ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大都会 PART III 』#25

2018-11-06 17:17:09 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第25話『通り魔』(1979.3.27.OA/脚本=峯尾基三/監督=小澤啓一)

若い女性、しかもセクシーな美女ばかり狙った通り魔による、連続殺人事件が発生。黒岩デカチョウ(渡 哲也)は城西署選りすぐりの美人婦警たちにセクシー衣装を着せ、街を徘徊させるオトリ捜査を敢行します。

ところが、その日の任務を終えた婦警(岡田可愛)が、そのままの格好で帰宅する途中で通り魔に襲われ、負傷。家に着くまでガードしなきゃ意味ないじゃん!

しかも、駆けつけた「サル」こと上条刑事(峰 竜太)が通り魔に逆襲され、拳銃を奪われちゃう。やたらめったら銃を振り回すからこんな事になる!

犯人が拳銃を得たことで被害は更に拡大、しかも入院中の婦警が口封じのため再び襲撃され、更なる重傷を負う羽目に。それくらい予想して厳重にガードしとけよ!

……とまぁ、ハードな展開は大歓迎だけど、いくらなんでも黒岩軍団があまりにマヌケ過ぎて、采配を振るう団長がアホみたいに見えちゃいます。

シリーズ1作目の頃のクロさんならともかく、今や団長は完全無欠のスーパーヒーローとして描かれてますから、この有り様は非常にマズイ。(もしかするとスタッフが警察嫌いで、軍団をわざとマヌケに描いてるのかも?)

倉本 聰さんの緻密な人間ドラマで始まった『大都会』シリーズも、アクション描写がエスカレートするにつれ脚本がえらく雑になって来ました。順調に『西部警察』への道を歩んでますw

「筋はどーでもいい」っていつも書いてますけど、それは最低限の整合性がある前提の話です。辻褄が合わなかったり、キャラが破綻しちゃうような脚本は論外。「雑」で済めば良いけど「幼稚」に見えちゃったらアウトです。

こんな事じゃあ、アクション物が世間で軽く扱われても文句は言えません。今さらクレームつけても仕方ないんだけどw

婦警役の岡田可愛さんは、当時30歳。日テレ『青春』シリーズの生徒役で注目され、TBSのスポ根ドラマ『サインはV』主演で不動の人気を得た女優さんです。

女優としての活動は'80年代迄で、刑事ドラマは本作と、同じ石原プロ製作による『西部警察』、そして『非情のライセンス』第1シリーズにゲスト出演されただけみたいです。
 
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『大都会 PART III 』1978~1979

2018-11-06 12:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1978年10月から'79年9月まで、日本テレビ系列の火曜夜9時枠で全49話が放映された、石原プロモーション制作による人気シリーズ第3弾。

パート3に至り、いよいよ黒岩刑事(渡 哲也)が団長化します。

これまで皮肉として使われた「黒岩軍団」という呼称がフツーに定着し、もはやマトモな警察とは呼べない、いよいよ「軍団」としか呼びようがない暴力集団の番組になっちゃうワケですw

ただし正式に「団長」となるのは『西部警察』からで、城西署の黒岩さんはあくまで「クロさん」あるいは「デカチョウ」と呼ばれてます。

されど中身はもうすっかり団長。パート2までは見られた迷いや失敗が一切無くなり、完全無欠のスーパーマンとして絶対的な存在になりました。

それを良しとするか否かは、視聴者それぞれの好み次第。私はやっぱり、弱い部分も見せてくれたパート2までのクロさん(団長じゃなくて)が好きです。

さて、パート2終了と共にトク=松田優作とジン=神田正輝が降板、代わって「ジロー」こと牧野刑事(寺尾 聰)と「トラ」こと虎田刑事(星 正人)がパート3から参戦します。

本来なら、トクのポジションを引き継いだトラが本作の目玉になる予定だったと思うんだけど、星正人さんは私が観る限り、優作さんの足下にも及びません。

優作さんは普通に背広を着ててもワイルドなのに、正人さんはワイルドな出で立ちがコスプレにしか見えないんですよね。正人さんが(たぶん相当ムリをして)ワイルドに振る舞えば振る舞うほど、かえって子供っぽく見えてしまう。根は真面目な人なんだろうと思います。

一方でメキメキ頭角を表したのが、ジロー役の寺尾聰さん。それまではソフトなイメージだったのに、本作におけるワイルドなキャラクターが予想外のハマり役で、次作『西部警察』で大ブレイクを果たされたのは周知の通り。

44マグナムのハマり具合も想定外で、ご当人は当時のインタビューで「みんなが先に好きな銃を選んで、俺にはマグナムしか残ってなかったんだ」みたいなこと言っておられたけど、んなワケないですよねw 事前に小道具さんと打ち合わせて、自らマグナムを注文されたっていうのが真相みたいです。実は好きなんでしょうw

