■■■防衛フォーラム■■■
今週は空軍に関する11の話題をお届けです。嘉手納基地を含め西太平洋地域でのまだ始まっていない危機への警戒感が垣間見える話題とロシアウクライナ戦争の欧州中東地域への影響まで関心事ばかりです。
アメリカ海軍は2024会計年度にF/A-XX第六世代戦闘攻撃機開発に関する15億3000万ドルの予算を要求しました。F/A-XX第六世代戦闘攻撃機は現在海軍の主力戦闘攻撃機であるF/A-18E戦闘攻撃機の後継機を目指すもので、このF/A-18E戦闘攻撃機はアメリカ海軍への必要数を充足、これ以上輸出需要がなければ2025年生産終了を予定しています。
F/A-XX第六世代戦闘攻撃機については、これまで継続的に構成要素の研究が進められてきましたが、開発費の概要については秘密扱いとなっていました、この為2024会計年度に盛り込まれた15億3000万ドル予算要求は明示された開発予算としては初めてのものとなります。開発費分担には海軍予算に加え海兵隊予算も含まれ、両軍の採用が見込まれる。
F/A-18E戦闘攻撃機は老朽化が進んでいますが、海軍はF-35C戦闘機やF-35B戦闘機などの第五世代戦闘機での置き換えは考えていないとしています、他方でこのF/A-XX第六世代戦闘攻撃機は有人機か無人機か、有人機を基本とした無人機があるのかについて明確に示されてきていませんが、開発されている機体に有人機は含まれる方針のようです。
■嘉手納にF-16配備
F-16戦闘機で台湾海峡からフィリピンまで及ぶ広大な地域を担当できるとは思わないのだよなあ。
アメリカ空軍は日本の沖縄県嘉手納基地へF-16戦闘機の前方展開を開始したとのこと、これは1月16日の発表で展開したのはドイツのシュパンダーレム空軍基地へ展開している空軍第52戦闘航空団に所属するF-16戦闘機です。このF-16戦闘機は嘉手納基地からのF-15戦闘機撤収に伴うローテーション展開計画の一環として欧州から転地したということ。
F-22戦闘機がアラスカのエルメンドルフリチャードソン統合基地配備の第3航空団より前方展開していますが、この展開は維持され、F-22の代替にF-16が充てられたわけではないようです。他方アメリカ空軍ローテーション配備は沖縄における抑止力に如実に影響しているもので、日本政府は常駐部隊廃止ならば基地返還を強く要請し引き留めるべきでした。
■輸送機と給油機ロービジ化
これも嘉手納関連という話題だ。
アメリカ空軍が運用するKC-135空中給油機やC-17輸送機が垂直尾翼の部隊マーキングと機体番号を三月に入り次々と塗りつぶしているのが、アメリカ本土や各国の在外米軍基地で話題となっています。これは一見して航空愛好家などの公開情報を基に空中給油機や輸送機の運用体制を秘匿することが目的ではないかと様々な憶測を呼んでいるもよう。
KC-135空中給油機やC-17輸送機は世界規模で運用されています、このほかに空軍のKC-10空中給油輸送機やKC-46A空中給油輸送機、C-5戦略輸送機などにも適用されるものですが、ウクライナ情勢の緊迫化やウクライナ侵攻の際には見られなかった行動であり、西太平洋地域などで昨今の著しい緊張状態へ対応を視野に行われている可能性もあります。
■イタリア輸送機延命
C-27輸送機はターボプロップ機ですが大きさとしてはC-1輸送機と同じくらい。
イタリア空軍はレオナルド社との間でC-27J輸送機の能力向上プログラムを開始しました。能力向上の要点としてはコックピット部分へのヘッドアップディスプレイとヘッドダウンディスプレイの追加を軸としたアビオニクス改良と機体自衛装置追加による生存性向上、また実運用を正確に再現するフライトシミュレーター開発などが含まれています。
