍管区司令部が占拠されたという事例は1940年の独ソ戦を除けば事例がありません、そして少なくない規模の戦闘が発生している。

 ロストフ市内ではワグネル占拠前に市街地防衛へ戦車部隊が展開する様子などがSNS画像として示されています、市域の防衛に当たるために展開したことになるのですが、こののちにロストフ市内が占拠されたということは少なくとも戦車部隊が撃破されたことを示し、またワグネルはモスクワへ移動を開始している兆候など未確認情報としてあります。

 ワグネルとロシア国防省の不仲はこの戦争が始まって以来常に指摘されており、特にロシア国防省は“7月1日までにワグネル構成員はロシア国防省との個人契約を結ぶように”との通知を示しており、これは事実上のワグネルの解散通告にあたるものを出していました。この最後通牒に対してワグネル経営者プリゴジン氏は激しく反発していましたが。

 ロシア国防省に対して6月16日付でワグネルとロシア国防省の新しい契約書を通知した、プリゴジン氏はロシア国防省からの最後通牒を受けロシア国防省にワグネル構成員の引き抜き行為をやめて新しい契約を結ぶよう要求したことを6月19日に発表しています。他方、ワグネルとしては多大な犠牲を払いロシアへ貢献している自負があるのでしょう。

 FSBロシア連邦保安局は、ワグネルの武装蜂起前に、ワグネルが軍事クーデターを計画しているとしてサンクトペテルブルクにあるワグネル本社を捜索しており、また現時点でもワグネル本社はFSB保安部隊、基本的に冷戦時代のKGB軍にあたる軍の反乱に備える重武装機械化歩兵部隊があるのですが、これらの部隊が本社社屋を包囲封鎖している。

 プリゴジン氏が軍事行動に踏み切った理由について。プリゴジン氏自身が、ロシア軍によりワグネルが攻撃を受けており、特に正規軍からの組織的な攻撃はワグネル部隊に向けられることは複数あり、バフムト近郊では攻撃を加えたロシア陸軍第47旅団長を逆にワグネルによる指揮所攻撃を加え捕虜にした事例もありましたが、反乱には至っていない。

 プリゴジン氏本人へのロシア軍からの攻撃が加えられた、というものが今回の武装蜂起の背景となっているようで、未確認情報ではロシア南部のヴォロネジについても戦闘が発生しているとのSNS情報があり、ファクトチェックが急がれています。なお、BBC報道でリペツク州アルタモノフ知事はヴォロネジ州とのM4高速道路を封鎖したと発表した。

 ヴォロネジはロストフよりもはるかにモスクワに近く、ウクライナのハリコフからみても北方、有名な第二次世界大戦中のクルスク戦車戦が戦われたクルスクの東方に位置しており、ロストフとヴォロネジの中間地点にあるパブロフスクでも戦闘が発生しているとのSNS情報があり、情報が錯そう。忘れてはならないのはロストフの戦略的な意味だ。

 ロストフ、ここを占領されているままではウクライナへ侵攻したロシア軍は完全に補給路を断たれた状態となり、ワグネル部隊が投稿しなければウクライナ占領中のロシア軍は補給を断たれ干上がる、その影響度合いはクリミア大橋破壊などとは比較になりません。言い換えれば2022年2月のロシア軍ウクライナ侵攻開始以来の世界への衝撃といえます。

 ヴォロネジでの戦闘の意味するのは、そしてなによりもヴォロネジがモスクワまで350㎞という事実だ。ワグネルの要求は示されていません、可能性としてショイグ国防相の更迭をプーチン大統領に突き付け、ウクライナ侵攻作戦を合理的な作戦に切り替えるよう要求している可能性もありますが、これから24時間は何が起こるか、わからないのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-三条木屋町,高瀬川の流れとともに過ごすグルメなひととき

2023-06-24 14:44:12 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 京都も混雑してきました。半年前には結構人出が多くなったと思ったものですがあれもはじまりに過ぎなかった、そんな最中に散策を。

 出ばなをくじかれるという事はこういう事なのでしょうか、入ろうと思ったお店が改装中だった。しかし一瞬まさかの廃業かパンデミックリターンズかとおもったりして心臓に悪い、そういうお店は予約、とテレビで角野卓三さんが言っていたが、外食は気軽にと思う。

 サルヴァトーレクオモ。先週土曜日に久々にここで一杯やろう浴びるほど飲んでさっさと寝てしまおう、色々あったしこういう時は呑むに限るんだと思っていましたら、何と改装中、ということで改装前の様子を紹介しましょう、改装後を楽しみに、という意味でです。

