ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『西部警察』#41

2018-11-10 17:00:03 | 刑事ドラマ'80年代








 
☆第41話『バニング・レディ』

(1980.7.20.OA/脚本=柏原寛司/監督=村川 透)

西部署捜査一課の最年少刑事「ジン」こと兼子 仁(五代高之)が、良家のお嬢様(舛田紀子)と気の進まないお見合いをさせられ、ヤケ酒を呑んで酔っ払った帰り道、チンピラに絡まれてる若い女=良美(長谷直美)を助けます。

気取りのない良美と意気投合し、彼女と一緒にハシゴ酒したジンが翌朝目覚めると、そこはバニング・カー(大型ワゴンをキャンプ仕様に改造した車)の中。

「2万円、貰っといたわよ。本当は3万円だけど、きのう助けてくれたからオマケしちゃう」

「えっ? まさか、キミは……」

そう、良美はフリーの売春婦であり、バニング・カーは言わば移動式の売春宿。同じ頃『太陽にほえろ!』で毛むくじゃらの刑事と愛を育んでた直美さんが、裏じゃこんな破廉恥なバイトをしてたワケですw

「やばいよ、俺、刑事なのに!」

「うそっ!?」

動揺したジンは、慌ててバニング・カーから脱出します。

「今度見つけたら、逮捕してやるからな!」

「出来るワケないじゃない、アンタだって共犯なんだから!」

「うるさいな!」

ジンは全然憶えてないんだけど、とにかくやっちゃったもんは仕方がない、大霊界はあるんだから仕方がない。

ジンは、その日から良美のことが気になって捜査が手につかなくなっちゃいます。なんとか売春を辞めさせようと彼女につきまとい、「私のこと好きなんでしょ?」とか言われて「ちがわい!」なんてムキになる中二病をこじらせ、質実剛健な大門団長(渡 哲也)に睨まれます。

しかも、バニング・カーのそばで良美と一緒にいる現場を木暮課長(石原裕次郎)に目撃され、もしかすると童貞かも知れない大門団長にますます睨まれますw

大門軍団が捜査してるのは、金庫破りをした挙げ句に警備員を射殺して逃走中の窃盗グループ。ところが目撃情報によると、そのリーダー格の男=矢沢が派手なワゴン車を乗り回す若い女とつき合ってるらしい!

もしかして良美も窃盗グループの仲間? こりゃ団長に殺される!と思って青ざめたジンは良美を問い詰めますが、彼女は何も知らなかった様子。

「二人でお金を貯めてたのよ。一緒にアメリカ行くために」

「馬鹿だな、お前は! それがパターンなんだよ! 女を手放さないよう共通の目標を作って、食い物にする手口なんだ!」

本気で彼女を心配し、説教するジンですが、矢沢たちに襲撃され、あえなく捕まっちゃいます。

そこからは、捕まった刑事が次なる銀行強盗計画に加担させられちゃうという王道パターン。だけど先に計画を察知した大門軍団が銀行員を装い、待ち伏せて暴力解決。まぁいつも通りの『西部警察』ですw

ただ、当時すでにバリバリのメジャー女優だった長谷直美さんがゲストなだけに、その待遇はスペシャル仕様。人質にされた良美の救出には木暮課長=石原社長が自ら単身で向かい、久々に華麗なアクションを見せてくれます。

直美さんは今回、七曲署のボスと、後にマミー刑事として共演する橘警部(渡さん=団長)&オサムさん(寺尾 聰=リキ)ともご対面、さらに城西署のベンケイ(苅谷俊介=ゲン)との再会も果たしたワケです。

そう、このエピソードは以前レビューした『大都会PART III』の第34話『ストリート・ガール』のリメイクであり、城西署(日テレ)と西部署(テレ朝)を股にかけた続編とも言えます。

どちらも脚本は柏原寛司さんで、ストリート・ガールもバニング・レディも長谷直美さんを「あて書き」した同一キャラなんですね。

ただ、ベンケイが相手じゃ色っぽい雰囲気になりよう無かった『大都会』の時と違って、今回はイケメンのジンが相手ですから、ちょっとだけ直美さんのフェロモンが感じられる仕上がりになってます。

本当はあの夜、二人はチョメチョメしてなかったことがラストで明かされるんだけど、そこは視聴者の想像に委ねて欲しかったですね。刑事が買春ってのが道徳上よろしくないのは解るんだけど。