C-27J輸送機はアレニア社がG.222輸送機の改良型として開発した双発輸送機で、兵員60名か空挺部隊46名、物資9tを輸送した場合は1760㎞を飛行、改良はロッキードマーティン社が参加しC-130Jで培われた技術を応用しています。イタリア空軍は12機を採用、アメリカ空軍にも採用されましたが予算削減により陸軍特殊作戦航空隊へ移管されました。
■C-130J-30受領開始
インドネシアはC-130JとエアバスA-400M輸送機をどうじに調達するというかなり思い切った計画を進めている。
インドネシア空軍はC-130J-30輸送機の受領を開始しました。インドネシア空軍はその空軍草創期の頃よりC-130B輸送機を採用しており、これらの旧式化を受け1983年よりアメリカ空軍の余剰機となったC-130H輸送機を導入、また民間貨物輸送型であるL-100輸送機も中古市場から導入し、20機のC-130を運用していますが老朽化が進んでいます。
C-130J-30輸送機は5機が採用され、既存のC-130H輸送機のうち、一部を延命するとともに老朽化の度合いが激しい機体を代替する方針です。他方、運用中の機体に対し導入されるC-130J-30輸送機は下回る規模となっていますが、インドネシア空軍では同時にエアバスA-400M輸送機の導入計画を進めており、二機種が空輸能力の柱となる予定です。
■フランスA-400の21号機
C-2とよく比較されるこの輸送機について、外征型軍隊であるフランスでもA-400Mは大量に調達できないというものなのですね。
フランス国防省はエアバスA-400M輸送機の21号機を受領しました。これは2月14日のエアバスにおけるフランス航空宇宙軍への納入式典において示されたもので、フランス空軍のC-160輸送機を置き換えたのち、C-130輸送機の一部もA-400M輸送機により置き換えることとなりました。A-400M輸送機はC-160輸送機よりもはるかに大型です。
A-400M輸送機の型式証明はEASA欧州航空安全機関により2013年3月に認証を受け、フランス空軍への納入が開始されたのは2013年8月、間を置かずに部隊配備鵜が開始され年間2機の量産が行われたことになります。フランス空軍はA-400Mの導入によりアフリカ地域への緊急展開へアメリカ軍輸送機などへの依存を脱却し独自作戦能力を高めました。
■豪州へT-7Aを提案
T-7といってもレッドホークの方で自衛隊のT-7とは違う機体なのですがボーイングで量産計画が二年も遅れている機体を勧められているという。
オーストラリア空軍は高等練習機としてボーイング社よりT-7練習機の提案を受けました。オーストラリア空軍は現在ホーク練習機を運用していますが、オーストラリア空軍になF/A-18FスーパーホーネットやF-35ライトニング戦闘機など第4.5世代戦闘機や第五世代戦闘機などが配備されており、訓練基盤強化へ練習機体系の近代化が求められています。
ボーイング社はオーストラリアアヴァロン2023国際航空展にT-7Aレッドホークシミュレータを展示しています。T-7Aはペーパーレスのサイバー空間における開発作業を行うことで36か月間という短期間で実用化させた航空機であり、アメリカ空軍のT-38練習機を置き換えるとともにF-35要員訓練へ最適化したことで各国へ売り込みを強化しています。
■イランへSu-35
イランとロシアの軍事的接近が中東の安全保障情勢に及ぼす影響が大きな関心事です。
イラン空軍はロシアから最新鋭のSu-35戦闘機を受領します。これはイランの議会国家安全保障外交政策委員会が公式に発表したもので、三月にも配備が開始されるとみられています。Su-35戦闘機はソ連軍が本土防空用に開発したSu-27戦闘機の改良型であり、スホーイ設計局が製造する量産期では最も強力な機体で、イラン空軍は24機を導入します。
Su-35戦闘機にはNO-35-Irbis-E-パッシヴAESAレーダーが搭載、これにより300km先の戦闘機を捕捉可能だとスホーイ社は発表しています、そして射程300kmの空対空ミサイルのほか、オニキス超音速巡航ミサイルの搭載能力など、高い打撃力を持ち、イラン空軍はテヘラン近郊のイスファハン空軍基地に展開する第8戦術航空団へ配備するもよう。
