ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『山田太郎ものがたり』#06―3

2018-11-28 12:25:19 | 多部未華子









 
池上隆子(多部未華子)は、山田太郎(二宮和也)が主演する自主映画に、その相手役として出演する事が決まりました。引っ込み思案な隆子にとっては大きな前進です。だけど……

「いいんだよね、私……玉の輿よりもこの恋を選んで……」

大貧民の太郎と暮らして行く事はすなわち、現在の小市民ライフから脱出するという、長年の夢を諦める事を意味します。別につき合ったからって結婚するとは限らないんだけどw

まだ迷いを吹っ切る事が出来ないでいる隆子を、今度は母親のまりあ(柴田理恵)が、強引に太郎を池上家(公団住宅)に招待するという形で後押しします。

まりあはスーパーで最安値の買い物をするスペシャリストで、太郎には「師匠」と呼ばれ崇められる存在なのですが、そもそも隆子はそんなオトナになりたくないからこそ、ずっと玉の輿を夢見てたワケでw、母には関わって欲しくない様子。

山田ファミリーほどじゃないけど、隆子の両親(父親役は六平直政)のラブラブおしどり夫婦ぶりや押しの強さも又、なかなかどうして(ビジュアル的にも)気持ち悪いですw

「池上さんは、いい奥さんになると思うんです」

「えっ?」

両親に対して太郎がサラッと言った言葉に、隆子はドキッとするのですが……

「師匠とそっくりの」

「が~ん!」

隆子がモノローグで言う「が~ん!」は毎回のお約束ですが、何となくやる気なさそうな多部ちゃんの言い方がツボですw(多分、数パターン録音した中で、いちばん気を抜いて言ったバージョンを、あえて逆に使ったのではないかと)

で、すぐさま妄想モードに入るのも隆子のお約束で、数年後に六平さん&柴田さんソックリな(?)夫婦になった二宮くん&多部ちゃんが、2枚目と3枚目の画像です。

「そんなのイヤ! もうやめてよ! やっぱりムリ! 私、貧乏な人はイヤ!」

「た、隆子……」

いきなり失礼なことを叫ぶ我が娘に、父母は驚くのですが……

「あ、今のはたぶん映画の台詞です。池上さん、もう憶えたんだ」

朝ドラのヒロイン並みに鈍感&プラス思考な太郎にw、救われる隆子なのでした。そして……

まだ隆子が迷いを吹っ切れない内に、いよいよ映画の撮影がスタートしちゃいます。

学生が撮る自主映画なんて、普通はキャスト&スタッフ合わせて5人~10人程度なのに、まるでメジャースタジオの大作映画並みの大人数を仕切ってる小谷カンヌ監督(水川あさみ)は、ただ者じゃありませんw

「いやぁ~、あの2人には、古き良き日本映画の雰囲気を感じるなぁ~」

古風な学生服の衣裳に身を包んだ太郎&隆子を見て、一ノ宮校長(宇津井 健)が懐かしそうに眼を細めます。確かに『伊豆の踊子』みたいな昭和の文芸作品が似合いそうなカップルです。

「どんなラストシーンが待ってるのかな、あの2人には」

「え?」

隣にいる御村託也(櫻井 翔)に、思わせぶりなことを言う校長先生。何も知らない筈なのに何でも解ってる勿体ぶったキャラって、少女マンガに必ず出て来ますよねw

「キミは、それを見に来たんだろ?」

図星を突かれて苦笑する託也ですが、彼自身が心から太郎を愛してる事までは、さすがの校長先生も見抜けなかったようですw

ちなみに、カンヌ監督からレフ板係を命じられた杉浦くん(忍成修吾)は、太郎にハグされて以来、彼が気になって仕方がないという、どうやら真性のゲイと思わしき描写があり、たいへん気持ち悪いですw

いや、愛の形は様々であって良いと思いますから、決して同性愛を否定するつもりはありません。むしろレズは大歓迎だしw

「気持ち悪い」を連呼してる私自身だって、実は俳優としての二宮和也くんがかなり好きだったりします。映画『青の炎』は松浦亜弥さん目当てで観た筈なのに、気がつけば二宮くんに眼が釘づけになってました。

卓越した演技力もさることながら、二宮くんには人を惹きつける不思議な吸引力、何やら性別を超えた魅力があるんですよね。あるいは、私自身にも実はゲイの素質があるのか?