良美は売春から足を洗い、まっとうに働いてアメリカ行きの資金を貯めるとジンに約束し、颯爽とバニングカーを運転して去って行きます。

コールガール役が似合うか否かはともかく、自由に生きる逞しい女性像をこうも爽やかに表現出来る女優さんは、そう多くはいない筈。

これはホントに長谷直美さんの当たり役。柏原さんの愛を感じます。
 
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『西部警察』#34

2018-11-10 12:00:04 | 刑事ドラマ'80年代









 
第30話で「タツ」こと巽刑事(舘ひろし、後に別人として復帰)が殉職し、代わって「リュウ」こと桐生刑事(加納 竜)が加入してから間もなくのエピソードです。

『西部警察』も3クール目に突入し、安定して高視聴率を稼ぐようになった為か、『大都会』シリーズから受け継いだ過激なバイオレンス描写が鳴りを潜め、より明るく健全な番組へとシフトしつつありました。

リュウはそれを象徴するかのような大衆向けのルックス&キャラクター、すなわち生真面目イケメンで、視聴者層をより広げる役目は果たしたかも知れないけど、私から見れば面白くも何ともない刑事でしたw

加納竜さんの演技も、決して下手なワケじゃないんでしょうけど一本調子で面白味が無く、肉体も華奢でアクションに迫力が感じられませんでした。『太陽にほえろ!』で言えば殿下(小野寺 昭)、さらに悪く言えばマイコン(石原良純)みたいなもんですw

そんなリュウの主役編ってことで決してオススメのエピソードじゃないんだけど、ゲストが泉じゅんさんとなればセクシーショットを載せなきゃいけないので、サラッとレビューしておきます。


☆第34話『長野行特急列車』

(1980.6.1.OA/脚本=永原秀一/監督=澤田幸弘)

リュウが西部署に赴任する前にいた、東部署で逮捕した男が出所し、また犯罪に関わってるらしいことを聞きつけ、勤務時間外に彼を訪ねるリュウ。

更正を願うリュウの熱心な説得により、犯行を打ち明けようとした彼は、もちろん共犯者たちに殺されてしまい、リュウは彼の恋人である泉さんに「人殺し」呼ばわりされるという、よくあるパターン。

で、今度は共犯者の正体を知ってるであろう泉さんに食い下がるリュウ。だけど彼女は口を閉ざし、密かに共犯者たちと接触。宝石強盗犯である彼らに、死んだ恋人の分け前を要求して殺されそうになるも、駆けつけた大門軍団に救われるという、何とも行き当たりばったりなストーリーw

サブタイトルが「長野行特急列車」なのは、最後に泉さんが特急に乗って故郷へ帰るから。それをリュウが見送るんだけど、別に彼女と心を通わせたワケでもないもんで、さしたる感動はありませんw

そうした人間ドラマは『西部警察』において、とにかくアクションシーン1からアクションシーン2へと繋げる為のジョイント部分に過ぎない……と思って観るのが『西部警察』を楽しむコツ。まさに「考えるな、感じろ」です。

泉じゅんさんは当時23歳。1976年に日活ロマンポルノ『感じるんです』で主役デビューを飾り、その愛くるしいルックスとナイスバディーですぐさま人気を集め、一般作品にも数多く出演されました。

刑事ドラマへのゲスト出演は他に『特捜最前線』『噂の刑事トミーとマツ』『西部警察PART II』『あぶない刑事』『私鉄沿線97分署』『大都会25時』『ベイシティ刑事』『さすらい刑事旅情編』等があります。
 
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『西部警察』#21

2018-11-10 08:08:06 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第21話『汚ない奴』(1980.3.2.OA/脚本=永原秀一/監督=長谷部安春)

渋谷で暴力団vsギャングの抗争事件が発生! 暴力団とギャングの違いがよく判りませんがw、そこに駆けつけた西部署の暴力刑事たちも加わり、街中でカーチェイスしながらマグナムやマシンガンをぶっ放すチョー暴力的な銃撃戦が展開されます。

抗争の発端は、ギャングが都内で違法カジノを開いて、暴力団の縄張りを荒らしたから。

大門軍団は本庁四課(マルボー)との合同捜査で違法カジノ摘発へと動き出すんだけど、ことごとく敵に先手を打たれちゃう。どうやら警察の内部情報が敵に漏れてるらしい。

そして大門団長(渡 哲也)がマルボーを指揮する矢野刑事(西沢利明)に疑惑の眼を向けた矢先に、矢野の部下である若手刑事が殺され、彼の部屋から賄賂と見られる現金が発見されます。

これも自分の部下がギャングと癒着していたように見せる為の、矢野の犯行&裏工作であると確信する大門。けど、証拠がありません。

折しも、別ルートで違法カジノを洗っていた木暮課長(石原裕次郎)が、豪華客船で開かれるカジノの情報をキャッチ。そこで矢野の尻尾をつかむべく、木暮は大門の妹=明子(古手川祐子)を同伴してカジノに潜入するのでした。

