菅政権 東電の「賠償」をめぐり 致命的な迷走 ほか/JCJふらしゅ

2011-05-05 14:33:23 | Weblog
▽混乱の「ベント」作業のなか 「最悪の事態」予測もなされていた
 共同通信によると、大震災翌日の3月12深夜に、格納容器が破損して敷地境界で
の「被ばく線量」が重大な健康被害を及ぼす「数シーベルト以上(1シーベルトは千
ミリシーベルト)」になるとの予測が、政府内で示されていた。あの「ベント」作業
の云々の騒ぎのなかで起きていた。ようやく出てきた「隠蔽」の実態。事故調の設置
も日程に迫りくるなか、「保身」による「隠蔽」から、「公開」棲みのアリバイ作り
へと関係機関もいっせいに走り出したか。

 なお、福島第1の3号機の爆発(3・14)について、「水素爆発と言われている
が、核爆発ではないか」との指摘が米国の専門家から指摘が出るなど話題を呼んでい
る。この件については、水素爆発、核爆発、核暴走の観点からの整理が必要だろう。
市民社会フォーラムの4日付<小出先生 2011/5/4のお話(3号機核暴走、住田健二氏
のこと)>での、小出氏の指摘が参考になる。 http://civilesociety.jugem.jp/?eid=8339

福島原発、ベント難航で最悪想定 政府、大震災の翌日(共同通信3日)
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011050301000803.html
福島原発「ベント」周知せず着手 作業員、被ばくの危険に(共同通信1日)
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011050101000622.html

▽菅政権 東電の「賠償」をめぐり 致命的な迷走
 東電の賠償資金確保のため、電気料金の大幅な値上げを容認する流れが菅内閣でで
きつつある。民主党もこれを容認する方向で動きつつあるとの情報が出ている。菅政
権、まったく愚かなり。東電と銀行・金融筋の泣きと圧力に突き動かされ、その場し
のぎで<賠償>保障のための<値上げ>に走れば、なおさら事態を混乱・混迷させる
ことが理解できないのだろうか。

 方法がまったく逆である。守るべきは「東電」ではなく、被害者に対する補償と電
力供給体制及びその改善・改革策行使の余地にある。

 5日付の朝日新聞の報道によると、東京電力が、原子力損害賠償紛争審査会(原発
事故に伴う損害賠償の目安をつくる)に対して要望書を提出していたことが4日、分
かった。東電は、1)全額を負担すると最大限のリストラをしても賠償費用を払うこ
とは困難、2)被害救済には「国による援助が必要不可欠」、3)援助がない賠償の
枠組みは「原子力損害賠償法(原賠法)の趣旨に反する」、4)援助の具体的な方策
が確定しない中では、1次指針に基づいて全額を払うことは「早晩困難になる」、
5)援助がない賠償の枠組みは「原子力損害賠償法(原賠法)の趣旨に反する」
 などの見方を示して、賠償能力を考えて目安となる判定指針を策定するように注文
・要望したという。

 東電の保身と銀行・金融(トップ筋=株主賠償訴訟の対象となる)の保身の論理に
まんまと飲み込まれそうになっている菅政権の迷走は、これも政権の「保身」のみを
優先している証左に他ならない。この道は、そのまま問題をうやむやに隠蔽し、問題
解決をいたずらに遅らせるものでしかない。だが「事実」「現実」は動かしようがな
いのだ。国民の「負担」で問題の隠蔽・先送りを図るだけの方法は、国民だけでなく
国際社会を欺こうとするものである。国を路頭に追い込みかねない。

 日本政府はこの件について、まず、桂敬一<いますぐ必要な「モラトリアム」とい
う考え方─メディアは政治休戦と「復興」への環境整備を促せ(4月29日)>を読
むことから始めるべし。 http://jcj-daily.seesaa.net/article/198365220.html

東電「賠償能力に配慮を」 1次指針策定直前、紛争審に(朝日新聞5日)
http://www.asahi.com/national/update/0504/TKY201105040358.html
【原発】東電の賠償原資で電気料金値上げを検討(TV朝日4日)
http://news.tv-asahi.co.jp/news/web/html/210504025.html
賠償で電気料金値上げ検討(TBS5日)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4716868.html

▽内部被ばく臓器 等価線量の積算線量試算値
 ようやく出てきた文部省の発表資料。3月12日6:00から3月24日0:00
までの実測値から逆算した放出量をもとに、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネッ
トワークシステム)がで行った<内部被ばく臓器 等価線量の積算線量試算値。この
試算値によると、100mSv等値線が、50km離れた伊達市まで達していたこと
になる。

 SPEEDIが震災で稼動しなくなっていたことが判明しているが、そのため発電
所周辺の放射性物質の濃度や空間線量率の値を計算することができない状態が続いて
いた。原子力安全委員会は、SPEEDIを開発した(独)日本原子力研究開発機構
の研究者の協力を得て、原子炉施設での測定に代わる方法を検討し、上記の方法でこ
の数値を発表したとしている。

文部科学省 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による計算結果
http://www.nsc.go.jp/mext_speedi/
SPEEDIによる積算線量の試算結果/一歳児甲状腺の内部被ばく等価線量
(3月12日午前6時から3月24日午前0時までの積算線量)
http://www.nsc.go.jp/mext_speedi/0312-0324_in.pdf

▽これも小泉政権当時 老朽原発・耐震性「実地テスト」施設の閉鎖
 香川県の多度津町。6年前まで、原発事故を回避するための重要な研究設備があっ
た。老朽原発の設備の耐震性の「実地テスト」が日本で唯一可能な施設・財団法人原
子力試験工学センター(当時)の多度津工学試験所だ。ところが05年、小泉政権当
時だ。この施設を引き継いだ独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」が
「効率化」と「維持費の削減」のため試験所の<閉鎖を決定>した。建物・敷地ご
と、競争入札で今治造船に払い下げた。アエラによると<建設費310億円>に対
し、<売却価格は2億7700万円>。造船会社に振動台は使い道がない。造船会社
はすぐにスクラップ廃棄して、現在かつての建物は、船体の製造施設になっている。

売却され「スクラップ」に | (AERA3月27日)
http://www.aera-net.jp/summary/110327_002304.html

[JCJふらっしゅ]
http://archive.mag2.com/0000102032/index.html
まぐまぐID:0000102032/不定期刊(ほぼ日刊)購読無料/plain_text
<禁無断複製転載>
・発行所/JCJふらっしゅ編集部 http://archive.mag2.com/0000102032/index.html

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