んな事はどーでも良くて、撮影は順調に進み、自転車に2人乗りしたり相合い傘したり抱擁したり等、ラブラブな太郎&隆子の姿が美しい自然を背景に描かれていきます。

「池上さんって、なんかいい匂いだね」

「えっ?……あ、ありがとう……」

太郎のキラースマイルにメロメロの隆子、そして私。(うそw)

撮影の帰りに、隆子は初めて山田家の食卓に招かれ、あの気持ち悪い……じゃなくて、可愛い可愛い弟妹たちと対面する事になりました。

ギャラ代わりに監督から貰った高級ホットケーキを細かく切って、仲良く分け合って食べる弟妹たちは、本当に幸せそうに見えます。そんな気持ち悪い……じゃなくて、健気な弟妹たちの姿を見て、隆子の心にも変化が訪れます。

「私……間違ってた。お金が無くたって幸せになれる。ホットケーキ1枚を、みんなで分ける幸せが、此処にはある」

たかがホットケーキ1枚に感動し、幸せを感じられるなんて、お金持ちには決して出来ない事です。ここで隆子は、ついに迷いを吹っ切りました。

「私、今ならもう、自信を持って言える……」

そして撮影最終日、隆子は渾身の想いを込めて、クライマックスの台詞を叫ぶのでした。

「たとえ貧しくても、私……あなたが好き!」

それは、役を超えた隆子自身の心の叫びであり、カンヌ監督も大絶賛の名演技だった……のですが……

「オレはキミ無しでは生きて行けない」

肝心の主人公=太郎が棒読み台詞でNG連発、カンヌ監督もお冠です。この二宮くんの棒読み芝居がまた素晴らしい! 下手な芝居で笑わせるっていうのは、本当に上手い俳優にしか出来ない芸当なんですよね。

しかし、これじゃいつまで経っても撮影が終わらないって事で、愛する太郎の為に託也が助け舟を出します。託也から何やら耳打ちされた太郎は、見違えるように気持ちのこもった演技を披露し、見事OKを勝ち取るのでした。

大喜びのカンヌ監督は、太郎にこんな言葉を残して大学へと帰って行きました。

「私、いつか有名になってハリウッドで戦争映画撮るのが夢なの。そん時は日本兵士役、よろしく」

ちょうどクリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』が公開されてた時期なんですよねw 二宮くんはまさに日本兵士役でした。

「池上。第3段階も頑張れよ」

「えっ?」

例によって託也は、勿体ぶった台詞と思わせぶりな笑顔を残して、キザに去って行くのでした。気持ち悪いですw

「私ね……山田君と一緒だったから、楽しかった」

「ほんと?」

すっかり夜になって、イルミネーションの光に包まれ、ムード満点な雰囲気の中、太郎と隆子が2人っきりで歩きます。

「このままずっと、撮影が続いたらって、思った」

「うん。このままずっと、夏休みが終わんなきゃいいなぁ……」

想いを伝えるのは、今しか無い! 隆子は勇気を振り絞って、いよいよ正直な気持ちを太郎に告白します。

「私……たとえ貧しくても、あなたが好き!」

「そうそう、あの台詞。なかなか上手く言えなくてさぁ、あん時、御村くんにアドバイス貰ったの」

「えっ?」

隆子がまた映画の台詞を言ったものと勘違いした太郎は、託也から耳打ちされた例のアドバイスをここで披露するのでした。あの時、託也はこう言ったのです。

「キミ無しではのキミを、何でもいいからお前の好きな料理に置き換えてみろ」

「料理? ハンバーグでいい? オレは、ハンバーグ無しでは生きて行けない……なるほど!」

……と、いうワケで、今のところ太郎の頭の中には、食い物=ファミリーの生活の事しか無いみたいです。

「ハンバーグに、負けた……」

隆子の想いが伝わる日は、いつか来るのでしょうか? 来ないような気がしますw

そんなワケで、この第6話をレビューに選んだのは、実質的な主役が隆子=多部ちゃんだったから。しかも、太郎への想いが玉の輿の夢より勝った、ターニングポイントと言えるエピソードなんですよね。

さらに、私も昔やってた自主映画の撮影が描かれて、しかも好きな女優さんの1人である水川あさみさんが監督役ってのもポイント高いです。おまけに山田ファミリーの出番が少ない!w

二宮和也と多部未華子がカップルを演じてること自体、今思えばかなり贅沢な映像だし、この2人のクラシックな制服姿が見られる点でも、非常に美味しいエピソードだったんじゃないかと思います。
 