F-14トムキャット戦闘機にF-4ファントムとF-5タイガー、イラン空軍はイラン革命前に導入したアメリカ製戦闘機が主力であり、このほかには1990年代に購入したMiG-29戦闘機があるのみです、アメリカ製戦闘機は1979年のイラン革命とともにすでにメーカー整備支援が打ち切られ40年以上を経て稼働率が極めて低く、新型機を必要としていました。
■ポーランド向けFA50
軽戦闘機ではありますが対艦ミサイル運用能力とレーダーの性能を除けばF-2戦闘機に比較できる機種となっている印象ですね。
ポーランド空軍が導入するFA-50戦闘機がKAI韓国航空宇宙産業においてロールアウト式を迎えました、ポーランド空軍は48機のFA-50戦闘機を25億ドルにて取得する計画で、ロシアウクライナ戦争の勃発を受け旧式化したSu-22攻撃機とMiG-29戦闘機を緊急に置き換える必要性を痛感したポーランドは2022年7月27日に調達契約を結びました。
FA-50GF戦闘機とFA-50PL戦闘機、ポーランド空軍はこの二系統を導入します、最初に導入するのはFA-50GF戦闘機12機でまもなく引き渡しが開始となります。AAQ-33 スナイパー目標指示装置とAIM-9空対空ミサイル及びマーベリック空対地ミサイルの運用能力をもつ、block10仕様といい、空対空能力よりも高等練習機と攻撃機能力を重視します。
FA-50PL戦闘機は2025年までに引き渡しが完了する計画ですが、block20仕様でF-16block70にも搭載されるAPG-83-AESAレーダーを採用しAMRAAM空対空ミサイルなど視程外空対空ミサイル運用能力を持ちます。最終的にblock10仕様もblock20仕様へ能力向上されるとされ、一見手ごろな機体でポーランド空軍は数を揃えることとなります。
■U-2偵察機2026年全廃
中国からの国籍不明気球へ接近できた唯一の高茎がこのU-2というものですので代替機なしに安易に引退させる事にはちょっと違和感だ。
アメリカ空軍はU-2戦略偵察機を2026年に全廃する方針で検討を進めています、しかしU-2の運用維持を求める声が空軍にはあり、アメリカ議会はU-2偵察機とともにRQ-4グローバルホーク無人偵察機の退役を求めており、仮に両方が退役した場合はアメリカ空軍は今後十年間、高高度偵察機を持たない状況に陥ることが危惧されているようです。
U-2偵察機の検討は、空軍が2025年9月までU-2偵察機の運用を維持し、廃止の決定はこの段階まで延期する検討が為されています。その背景にはRQ-4よりもU-2は大型のセンサーを搭載可能で情報収集能力が高く、空軍自身がU-2の維持を高い優先度で予算配分しているためです。現在空軍はU-2偵察機27機をビール基地に配備し運用しています。
■E-7要員訓練へ豪州へ
これにより自衛隊のE-767も先が見えてきたような印象だ。
アメリカ空軍はE-7A早期警戒機導入に向け訓練要員をオーストラリア空軍へ派遣しました。E-7Aウェッジテール早期警戒機は、老朽化が進むE-3セントリー早期警戒管制機の後継機として導入するもので、空軍は保有するE-3早期警戒管制機の半数を年内にも退役させ、これにより余剰となった資金を以てE-7A早期警戒機の導入を急ぐ考えです。
オーストラリア空軍への空軍要員派遣は6月にも予定されており、派遣規模は50名から60名規模、整備要員と機上管制士官の訓練を行い、アメリカ空軍へ最初のE-7Aが納入された際にはすぐにでも運用開始する体制を構築するとのこと。アメリカ空軍は2027年にE-7A
