沖縄県知事選・普天間問題 違いを見極め選択したい/琉球新報23日社説

2010-11-24 07:57:20 | 沖縄
沖縄の重大な分岐点となる県知事選挙まであと5日に迫った。事実上の一騎打ちを繰り広げる現職の仲井真弘多、新人の伊波洋一の両候補が激しく競り合い、予断を許さない情勢の中で終盤を迎える。
 今知事選で、最大の争点の一つはまぎれもなく米軍普天間飛行場の返還・移設問題である。
 仲井真、伊波の2氏が「県外」「国外」に移すことを公約に掲げた。争点がかすんだとする見方には、政治的思惑も見え隠れする。県民世論を土台に、2人の有力候補の政策から県内移設の選択肢が消えた事実は重い。地殻変動の中で迎える知事選の歴史的意義をかみしめたい。
 「世界一危険」と称される普天間飛行場問題の原点は、基地周辺住民の命を守る観点での返還だった。しかし、日米両政府は返還条件となった県内移設にとらわれ、賛否の意思表示を迫られた沖縄社会は揺さぶられ続けてきた。今選挙は、県民自らそのくびきを断ち切り、名護市辺野古への移設計画の命脈を断つ可能性を帯びている。
 仲井真、伊波の両氏の公約や発言を読み取れば、その違いははっきりしてくる。
 県内移設を容認・推進してきた仲井真氏は、高まる世論に押される形で「県外移設要求」にかじを切った。「日本全体で負担を負うべきだ」「県内は不可能に近い」。本土を視野に入れた移設による解決が望ましいとにじませる一方、「県内移設反対」の言質を求めると慎重に明言を避けている。
 有権者からは県内に反対と見なされたいが、政府との決定的な対立は避けたいという姿勢に映る。沖縄振興の新たな法整備など今後の折衝を見据え、政府との協議の門戸を開いている。
 伊波氏は、県内移設反対を鮮明にし、米公文書の詳細な解読を基に、国外、特にグアムへの移転が米軍の既定路線であると持論を展開している。その一方、推薦する3政党との基本姿勢との兼ね合いもあり、本土を視野にした県外移設に踏み込むことは避けている印象がある。
 「辺野古移設を葬り去る」と強調する伊波氏は、日米合意を前提とした協議には応じず、両政府に断念を迫るとしている。
 日米安保に対する価値観も異なる。日米両政府との交渉手法の違いは有力な判断材料となるはずだ。政策や公約を今一度精査し、沖縄の明日を託す一票を投じたい。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-170434-storytopic-11.html

よろしければ、下のマークをクリックして!
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。