ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『あいつと俺』#02

2018-11-16 22:22:26 | 刑事ドラマ'80年代









 
第2話(脚本=中村 努/監督=櫻井一孝)は原田美枝子さんのゲスト回。

原田さんがM16ライフルを愛用する凄腕のスナイパー(狙撃手)役、しかも黒革のツナギ姿でバイクを乗り回してる予告編を観て、初回とはうって変わってハードアクション編!?かと思ったんだけど、誤解でしたw

舞台は千葉県・九十九里の美しい海岸だし、原田さんが狙うのは自分を捨てた母親だったりするし、結局殺さないで自殺しちゃうし……

年老いた母親を殺すのに、わざわざプロの殺し屋になっちゃう女って、んなヤツはおらんやろ~にも程がありますw

主役の刑事=川谷拓三さんは彼女と交流しつつも、結局何もしないまま終わっちゃうし、相棒である筈の清水健太郎さんに至っては、東京に留まったままストーリーに全く絡んで来ない!

第4話まで観たんだけど、川谷さんが清水さんとコンビで動いたのは初回だけで、第2話以降は他の刑事と組んでるんですよね。『あいつと俺』の「俺」しか活躍してないw

たぶん、脇役専門アクターである川谷さんの主演じゃ売りが弱いってことで、当時人気の清水さんとのダブル主演を謳ったものの、実際には清水さんが多忙でろくにスケジュールが取れなかった……みたいな裏事情があったのかも知れません。それが4話でいったん打ち切り云々のトラブルに繋がったのかも?

それはともかく、この第2話は初回以上に展開が解りづらく、何ともシュールなドラマになってました。

もしかしたら、殺し屋を描いたシナリオと母娘の確執を描いたシナリオが別々にあって、それを無理矢理くっつけた結果なのかも知れません。

で、あとは現場のノリ=行き当たりばったりで撮影していったみたいな、実に『警視―K』的エピソードでしたw

試写を観たテレビ局の上層部やスポンサーから「話が解らん!」「山場が無さ過ぎる!」みたいなクレームが入ったんでしょうか、第3話と第4話はもう少しノーマルな分かりやすい内容に軌道修正されてました。

けれども、あまりに何から何まで分かり易くて、視聴者に想像の余地を与えないドラマばかりになった現在においては、難解であろうと辻褄が合ってなかろうと、もっと自由な発想で創られた本作の方が刺激的で面白いです。

たぶん、勝プロダクションが一番大事にしたのはそこんとこで、だからこそ、型にはまらない芝居をされる川谷拓三さんを主役に選んだ。そんな気がします。

ゲストの原田美枝子さんは当時21歳。15歳でのデビュー映画『恋は緑の風の中』でいきなりボインぼよよ~ん!なヌードを披露。以降、映画のみならずゴールデンタイムの2時間ドラマでも当たり前のようにボインぼよよ~ん!される等、脱ぎっぷりの良さで我々をさんざん悦ばせてくれた素晴らしい女優さん。

連ドラへの単発ゲスト出演は数少なく、本作の他は『太陽にほえろ!』『探偵物語』『警視―K』『警視庁殺人課』と、刑事・探偵ドラマばかりチョイスされてる点でも親しみがあり、現在でも現役バリバリでご活躍されてるのは嬉しい限りです。
 
 
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『あいつと俺』#01

2018-11-16 17:00:03 | 刑事ドラマ'80年代







 
1980年の3月、東京12ch(現・テレビ東京)の火曜夜8時枠で第4話まで放映され、諸事情により打ち切り→'84年の再放送枠で残りの8話が放映されたという、曰く付きの刑事ドラマです。

