ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『最強のふたり/京都府警特別捜査班』2015

2019-10-31 12:00:23 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2015年の夏シーズンにテレビ朝日系列の木曜夜8時「木曜ミステリー」枠で全8話が放映された、テレ朝&東映の制作によるミステリードラマ。

同枠の名物シリーズ『京都迷宮案内』の橋爪 功さんと、『京都地検の女』の名取裕子さんという、二大看板スターが競演するテレ朝・京都ミステリー版『バットマンvsスーパーマン』。

既に、両シリーズでお互いがゲスト出演するクロスオーバー企画が実現しており、いよいよ満を持しての合体レギュラー番組って事だけど、それほど話題にならなかったですねw

橋爪功さん扮する東雲尋八は既に定年退職しながら、団塊の世代が一斉に退職し、捜査技術の継承が急務と考える京都府警により「嘱託刑事」として呼び戻された、男ヤモメの元・鬼刑事。

一方の名取裕子さん扮する夏木朝子警部は、実験的に起用された捜査一課の新任班長。交番勤務から特殊部隊まで、ありとあらゆる部署でキャリアを積んだプロ中のプロ。

上からの命令をいっさい聞かず、一人で気ままに動く東雲と、そんな彼にイライラしながらも的確な陣頭指揮で若手を動かし、彼をフォローする朝子。

両者とも長年のキャリアで培われた洞察力と捜査技術、そして何より幅広い人脈という武器を持ち、若手が束になっても到底敵わない「最強のふたり」ってなワケです。

つまり重ねた年齢=経験こそが何にも換えがたい武器となることをあらためて説いたドラマであり、ターゲットはそれこそ団塊世代以上の年配層って事なんでしょう。

そうしたテーマは現実の世相を如実に反映してるし、また実際にベテラン俳優のお二人がタッグを組むことで、作品のクオリティーがグッと底上げされてるんですよね。ハンパじゃない安心感があります。

脇を固めるメンバーも、夏木班の刑事に和田正人、酒井美紀、捜査一課長に羽場裕一、鑑識課員に田中要次、池田夏希と、地味ながら安定感バツグンです。

私も歳を取りましたからw、斬新な企画や迫力あるアクションを求める一方で、こういう落ち着いた番組も好むようになって来ました。

勿論、だからと言って、凡庸な謎解きのみに終始されちゃ困るんだけど、味のあるキャスト、魅力的なキャラクター、そして明確なメッセージを有した『最強のふたり』は、一見の価値が充分にあると私は思います。

セクシーショットはシェアハウスで東雲の隣室に住む女の子を演じた、柳ゆり菜さんです。
 
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『婚活刑事』2015

2019-10-31 00:00:10 | 刑事ドラマ HISTORY








 
2015年の夏シーズン、日本テレビ系列の木曜深夜「プラチナイト木曜ドラマ」枠にて全12話が放映された、読売テレビ制作によるコメディータッチのミステリードラマ。安道やすみちさんの同名小説シリーズが原作になってます。

いくら刑事物と言えども「婚活」がテーマのドラマなんか普通なら観ないんだけど、伊藤 歩さんが主演って事で興味が湧きました。

子役時代から見てる女優さんですが、前年放映された『隠蔽捜査』で堅物の主人公=杉本哲太さんが恋をしちゃう、知的な女性官僚を演じた歩さんがとても魅力的だったもんで、今頃になって萌えてますw

今回も両国警察署刑事課に勤めるやり手の巡査部長=花田米子というキャラクターに説得力を持たせつつ、婚期を逃しそうな30代ワーキング・ガールの焦りも、実に自然かつチャーミングに演じておられます。

好きになって結婚を考えた男性が皆、後に犯罪者だと判明しちゃうというw、気の毒にも程があるジンクスを持ったヒロインが、毎回ステキな相手と出逢い、恋をし、今度こそ結婚しそうになるんだけど、最後には必ず逮捕する羽目になる。

