戦火の中のバグダード、停電の合間をぬって書きつがれる若い女性の日記『リバーベンド・ブログ』。イラクのふつうの人の暮らし、女性としての思い・・・といっても、家宅捜索、爆撃、爆発、誘拐、検問が日常、女性は外へ出ることもできず、職はなくガソリンの行列と水汲みにあけあけくれる毎日。「イラクのアンネ」として世界中で読まれています。すぐ傍らに、リバーベンドの笑い、怒り、涙、ため息が感じられるようなこの日記、ぜひ読んでください。(この記事は、TUPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです)。 http://www.geocities.jp/riverbendblog/ (TUP/リバーベンド・プロジェクト:池田真里)
信じられないけれど受賞と候補は本当、4月1日用の嘘は信じられる?
2006年4月2日日曜日
ノミネーション・・・
数日間インターネットとご無沙汰していて、戻ってみたら「おめでとう!!!
」という件名の何十通ものメールで受信箱が溢れていた。3月中旬「バグダード
・バーニング」が「ブロッギーズ」の「アフリカと中東の部門」でのウェブログ
賞を獲得したので、突然の大量の祝賀メールは、その高い評価をうけているブロ
グ賞のためだと思った(この場を借りてご挨拶を――この名誉ある賞を下さった
権威ある方々に感謝いたします――ほんとにアカデミー賞の晴れ舞台に立った気
分よ)。
でも、そうじゃなくて、「バグダード・バーニング」が、あの権威あるサミュ
エル・ジョンソン賞のノンフィクション部門で最終候補者リストに残ったからだ
ったの!!私は候補者リストに登ったことすら知らなかったので、とっても驚い
た...。リストにのっている他の名前がすごく著名なものばかりだったので、
何かのまちがいだと自分に言い聞かせていたけれど、英国のマリオン・ボヤーズ
出版社から確認を得た。
それを知ってからというもの、私は少しボーッとした状態で歩き回っている。
なにもかも他の誰かに起こっていることのように思えて、水のタンクを一杯にし
たり、石油ヒーターをしまうために掃除をしたり、インコのかごの新聞を取り替
えたりしている間、そのことを思い起こそうとし続けなければならないでいる(
あなたのかごを掃除してるのは、サミュエル・ジョンソン賞にノミネートされた
人だって知ってほしいな...)。
ううん、賞をとるかどうかなんてそんなことまったく気にならない、私のいま
の気持ちは、リストに載るだけでも大変な名誉だってこと。
バグダード・バーニング (フェミニスト・プレス)(英文)
http://www.feministpress.org/Book/index.cfm?GCOI=55861100869560
バグダード・バーニング (マリオン・ボヤーズ)(英文)
http://www.marionboyars.co.uk/Amy%20individual%20book%20info/Baghdad%20Burning
.html
ブロッギーズのサイト(英文): http://2006.bloggies.com/
サミュエル・ジョンソン賞候補に上がったことを伝えるBBCの記事(英文):
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/4847424.stm
同賞第一次候補者リスト(英文):
http://www.bbc.co.uk/bbcfour/books/features/samueljohnson/
午後11時23分 リバー
[訳注1]
ブロッギーズは、米ミシガンに住む23才の”otaku"失業者が主宰する、メー
ル投票でその年のベスト・ブログを選ぶサイト。2001年から。権威も資本も
関係ないよ、と徹底した手作り感覚で、賞金も主宰者がその年にちなんだ額(今
年は2006セント)を出すほか、賞金貢献参加者を募って出している。リバー
が受け取ったのは、あるブログの主宰者から贈られた200ドル分のデザイン料
(これはこの賞では破格の金額)とまた別のブログの主宰者から贈られた10ポ
ンド。
[訳注2]
ロイター配信記事より
[ロンドン 27日 ロイター] イラクの現状をブログで公開しているイラク人
女性がイギリスの文学賞にノミネートされた。この女性は、ウェブサイト「バグ
ダッド・バーニング」でユーモア、絶望、痛烈な政治批判を交えて占領下のイラ
クの実情を伝えている。
リバーベンドと名乗る24歳のイラク人女性は、2003年8月からブログを
公開している。掲載されたブログは2005年にマリオン・ボイヤーズ社から出
版され、このほど英国の優れたノンフィクション作品に授与されるサミュエル・
ジョンソン賞のノミネート作品に選ばれた。
エイプリルフール・・・
アラビア語では「キスベトゥ ニーサーン」で知られている。
現在のイラク政府が彼らの日として選ぶなら、4月1日よりふさわしい日があ
るかしら?なんといっても「馬鹿の日」というぴったりな名前がついているもの。
