2003年に公開された、柏原寛司 脚本&梶間俊一 監督による東映配給の日本映画です。
懐かしの昭和お色気アクションドラマ『プレイガール』のリメイクですが、それはあくまで名目で、やはり旧作ドラマのリメイクだったアメリカ映画『チャーリーズ・エンジェル』(’00) の日本版をやりたかっただけ、っていう印象です。
その気持ちはよく解る。痛いほど解る。けど、鬼門なんですよ、チャーリーズ・エンジェルの真似事は! うまくいかないんです! そもそもご本家だって続編は失敗してるし!
何を隠そう、私自身もかつてチャレンジして失敗した1人だし、2003年と言えば似たようなガールズアクション映画にメイキング監督として参加し、身も心もボロボロになった苦いメモリーがあり、観てて複雑な気分になっちゃいました。
作品の内容より、その裏側(つまり撮影現場)の大変さにばかり思いを馳せてしまう。恐らく世界で最も過酷な撮影スケジュールを強いられてる、日本映画のスタッフ&キャストの苦労をよく知ってるだけに、一刀両断にケナすことが出来ません。
ただ、この劇場版がシリーズ化されずに終わった事実が、すべてを物語ってます。世間は現場の苦労なんぞ知ったことじゃないから、そりゃあ厳しいもんです。
でも今回、このブログならではの収穫はありました。それが無いとレビューはしてません。
2003年版プレイガールのメンバーは、カオル(佐藤江梨子)、ユミコ(岡元夕紀子)、ナツミ(加藤明日美)、アヤ(八幡えつこ)という当時のグラビアアイドルたち。
一応パンチラ・アクションを見せてはくれるけど、エロさは微塵もありません。そこがそもそもの間違い。プレイガールは「低俗」でなくちゃダメなんです! イメージ(CM契約とか)ばかり気にする大手事務所のアイドルたちに務まる仕事じゃない!
そんな中、ただひとり気を吐いてくれたのが誰あろう、旧シリーズの「オネエ」にあたるリーダー「ハルカ」を演じられた、このお方!
なんと、床嶋佳子さん! 近年『警視庁・捜査一課長』シリーズで大岩捜査一課長(内藤剛志)の奥ゆかしすぎる妻=小春さんを演じておられる方が、かつてプレイガールのボスだったとは!(それが今回の収穫)
この映画、佐藤江梨子さんが主演みたいに謳われてたけど、実質の主人公はボスのハルカで、お色気要素も床嶋さんがほとんど1人で担っておられる。絵に描いたように良妻賢母な、あの小春さんが!
かつてロサンゼルス市警の敏腕刑事だった設定で、流暢なイングリッシュも披露。そして回想シーンではこんなお姿も!
そ、捜査が難航しとるようだな大岩純一捜査一課長おぉぉーっ!?😱
本来なら若手メンバーがこれくらい(いや、もっと過激に)やらなきゃいけないのに、ボスが孤軍奮闘せざるを得ないイビツな状況。もう20年近くも前だけど、芸能界はすでに死んでます。あべし!
今回のプレイガールは、警視庁が極秘裏に動かす隠密チームって設定(ありがち過ぎる!)で、旧TVシリーズの初期にナレーターを務められた梅宮辰夫さんが、ハルカに司令を伝える香川警視役で特別出演。
そして勿論、カメオ出演ってことでこの方たちもご登場!
オネエ役の沢たまきさんと、旧プレイガールの桑原幸子さん、西尾三枝子さん、太田きよみさん、夏樹レナさん。定期的に同窓会を開くなど交流が続いてるそうです。
悪役は元JACの春田純一さんと、斉藤レイさん。春田さんが昔ハルカとチョメチョメな関係で、愛人のレイさんが嫉妬に燃え狂ってチョメチョメしちゃう。
さらに、女子プロレスラーの大向美智子さん、藤田愛さん、石川美津穂さんが殺し屋シスターズを演じておられます。
確かに迫力はあるんだけど、悪役はちゃんと芝居が出来る人に任せた方がいいと私は思います。闘う相手がグラドル、つまり素人どうしで学芸会みたいになっちゃう。
そんなこんなで、アイドル映画だと割り切って観れば悪くないけど、あのハレンチ番組の金字塔『プレイガール』のリメイクとしては、あまりに物足りない!
エロスが、というより「低俗さ」が全く再現できてない! カッコつけちゃ駄目なんだよ!💢
『チャーリーズ・エンジェル』のリメイク1作目が奇跡的に大成功したのは、マックG監督がカッコつけずに中学生感覚まるだしで撮ったからだと私は思う。
オリジナルのどこにファンが魅了されたか、そこを無視して「現代感覚で」とか「スタイリッシュに」とか、余計なこと考えるから失敗するんだよ、どれもこれも毎度毎度毎度毎度!💢💢💢💨
その愚かさをよく解った上で『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』を大成功させた庵野秀明さんとか、せめて園子温さんか井口昇さんに撮らせるべき題材でしょう、これは!
日本映画界の、もはやお約束となった「リメイク」や「実写化」の典型的な失敗例、と言わざるを得ません。
結局、一刀両断にケナしちゃったけど、世界一過酷な製作環境で頑張ってくれてる、現場スタッフやキャストたちに罪は無いんです。
他のあらゆる業界と同じように、組織のトップに居座る老人たち、自分の保身しか頭にない会議室の連中を一掃しない限り、今後も同じ誤ちが延々と繰り返されるワケです。まったくもって破滅です。
というワケでセクシーショットは加藤明日美さん、八幡えつこさん、そして佐藤江梨子さん。グラビアで出来ることがなぜ映画で出来ないっ!?