甦る沖縄戦の記憶。防衛省。南西諸島有事限定で民間船「徴用」を検討・・・・/沖縄タイムス

2014-01-10 19:18:15 | 沖縄
離島防衛 強権的姿勢に懸念
2014年1月6日
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=60120&f=m

防衛省が南西諸島地域の離島防衛作戦の輸送に民間船舶を使い、乗組員に予備自衛官を充てる構想を作成したのは、有事の際の後方支援態勢を補完するためだ。予備自衛官の積極的な雇用を促し、民間を巻き込む強権的な姿勢には懸念も出かねない。協力を求められる民間企業の理解が不可欠で、慎重な政治判断が求められる。

 海上輸送を担う海上自衛隊が保有する大型輸送艦は現在3隻だけ。新たな輸送艦を建造するには500億円以上かかる。このため政府は2014年度に試験的に民間フェリー1隻を約11億円の年間契約で借り上げ、南西諸島地域での訓練に投入する。具体的には津軽海峡フェリー(北海道函館市)所有の輸送船「ナッチャンWorld」を想定。ただ実際の有事で同社フェリーが使われるかどうかは決まっていない。

 有事の民間活用をめぐっては湾岸戦争当時、海部俊樹内閣が日本航空に輸送協力を求めたものの、組合側の拒否により米航空会社の航空機を利用した経緯がある。現行制度では海上運送法26条で、政府が強制力をもって航行を命じる「航海命令」が定められているが、有事は対象としないと政府は解釈している。

 機動展開構想は船舶業界へのヒアリングの結果、危険が存在する地域で民間人が運航する際、組合の同意を得るのは困難だとして「有事における契約に基づく民間船舶の利用は厳しい状況だ」と明記している。

 そこで、危険を伴う輸送の乗組員全員を予備自衛官にすれば、万が一被害を受けたとしても自衛官と同じように手厚い補償制度を適用できるメリットがあると判断したとみられる。

 ただ、これまでの予備自衛官は戦闘部隊が前線に出動した後の基地の警備が主な任務だったのに比べ、機雷や潜水艦からの攻撃を受ける危険性が高まるのは確実だ。退職自衛官の雇用を図ろうとしても、本人や家族の理解を得ることが前提となるため、防衛省が想定する輸送力を確保できるかどうかは見定めきれない。

県内反応:対馬丸の記憶蘇る 職場奪われる

 防衛省が南西諸島有事に限定して、民間船の「徴用」を検討していることが明らかになった。だが、県内船舶会社の元トップは慎重な見方を示す。疎開船が撃沈されるなど、軍が民間を道連れにした沖縄戦の記憶も甦(よみがえ)る。

 琉球海運の社長、会長を務めた比嘉榮仁さん(75)は、「国家有事とはいえ百パーセントすぐ協力とはいかないのでは」と話す。

 災害の救援物資や救助隊の輸送で自衛隊、警察の船が足りない場合は、協力する協定がある。だが、有事はさらに慎重な検討が必要とみる。「民間だから特に船の安全性、海員組合との調整も必要になるだろう」

 民間船徴用は、若くして退職する人が多い自衛官OBを会社に雇用させる構想とセットだ。今いる船員が置き換えられる恐れがあり、連合沖縄の大城紀夫会長は「再雇用制度をつくるべきであり、人の職場を奪うとはもってのほかだ」。

 戦時中には日本軍が同じように民間船を徴用し、学童疎開船「対馬丸」なども攻撃された。「今度も全ての民間船、民間港が標的にされる」と警告した。

 防衛省が南西諸島に限定して検討していることも、警戒を呼ぶ。沖縄平和運動センターの大城悟事務局長は「とんでもない話。島しょ防衛の名の下に、また沖縄を犠牲にするのか」と憤った。

 すでに昨年11月には、自衛隊の地対艦ミサイルが訓練のため民間船で沖縄に運ばれている。「今後、民間船の使用が本格化する可能性がある。民間を戦争に巻き込む環境づくりには断固反対だ」と強調した。

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