何故そんな事になったのか、理由は定かじゃないんだけど、恐らく製作が勝プロダクションだったから、かと思われますw

1980年と言えば勝プロが『警視―K』『走れ!熱血刑事』を製作した年であり、多額の負債を抱えて倒産する直前の年でもあります。きっと色々あったんでしょう。

主演は川谷拓三&清水健太郎のコンビで、所属は警視庁の捜査一課なんだけど、毎回なぜか出張させられ、各地方でアウェイな捜査をするロードムービー的な構成になってます。

その設定自体は松田優作&中村雅俊の『俺たちの勲章』と似てますが、実際のテイストは後発の勝プロ製作ドラマ=勝新太郎 監督・主演『警視―K』にかなり近いです。

つまり、刑事ドラマらしい捜査やアクション描写、説明的なセリフは極力排除し、起承転結にも拘らず、即興芝居によるライブ感を重視した創り方。セリフが聞き取りにくい点もよく似てますw

なので、観てる我々が理解出来ないまま話が進み、たぶん辻褄も合ってないから、置いてけぼり感がハンパないw これじゃ視聴率は稼げません。

だけど今となっては、これも『警視―K』と同じで、ありきたりな刑事ドラマにはしたくないっていう、創り手のチャレンジ精神にこそ心を打たれます。現在のテレビ業界じゃまず有り得ない(許されない)姿勢ですから。

第1話(脚本=東條正年/監督=根本順善/ゲスト=山田吾一、早川絵美)は北海道ロケで、犯人追跡にはパトカーじゃなく馬ソリやセスナ機を使う等、刑事ドラマで見慣れた画は一切撮らない意志が徹底されてます。

そして何より、今は亡き川谷拓三さんが醸し出す、唯一無二の味わいと存在感。とは言え本来は脇役専門アクターですから、そんな川谷さんに主役を張らせた勝プロ&テレビ東京の度量の広さも、また素晴らしいと思います。

相棒役の清水健太郎さんは後に迷走しちゃうけど、本作では良い味を出されてて、意外と似合いのコンビです。当然、主題歌も唄うのかと思いきや、なぜか当時駆け出しのアルフィーに譲っておられます。

ほか、捜査一課のチーフに岸田 森、雑誌社の編集長に草野大悟、元刑事のラーメン店主に伴 淳三郎と、実に濃い味わいの布陣。刑事役キャストの中には大柴亨介(後のルー大柴さん)も含まれてます。

そして本作のヒロインとなるのが、雑誌記者役の伊藤咲子さん、当時22歳。

『木枯らしの二人』『乙女のワルツ』『きみ可愛いね』等のヒット曲で知られたアイドル歌手で、ドラマ出演は数少ないけどしっかりした演技をされてます。ヌード写真は25歳頃に撮られたもので、けっこう話題になった記憶があります。

しかし、こんな異色の刑事ドラマが存在したとは、つい最近まで知りませんでした。まだまだ未知の作品がありそうで、奥が深いです。
 
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『大捜査線』#26

2018-11-16 12:00:03 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第26話『ああ沢木刑事! 青春の赤い墓標』

(1980.8.14.OA/脚本=田村多津夫/監督=高橋繁男)

『太陽にほえろ!』ではついに見られなかった、神田正輝さん=沢木刑事の殉職編です。

オンエアは'80年の8月14日。『太陽~』にドック刑事が登場したのは同年7月18日なので、神田さんは約1ヶ月間、2つの番組で刑事を演じた事になります。(たぶん撮影は掛け持ちではなく、それだけ『太陽~』のスケジュールがタイトだったって事でしょう)

暴力団の裏金に手をつけ、生命を狙われた若者カップルを救おうとして殺されちゃう設定は『太陽』のボギー(世良公則)殉職編に似てます。

父親が殉職刑事であるがゆえに刑事という職業を嫌う女性(吉村彩子)と、恋が芽生えた矢先に……っていう死亡フラグの立て方も、実に青春ドラマ的で『太陽』を彷彿させます。

されど、決戦の地に着いた途端ヤクザ軍団に取り囲まれ、すぐさま背後から1発、振り返ったらまた背後から1発撃たれて、あっという間に倒れちゃうあっけなさは『大捜査線』ならでは。

で、直後に駆けつけた加納主任(杉 良太郎)がコルトを撃ちまくり、例によって1人で敵を皆殺しw 今回はさすがに出番少なめで、神田さんに花を持たせてると思ったのに、そこだけは意地でも譲らないw