結局、あっさり潜入がバレて大門軍団が突入し、いつも通りに大味な銃撃戦が展開され、いつも通りに団長が必殺ショットガンで矢野を倒して一件落着。

だったら潜入なんてまどろっこしい事しないで、最初から突入すればええやん!って思うんだけどw、闇カジノの現場にちゃんと矢野がいるかどうか、潜入しないと確認しようが無いって事なんでしょう。

タイトルの『汚ない奴』とは矢野刑事のことで、彼の悪行三昧に対する怒りを団長が爆発させるシリアスな話かと思いきや、後半は木暮課長と明子のスパイ活劇になっちゃって、まるで2つのプロットを無理矢理くっつけたようなエピソード。

その強引さとテキトーさが『西部警察』の魅力と言えば魅力で、話の辻褄やテーマに囚われず、とにかく見た目に面白いことをやればいいんだ!っていう製作姿勢。

今回で言えば、そろそろ古手川祐子さんにも捜査現場で活躍するエピソードを作ってあげよう→その相手役は、しょっちゅう絡んでる渡さんより裕次郎さんの方が面白いだろう→だったら二人をドレスアップさせてみたい→じゃあパーティーだ→豪華客船だ→カジノだ→乳首だ→足の裏だ、ってな感じで企画が進み、だけど丸々1話をそれで通すには無理がある→じゃあボツにしてた悪徳刑事の話をくっつけよう、みたいな流れでシナリオが組まれたんじゃないでしょうか。

普段あまり捜査の現場に出ない木暮課長と、漫画家である明子がドレスアップして潜入捜査をする。確かに見た目には新鮮で楽しくて、それ以上でも以下でもありませんw

惜しむらくは、まぁ漫画家という設定なので当たり前かも知れないけど、明子が木暮課長の横でハラハラ、オロオロするばかりで何も活躍しなかったこと。アクションドラマの最前線で女性が大活躍するのは、これよりもうちょっと時代が進んでからになります。

古手川祐子さんは当時20歳。渡さんと兄妹って設定はかえすがえすも無理がありますw 東宝とカネボウ化粧品が共催したコンテストで三浦友和さんの相手役に選ばれ『星と嵐』で映画デビュー。CMにも出演し、映画『幕末未来人』でも注目されて、すでにアイドル的な人気を得た上での『西部警察』レギュラー出演でした。

その後のご活躍ぶりは言わずもがなで、数々の映画やドラマでヒロインを演じ、映画『春の鐘』ではヌードも披露されてます。

『西部警察』以外の刑事物レギュラー出演は、1985年に緒形拳主演の『迷宮課刑事おみやさん』第1シリーズでヒロイン=七尾刑事役を演じられた位で、後はもっぱら単発物へのご出演が多かったみたいです。
 
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『西部警察』1979~1982

2018-11-10 00:00:19 | 刑事ドラマ HISTORY









 
今の時代にこそ、あらためて見直すべき番組かも知れません。

1976年からスタートした石原プロモーション初のTV作品『大都会』シリーズが、’79年に大人の事情(詳しくは知りません)で放映局を日本テレビ系列からテレビ朝日系列に変更、と同時に設定やタイトルも一新し、究極の娯楽アクション刑事ドラマ『西部警察』が誕生。パート1は'79年10月から'82年4月まで全126話が放映されました。

放映枠は日曜日の夜8時。NHK大河ドラマに真っ向勝負を挑んだワケですが、当時は日テレも『俺たちは天使だ!』というヒット番組を放映中で、私はそっちにハマってました。だから私が『西部警察』を観始めるのは翌年からでしたが、すぐ好きになりましたね。好きになったんだけど、その反面あまりにB級な内容を、当時はちょっとバカにもしてました。

好きになった最大の要因は、兄弟番組とも言うべき『太陽にほえろ!』では有り得なかった「掟破り」の痛快さです。

『太陽』はとにかく生真面目な作品でしたから、七曲署捜査一係の刑事達は公序良俗に反する事や法律の枠からはみ出るような事は、まずしない。悪く言えばイイ子ちゃんの集まりなんです。

ところが西部署捜査課・大門軍団のデカさん達と来たら、犯罪者相手は勿論のこと、聞き込み相手とかでもちょっと態度が悪けりゃ、即座に殴る蹴るの体罰を与えまくるワケですw

