■三菱重工-ハーケイ
軽装甲機動車、日本が抜本的な調達改革と予算制度の自衛隊特例制度でも構築しない限りは後継装備は国産化すべきではないかと思う。逆に装備一括調達制度という改革を決断すべきとも思うのだけれど。
軽装甲機動車の後継装備、三菱重工業はタレスオーストラリア社のハーケイ軽装甲車のライセンス生産を、丸紅エアロスペースはスイスのモワク社製イーグルⅣ装甲偵察車を、それぞれ提案しています。個人的には難しいところですが、発展性を考えれば四輪型に加えて六輪型が開発されているスイスのモワク社製イーグルⅣを推したいところです。
モワク社といえばピラーニャ装輪装甲車を生んだ現代の装輪装甲車における象徴的なメーカーです。イーグルⅣ軽装甲車は重量7t型と10t型があり、乗員1名と兵員4名を輸送可能、出力180kwのカミンズISB6.7-E3-245エンジンを搭載、最高速度は110km/hです。四輪駆動ですが六輪駆動型のイーグルⅤが開発され、M-113装甲車の後継に充てられる。
イーグルⅣ、元々イーグル装甲偵察車としてアメリカのハンヴィー高機動車の車体を基に装甲車体と光学監視装置搭載銃塔を載せたものがイーグル装甲偵察車でした、大量に配備するというものではありませんし、車体が装甲化されているとはいえ元がハンヴィーですので、歩兵の野戦機動用というよりは掩蔽地域からの警戒監視用という装備でした。
ハンヴィーが原型の装甲車はトルコのコブラ軽装甲車、これは詰め込めば11名も乗れるという装甲車両ですが、幾つか事例があります、しかしこれはイーグルの原型であり、イーグルⅣについてはデューロ中型トラックを原型として開発されている。故に車体の懸架装置などがハンヴィーよりも優れていますので車体の収容能力も、そして汎用性も高い。
デューロ中型トラック、空虚重量は3.7tで150hpのディーゼルエンジンを搭載し、全長6.3mと全幅1.96mの中型トラックで2.2tの貨物を輸送、スイス軍には3000両が調達されウニモグSトラックの後継となりました。自衛隊が仮にイーグルⅣを軽装甲機動車の後継に充てるならば、六輪型を追加導入し高機動車後継に装甲車を充てることも可能だ。
ヤク軽装甲車として、実はデューロ中型トラックそのものの装甲車型も存在します、この装備は2006年にドイツ連邦軍がアフガニスタンでの装甲車不足を受け調達した多種多様な装甲車の一つで、空虚重量9.5tの六輪駆動式、乗員は運転士と車長に加え8名が乗車可能、見た目は装甲トラックそのものですが小銃弾や地雷には対応する防御力を持っている。
73式中型トラック、いまは1-1/2tトラックでしたか、イーグルについて一つ考えさせられるのは原型となったデューロ中型トラックの性能が自衛隊に広範に装備されている1-1/2tトラックと重なる点で、敢えて似たようなトラック、しかも別物のトラックを原型としたものを導入して補給体系を複雑化させずとも、1-1/2tトラックを基に開発できないか。
1-1/2tトラックは全長5.49mと全幅2.22mで空虚重量3.04t、積載能力は2tです。いや、車体の製造はトラックの名門日野自動車が担っていますので、ニノノニトンといいますか日野自動車の車体を基に、装甲車体を別に設計し改造した方がイーグルよりも良いものができるのではないか、特に1-1/2tトラックは高機動車と車体が共通化されている。
高機動車と1-1/2tトラック、良いものができるというのは比較論ではなく自衛隊の整備補給体系という面で、です。一つ整備できれば大袈裟な話で起動車両から装甲車に輸送車両まで整備できますし有事の際に前線での整備で部品が枯渇した場合でも部品取りに応用できる。つまりいいたいことは、といいますと、イーグルは良い装備だが国産できないか。
ハーケイについて。三菱重工がライセンス生産するとの事ですが、何故これにしたのか。輸送防護車こと同じタレスオーストラリア社製のブッシュマスター輸送防護車が、配備からまだ数年ですが勢いよく思った以上の黒煙を吐いて装甲する様子を数年前の駐屯地祭で見た際に、これは大丈夫なのかな、と友人が思わずつぶやいたのを思い出すのですね。
ブッシュマスターと同じメーカーのハーケイですが、オーストラリア軍は2015年に1100両を13億ドルで調達する契約を結びました、しかし2018年にオーストラリア国家監査局、日本の会計検査院に当たる機関が、ハーケイよりもオーストラリアが開発計画に参加し脱退していたアメリカのJLTV統合軽量戦術車両の方が妥当、と報告書を出しています。
装備の信頼性について、ハーケイは2018年末に評価試験に際し不具合を起こし量産開始が一年以上遅延、2022年から本格量産が開始されるもブレーキ不良により3か月後に量産が一時停止しています。三菱はこの問題発覚から5か月後に防衛省にハーケイを提案しているのですが、果たして問題は起きないものなのか、実車を知っているのか不安なのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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軽装甲機動車、日本が抜本的な調達改革と予算制度の自衛隊特例制度でも構築しない限りは後継装備は国産化すべきではないかと思う。逆に装備一括調達制度という改革を決断すべきとも思うのだけれど。
