■■■防衛フォーラム■■■
今回は機雷戦闘に重点を置いて特集しますが掃海艇という装備体系が今後どのように転換するのかという注目の事例が最近多いのです。
イギリス海軍は新機雷掃討母艦スターリングキャッスルの艤装試験準備を完了しました。もともとスターリングキャッスルは中古船アイランドクラウンを王立補助艦隊が取得したもので、バハマ船籍の船として2013年に就役し2017年にノルウェーへ船籍を変更、2023年にイギリス国防省が取得、デヴォンポートにおいて改修作業が行われていました。
スターリングキャッスルは全長96.8mと通常の掃海艇よりもかなり大型ですが、満載排水量に至っては6000tと掃海母艦や機雷敷設艦並みの規模となっています、この大きな戦隊へMCM-MAS機雷対策海上自律システムを搭載、いわば広範囲を複数の掃海艇で対応するのではなく、一隻の大型機雷掃討システム母艦により対応するのがこの艦の狙いです。
MCM-MAS機雷対策海上自律システムはイギリスがフランス海軍との間で共同開発を進めているもので、SWEEP複合曳航式機雷探知システムとMAUV無人水上艇等を搭載します。大型である分多数は建造できません、しかし、イギリス海軍は機雷脅威地域に重点的な機雷掃討を行うことを重視、また数か月毎に乗員を交代させ長期運用を構想しています。
■ハリアー機雷掃討無人艇■
この規模の掃海システムであれば水上戦闘艦に搭載艇のダビットを補強して搭載するという運用が現実味を帯びてきますね。
イギリス海軍はハリアー機雷掃討無人艇の評価試験を実施中です。ハリアーといいますと垂直離着陸可能という攻撃機を思い起こされるかもしれませんが、こちらは11m級モーターボートを用いた機雷掃討システムであり、自律航行し海中の機雷を捜索、発見した機雷へ機雷処分弾薬を投射します。この試験は潮流の激しいペルシャ湾において実施中です。
ハリアー機雷掃討無人艇の試験は、イギリス海軍のカーディガンベイ補助輸送揚陸艦の支援により行われ、ウェルドック構造を有するカーディガンベイより発進し試験を行っています。ハリアーは現在運用される有人掃海艇を置き換える10年間に及ぶ開発計画の実証艇で、現段階では単体のほか有人掃海艇との共同運用なども研究されているようです。
ハリアー機雷掃討無人艇に期待されるのはイギリスが現在艤装中であるスターリングキャッスル掃海母艦のような大型艦へ搭載しての広範囲の掃海任務が挙げられますが、この他に26型フリゲイトなど水上戦闘艦へ搭載し、掃海艦艇の展開しない海域での水上戦闘艦からの機雷掃討、オーガニック方式での機雷戦能力なども想定されているのかもしれません。
■沿海域戦闘艦用MCM■
漸く完成というよりもこれまでどうやっていたのだろうという疑問符の方が多く特に一番艦は機雷戦能力を持つことなく既に退役しているという。
アメリカ海軍は沿海域戦闘艦用MCM機雷戦任務ミッションパッケージの初度作戦能力獲得を宣言しました。5月1日、長年の課題であったインディペンデンス級沿海域戦闘艦におけるオーガニック方式、つまり水上戦闘艦からの機雷対処能力の付与は、この計画責任者であるアメリカ海軍のスコット中将によりIOC初度作戦能力を宣言されたのです。
MCM機雷戦任務ミッションパッケージはAN/AQS-20機雷探知ソナーと艦内搭載のMCM-USV無人水上艇及びMH-60S多用途ヘリコプターにより構成され、AN/AQS-20により探知した目標をMCM-USVからの機雷処理弾薬投下やMH-60Sヘリコプターによる掃討を行い、またMH-60SにはAN/AQS-20ソナーの補完的な機能も含まれています。
AN/AQS-20はWBFLS複合バンド前方捜索能力とMFSLS側方合成照合ソナー及びDGFデジタル地形照合機能を備えた水中曳航式ソナーで、機雷探知と照合が可能です。MCM-USVは既に2022年に実証実験が完了しており今回沿岸海域戦闘艦シンシナティでの長期にわたる評価試験を完了したことでICO初度作戦能力獲得を宣言するに至りました。
■■パトリアSONAC■■
小規模な海軍にはこうした装備が必要なのだという。
フィンランドのパトリア社はパトリアSONAC-ACS水中システムを発表しました。これはドイツのロストックにおいて5月9日から三日間にわたり行われたUDT国際水中防衛装備展の展示ブースにおいて発表されたものです。SONAC-ACS水中システムは掃海艇やミサイル艇といった小型艦艇にも搭載可能という多目的ソナーシステムとなっている。
SONAC-ACS水中システムはモジュール式の20フィートコンテナに搭載、基本的には機雷探知用ですが、浅海域での対潜捜索にも対応しているとのことで、補助艦艇への搭載など従来ソナーを搭載していない艦船への搭載が可能です。またこのソナーは探知のほか、アクティヴソナー機能の応用により一種の音響掃海器具としても活用が可能となっています。
パトリア社では併せてAUV水中ターゲティングキットを発表、対潜戦闘能力を小型艦艇に整備することができても中小国の海軍は潜水艦と訓練することが難しい事例があり、この装備を導入することで自律航行式の無人水中標的として、いわば対潜戦闘が可能です。また標的以外にもミッションソフトウェアの更新で様々な水中任務が可能とのことです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は機雷戦闘に重点を置いて特集しますが掃海艇という装備体系が今後どのように転換するのかという注目の事例が最近多いのです。