ご当人にワイルドな素地が無ければワイルドなキャラがハマらないのと同様、銃が好きな人じゃないと拳銃も似合わないんだろうと思います。

パート3からの新メンバーはもう1人、課長の加川(高城淳一)。高城さんは『西部警察 PART III』で佐川係長も演じておられます。

『大都会』シリーズと『西部警察』シリーズの歴代課長(係長)は、極端な事なかれ主義で小言と愚痴しか言わないという、基本的に性格設定が同じなのに、皆さんしっかりカラーが違ってたのは、さすが名優揃い。

中でも高城淳一さんの小言と愚痴には追随を許さない迫力がありました。『あさひが丘の大統領』における教頭先生役も強烈に印象に残ってます。

クロさん(渡 哲也)、マルさん(高品 格)、坊さん(小野武彦)、サル(峰 竜太)は前作に引き続いての登板だけど、皆さん性格がより荒っぽくなられてますw ファッションもよりヤクザに近づいてるしw

治療中に酒を呑むような軽妙キャラだった宗方医師(石原裕次郎)も、パート3からは戦場ドクターさながらの緊張感を醸し出し、世界観をより引き締める存在になりました。

ユーモアも人情も要らない、あくまでシリアスなハードアクションこそが観たいと仰る方には、この『大都会 PART III』が一番オススメかも知れません。

そして『大都会 PART III』初期を彩った昭和の女優さんたち。事件記者の綾子を演じた金沢 碧さん、捜査課事務員の英子を演じた大森不二香さん。

金沢碧さんは本作のヒロインになる筈だったのに、黒岩軍団の強引かつ粗暴な捜査方法を批判するフェミニスト代表、っていうポジションがストーリーに全く活かされず、1クールでひっそり退場する羽目になっちゃいました。

そりゃあ、もはや団長化したクロさんには迷いが無いですから、外野の記者がいくらゴチャゴチャ言ったところで何も変わんない。脚本家の皆さんも彼女をどう扱えば良いやら悩まれた事でしょう。

結果、毎回ただクロさんに小言を言いに出て来て、軽くいなされ困った顔をして終わり、みたいな出番だけで終わる事になり、それじゃ碧さんも女優としてやってらんないでしょう。

同じように、渋谷病院の看護婦役でレギュラー入りした青木英美さんも、毎回ただそこにいるだけ。存在価値が無いとは言わないけど誰が演じても変わんない役どころで、わずか10話で姿を消しちゃいました。

「団長の妹、同居」設定もパート3では廃止され、クロさんは荒んだ独り暮らしの日暮れ坂。

かように徹底してハードボイルドな世界においては女性キャラなど邪魔にしかならず、登場すれば脱がされるか犯されるか殺されるかの3つしか選択肢がなくw、唯一最終回まで生き残ったのが、最初から「お飾り」でしかない事務員の英子ちゃんだけ、ってのがまた『大都会』らしいですよね。

女性視聴者のご機嫌ばっか伺ってる現在のテレビ業界じゃ考えられない、完全なる漢の世界でした。
 
 
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『大空港』1978~1980

2018-11-06 00:00:24 | 刑事ドラマ HISTORY




 
1978年夏から1980年春まで、フジテレビ系列の月曜夜9時枠(本作がフジ『月9』の第1弾?)で全78話が放映された刑事ドラマ。制作はフジテレビ&松竹株式会社で、日本航空(JAL)が制作協力してました。

当時開港されたばかりの新東京(成田)国際空港内に設けられた警察庁刑事局国際刑事課の分室「空港特捜部」の刑事たちが、空港または空港周辺で発生した事件を捜査・解決していきます。

特攻隊出身の「チーフ」こと加賀警視(鶴田浩二)を筆頭に、鯉沼刑事(中村雅俊)、神坂刑事(片平なぎさ)、立野刑事(岡本富士太)、海原刑事(高岡健二)、梶警部(緒形 拳)というメンバーでスタート。

鯉沼、神坂、梶が殉職し、薮下警部(田中邦衛)、菊地刑事(黒沢年男)、西條刑事(永島敏行)、水島刑事(石川さゆり)、紺野刑事(三浦浩一)らが加入するも、西條はやはり殉職、最終回では菊地、立野も殉職と、たった1年半の間に6人もの死者を出した、デンジャラスにも程がある職場ですw

刑事たちには(例えば神坂に「ノンコ」、菊地に「バクダン」、水島に「シスター」といった具合に)ニックネームがつけられ、着任エピソードのサブタイトルが『バクダン刑事登場!』だったり等、あからさまに『太陽にほえろ!』の影響が見て取れます。(ただし殉職の仕方は『太陽~』と差別化する為か、飛行機の墜落や爆弾による〈爆死〉が多かった模様)

レギュラーキャストの入れ替わりが激しいのは、恐らくメジャーな俳優さんばかり揃えたがゆえにスケジュールの確保が困難だった為と思われます。

そんなこんなで気になる存在の番組だったけど、我が家は夜9時以降のテレビ視聴が禁止されてた為、リアルタイムではほとんど観てません。再放送はいくつか観た筈なのにあまり憶えてないのは、たぶん松竹の作風が私の肌に合わなかったんでしょう。

しかし今にして思えばホント豪華キャストだし、空港を舞台にどんなドラマやアクションを構築していたのか、あらためて観直したい作品の1つではあります。
 
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