軽装甲機動車の後継装備、三菱重工業はタレスオーストラリア社のハーケイ軽装甲車のライセンス生産を、丸紅エアロスペースはスイスのモワク社製イーグルⅣ装甲偵察車を、それぞれ提案しています。個人的には難しいところですが、発展性を考えれば四輪型に加えて六輪型が開発されているスイスのモワク社製イーグルⅣを推したいところです。
モワク社といえばピラーニャ装輪装甲車を生んだ現代の装輪装甲車における象徴的なメーカーです。イーグルⅣ軽装甲車は重量7t型と10t型があり、乗員1名と兵員4名を輸送可能、出力180kwのカミンズISB6.7-E3-245エンジンを搭載、最高速度は110km/hです。四輪駆動ですが六輪駆動型のイーグルⅤが開発され、M-113装甲車の後継に充てられる。
イーグルⅣ、元々イーグル装甲偵察車としてアメリカのハンヴィー高機動車の車体を基に装甲車体と光学監視装置搭載銃塔を載せたものがイーグル装甲偵察車でした、大量に配備するというものではありませんし、車体が装甲化されているとはいえ元がハンヴィーですので、歩兵の野戦機動用というよりは掩蔽地域からの警戒監視用という装備でした。
ハンヴィーが原型の装甲車はトルコのコブラ軽装甲車、これは詰め込めば11名も乗れるという装甲車両ですが、幾つか事例があります、しかしこれはイーグルの原型であり、イーグルⅣについてはデューロ中型トラックを原型として開発されている。故に車体の懸架装置などがハンヴィーよりも優れていますので車体の収容能力も、そして汎用性も高い。
デューロ中型トラック、空虚重量は3.7tで150hpのディーゼルエンジンを搭載し、全長6.3mと全幅1.96mの中型トラックで2.2tの貨物を輸送、スイス軍には3000両が調達されウニモグSトラックの後継となりました。自衛隊が仮にイーグルⅣを軽装甲機動車の後継に充てるならば、六輪型を追加導入し高機動車後継に装甲車を充てることも可能だ。
ヤク軽装甲車として、実はデューロ中型トラックそのものの装甲車型も存在します、この装備は2006年にドイツ連邦軍がアフガニスタンでの装甲車不足を受け調達した多種多様な装甲車の一つで、空虚重量9.5tの六輪駆動式、乗員は運転士と車長に加え8名が乗車可能、見た目は装甲トラックそのものですが小銃弾や地雷には対応する防御力を持っている。
73式中型トラック、いまは1-1/2tトラックでしたか、イーグルについて一つ考えさせられるのは原型となったデューロ中型トラックの性能が自衛隊に広範に装備されている1-1/2tトラックと重なる点で、敢えて似たようなトラック、しかも別物のトラックを原型としたものを導入して補給体系を複雑化させずとも、1-1/2tトラックを基に開発できないか。
1-1/2tトラックは全長5.49mと全幅2.22mで空虚重量3.04t、積載能力は2tです。いや、車体の製造はトラックの名門日野自動車が担っていますので、ニノノニトンといいますか日野自動車の車体を基に、装甲車体を別に設計し改造した方がイーグルよりも良いものができるのではないか、特に1-1/2tトラックは高機動車と車体が共通化されている。
高機動車と1-1/2tトラック、良いものができるというのは比較論ではなく自衛隊の整備補給体系という面で、です。一つ整備できれば大袈裟な話で起動車両から装甲車に輸送車両まで整備できますし有事の際に前線での整備で部品が枯渇した場合でも部品取りに応用できる。つまりいいたいことは、といいますと、イーグルは良い装備だが国産できないか。
ハーケイについて。三菱重工がライセンス生産するとの事ですが、何故これにしたのか。輸送防護車こと同じタレスオーストラリア社製のブッシュマスター輸送防護車が、配備からまだ数年ですが勢いよく思った以上の黒煙を吐いて装甲する様子を数年前の駐屯地祭で見た際に、これは大丈夫なのかな、と友人が思わずつぶやいたのを思い出すのですね。
ブッシュマスターと同じメーカーのハーケイですが、オーストラリア軍は2015年に1100両を13億ドルで調達する契約を結びました、しかし2018年にオーストラリア国家監査局、日本の会計検査院に当たる機関が、ハーケイよりもオーストラリアが開発計画に参加し脱退していたアメリカのJLTV統合軽量戦術車両の方が妥当、と報告書を出しています。
装備の信頼性について、ハーケイは2018年末に評価試験に際し不具合を起こし量産開始が一年以上遅延、2022年から本格量産が開始されるもブレーキ不良により3か月後に量産が一時停止しています。三菱はこの問題発覚から5か月後に防衛省にハーケイを提案しているのですが、果たして問題は起きないものなのか、実車を知っているのか不安なのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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