イギリス海軍は新機雷掃討母艦スターリングキャッスルの艤装試験準備を完了しました。もともとスターリングキャッスルは中古船アイランドクラウンを王立補助艦隊が取得したもので、バハマ船籍の船として2013年に就役し2017年にノルウェーへ船籍を変更、2023年にイギリス国防省が取得、デヴォンポートにおいて改修作業が行われていました。
スターリングキャッスルは全長96.8mと通常の掃海艇よりもかなり大型ですが、満載排水量に至っては6000tと掃海母艦や機雷敷設艦並みの規模となっています、この大きな戦隊へMCM-MAS機雷対策海上自律システムを搭載、いわば広範囲を複数の掃海艇で対応するのではなく、一隻の大型機雷掃討システム母艦により対応するのがこの艦の狙いです。
MCM-MAS機雷対策海上自律システムはイギリスがフランス海軍との間で共同開発を進めているもので、SWEEP複合曳航式機雷探知システムとMAUV無人水上艇等を搭載します。大型である分多数は建造できません、しかし、イギリス海軍は機雷脅威地域に重点的な機雷掃討を行うことを重視、また数か月毎に乗員を交代させ長期運用を構想しています。
■ハリアー機雷掃討無人艇■
この規模の掃海システムであれば水上戦闘艦に搭載艇のダビットを補強して搭載するという運用が現実味を帯びてきますね。
イギリス海軍はハリアー機雷掃討無人艇の評価試験を実施中です。ハリアーといいますと垂直離着陸可能という攻撃機を思い起こされるかもしれませんが、こちらは11m級モーターボートを用いた機雷掃討システムであり、自律航行し海中の機雷を捜索、発見した機雷へ機雷処分弾薬を投射します。この試験は潮流の激しいペルシャ湾において実施中です。
ハリアー機雷掃討無人艇の試験は、イギリス海軍のカーディガンベイ補助輸送揚陸艦の支援により行われ、ウェルドック構造を有するカーディガンベイより発進し試験を行っています。ハリアーは現在運用される有人掃海艇を置き換える10年間に及ぶ開発計画の実証艇で、現段階では単体のほか有人掃海艇との共同運用なども研究されているようです。
ハリアー機雷掃討無人艇に期待されるのはイギリスが現在艤装中であるスターリングキャッスル掃海母艦のような大型艦へ搭載しての広範囲の掃海任務が挙げられますが、この他に26型フリゲイトなど水上戦闘艦へ搭載し、掃海艦艇の展開しない海域での水上戦闘艦からの機雷掃討、オーガニック方式での機雷戦能力なども想定されているのかもしれません。
■沿海域戦闘艦用MCM■
漸く完成というよりもこれまでどうやっていたのだろうという疑問符の方が多く特に一番艦は機雷戦能力を持つことなく既に退役しているという。
アメリカ海軍は沿海域戦闘艦用MCM機雷戦任務ミッションパッケージの初度作戦能力獲得を宣言しました。5月1日、長年の課題であったインディペンデンス級沿海域戦闘艦におけるオーガニック方式、つまり水上戦闘艦からの機雷対処能力の付与は、この計画責任者であるアメリカ海軍のスコット中将によりIOC初度作戦能力を宣言されたのです。
MCM機雷戦任務ミッションパッケージはAN/AQS-20機雷探知ソナーと艦内搭載のMCM-USV無人水上艇及びMH-60S多用途ヘリコプターにより構成され、AN/AQS-20により探知した目標をMCM-USVからの機雷処理弾薬投下やMH-60Sヘリコプターによる掃討を行い、またMH-60SにはAN/AQS-20ソナーの補完的な機能も含まれています。
AN/AQS-20はWBFLS複合バンド前方捜索能力とMFSLS側方合成照合ソナー及びDGFデジタル地形照合機能を備えた水中曳航式ソナーで、機雷探知と照合が可能です。MCM-USVは既に2022年に実証実験が完了しており今回沿岸海域戦闘艦シンシナティでの長期にわたる評価試験を完了したことでICO初度作戦能力獲得を宣言するに至りました。
■■パトリアSONAC■■
小規模な海軍にはこうした装備が必要なのだという。
フィンランドのパトリア社はパトリアSONAC-ACS水中システムを発表しました。これはドイツのロストックにおいて5月9日から三日間にわたり行われたUDT国際水中防衛装備展の展示ブースにおいて発表されたものです。SONAC-ACS水中システムは掃海艇やミサイル艇といった小型艦艇にも搭載可能という多目的ソナーシステムとなっている。
SONAC-ACS水中システムはモジュール式の20フィートコンテナに搭載、基本的には機雷探知用ですが、浅海域での対潜捜索にも対応しているとのことで、補助艦艇への搭載など従来ソナーを搭載していない艦船への搭載が可能です。またこのソナーは探知のほか、アクティヴソナー機能の応用により一種の音響掃海器具としても活用が可能となっています。
パトリア社では併せてAUV水中ターゲティングキットを発表、対潜戦闘能力を小型艦艇に整備することができても中小国の海軍は潜水艦と訓練することが難しい事例があり、この装備を導入することで自律航行式の無人水中標的として、いわば対潜戦闘が可能です。また標的以外にもミッションソフトウェアの更新で様々な水中任務が可能とのことです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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