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『山田太郎ものがたり』#06―2

2018-11-28 00:00:15 | 多部未華子









 
『山田太郎ものがたり』のオープニングタイトルは、本当に素晴らしいと思います。ここだけは気持ち悪くありませんw

まず楽曲が良い!(嵐の『Happiness』) まさか自分がジャニーズの曲を絶賛する日が来るとは夢にも思ってなかったけどw、良いものは良いんだから仕方がない、大霊界はあるんだから仕方がない。

そしてキャスト陣が順番にエアギターをかき鳴らし、次の人にバトンを回して行くミュージカル的な構成。エアギターなのに、まるで本当にギターを持ってるように見える!(CGで描いてあるんだけどw)

で、みんな本当に楽しそうに躍動してて、観てるこっちまで元気になって来ます。多部ちゃんや、あの宇津井健さんまでノリノリでエアギターですからねw

ここ数年で、連ドラのオープニングタイトルはすっかり寂しいものになっちゃいました。長くても10秒程度で、キャスト&スタッフのクレジットはエンディングに回されてます。

それも予算削減の為なんでしょうか? あるいは、その方が映画っぽくてカッコイイみたいに勘違いしてる?(たぶん前者だろうと思いますが)

私は断然、この『山田太郎ものがたり』みたいにちゃんとしたオープニングタイトルを見せて欲しいです。その方がキャストの顔と名前を覚え易いメリットもあるし、何と言ってもオープニングは番組の顔なんだから!(乳首)

それはともかく、本編のつづき。自主映画監督・小谷カンヌ(水川あさみ)が撮ろうとしてる新作は、貧しい少年と大金持ちの令嬢との切ないラブストーリー。彼女はそのキャストをスカウトする為にやって来たのです。

「ウチの生徒はお金持ちが多いですからねぇ。貧乏が似合う子なんて……はっ!」

そんな子はいないと言いかけて、ホンモノの貧乏である山田太郎(二宮和也)の存在を思い出したのは、彼の担任教師である鳥居先生(吹石一恵)。極端な妄想癖があるドMな人、つまりド変態女教師ですw

「大丈夫、あえて逆いきますから。あえて逆に、一番御曹司っぽくて上品な子を起用するんです。もう見つけました」

ド変態に教えてもらうまでも無く、カンヌ監督は既に太郎をチェック済みでした。(ただし金持ちのボンだと思い込んでる様子ですが)

彼女は「あえて逆」を狙うのがお好きなようで、だから自主映画監督という超サブカル人間なのに、ファッショナブルなセクシー美女という「あえて逆」のキャラクターになってるワケですね。

そんな話が水面下で進んでるとも知らず、太郎は再び御村託也(櫻井 翔)の住む豪邸に招待され、ドキドキしながら例の「いい匂いがする」女性(霧島れいか)と対面します。

ところが、彼女は御村家のメイドさん達にケーキ作りを教える料理の先生で、太郎が反応してたのは彼女から漂うケーキの匂いだった……つまり恋じゃなかったという、微笑ましくも腹立たしい、実に幼稚なオチがつきましたw

翌日、託也は池上隆子(多部未華子)にその顛末を伝えます。

「安心した?」

「えっ? いや、別に私は……」

「ふふ、お前は判り易いなぁ。そういうとこアイツにそっくりだ」

「え?」

「俺には2人が……」

「?」

「……ま、いいや」

「えっ、なに?」

「ま、頑張れ」

私はハッキリ言って、こんな風に格好つけて勿体ぶって、思わせぶりなことを言うキザ野郎が大嫌いですw だけど櫻井くんが演じると、それほど嫌味に感じないから不思議です。

「頑張れ、か…… 私、頑張っちゃおうかな?」

キザ野郎の思惑通り、太郎の恋話に心を乱された隆子は、彼への想いをあらためて自覚したみたいです。

「これで第2段階成功だな」

そう呟く託也は、本気で太郎と隆子をくっつけようとしてるのでしょうか? 何の為に、そんなお節介を? それは多分、愛する太郎の幸せな姿が見たいからw

託也があの2人を掌で転がして「面白がってる」ように見えるのは、彼自身も自分の想いに気づいてないからでしょう。彼は自分の事よりも、太郎を幸せにする事しか考えてない。だから嫌味っぽく感じないワケですね。