初号機を導入し2032年までに26機を配備、空中警戒管制能力を一新する構想です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今週は空軍に関する11の話題をお届けです。嘉手納基地を含め西太平洋地域でのまだ始まっていない危機への警戒感が垣間見える話題とロシアウクライナ戦争の欧州中東地域への影響まで関心事ばかりです。
アメリカ海軍は2024会計年度にF/A-XX第六世代戦闘攻撃機開発に関する15億3000万ドルの予算を要求しました。F/A-XX第六世代戦闘攻撃機は現在海軍の主力戦闘攻撃機であるF/A-18E戦闘攻撃機の後継機を目指すもので、このF/A-18E戦闘攻撃機はアメリカ海軍への必要数を充足、これ以上輸出需要がなければ2025年生産終了を予定しています。
F/A-XX第六世代戦闘攻撃機については、これまで継続的に構成要素の研究が進められてきましたが、開発費の概要については秘密扱いとなっていました、この為2024会計年度に盛り込まれた15億3000万ドル予算要求は明示された開発予算としては初めてのものとなります。開発費分担には海軍予算に加え海兵隊予算も含まれ、両軍の採用が見込まれる。
F/A-18E戦闘攻撃機は老朽化が進んでいますが、海軍はF-35C戦闘機やF-35B戦闘機などの第五世代戦闘機での置き換えは考えていないとしています、他方でこのF/A-XX第六世代戦闘攻撃機は有人機か無人機か、有人機を基本とした無人機があるのかについて明確に示されてきていませんが、開発されている機体に有人機は含まれる方針のようです。
■嘉手納にF-16配備
F-16戦闘機で台湾海峡からフィリピンまで及ぶ広大な地域を担当できるとは思わないのだよなあ。
アメリカ空軍は日本の沖縄県嘉手納基地へF-16戦闘機の前方展開を開始したとのこと、これは1月16日の発表で展開したのはドイツのシュパンダーレム空軍基地へ展開している空軍第52戦闘航空団に所属するF-16戦闘機です。このF-16戦闘機は嘉手納基地からのF-15戦闘機撤収に伴うローテーション展開計画の一環として欧州から転地したということ。
F-22戦闘機がアラスカのエルメンドルフリチャードソン統合基地配備の第3航空団より前方展開していますが、この展開は維持され、F-22の代替にF-16が充てられたわけではないようです。他方アメリカ空軍ローテーション配備は沖縄における抑止力に如実に影響しているもので、日本政府は常駐部隊廃止ならば基地返還を強く要請し引き留めるべきでした。
■輸送機と給油機ロービジ化
これも嘉手納関連という話題だ。
アメリカ空軍が運用するKC-135空中給油機やC-17輸送機が垂直尾翼の部隊マーキングと機体番号を三月に入り次々と塗りつぶしているのが、アメリカ本土や各国の在外米軍基地で話題となっています。これは一見して航空愛好家などの公開情報を基に空中給油機や輸送機の運用体制を秘匿することが目的ではないかと様々な憶測を呼んでいるもよう。
KC-135空中給油機やC-17輸送機は世界規模で運用されています、このほかに空軍のKC-10空中給油輸送機やKC-46A空中給油輸送機、C-5戦略輸送機などにも適用されるものですが、ウクライナ情勢の緊迫化やウクライナ侵攻の際には見られなかった行動であり、西太平洋地域などで昨今の著しい緊張状態へ対応を視野に行われている可能性もあります。
■イタリア輸送機延命
C-27輸送機はターボプロップ機ですが大きさとしてはC-1輸送機と同じくらい。
イタリア空軍はレオナルド社との間でC-27J輸送機の能力向上プログラムを開始しました。能力向上の要点としてはコックピット部分へのヘッドアップディスプレイとヘッドダウンディスプレイの追加を軸としたアビオニクス改良と機体自衛装置追加による生存性向上、また実運用を正確に再現するフライトシミュレーター開発などが含まれています。
C-27J輸送機はアレニア社がG.222輸送機の改良型として開発した双発輸送機で、兵員60名か空挺部隊46名、物資9tを輸送した場合は1760㎞を飛行、改良はロッキードマーティン社が参加しC-130Jで培われた技術を応用しています。イタリア空軍は12機を採用、アメリカ空軍にも採用されましたが予算削減により陸軍特殊作戦航空隊へ移管されました。