 三条木屋町の、高瀬川ど真ん中に信号機が有る、こういえば嗚呼あそこなのかと思われるあもしれませんが、歴史好きには佐久間象山遭難の地、といえば分ってしまうのでしょうか、幕末では池田屋騒動があった池田屋跡地にある居酒屋池田屋の直ぐ近くというべきか。

 高瀬川、あの森鴎外の高瀬舟で有名な立地にありますサルヴァトーレクオモさんは、まあこの界隈ではお気に入りと云いますか旧知の仲の方とともに一杯やるお店だったりします、それはCOVID-19の時代にも、なにしろ風通しの良いテラス席がありますので、重宝する。

 ステーキのグリル、サルヴァトーレクオモの名物はランチタイムのビュッフェなのだけれど年々お値段が高くなり、そしてランチタイムでも単品を注文できるといいますから、あえてがつがつ満腹を目指さず、美味しいものと、そしていい感じの飲み物を頂くのも良い。

 イタリアンなお店ですからピザを頂くのもよいのですが、がっつりステーキを高瀬川の流れなんてのを眺めながら頂く、というよりも食べ物をお供に情景を愉しむ、という時間の過ごし方も良いのかもしれません。高瀬川の流れは、庭園ではみられない冷涼感がある。

 さくら、春はここで花見ができるところなのですが、考えればこれからポストコロナ、COVID-19の落ち着きと共にここも混雑するのだろうなあ、と思うのですが、まあこういう立地は多くの人たちでめでた方が、とも思うのですね。テラス席は風通しも良いですし。

 高瀬川、真夏にはここも凄い温度になるのですが、こちらが焙られる前にサルヴァトーレクオモさんはミスト装置をとりつけてくれますので、ちょっと爽やかに、湿気が更にすごくなるとかいう事無く、見た目で癒してくれる、高瀬川を眺めながら頂くのが好きなのだ。

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沖縄慰霊の日ー78年目の沖縄戦,南西防衛力整備-平和的生存権の希求と地政学上相容れぬ単なる不戦の行使

2023-06-24 07:00:12 | 国際・政治
■平和と安全をかんがえる
 沖縄78年目の慰霊の日を昨日迎え首相臨席の慰霊式典と共に県知事からは沖縄の防衛力強化への不安が指摘されました。

 沖縄戦、激戦でした。しかし第32軍と共に県民が多大な犠牲を払い米軍を南西地域にくぎ付けとしたことで、本土決戦という状況が現実化する前に、特に台風シーズンは連合軍の航空作戦や海軍部隊の運用が制約される、その最中に終戦交渉を進め地上戦を回避できた、こうした意味で本州九州の住民は沖縄本島の方々に多大な借りが有ることも事実なのです。

 地政学的な要件が有る為に、日本国憲法の精神が平和的であるのか中国共産党の行動が平和的であるのかを考えた上で、地政学上の要衝は抑える力が弱まればその地理的要件が地域紛争の要因となる、解決策は中国の民主化を進め権威主義国家の専制的行動を制約する他ないのですが、沖縄の平和を考える際にはこうした視点も絶対必要なのです。しかし。

 旧軍は沖縄県に郷土連隊を配置せず防衛を担ていた、あまり京都では旧陸軍の配置などを教えるものではありませんし、義務教育において自分の郷里にどの旧軍部隊が配備されていたかは教えないのですが、沖縄では第32軍については平和教育として教えています。すると、戦局悪化までは貼り付け部隊も要塞砲兵も置いていなかった、という事実はある。

 自衛隊の反撃能力整備、現在の地対艦ミサイル中隊は射程から考えた場合、沖縄に上陸しないでほしい、と拒否する為の装備体系となっていますが、地対艦ミサイルの射程延伸により、相手の策源地に直接攻撃を加える装備体系、と転換し得ます。いや沖縄配備の部隊だけでもNSMミサイルなど相手を刺激しない装備に切替えられれば、とおもうのですが。

 B-21爆撃機のような、スタンドオフミサイルを運用する事が既に方針として示されているのですから、思い切ってかつてオーストラリアがキャンベラ爆撃機やF-111戦闘爆撃機を導入した際の様に、B-21は一応オーストラリアも検討した上で現段階で不要、と結論が出た、こうした装備を思い切って導入し、沖縄は沿岸防備に集中しても良いのではないか。

 那覇基地や嘉手納基地に配備するのではなく、思い切り後方の相手の准中距離弾道弾射程外の基地に配備し、有事の際には空中退避し必要な策源地攻撃や反撃能力行使に当る、こうした選択肢があって良いのかもしれませんが、防衛政策を政治が考える場合には、歴史的で文化的な要素というものをもう少し配慮する事が出来ないだろうか、と考えるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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