これぞ無償の愛、究極の愛と言えましょう。いやぁ~美しい! 実に美しくて素晴らしいんだけど、気持ち悪いですw

さて、ようやく太郎にアタックする気になった隆子ですが、カンヌ監督が彼と話してる姿を見ただけで意気消沈しちゃいます。カンヌ監督は出演交渉してただけなのですが……

「誰だろ……綺麗なひと……」

映画出演なんかよりもバイトがしたい太郎ですが、一流ホテルの高級ホットケーキをエサにされ、あっさり出演契約を結びますw そのホットケーキは、太郎の気持ち悪い……じゃなくてw、可愛い弟妹たちにとって高嶺の花、いつかは食べてみたい憧れの逸品なのでした。

主演男優を確保したカンヌ監督は、次にヒロイン女優を決めるべく女子生徒たちを集め、オーディションを開きます。学園きっての王子様の相手役だけに、学校じゅうの女子が殺到し、ここでも隆子は気後れしちゃうのでした。

「やっぱり私、ムリ……」

すごすごと部屋を出て来た隆子に、再び託也がお節介を焼きます。

「また逃げて来たんだ。勿体ないなぁ……」

「あのさぁ、御村くん。何なの? 私をどうしたいワケ? 色んなこと吹き込んでさぁ……」

キザ野郎の真意がよく解んないもんだから、隆子もちょっと不機嫌モード。よもや彼が心から太郎を愛してるからだとは、さすがに誰も気づきませんw

「御村くんは、ゲームでもやってるつもりかも知んないけど……私さぁ、いちいち、いっぱいいっぱいなんだよな」

こういう台詞を言わせたら、多部ちゃんの右に出る若手女優はいません。巧い! 本当に巧い! 愛してますw

「……俺は、2人がうまくいったらいいなって、ホントに思ってるよ」

「どうして?」

「それは……面白そうだから」

……ていうのは決して託也の真意じゃないんだけど、真に受けた隆子はその場を立ち去ろうとします。すると託也は彼女を引き止め、こんな言葉を掛けました。

「すぐに諦めるのやめたら、もっといい事あんじゃないの?」

憎いこと言いますよねぇ~w 隆子の気持ちをよく理解し、彼女が羽ばたけるよう、さりげなく背中を押す。

つまり御村託也っていうのは、誰が好きとか嫌いとか関係なく、みんなが幸せになれるよう手助けしないではいられない、究極の優しさを持った天使みたいな男……なのかも知れません。

だけど、そんな結論に収まっちゃったら面白くも何ともないのでw、やっぱ全ては愛する太郎の為、太郎の笑顔が見たいが為にやってる、究極のボーイズラブに違いありません。いやはや全く、気持ち悪いですw

そうとも知らずに隆子は、今度こそ「すぐに諦めるの」をやめて、オーディション部屋に飛び込みます。そんな彼女を見て、カンヌ監督は何かを感じた様子。

「あなた、ちょっといい匂いするね。読んでみて」

それはまるで、最初から隆子の為に用意されてたような台詞なのでした。

「この世に、お金より大事なものなんて無いわ!」

「あなたに決定!」

ご令嬢の役を、よりによって隆子に?と、落選した女子たちがブーブー言うのですが……

「私はあえて逆に、この中でいちばん庶民的なあなたに、ヒロインを演ってもらいます」

私の眼から見ると、多部ちゃんほどご令嬢役が似合いそうな人はいないと思うんだけど、確かに見方を変えると一番庶民的にも感じるし、美人にも不美人にも見える。そんなファジーさこそが、実は多部ちゃん最大の武器なのかも知れません。

何はともあれ、仲良しの隆子が相手役に決まって、太郎も嬉しそうです。部屋の隅っこからその様子を見て、託也もニコニコ笑ってる。気持ち悪いですw

(つづく)
 
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『山田太郎ものがたり』#06―1

2018-11-27 12:00:38 | 多部未華子









 
『山田太郎ものがたり』は2007年の7月から9月に全10話が放映された、TBS系列・金曜夜10時枠の連続ドラマです。(原作は森永あいさんの少女マンガ)

当時は「嵐」の二宮和也くんと櫻井 翔くん初の共演ドラマとして話題になった事と思いますが、私にとっては多部未華子さん初の連ドラ出演作として特記しておきたい作品です。

私が多部ちゃんにハマったのは2011年の『デカワンコ』から……ですから、それ以前の出演作はDVD等による後追いの鑑賞となりました。

多部ちゃん=演技派のイメージが強かったですから、ジャニーズ主演によるバリバリのアイドル番組でヒロインを務めておられたこと自体、私にとってはサプライズでした。(実はジャニーズ番組との縁がやたら深いことは、その後で知る事になります)