■C-130J-30受領開始
インドネシアはC-130JとエアバスA-400M輸送機をどうじに調達するというかなり思い切った計画を進めている。
インドネシア空軍はC-130J-30輸送機の受領を開始しました。インドネシア空軍はその空軍草創期の頃よりC-130B輸送機を採用しており、これらの旧式化を受け1983年よりアメリカ空軍の余剰機となったC-130H輸送機を導入、また民間貨物輸送型であるL-100輸送機も中古市場から導入し、20機のC-130を運用していますが老朽化が進んでいます。
C-130J-30輸送機は5機が採用され、既存のC-130H輸送機のうち、一部を延命するとともに老朽化の度合いが激しい機体を代替する方針です。他方、運用中の機体に対し導入されるC-130J-30輸送機は下回る規模となっていますが、インドネシア空軍では同時にエアバスA-400M輸送機の導入計画を進めており、二機種が空輸能力の柱となる予定です。
■フランスA-400の21号機
C-2とよく比較されるこの輸送機について、外征型軍隊であるフランスでもA-400Mは大量に調達できないというものなのですね。
フランス国防省はエアバスA-400M輸送機の21号機を受領しました。これは2月14日のエアバスにおけるフランス航空宇宙軍への納入式典において示されたもので、フランス空軍のC-160輸送機を置き換えたのち、C-130輸送機の一部もA-400M輸送機により置き換えることとなりました。A-400M輸送機はC-160輸送機よりもはるかに大型です。
A-400M輸送機の型式証明はEASA欧州航空安全機関により2013年3月に認証を受け、フランス空軍への納入が開始されたのは2013年8月、間を置かずに部隊配備鵜が開始され年間2機の量産が行われたことになります。フランス空軍はA-400Mの導入によりアフリカ地域への緊急展開へアメリカ軍輸送機などへの依存を脱却し独自作戦能力を高めました。
■豪州へT-7Aを提案
T-7といってもレッドホークの方で自衛隊のT-7とは違う機体なのですがボーイングで量産計画が二年も遅れている機体を勧められているという。
オーストラリア空軍は高等練習機としてボーイング社よりT-7練習機の提案を受けました。オーストラリア空軍は現在ホーク練習機を運用していますが、オーストラリア空軍になF/A-18FスーパーホーネットやF-35ライトニング戦闘機など第4.5世代戦闘機や第五世代戦闘機などが配備されており、訓練基盤強化へ練習機体系の近代化が求められています。
ボーイング社はオーストラリアアヴァロン2023国際航空展にT-7Aレッドホークシミュレータを展示しています。T-7Aはペーパーレスのサイバー空間における開発作業を行うことで36か月間という短期間で実用化させた航空機であり、アメリカ空軍のT-38練習機を置き換えるとともにF-35要員訓練へ最適化したことで各国へ売り込みを強化しています。
■イランへSu-35
イランとロシアの軍事的接近が中東の安全保障情勢に及ぼす影響が大きな関心事です。
イラン空軍はロシアから最新鋭のSu-35戦闘機を受領します。これはイランの議会国家安全保障外交政策委員会が公式に発表したもので、三月にも配備が開始されるとみられています。Su-35戦闘機はソ連軍が本土防空用に開発したSu-27戦闘機の改良型であり、スホーイ設計局が製造する量産期では最も強力な機体で、イラン空軍は24機を導入します。
Su-35戦闘機にはNO-35-Irbis-E-パッシヴAESAレーダーが搭載、これにより300km先の戦闘機を捕捉可能だとスホーイ社は発表しています、そして射程300kmの空対空ミサイルのほか、オニキス超音速巡航ミサイルの搭載能力など、高い打撃力を持ち、イラン空軍はテヘラン近郊のイスファハン空軍基地に展開する第8戦術航空団へ配備するもよう。