結局、神田さんの華麗な銃さばきは最後まで見られずじまいで、杉サマに「俺を見捨てるんだな」なんて嫌味を言われようが『太陽』に移籍して大正解でしたw

最後ぐらい沢木のガンアクションがあっても良かったろうにって思うけど、もし銃を持ったヤクザ数人に囲まれたら、そりゃあ1発も撃てないまま殺されちゃう方が現実的です。

で、加納主任が無我夢中でヤクザどもを片付けて、ふと振り向いたら驚いた! 沢木、死んでるじゃん!?って。

つまり、沢木が息絶える瞬間の描写もあえて省略されており、そこをしつこいほど見せちゃう『太陽』とは真逆のアプローチ。

リアルなのは圧倒的に『大捜査線』の方で、それだけに視聴者はトラウマを植え付けられたかも知れません。まして、今回が沢木の殉職編だと知らずに観た人は、かなりの衝撃を受けたんじゃないでしょうか?

沢木が好きだった女性が刑事部屋を訪れ、加納が自分の煙草を線香代わりに手渡す、切ないラストシーン。

「私……刑事って仕事、好きになれないけど、でも、理解出来るように努力するって、沢木さんに言いました……この人なら、理解出来るって思ったから」

父親が殉職したせいで刑事嫌いになった女性に、希望の光を与えた沢木もまた…… 彼女の言葉が、残された加納たち刑事の胸に突き刺さります。

そこで流れるエンディング主題歌が、番組後期から採用されたフツーの歌謡曲じゃなくて、あの『君は人のために死ねるか』なんですよね!

まさに沢木は、人のために……はっきり言ってしょーもない若造カップルのために、命を散らしたワケです。あいつの名はポリスマン!

この演出にはグッと来たし、自然と涙が出ました。全くの他人のために、自らの生命を懸ける。それを描いてこそ『大捜査線』であり、真の刑事ドラマなんです。

つくづく、昨今の謎解きゲーム番組にはウンザリです。ええかげん、そろそろまた、本物の刑事ドラマを見せてくれ! 結論はそれに尽きます。

沢木刑事と恋に落ちる女性を演じられた吉村彩子さんは、当時20歳。'80年公開のにっかつロマンポルノ『少女娼婦/けものみち』で主演デビューを飾るも、芸能活動はごく短かったようで、Wikipediaにもプロフィールは載ってません。本作は吉村さんの数少ない出演作としても貴重なフィルムと言えましょう。
 
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『大捜査線』#12

2018-11-16 08:20:08 | 刑事ドラマ'80年代






 
1980年代は暴力刑事が花盛りのお祭り状態。『西部警察』『大激闘/マッドポリス'80』には暴力刑事しか出て来ないし、『警視庁殺人課』のミスター(菅原文太)は44マグナムで射殺三昧、一見爽やかな『走れ!熱血刑事』の松平 健さんですら、怒ると暴力に歯止めが効かなくなる狂犬サンバ男でした。

『大捜査線』の加納主任(杉 良太郎)も負けじとばかりに、丸腰で逃げる犯人を背後から射殺するなど朝飯前のやりたい放題。

第10話『誘拐』では、卑劣な誘拐犯を拳銃でホールドアップさせておきながら、わざと身体をぶつけて「お前、警察官に手を出したな? 工務執行妨害だ!」ってw、壮絶な体罰を延々と加えた挙げ句、被害者女性の前に突き出して謝罪を強要。

犯人は顔がボコボコで声が出せないのに「おいっ、聞こえねえぞ! さっさと謝れっ!」ってw、更に痛めつけて血ヘドを吐かせるというマッドぶりで、被害者女性を震え上がらせましたw

第12話『路上の結婚式』では親友を殺した犯人を追い詰め、脚を撃って動けなくしてから延々と殴る蹴るの体罰を与え、駆けつけた部下たちに羽交い締めされても尚、それを振り切って電話の受話器で殴り続けるという狂犬ぶり。そこに見えるのは熱い正義感ではなく個人的な怨念だけw