それはともかく、この『山田太郎ものがたり』に関しては、一概に「素晴らしい」とも「素晴らしくない」とも言い切れない、複雑な想いが私の中にはあります。

素晴らしくないと思う理由は後で書かせて頂くとして、素晴らしいと思うのは何と言っても、キラ星のように輝く若手キャスト達です。

私はこのドラマを観て二宮和也くんの演技力に驚愕しましたし、櫻井 翔くんの妖しい魅力やw、ほか(敬称略)吹石一恵、大塚ちひろ、忍成修吾、吉沢 悠etc…といった人達が豊かな個性を存分に発揮し、皆さん現在に至るまで活躍されてます。

その中でも、やっぱり多部未華子という逸材をいち早く起用し、その才能を遺憾なく発揮させた挙げ句、我らがタベリストマスター・yamarineさんを重度の「多部患い」たらしめた功績はあまりにも大きく、掛け値なく素晴らしいと言えましょう。

そんな素晴らしいドラマ『山田太郎ものがたり』の中で、私が一番印象に残ってるのが、この第6話です。その理由もまた、後ほど……


☆第6話『兄ちゃん一目ボレ』

(2007.8.10.OA/脚本=マギー/演出=山室大輔)

本作の主人公=山田太郎(二宮和也)は容姿端麗で学力チョー優秀、運動神経も抜群(だから女子にもモテモテ)という、全くけしからん高校生なんだけど、実は母子家庭で6人の弟妹を抱える貧乏ファミリーの長男なのですね。

一方、御村託也(櫻井 翔)は華道の家元=大金持ちのボンなんだけど、なぜか太郎と親しくて何かと助け舟を出してあげるナイスガイ。今回もお中元の山をお裾分けし、無邪気に喜ぶ太郎を見てニコニコ笑ってる。

この、櫻井くんのニコニコ笑顔が何とも意味不明で、不気味なんですよね毎回w 自分とは全く違う環境に育ち、全く違った思考をする太郎を「面白がってる」って事らしいんだけど、それだけじゃない「含み」を感じてしまうワケです。

それがどうも、当時(今も?)流行りの「ボーイズラブ」的な要素らしく、私がこのドラマを一概に「素晴らしい」と言い切れない、まず第1の理由になってますw 男どうしの恋愛だけは、それが例えどんな名作であろうとも、私はあまり見たくないのでありますw

「明日から夏期講習かぁ……夏休みぐらいがっつりバイトしたいんだけどなぁ……」

「ふっ……家で退屈な休みを過ごすよりはさ……」

こういった対照的なバックボーンを持つ男2人の友情って、男性作家が描くと大抵ライバル関係だったりするんですよね。例えば『巨人の星』の星飛雄馬と花形満とか。(古っ!)

それが女性作家(原作)の手にかかると、かくもイチャイチャした2人になっちゃう。女性から見ると心地良いんでしょうけど、男から見るとすこぶる気持ちが悪い。(女性どうしなら大歓迎なのですが)

さて、御村家の長い廊下で太郎は、1人の女性とすれ違い、ハッと息を呑みます。

「どうした?」

「えっ? いや、別に……」

そんな太郎をじっと見て、託也はまたもやニコニコ笑顔。気持ち悪いですw

「いい匂いだったなぁ……」

あばら屋みたいな自宅に戻っても、太郎はあの女性を思い出してボ~っとします。そんな太郎を、母=綾子(菊池桃子)と6人の幼い弟妹たちが冷やかすのですが……

私がこのドラマを「素晴らしい」と言い切れない第2の理由は、この山田ファミリーの描かれ方です。みんな揃ってつつましく、心が美しい良い子ちゃんばっかりなんですよね!

そのこと自体が悪いとは言わないけど、6人の子供たちが全員、いつも同じこと考えてて、いつも同じ言動をしてるのが、まるで誰かにマインドコントロールされてる狂信者、あるいはロボットみたいに見えて、すこぶる気持ちが悪い。

どうやら私は、大人数の人間が全員同じ言動をする光景を見るのが、人一倍ニガテみたいです。まして、まだ幼い=本来ならワガママ盛りの子供たちですよ? あり得ないからイヤなんじゃなくて、気持ち悪いからイヤなんです。

そんなワケで、本レビューにおいては山田ファミリーの場面を極力カットさせて頂きますm(_ _)m 第6話を選んだのは、この不気味なファミリーがストーリーにほとんど絡まないって事も理由になってます。