クドカンさんの『うぬぼれ刑事』を男女逆転させたような設定だけど、歩さんの魅力と演技力によりちょっと切ないラブストーリーに仕上がってます。私はグッと来ました。

ただ、このパターンを毎回繰り返すとなると、あっという間に飽きちゃうのは目に見えてますw

どうやらその辺り、本庁から転属して来たエリート警部の小池徹平くんが鍵を握ってるみたいで、警察上層部の大杉 漣さんと何やら企んでそうです。

ほか、ヒロイン直属の上司となる課長に鈴木砂羽さん、課長補佐に升 毅さん、交通課婦警に森カンナさん、地域課巡査に加藤 諒くんと、堅実なキャストが揃ってます。
 
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『 64 (ロクヨン) 』2015 

2019-10-30 00:00:17 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2015年の春シーズン、NHK総合の土曜夜10時「土曜ドラマ」枠で全5話が放映された、横山秀夫さんの警察小説をドラマ化した作品。

翌'16年には瀬々敬久監督による劇場版が二部作として公開されますが、そちらはTBSの製作でこのドラマ版との関連はありません。

わずか7日間で幕を閉じた昭和64年に発生し、未解決のまま時効が迫りつつある少女誘拐事件の哀しい結末が、「D県警」に務める広報官の視点から描かれます。

事件後、捜査一課から警務部への異動を命じられ、不本意ながら広報室のキャップを務める主人公=三上警視にピエール瀧(映画版は佐藤浩市)。※以下、( ) 内は全て映画版のキャストです。

元婦警である三上の妻に木村佳乃(夏川結衣)、父に似てしまった自分の容姿を嫌悪する三上の娘に入山杏奈(芳根京子)、三上の部下となる広報室メンバーに新井浩文・永岡卓也・山本美月(綾野 剛・金井勇太・榮倉奈々)、記者クラブのリーダーに永山絢斗(瑛太)、三上を操る狡猾な警務部長に平 岳大(滝藤賢一)、三上と同期の警務部調査官に吉田栄作(仲村トオル)、刑事部長に中原丈雄(奥田瑛二)、かつてロクヨン捜査班を束ねた捜査一課長に柴田恭兵(三浦友和)、その後も事件と深く関わることになる捜査班メンバーに萩原聖人・水澤紳吾(吉岡秀隆・窪田正孝)、そして誘拐殺人犯に尾美としのり(緒形直人)、被害者の父親に段田安則(永瀬正敏)、といったキャスト陣。ドラマ版で永山絢斗くんが演じた役を映画版で実兄の瑛太くんが演じてるワケですw

私は、同じ横山秀夫さん原作による映画『クライマーズ・ハイ』も『半落ち』もそれほど面白いと思わなかったし、この『64』は作風が特に暗く重そうだったもんで、ドラマ版も映画版も完全スルーして来ました。

けれどブログで「刑事ドラマHISTORY」を銘打つ以上、無視を続けるワケにもいかないと覚悟を決め、まずストーリーを把握するため映画版二部作を先に観て、それからドラマ版の第1話&第2話を観るという、邪道にも程がある観方をしちゃいましたm(__)m

でも多分、普通にドラマ版全話→映画版の順に観たとしても、私の感想は変わらないと思います。映画版は結末を大胆に改変してる(おかげで原作ファンにさんざん叩かれた)らしいけど、私にとってそれは大した問題じゃありません。重要なのは刑事物として面白いかどうか、ただそれだけ。

結論から言えば、愛する娘を殺された父親の復讐ストーリーとしては見応えあったけど、刑事物として観るとムダな描写が多すぎて、かったるい。総合的には面白いけど、やっぱり私好みの作品じゃなかったです。

ドラマ版のクオリティーはすこぶる高いと思います。「ながら見」ではついて行けない複雑なストーリーを、説明的なセリフや映像を極力排除して見せきった、視聴者に媚びない制作姿勢がまず素晴らしい。

そしてバイプレイヤーだったピエール瀧さんを主役に抜擢したチャレンジングな姿勢。それは原作に「鬼瓦みたいな顔」って書いてあるからなんだけどw、集客優先で(ぜんぜん鬼瓦じゃない)佐藤浩市さんをキャスティングせざるを得なかった映画版の弱腰を思えば、さすがはNHKと言うほかありません。

もちろん何もかも原作通りにする必要は無いワケだけど、主人公の娘が「父親に似てしまった自分の顔」を嫌悪して「整形する」って言い出す場面を、佐藤浩市さんが演じるのはさすがに無理がありました。でもピエールさんなら納得ですw