テレビのヒーローにあるまじき暴力行為として良識派には叩かれるワケだけど、相手はそれ以上に卑劣な犯罪者です。

例えば現在、スマホを見ながら車を運転する輩に子供が轢き殺された、みたいなニュースを見て、我々はやり場のない怒りを覚えるワケだけど、そのストレスを発散する方法が無いもんだから、ネット上で誰かを袋叩きにするような歪んだ「正義の味方(匿名)」が出て来ちゃう。

かつては、刑事ドラマや時代劇のヒーロー達が我々の怒りを代弁し、日頃の鬱憤を晴らしてくれたワケです。暴力は確かに悪だけど、これは必要悪なんだと私は思います。

現実では手が出せないから、せめてフィクションの世界で悪党を思いっきり成敗して、溜飲を下げる。それが我々のストレスを解消し、かえって現実世界における暴力犯罪を減らす結果に繋がるワケです。

それが今や、特撮ヒーローですら下手に暴力が振るえない。敵の怪人がわざわざ巨大化し、ロボットに倒される展開が定番になったのも、直接的な暴力描写を控えるテレビ局の自主規制なんですよね。

もちろん、必要以上にリアルに描く必要はありません。グロテスクな暴力描写は私も大嫌いです。そんなのは格好良くもないし。

必要悪はセックス描写にも言える事で、私がやたら女優さんに「脱げ」とか「乳を揉ませろ」とか言うのは、ただただ性犯罪を防止したい一心なのであって、そこにスケベ心は一切ありません。(乳首)

『ドクターX』や『半沢直樹』が大ヒットしたのも、大衆が勧善懲悪に餓えてる証拠ですよね。大門未知子も半沢直樹も、言葉の暴力で悪者をリンチし、視聴者の鬱憤を晴らしてくれるワケです。

だけど、わざわざ映像にして見せるなら、動けよ!……っていうのが私の意見。言葉だけならラジオで充分。口じゃなくて手足を動かせ!って事です。

私がエロとバイオレンスを推奨する裏側には、かくも高尚な志しがある事実を、お分かり頂けましたでしょうか?
 
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『大捜査線』#09

2018-11-16 00:00:08 | 刑事ドラマ'80年代





 
☆第9話『野良犬ブルース』

(1980.3.6.OA/脚本=山野四郎/監督=手銭弘喜)

沢木刑事(神田正輝)のロマンス編で、珍しく杉サマが脇に回られてます。

また、堀内正美さんが卑劣な強姦魔で、彼に愛娘を犯された所轄のベテラン刑事が井上昭文さん、その上司が梅野泰靖さんと、非常に刑事ドラマ濃度の高いゲスト俳優が揃ってます。

井上昭文さんは後に『西部警察 PART II』の「おやっさん」になるし、ゲスト出演の『太陽にほえろ!』ではドック刑事=神田さんとガッツリ再共演されてます。そして梅野泰靖さんはドックの父親役でした。

今回、沢木は勤務時間外の捜査で私服を着用しており、ブルゾンスタイルがドック刑事そのものだったりもして、色んな点で『太陽』ファンには見逃せないエピソードかと思います。

卑劣な堀内さんは、井上さんの娘を犯した際にエッチな写真を撮り、それを使って父親の刑事を脅迫し、罪を逃れてる。堀内さん、つくづく卑劣です。

そうとは知らない娘に、刑事の身分を隠して近づき、犯人の手がかりを得ようとした沢木が、彼女と恋に落ちてしまう。

最終的に父親は、堀内さんの卑劣な弾丸を浴びて殉職。もちろん堀内さんは、その卑劣さに激怒した杉サマからフルボッコの刑を受けます。

鬼刑事と云われながら、愛娘のために犯罪を見逃してしまった父親の悲哀。そう、刑事だって人間なのです。

沢木は、愛してしまった娘に、自分が刑事であることを言えません。彼女はもう、絶対に刑事とは結婚しないでしょう。

「辞めてやる! 刑事なんか辞めてやる!」

「辞めたければ辞めろ。お前の人生だ」

それでも結局、事件が起これば走り出さずにいられない沢木を見て、ホッとしたような笑顔を見せる杉サマなのでした。
 
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