さて、託也は再び太郎を御村家に招待し、例の「いい匂い」がする女性と会わせようとします。その真の目的はどうやら、太郎に想いを寄せながら自分の気持ちに素直になれない、クラスメートの池上隆子(多部未華子)を焦らせる事のようです。

私はこのドラマを観始めた当初、なんで多部ちゃんにこんなベタなラブコメのヒロインを演らせんの?って思ってました。こんな役、その辺のグラビアアイドルで充分と違うの?って。

でも、この第6話を観る頃には考え方が変わってました。この役はなかなか……いや、めちゃくちゃ難しいぞと。これは確かに、多部ちゃんクラスの実力派女優でなきゃ務まらんぞと。

池上隆子は貧乏とまでは言わないけど、ごくごく庶民的な家庭に育ったがゆえの強い「玉の輿」願望があるんですね。で、てっきり太郎をお金持ちのボンと思い込んで好きになるんだけど、実は超ビンボーである事を知ってしまう。

それで想いを吹っ切ろうとするんだけど、太郎の人柄にはますます惹かれて行っちゃう。そんな葛藤する乙女心を的確に、しかも暗くならないよう演じて見せなきゃならないワケです。

そもそも「貧乏な男はイヤ!」「何より大事なのはお金!」って言ってるようなヒロインですから、下手すりゃ視聴者の反感を買いかねない難しさもある。

更に言えば、ジャニーズの王子様である二宮くんと櫻井くんの相手役を務めるワケですから、女性視聴者に嫌われるタイプ(ブリッコとか)であってもいけない。なおかつヒロインとして成立する「華」も求められるワケですからね。

そんな難役を見事にこなした多部ちゃんだからこそ、この後もジャニーズの相手役オファーが続いて行く事になったんだろうと思います。

「べ、別に……私には関係ないから」

「あっそ」

「ちょっと待って」

↑ これは隆子=多部ちゃんと託也=櫻井くんとの掛け合いなんだけど、ラブコメには超ありがちな台詞の応酬で、普通ならつまんない場面になってた筈です。(太郎が恋をしてるらしいと託也から聞かされて、焦りを隠せない隆子、という超ありがちな場面)

なのに、何回観ても飽きない笑える場面に仕上がってるんですよね! 櫻井くんも巧いんだけど、多部ちゃんの間の取り方(空け方と詰め方)がホント絶妙なんです。文字じゃ説明しようが無いのが歯痒いんだけど、多部ちゃんの「間」によって凡庸な台詞が笑える台詞に昇華されてるワケです。

当時18歳で、しかも連ドラ初出演。その上、ご本人には人を笑わせる気などサラサラ無いそうですから、こりゃもう先天的なコメディエンヌとしか言いようありません。だから、多部ちゃんにはもっともっとコメディに出て欲しい! 活かさなきゃあまりに勿体ない才能です。

「あの……相手は、どんな人なの?」

「関係ないんじゃないの?」

「関係ないよ」

「でも気になってんの」

「気になってないよ」

「じゃ何でそんなこと聞くの」

「……聞いただけ」

文字で読んでもちっとも笑えないでしょう? それが、仕上がりを観ると断然面白くなってる。本当に凄い才能です。素晴らしい! 愛してますw

さて、ここで本エピソードのゲストキャラ=小谷カンヌ(水川あさみ)が登場します。カンヌと言えばあの珍ドラマを思い出しますがw、こっちのカンヌは女優じゃなくて映画監督志望の女子大生です。

つまり自主製作映画の監督さんなワケだけど、ファッションモデル並みに垢抜けたセクシー美女で、私は思わず「そんな自主映画監督おるかいっ!」って叫んじゃいましたw(経験者なもんで)

どうして水川さんは、わざわざ本来の映画マニア像とは真逆の役作りをされたのか? 後々の場面で、その理由が分かる仕掛けになってるんですよね。

ところでカンヌ監督は、太郎や隆子がいる名門校のOBで、新作映画のキャストをスカウトする為にやって来たのでした。勿論、主役には太郎が選ばれる事になります。

「あの子、いい匂いがする」

カンヌ監督はどうも、嗅覚で物事を判断する人らしく、なぜか多部ちゃんはそんな設定に縁がありますよねw

主役が決まったところで、嵐が唄う主題歌『Happiness』が流れ、オープニングタイトルとなります。番組は、まだ始まったばかりですw

(つづく)
 
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『大奥~誕生』#03~#05

2018-11-27 00:05:14 | 多部未華子









 
2012年の秋シーズンにTBS系列の金曜夜10時枠で放映された「歴史改変SF」ドラマです。(脚本=神山由美子/メイン演出=金子文紀/全10話)