最初に選挙の結果を発表してからというもの、彼らは政府をまとめようと、ば
かげた努力を続けている。それを私たちは辛抱強く待っている。そのうち罰して
やるぞと何週間も何週間も脅され続けているうちに、いつの間にか、もう罰をも
らっておしまいにしてほしいと望むようになるような感じだ。
彼らが何らかの進歩をするとか大きな変革ができるなんて、誰も信じてないと
思うけど、とにかく私たちは最終的な形ができるのを待つのに疲れてしまってい
る。私たちは、誰が権力を握るのかを知る必要がある。なぜなら何か事を必要と
する時、誰に賄賂を支払い‘タズキーヤ’(擁護)を得ればよいのかを知りたい
から。内務省のならず者たちが親戚を引っ張っていく時、私たちはどの宗教政党
に赴けばよいのか知る必要があるのだ。
内閣総理大臣の地位をめぐってあまりに長いこともめ続けているものだから、
私は、ブレマーがまたここにきて、2003年にやったそのままに"月毎のお人
形"を手配してくれたらって、いまにも願いたくなってしまいそうだわ。
ともあれ、イラク人相手にエイプリルフールのうそをついてからかいたかった
ら(遅ればせながらにでも、もしかして来年も使えるかも)以下のものはいかが
かしら:
1.「ねえ聞いて!? この夏、電気が通じるの!!!」(ロウソクを半分に折
って歓声をあげて空に放り上げれば、もっと効果的)
2.「ねえ聞いて!? 米軍が2010年までに撤退して、後に常設基地を残さ
ないって宣言したのよ」(これは真面目な顔で言われるべきよ)
3.「ねえ聞いて!? 二つ向こうの通りまでの一帯の林の中で、死体を3体見
つけなかったって!!!」
4.「ねえ聞いて?! 傀儡たちがついに政府を組織したのよ!!!」
5.「ねえ聞いて?! 実は( )は拘留されてないのよ!!!」(( )内に
は親戚や友人の名前を入れて。誰でも監獄に入れられた誰かを知ってるわ)
6.「ねえ聞いて?! チャラビが石油危機を解決したのよ!!!」
7.「ねえ聞いて?! 宗教私兵集団はもういない-彼らは国から追放された
の!!!」(これは低い声で言ってね、わかってると思うけど)
8.「一大ニュース!! 米国が、イラクの石油収入と寄付金の何十億ドルのお
金を、どのように使いこんだかについて公表することにしたんだって!!!」
9.「ねえ聞いて?! 彼らが国を再建するのに実際に着手することにし、再建
には5年かかると見積もられてるんだって!!!」
10.「ねえ聞いて?! 彼らはザルカウィを捕まえたんだって!!!」(これ
は彼が実際に存在するって考えているイラク人にだけしか通用しないわよ)
午後10時46分 リバー
(翻訳:リバーベンド・プロジェクト:ヤスミン植月千春)
------------------------------------------------------------------------
TUP速報
配信担当 萩谷 良
電子メール: TUP-Bulletin-owner@yahoogroups.jp
TUP速報の申し込みは:
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/
*問い合わせが膨大な数になっています。ご返事が書けない場合がありますので、
ご容赦ください。
■TUPアンソロジー『世界は変えられる』(七つ森書館)
JCJ市民メディア賞受賞!!
■第II集 も好評発売中!!
************************************
「バグダッド・バーニング」がS・ジョンソン賞の最終候補に 今年のブロッキーズ賞も受賞
【東京5日=河合敦】3年前のイラク戦争の開戦以来、苦難の続くイラクの人々の暮らしを綴り続けてきた匿名の若いイラク女性のブログ「バグダッド・バーニング」がこのほど、英国の優れたノンフィクション作品に授与されるサミュエル・ジョンソン賞の最終候補作品にノミネートされた。同ブログはまた、世界の優れたブログに与えられるブロッギーズ賞の「アフリカ・中東部門賞」を受賞した。 バグダッド・バーニングは「リバーベンド」という筆名のイラクのバグダッドかその近郊に暮らしているとみられる若い女性が英語で書き続けているブログで、イラクの人々の絶望と悲しみを綴りながらも、みずみずしい感性と時にはウィットに富んだユーモアのセンスゆえ、世界中で多くの読者を獲得。「イラクのアンネ・フランク」との評価も得ている。 日本で邦訳書が出版されているほか、2005年には英マリオン・ボイヤーズ社からブログは出版されている。 サミュエル・ジョンソン賞のノミネート、ブロッキース賞の受賞について筆者のリバーベンドは4月2日のブログで「『おめでとう!!!』という件名の何10通ものメールで受信箱が溢れていた」と書き、感謝の気持ちを伝えている。 サミュエル・ジョンソン賞は欧米ではノンフィクション作品に贈られる最も権威ある賞として知られている。 ブロッギーズ賞は、米ミシガンに住む若い失業者が主宰するメー ル投票でその年のベスト・ブログを選ぶサイトで、2001年から始まった。 |