あと、ドラマ版は音楽も良かった。大友良英さんが『あまちゃん』や『いだてん』とはまるで違うハードボイルドなサウンドで我々を魅了してくれます。(あんまりカッコいいからサントラCDを買おうと思ったのに、売ってないみたいです)

ただ、いかんせんストーリーが……

主人公の三上が広報官=警察とマスコミを繋ぐ窓口の立場なんだけど、誘拐事件とは全然関係ない交通死亡事故の報道に関して、加害者の実名を公表するかしないかで記者クラブと揉めるシーンが延々と続くんですよね。

加害者が政治家の娘か何かで警察上層部が匿名扱いを指示し、それを通達する三上に記者たちが猛反発し、怒号を飛び交わせる描写がとにかく長い。それって必要?って思うし、事件記者ってあんなチンピラみたいな輩ばかりなの?とも思っちゃう。特に映画版は大勢でアホの一つ覚えみたいに怒鳴り散らすばかりで、芝居としても全く面白みが無い。

まぁ、記者たちがあんなにストレスを溜め込むほど警察の隠蔽体質が酷くて、それが誘拐事件の被害者遺族を復讐に走らせるっていう作劇上の繋がりは解るんだけど、それにしたってここまでしつこく描く意味が本当にあるのか?

その辺りの描写を必要最小限に抑えれば、たぶん映画版は前後編に分けなくても済んだはず。もしかしたら逆に2本分稼ぐためにムリやり引き延ばしたのかも?って思うくらい、異常に長かったです。

そもそも、警察が組織ぐるみで不祥事を揉み消すドラマはもうさんざん、辟易するほど我々は観せられて来たワケで、またここで誘拐事件の顛末と同じ(下手すりゃそれ以上の)比重で描く必要がどこにあるのか?って思う。

で、板挟みに遭ってひたすら翻弄されるばかりだった主人公が、やがて刑事魂を取り戻し、上層部の制止を振り切って誘拐事件の真相に迫っていく。刑事物としてはそこが見所になるんだけど、警察内部の内輪揉めと遺族の復讐ストーリーの強烈さ、重苦しさに押されてイマイチ熱くなれない。

あくまで私個人の好みの問題として、やたらゴタゴタ・ドロドロした描写をばっさり省いて、主人公の再生ストーリーにもっと力点を置き、そこに焦点を絞ってくれてたら、もしかすると2015年ナンバーワン作品に挙げるほどハマった可能性もあるだけに、残念です。

ドラマ版は前半しか観てないワケだけど、結末以外は映画版と大きな違いは無さそうなので、最後まで観ても感想は変わらないだろうと思います。ドラマ版の方が尺は長いですから、バランス的には映画版ほどゴタゴタ場面をしつこく感じないかも知れません。演出的にも、ドラマ版の記者たちは映画版ほどアホには見えませんでした。

最後まで観なくても、どうやら映画版よりドラマ版の方が優れてるのは明らか。ピエール瀧さんと新井浩文さんの演技がもう新作では観られない可能性も含めて、最初からドラマ版だけ通して観とけば良かったですw

ただ、何度も言うように好みの内容じゃない事には変わりなく、横山さんの小説がなぜそんなに人気なのか、私にはよく解りません。

セクシーショットはドラマ版『64』を彩る女優陣=山本美月さん、入山杏奈さん、木村佳乃さんです。
 
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『ヤメゴク/ヤクザやめて頂きます』2015

2019-10-29 00:00:57 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2015年の春シーズン、TBS系列の木曜夜9時「木曜ドラマ劇場」枠で全10話が放映された連続ドラマ。櫻井武晴さんのオリジナル脚本で、『ケイゾク』『SPEC』に続く堤 幸彦さん演出による第三の警察ドラマです。

警視庁組織犯罪対策部すなわち「マルボー」の中に新設された、暴力団離脱者相談電話=通称「足抜けコール」係の活躍が描かれます。

要するに足を洗いたいヤクザの相談に乗り、組との交渉や就職先の斡旋を引き受け、更正を後押しする部署ってワケです。

勿論、そう簡単にヤクザの世界から抜けられるワケが無いので、大島優子さん演じるヒロイン=永光麦秋(ながみつ ばくしゅう)がヤクザどもをコテンパンにやっつけ、組長を脅迫して強引に離脱契約書にサインさせるという、かなり漫画チックな世界です。