正式タイトルは『大奥~誕生/有功・家光篇』で、二宮和也&柴咲コウ主演『大奥』と堺雅人&菅野美穂主演『大奥~永遠/右衛門佐・綱吉篇』という、2本の映画を繋ぐポジションに位置する作品。

奇しくも、この『大奥』(よしながふみ原作)シリーズにおける共演がきっかけで、多部未華子&窪田正孝(すでに破局?)、そして堺雅人&菅野美穂(結婚!)という、2組のカップルが生まれてしまいました。私は当時、堺さんと多部ちゃんがもしかしたら……って思ったのにw

レビューするにあたって第3話~第5話を選んだのは、多部ちゃんが堺さん相手に初めて濃厚なラブシーンを演じた上に、窪田くんと運命の出逢いを果たしてしまうという、我々タベリストにとって非常に心乱される場面が目白押しの3話だから。

と同時に、多部ちゃんが清純派のイメージを返上し、本格女優としての存在感を世間に知らしめた、これはターニングポイントと言っても過言じゃない、重要な作品だったと思うワケです。

実際、堺さんと多部ちゃんの演技は高く評価され、この年の「ツイッターで盛り上がったドラマ」第5位にランクイン、私が当時やってたブログのアクセス数も驚異的に跳ね上がりました。

同じ役者や似たような企画を使い回すばかりで、いよいよ氷河期に突入した感のある連ドラ業界だけど、ほんの数年前にこんな野心的かつハイクオリティーな番組が製作されてたんですよね!

視聴率はそれほど高くなかったようですが、今こそ再評価して頂きたい作品だし、多部ちゃんと窪田くんの初(そしてたぶん二度と無い)共演作としても要注目です。

舞台は日本の江戸時代だけど、謎の伝染病により男子の数が激減しちゃったパラレルワールドの江戸時代。

徳川の三代将軍・家光も疫病により急死、その事実を隠蔽する為に春日局(麻生祐未)は、家光が町娘を強姦して産ませた娘である千恵(多部未華子)を拉致し、男装させて将軍の小姓に仕立て上げます。

で、千恵に将軍の血を引く男子を産ませる「種馬」として選ばれたのが、公家・万里小路家の三男=有功(ありこと、堺雅人)。正常なドラマ版『大奥』では瀬戸朝香さんが演じた「おまんの方」にあたるキャラクターです。

本作でも、有功は千恵から「おまん」と呼ばれます。(苗字が万里小路だから)有功は千恵から「おまん」と呼ばれるのです。「おまん」と。

僕らの多部ちゃんが堺さんに向かって、あの澄んだ声で「おまん」を連呼するワケです。おい、そこのおまん!って。おまん、この野郎!って。

否応なく大奥に連れ込まれ男装させられ、ただ世継ぎを産む為に飼われてるような境遇の千恵は、自らの運命を呪い、家来を使って町娘たちの髪の毛を切らせ、コレクションするという荒みよう。

春日局はじめ周囲の人間はそれを黙認してるんだけど、有功は放っておけずに苦言を呈します。

「上様。人は皆、己にはどうにも出来ぬ定めを受け入れ、生きているのでございます。ご自分だけが辛い想いをしているとお思いなら、それは大間違いや!」

これは我々視聴者の身にも染みて来る台詞です。思えば有功自身も、千恵と同じように否応なく大奥に連れ込まれ、世継ぎを作る為に飼われてる存在なんですよね。だからこそ言えた台詞なんでしょう。

唯一人、真っ直ぐに、真正面から自分を諫めてくれる有功に、千恵は惹かれて行き、有功もまた、想像以上に過酷な千恵の生い立ちを知り、考えを改めます。

「なんで気づかんかったのか……私が救えるのは、たったお一人やったんや。私が救わなければならないお方は、ずっと目の前におられたんや。目の前で、こないに、私にすがって、もがき苦しんでる方が、たった一人おられるやないか!」

第3話のラスト、有功が女性用の着物を千恵に、何も言わずに羽織らせる場面には泣かされます。毎回の事だけど、絶妙なタイミングでMISIAさんの主題歌『DEEPNESS』が流れるんですよね。

そして2人は結ばれ、心から愛し合うようになります。第4話でキスシーン、そして第5話ではついに多部ちゃん初のベッドシーン(布団だけど)が披露されました。

セックスそのものは描かれないけど、熱いディープキスだけで我々タベリストは全員卒倒したもんですw

もしかしたら処女なんじゃないか、いや処女に違いない、処女であって欲しい!っていう切なる願いも虚しく、あの清純派の多部ちゃんが慣れた様子でレロレロ、チュバチュバですからねw おまん、この野郎ーっ!!

