解放のゆくえ 第 12 回 撤退も増強も成功の保証なし/イラク情勢ニュース

2006-12-17 22:25:51 | イラク

URUK NEWS イラク情勢ニュース           
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2006/12/17 (日)

  [飛耳長目録 today's news list]

☆解放のゆくえ 第12回 撤退も増強も成功の保証なし
☆イラク駐留米軍の2万人増派の検討指示 ブッシュ氏

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☆★解放のゆくえ イラクは今・・・
第12回 2006年12月17日
撤退も増強も成功の保証なし
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http://www.geocities.jp/tomesannew/uruknews_Shiro_Yamamoto.html

 超党派のイラク研究グループ(通称ベーカー委員会)は12月6日にイラク政
策の見直し勧告を発表し、ブッシュ大統領はこれを受けて政府の新たなイラク政
策をクリスマスまでに決定すると約束した。だが、週が明けて11日(月曜日)
に国務省を訪問して外交政策チームと協議し、翌12日にはイラクにいるアメリ
カ軍司令官およびハリルザド大使らとテレビ会議、さらにイラクのハシミ副大統
領とワシントンで会談したあと、新たなイラク政策の決定は来年に延期すると発
表した。

 ※米・新イラク政策、発表は来年に延期
 http://geocities.yahoo.co.jp/gl/uruknewsjapan2006/view/20061213/1165990832


■撤退も増強も成功の保証なし

 その後、14日にはマケイン上院議員がイラク駐留米軍を大規模に増強すべき
だと発言し、15日にはラムズフェルド国防長官が退任式典でイラク撤退要求を
批判するなど、タカ派からの撤退論批判が強まり、ブッシュ大統領がベーカー委
員会の勧告に背を向けるのではないかと懸念を表明する論調も出はじめている。

 このようなタカ派からの巻き返しと、ブッシュ大統領自身が新イラク政策の決
定を遅らせている状況のなかで、アメリカの一般世論では「中間選挙後にブッシ
ュがしたことは結局ラムズフェルド解任だけ」といった不満と不信感がいっそう
強まっている。

 ※ベトナム反戦をしのぐイラク戦争反対
 http://geocities.yahoo.co.jp/gl/uruknewsjapan2006/view/20061214/1166097538

 ※イラク人の66%、「米軍が撤退すれば暴力は減る」
 http://geocities.yahoo.co.jp/gl/uruknewsjapan2006/view/20061215/1166188887

 上述した共和党のマケイン上院議員はバグダッドを訪問して米軍司令官たちと
協議したあと、「悪化の一途をたどる現地情勢」を立て直すために、相当規模で
の米軍増強が全体状況を変える1つの戦略だと述べた。具体的には5~10個旅
団、兵員数にして約3万5000人の増強という。しかも彼のイラク駐留米軍の
増強論は、軍の一部で唱えられている一時的な増強とは違って、支配を確立する
まで継続するというものである。

 一時的増強論は軍関係者のなかに長くくすぶってきた主張で、段階的に撤退す
るにしても撤退前に一時的に増強して反政府ゲリラ勢力を潰しておくという作戦
を想定している。

 (ただし最近では軍事力によるマフディ軍の強制解体も目的の一つにあがる。

 だが米軍が過去にアンバル州で実行した掃討作戦の経験では、掃討作戦によっ
て一時的にその場所ではレジスタンスの姿が消えても、米軍の大部隊が去るとま
た戻って来るという繰り返しであり、掃討作戦の効果を疑う現実論も軍内部に強
くある。そのうえ、米軍全体の兵力にその余力はもはやないとみる司令官もいる

 ベーカー委員会でも勧告をまとめる過程でこの「増強後に撤退」を選択肢とし
て検討したが、結局は同じような議論を繰り返したのち選択肢から排除された。
浮上しては消え、消えてはまた再浮上する背景には、それでも何らかの軍事的対
策が必要であるという米軍上層部とイラク戦争・侵略を強硬に主張したタカ派勢
力のアセリが見え隠れしている。それはまさしく、ブッシュ政権が軍事的攻勢も
とれず、かといって駐留米軍の大規模な削減もできないまま現地情勢を泥沼化さ
せてきた過程と重なる。

 しかもベーカー委員会の勧告が正式に発表されたあとの今となっては、一時的
ではあってもイラク駐留米軍の増派は勧告の拒否とも受けとめられかねない。軍
内部の検討においても増派計画はまさしく「ダブル・ダウン」(※)にほかなら
ないと見られている。ダブル・ダウンとはゲームの途中で賭け率を上げることを
言い、負けたときの損失も大きい。