F-14トムキャット戦闘機にF-4ファントムとF-5タイガー、イラン空軍はイラン革命前に導入したアメリカ製戦闘機が主力であり、このほかには1990年代に購入したMiG-29戦闘機があるのみです、アメリカ製戦闘機は1979年のイラン革命とともにすでにメーカー整備支援が打ち切られ40年以上を経て稼働率が極めて低く、新型機を必要としていました。
■ポーランド向けFA50
軽戦闘機ではありますが対艦ミサイル運用能力とレーダーの性能を除けばF-2戦闘機に比較できる機種となっている印象ですね。
ポーランド空軍が導入するFA-50戦闘機がKAI韓国航空宇宙産業においてロールアウト式を迎えました、ポーランド空軍は48機のFA-50戦闘機を25億ドルにて取得する計画で、ロシアウクライナ戦争の勃発を受け旧式化したSu-22攻撃機とMiG-29戦闘機を緊急に置き換える必要性を痛感したポーランドは2022年7月27日に調達契約を結びました。
FA-50GF戦闘機とFA-50PL戦闘機、ポーランド空軍はこの二系統を導入します、最初に導入するのはFA-50GF戦闘機12機でまもなく引き渡しが開始となります。AAQ-33 スナイパー目標指示装置とAIM-9空対空ミサイル及びマーベリック空対地ミサイルの運用能力をもつ、block10仕様といい、空対空能力よりも高等練習機と攻撃機能力を重視します。
FA-50PL戦闘機は2025年までに引き渡しが完了する計画ですが、block20仕様でF-16block70にも搭載されるAPG-83-AESAレーダーを採用しAMRAAM空対空ミサイルなど視程外空対空ミサイル運用能力を持ちます。最終的にblock10仕様もblock20仕様へ能力向上されるとされ、一見手ごろな機体でポーランド空軍は数を揃えることとなります。
■U-2偵察機2026年全廃
中国からの国籍不明気球へ接近できた唯一の高茎がこのU-2というものですので代替機なしに安易に引退させる事にはちょっと違和感だ。
アメリカ空軍はU-2戦略偵察機を2026年に全廃する方針で検討を進めています、しかしU-2の運用維持を求める声が空軍にはあり、アメリカ議会はU-2偵察機とともにRQ-4グローバルホーク無人偵察機の退役を求めており、仮に両方が退役した場合はアメリカ空軍は今後十年間、高高度偵察機を持たない状況に陥ることが危惧されているようです。
U-2偵察機の検討は、空軍が2025年9月までU-2偵察機の運用を維持し、廃止の決定はこの段階まで延期する検討が為されています。その背景にはRQ-4よりもU-2は大型のセンサーを搭載可能で情報収集能力が高く、空軍自身がU-2の維持を高い優先度で予算配分しているためです。現在空軍はU-2偵察機27機をビール基地に配備し運用しています。
■E-7要員訓練へ豪州へ
これにより自衛隊のE-767も先が見えてきたような印象だ。
アメリカ空軍はE-7A早期警戒機導入に向け訓練要員をオーストラリア空軍へ派遣しました。E-7Aウェッジテール早期警戒機は、老朽化が進むE-3セントリー早期警戒管制機の後継機として導入するもので、空軍は保有するE-3早期警戒管制機の半数を年内にも退役させ、これにより余剰となった資金を以てE-7A早期警戒機の導入を急ぐ考えです。
オーストラリア空軍への空軍要員派遣は6月にも予定されており、派遣規模は50名から60名規模、整備要員と機上管制士官の訓練を行い、アメリカ空軍へ最初のE-7Aが納入された際にはすぐにでも運用開始する体制を構築するとのこと。アメリカ空軍は2027年にE-7A
初号機を導入し2032年までに26機を配備、空中警戒管制能力を一新する構想です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)