テレビによって演出されたイラクの[自由]選挙/アラブの声MLから

2005-01-31 18:36:48 | イラク
30日付のバスラ・ネットは、イエメン人著述家カマール・アブドルガッフール氏のイラク選挙に関する投稿を掲載した。

 CNNテレビはイラクの選挙を投票開始の様子から報道した。女性レポーターのジーンがバークーバから伝えた第一報では、「投票開始から15分以上経過しているのに、私が現在居る投票所の職員は現れていない」というものだった。

 それから約半時間後、別の投票所に居るジーンと連絡をつけたCNNのアナウンサーは、「そちらの投票の様子はどうだ?」と尋ねる。ジーンは実況中継で答える。「ここは私が取材する第二番目の投票所だが、投票所の監視員が来ていないため、未だに門が開かれていない」

 それを聞いたアナウンサーは仰天し「ひどい話だ。これこそ誰もが恐れていたシナリオだ。これからどうなると思うか教えてくれ」と問う。ここで突然放映が止まりジーンもアナウンサーも対話を続けられなくなった。我々はこれは放映中のスキャンダルで、直ちに番組が切り替わるだろうと確信した。事実は予想を裏切らなかった。

 約1時間後、ジーンが3度目の登場をした。だが今回は、彼女の後ろで人々がダンスをしている。彼女は喋り始めた。「この投票所では、人々は興奮して投票している」
 
 しばらくしてジーンの4度目の登場となる。投票所からの実況ということで、彼女は選挙民の投票への関心度の高さを語る。しかし視聴者の目には、その場所が投票にも選挙にも無関係であることは明々白々であった。そこは何人かが詰め込まれ狭い部屋で、幾つかの箱と書類が無秩序に置かれている。投票箱と投票者を遮る柵すら無い。

 イラクに於ける米国式民主主義の勝利とは、これまで米国が宣伝してきた「軍事的勝利」と同様に100%テレビによる勝利のようだ。虚偽と偽造のハリウッドの世界へようこそ。
http://www.albasrah.net/maqalat_mukhtara/arabic/0105/kamal_300105.htm

30日17:10に更新したイスラム・メモが報じた。
 バグダードの本紙通信員によると、イラク共産党とイラク国民合意(アラウィ首相の政党)は、女性や子供、失業中の若者を臨時雇用して、一日に何回もテレビカメラの前に登場させ、投票の関心度の高さを叫ばせた。
 占領軍とイラク傀儡政府は、アルアラビーヤ、イラクのシャルキーヤ、イラク政府のチャンネル、米国のCNNの4テレビ局にのみ政府高官や住民とのインタビューを許可し、その後これらのテレビ局を通じて他の通信社に配信した。
 2万2千人の有権者が居るバグダードのカラーダ地区の投票所には現時点【時刻不記載】までに、選挙に候補者を出した幾つかの政党支持者から成る700人しか投票していない。ちなみに、この地区の大部分の住民はキリスト教徒である。

報道陣が取材する時間に投票所に、映画撮影の「エキストラ」のような多数のアルバイトを雇用すれば都合の良い演出が可能である。重要なのは、事実よりも、如何に報じられたかである。

アラブの声ML 齊藤力二朗
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/
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イラクに200の刑務所と収容所 拷問も続く

 29日付のバスラ・ネットはオランダ在住のイラク人政治活動家、研究者(愛国同盟所属)バーキル・サッラーフ氏の投稿を掲載した。

 以下の刑務所と収容所では傀儡政権が、イラク人愛国者にプログラム化された野蛮な拷問を加えており、国際的な人権擁護機関から厳しい非難を呼んでいる。占領軍が非武装の住民や抵抗戦士、無辜の民に対してあらゆる種類のテロ行為を行ってきたこの2年間、これらの人権機関は、完黙を守り続けた。愛国的新聞や、闘争する組合や政党が声高に訴えてきた間、イラクの人権擁護団体は、米軍とアラウィ政権の拷問や暴虐行為には目をつぶって来た。

【以下、アブー・グレイブ刑務所を初めとする200の刑務所、収容所の名称、地名、住所を記したリストが続く】
http://www.albasrah.net/maqalat_mukhtara/arabic/0105/saraf_290105.htm
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相当部分の拷問は、イラク警察に引き継がれている。イラク人同士を憎悪させ合うという効果もある。

アラブの声ML 齊藤力二朗
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/

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