 ※Pentagon's plan: More U.S. troops in Iraq

 つまりベーカー委員会の勧告を「勝利なき撤退戦略」と受けとめるなら、これ
はブッシュ大統領に政策転換のチャンスを与える最後の助け舟であるが、もしこ
れを拒否して強硬策が失敗すれば、それは1人の大統領の失策にとどまらず、政
治的にも経済的にも取り返せしのつかないアメリカ国家の大損失となるのは間違
いない。ブッシュ政権が基本的にどう判断するにせよ、状況を見極めるために新
たなイラク政策の決定を遅らせたとしても不思議ではない。それほどの窮地に追
い込まれていることを直視すべきだろう。

 ブッシュ政権にとってはベーカー委員会の勧告を受入れることも「厳しい」選
択である。仮に全面的に勧告を受入れたとしても事態が好転するという保証はな
いからだ。

 イラク政府への権限委譲は、イラク政府がアメリカの傀儡(かいらい)として
機能し、それを通じてイラクにおけるアメリカの特に石油利権を確保することに
主眼がある。ベーカー委員会も石油利権を断念したわけではないが、確保を保証
する代替案を示すことはできなかった。そこでマリキ首相の統治能力が疑われる
わけで、最近のブッシュ大統領はマリキ首相への支持表明を繰り返しているもの
の、首脳会談前に米国メディアにリークされたホワイトハウスの秘密メモでも明
らかなように、腹の中では強い疑念を抱いている。

 既に中間選挙から1ヶ月。ベーカー委員会の勧告も概要は選挙前から報道され
ていたものと大差ない。この期におよんでのホワイトハウスの混迷ぶりは、イラ
ク戦争・占領が最初から間違いであったことを浮き立たせるばかりである。

(つづく)


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☆★イラク駐留米軍の2万人増派の検討指示 ブッシュ氏
CNN 日本語版 12月16日
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http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200612160016.html

(CNN) ブッシュ米政権が進めるイラク政策見直しで、同大統領が米軍やホ
ワイトハウスの予算編成担当者に、イラク駐留米軍を2万人もしくはそれ以上に
増派した場合の対応策の検討を求めていたことが16日分かった。米紙ニューヨ
ーク・タイムズ(電子版)が政権高官の情報として報じた。

先の米中間選挙での与党・共和党の敗北を受け、ブッシュ大統領は来年1月にも
イラク政策の新指針を発表する見込みだが、同紙の報道が正しければ、武装勢力
の攻撃が連日のように続くイラクの情勢安定化のため、暫定的にでも、増派に傾
斜していることを示すことになる。

同紙によると、増派案では最大5万人以上も検討されているが、内外の政治的配
慮や米軍が担う訓練、人員確保上の負担もあり、3万人以上の派遣は不可能との
見方が定着している。海兵隊など米軍内部ではイラク駐留の長期化を強いられ、
決まっている休暇が取れないなどの不満、疲労感が募っている、とされる。

ホワイトハウスは増派の問題で、ブッシュ氏が最終決断は下していないとしてい
る。

ただ、実際に増派を決めれば、イラク軍の能力向上、軍事・治安作戦での早期移
譲を支持する駐留米軍司令官らの意見と衝突する可能性もあり、調整が迫られる
ことになる。

イラク駐留米軍はこれまで、14万─15万人規模となっている。

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※関連報道;
ニューヨーク・タイムズ 12月17日付
Options Weighed for Surge in G.I.’s to Stabilize Iraq

http://www.nytimes.com/2006/12/16/world/middleeast/16military.html?_r=1&ref=todayspaper&oref=slogin


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処刑判決直前に米国がサダムに復権を持ちかける サラーフ・アル・ムフタール /アラビアニュース

イラク戦争の本当の主敵同士である米国と、イラク抵抗勢力の中心的存在と見られるイラク・バース党との虚虚実実の心理戦、情報戦が激しさを増している。現在イエメンに在住しバース党の広報官的な立場にあるサダム政権時代の外交官のサラーフ・ムフタール氏は、ベーカー、ハミルトン勧告を一蹴し、米国が抵抗勢力と接触していると認め、サダム・フセイン元大統領に本人とバース党の復権を持ち掛けたと明かした。15日付のバスラ・ネットなどが掲載した。

http://www.albasrah.net/ar_articles_2006/1206/mukht_141206.htm

【アラビア・ニュース】  齊藤力二朗 転載は見出しと序文、URLのみに限定
http://groups.yahoo.co.jp/group/arabianews/



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