その麦秋のド派手な大立ち回りを描いた第1話の序盤を観て、私は「おっ、これはハマるかも!」って思ったのですが……

それが後半になると、足抜けした元ヤクザ(でんでん)の就職先に暴力団が嫌がらせに来たり、足抜けに協力した病院が近隣住民たちから吊し上げられたり等、えらくシリアスかつ現実的な世界に変わっちゃうんですよね。

それはそれで興味を引かれる問題ではあるんだけど、序盤の漫画チックな世界とアンバランスなもんで、イマイチ乗り切れない。どっちがメインなの?って思っちゃう。

麦秋はヤクザ絡みの事件で父親を亡くしたみたいで、その憎しみから情け容赦なくヤクザどもを叩きのめす。実に素晴らしい設定ですw

なのに、足抜けするヤクザには全力のサポートを惜しまない彼女。ヤクザを1人でも減らしたいからっていう理屈は解るんだけど、なんかスッキリしません。憎いなら憎いで、全てのヤクザへの復讐目指して一直線に行ってくれた方が、少なくとも私は楽しめる気がします。

例え改心して足抜けしようが、ヤクザだった過去の罪は絶対に消えやしない。だから彼女は、苦しんでる元ヤクザを見てほくそ笑むキャラであって欲しい……って、それじゃドラマにならないかも知れないけど。

大島優子さんは堤幸彦ワールドの中で新境地を開拓すべく、頑張っておられます。今後、女優として生き残って行けるか否か、まさに正念場でしょう。

だから応援したいと思うんだけど、『ケイゾク』の中谷美紀さんや『SPEC』の戸田恵梨香さんと比べてしまうと、ちょっとストイック過ぎて面白みに欠ける気もします。あの2人が凄すぎたのかも知れないけど。

そこんとこの弱さをカバーすべく、北村一輝、田中哲司、庄野崎 謙、勝地 涼という芸達者な男優陣が「足ぬけコール」メンバーに扮する他、本田 翼、山口紗弥加、名取裕子、岡田浩暉、遠藤憲一etcといった人達が脇を固めてます。

前述のとおり漫画チックな世界観と話のシリアスさが釣り合ってないのは残念だけど、堤監督の人を食ったような脱力系ギャグは好きだし、ヒール履きでハードな立ち回りを毎回披露してくれる大島優子さんの心意気、関西弁丸出しで楽しそうに三枚目を演じる北村一輝さん等、見所は多いです。
 
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『大都会 PART II 』#46

2019-10-28 00:00:06 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第46話『霊感(オカルト)聖少女』

(1978.2.14.OA/脚本=佐治 乾/監督=小澤啓一)

張り込み中に「ジン」こと神刑事(神田正輝)が通りがかりのお婆さんの世話を焼いてるスキに、ようやく現れた指名手配犯に逃げられてしまうという捜査ミスが発生。

落ち込むジンに「キミは交番勤務の方が向いてるんじゃないのかね?」と山元課長(滝田裕介)は追い打ちをかけるんだけど、徳吉(松田優作)は「ジンの優しさに俺たちは癒されてるから」と、黒岩デカチョウは「ジンみたいなデカも必要なんだ」とフォローしてやります。

それでも気が晴れず、スナックでヤケ酒を飲むジンに、亜紀(中村七枝子)という花売り娘が声をかけて来ます。ホステスたちはジンを見て「学校の先生?」「税務署の人?」なんて言ってますます凹ませてたのに、亜紀だけは「警察の人でしょ」とズバリ言い当てるもんだから、ジンは驚きます。

霊感があり、花を買ってくれた人に占いをサービスしてると言う亜紀は「あした新宿で恐ろしいことが起きるわ」と事件発生を予言し、その時刻や場所までジンに告げるのでした。

半信半疑ながらもジンは翌日、亜紀の予言に沿った場所をパトロールしてみます。そしたら拳銃を持った小林稔侍たちが給料強盗をおっ始めたもんだから驚いた!(当時の中小企業は経理の人が銀行からキャッシュを持ち運んでたんですね)

主犯の稔侍は取り逃がしたものの、事件を未然に防ぎ、犯人グループの一人を逮捕したジンは、課長に「お手柄だよ」と褒められ、徳吉にも「なんちゅー華麗なる刑事だ」と草刈正雄ネタで祝福されてw、笑顔を取り戻します。