取り調べで容疑者を落とす時に使うのは、緻密な心理作戦でもなければ泣き落としのカツ丼でもない。ただひたすら殴る蹴るの暴力あるのみw それでも落ちなければ拳銃の銃口を向けて「早く撃たせろ」と言わんばかりの脅迫三昧。それで得た自白証言が裁判で通用するんでしょうか?w

さらに、正攻法の捜査じゃ犯人逮捕は不可能と見るや、刑事達が一致団結して犯罪行為に手を染め、強盗や誘拐、監禁に拷問とやりたい放題。その際に駆使するのは緻密な頭脳プレーではなく、とりあえず殴る蹴るの暴力と銃による恐喝あるのみw

もちろん日本警察がそんな捜査(?)方法を許すワケが無いんだけど、なぜか木暮課長(石原裕次郎)が電話1本で全て丸く収めてくれるもんだから、皆さんやりたい放題。

そして彼らが、どんな場所でどんな絶体絶命の危機に陥ろうとも、大門圭介巡査部長こと団長(渡 哲也)が必ず間一髪のタイミングで現れ、ショットガンを百発百中の腕前でぶっ放し、敵を1人残らず皆殺しにしてくれるワケです。

そんなヤクザやテロリストよりタチの悪い大門軍団の在り方が、私は本気で羨ましかったんですよね。たまには七曲署もそんなムチャをやってくれないかなぁって思いながら『西部』を観てました。

ただしカーチェイスで横転炎上しまくるパトカー軍団や、無限大に撃ちまくる銃撃戦、やたら意味なく爆破される建造物etc……といった『西部』ならではのド派手な見せ場に関しては、当時の私は「あ、そう」ってな感じの冷めた反応でした。

まして「マシンX」なんていう秘密兵器搭載のスーパーカーが登場したり、殉職した筈の舘ひろし氏がシレッと別キャラで再登場するに至っては、いくら何でも子供騙し過ぎるやろ!って、すっかり観る気が失せたもんでした。当時の私は高校生で、ガキっぽいものに拒否反応が出ちゃう年頃でしたから。

だけど、中年になった今あらためて観ると、いい大人のスター俳優たちが真剣に身体を張って演じてる、その子供騙しこそが楽しくて懐かしくて、何だか癒やされるんですよね。

近頃、例えばアメリカ映画『パシフィック・リム』が怪獣映画である事や『ワールド・ウォーZ』がゾンビ映画である事を、日本の配給会社は宣伝で隠してたりします。それはサプライズの仕掛けとかじゃなくて、怪獣やゾンビはB級で子供騙しなイメージがあるから、集客にはマイナスの要素と見なされてるワケです。

刑事ドラマにおける派手なドンパチやカーチェイスも、いつの間にやら世間から「ダサい」と思われるようになって、より地味で現実的な描き方が「カッコいい」と見なされるようになっちゃった。

それと国内じゃアクションのロケ撮影が困難になる一方な上、深刻な不景気でテレビ番組の製作費も急降下。もはや『西部警察』みたく、やたら派手でムダに贅沢な番組を創る事は、物理的に不可能な世の中になっちゃった。

だから、今観るとかえって新鮮に感じるし、現在のテレビ番組では決して味わえない、創り手たちの熱気がビンビン伝わって来ます。それはやっぱり心地良いもんです。

番組スタート時の大門軍団メンバーは、前述の木暮課長と大門団長を筆頭に、タツ(舘ひろし)、リキ(寺尾 聰)、ゲン(苅谷俊介)、ジン(五代高之)、おやっさん(藤岡重慶)、そして「大門くぅ~ん」でお馴染み二宮係長(庄司永建)という布陣。

後にタツ、ジン、リキが殉職、替わってリュウ(加納 竜)、ジョー(御木 裕)、イッペイ(峰 竜太)、ハト(舘ひろし)、パート2でオキ(三浦友和)、パート3で大将(柴俊夫)、ジュン(石原良純)といった人達が参入します。

私は特に、セクシーで44マグナムがよく似合う寺尾さんと、初めてワイルドな魅力を披露した三浦さんに注目してました。武骨なのになぜか癒やされる苅谷さんの存在も貴重でしたね。

’84年の秋に放映された最終回スペシャル(団長、死す!)は、本放映の時は半ば笑いながら観てたのに、CATVで30年ぶりに観直したら、なぜだか涙が止まらなくなっちゃいました。

裕次郎さんがもうこの世にいないって事もあるけど、やっぱり「こんなムダに熱いドラマはもう、二度と観られないだろうなぁ……」っていう切なさ、郷愁みたいな感情が去来したんだと思います。

こういう表現を嫌う方も多いでしょうが、やっぱり「良い時代だったよなぁ」って、しみじみ思わずにはいられません。
 
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