さらに稔侍たちが過去の犯行で奪い隠した現金の在処をズバリ言い当てたり、口を割らない犯人の泣き落としに成功したり等、お手柄を連発してジンは調子に乗るんだけど、不自然さを感じた黒岩デカチョウにあの顔で睨まれ、全ては霊感少女による占いのお陰だったことを白状するのでした。

もちろん、百戦錬磨の黒岩は簡単に鵜呑みにはしません。亜紀の予言があまりに具体的過ぎることに疑問を感じた黒岩は、彼女が犯人グループの身内で、その犯行を止める為に占いを装ってジンに密告したんじゃないかと推理します。

いやしかし、そんな回りくどい事しなくたって、普通に匿名でタレコミ電話すりゃ良かったのでは?って思うんだけど、やっぱり黒岩の推理は当たってましたw 理由は、団長だからです。ていうかそれが軍団クオリティーなんですw

亜紀は犯人グループの一員の妹で、兄の逃亡を幇助し、城西署に引っ張られることになります。黒岩には「何年デカやってんだ!」と叱咤され、亜紀には「誰にも言わないでって言ったのに!」と責められて、またもや凹むジン。

けど、密告者が亜紀だったことには稔侍たちもいずれ気づくはず。そうなると兄は消されてしまうかも知れない。凹んでる場合じゃありません。

案の定、兄は稔侍たちに捕まったようで、それを霊感で察知した亜紀は「お兄ちゃんが殺される! お兄ちゃんを探させて!」と懇願し、ジンはそれに応えようとします。

しかしそれは逃亡幇助の容疑者である彼女を釈放することになり、しかも「キミはまだ霊感などというマヤカシを信じるのか!?」ってことで課長は猛反対するんだけど、「あの子が兄を想う気持ちに嘘はありません!」というジンの主張を、黒岩は全面的に支持するのでした。

「これはジンの執念ですよ。だからジンみたいなデカも必要なんです!」

ジンの賭けは的中しました。亜紀の誘導で駆けつけた黒岩軍団により、兄は稔侍にトドメを刺される寸前で発見&救出され、稔侍も徳吉にフルボッコ遊びの道具にされて万事休す。やっぱり悪いことは出来ません。

瀕死状態だった亜紀の兄は、ドクター宗方(石原裕次郎)の手術によって「奇跡的に」蘇生します。これも霊感のお陰? ホッとして気が抜けたのか涙ぐむジンに、宗方が言います。

「俺はそういう刑事、好きだぜ」

実は霊魂の存在を信じてるらしい徳吉も、人魂やUFOの目撃体験を嬉しそうにジンに語って聞かせます。

「いやぁ、あれは良かったなあ。キャー、助けてーなんて言って抱きついて来やがんだよ、一緒にいたトルコの女が」

「アハハハハ!」

「ほぉ~、トルコの女。トクもいい趣味してるねぇ、しかしまあ」

……と、優作さんの下ネタに団長のニヤケ顔で幕を閉じる、実に素晴らしいエピソードでしたw

今回はそんなトクとジンが絡むシーンが多く、『太陽にほえろ!』マニアにとってはジーパン&ドックという有り得ないコンビを妄想できる美味しいエピソード。後輩をフォローする徳吉の優しさが光る一編でもありました。

また、刑事たちが少女の超能力に賭ける展開は『太陽にほえろ!』末期の異色作『エスパー少女・愛』('86) に酷似しており、ブルース刑事(又野誠治)と二人でその回の主役を務めたのがドック刑事=神田正輝さん。しかも渡哲也さんが代理ボスを務めてた時期の作品ですから、これは決して偶然の一致じゃなかったのかも知れません。

ところで霊感少女・亜紀を演じられた中村七枝子さんですが、芸能活動はごく短い期間だったようで、プロフィールが見当たりません。ネット上に記録されてる出演作は、本作以外だと'77年の映画『獄門島』と'79年の連ドラ『新・座頭市』第2話があるぐらい。

今回掲載のアイドル然とした水着グラビア(当時15歳)のほかにヌードグラビアも残されてるようで、短期間に濃密な経験をされて満足しちゃったのか、あるいは逃げるように芸能界を去られたのか……?

前者であることを願うばかりですが、とにかくごく少ない出演作の1本として、これは貴重なフィルムと言えましょう。
 
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