しかも、画像をよくご覧下さい。布団でイチャイチャしながら多部ちゃんが、さりげなく堺さんの乳首を小指で弄んでいる!w 処女どころか、僕らの多部ちゃんは何げに、なかなかのチクビシャンだったワケです。

そんなワケで、多部ちゃんは夜な夜な堺さんの乳首をいじりながらセックスを繰り返すんだけど、1年経っても妊娠しない。痺れを切らせた春日局が町に繰り出し、新たなる種馬として連れて来たのが、窪田正孝くん扮する「捨蔵」なんですね。

ただでさえ男子が激減した江戸で、あれだけの美青年ですから、捨蔵はモテモテのプレイボーイ。そういう男に眼をつける春日局って女も、相当なチクビシャンに違いありません。

そんな捨蔵のモテモテぶりを描いたシーンで、まだブレイク前の吉田 羊さんが遊女の1人として登場、窪田くんとレロレロ、チュバチュバされてます。

徳川家存続の為なら手段を選ばず、鬼にも悪魔にもなれる春日局は、「種馬交代」を有功自身の口から千恵に告げさせます。

「春日に逆らえば、この身が危ないと思うたか? 死ね! 死んでしまえっ! こんなウツケは死ねばよい!!」

動揺し、罵詈雑言を浴びせて来る千恵を抱きしめ、有功は静かにこう言いました。

「殺して下さい…… 殺して下さい」

ここで再びMISIAさんの主題歌が流れ、涙腺大決壊ですよw 演じてるのが堺さんと多部ちゃんだからこそ泣けるんだと思います。

「だめ……そんな事はしてはやらぬぞ、嘘じゃ有功! 死んではイヤ! こんな非道い男が、有功が好き!!」

いずれの台詞も、凡庸な男優と女優が演じたら安っぽいメロドラマとしか感じないかも知れません。役者の力ってヤツをあらためて認識させられるドラマです。

こうして、またもや否応なく、新たな種馬を迎え入れる羽目になった千恵。そんな彼女を世間知らずなお姫様と思い込み、プレイボーイ気取りで接しようとした捨蔵は、怒りの未華子キックを浴びて5メートルほど吹っ飛ぶ事になります。

「無礼者! 頭が高いっ!!」

それはまるで、後のプライベートにおける多部ちゃんと窪田くんの関係を予言してるかの様ですw

「勘違いするでない、このウツケ者が! 良いか? お前がわしを抱くのではない。わしがお前を抱くのだ!」

清純派と言われながら、かようにサディスティックな芝居がこれほどハマる女優さんって、他に見当たりませんよね。そんな多部ちゃんにメロメロになってる我々タベリストは全員、言うまでもなくド変態ですw

こうして『大奥~誕生』は、千恵と有功のロマンスをスピーディーに展開させながら、過酷な運命を受け入れ、どんどん強くなって行く2人の内面もしっかりと描いて見せます。

千恵と捨蔵の初夜には人知れず嫉妬に狂った有功も、徳川家の安泰=戦のない世の中を保つ為に世継ぎが必要であることを理解し、距離を置いて千恵を見守るようになります。

そんな有功に支えられ、春日局の死後、千恵は自らが「将軍・家光」となることを宣言し、いよいよ公式に男女逆転の江戸幕府が「誕生」するワケです。

このドラマを「2本の映画を繋ぐポジション」って書きましたが、正確には1作目の『大奥』に至るまでの前史であり、多部ちゃんは『スター・ウォーズ』プリクエルにおけるダース・ベイダーみたいな存在ですねw

けど、割とハートウォーミングな展開だった映画版より、このドラマ版の方がより残酷で、だからこそ主役カップルの絆がより強く感じられて、深い感動を味わうことが出来ました。

柴咲コウは男らしく、菅野美穂は女らしく、その両面を兼ね備えたのが多部未華子という女優であり、堺雅人という男優なんですよね。

その相乗効果というか、化学反応が素晴らしい形に結実したドラマとして、もっともっと高く評価されるべき作品だと私は思います。

春日局を演じた麻生祐未さん、その息子で家光の影武者=稲葉正勝を演じた平山浩行さん、有功の弟子=玉栄(おたま)を演じた田中 聖くん、ほか尾美としのりさん、内藤 剛さん、段田安則さん、南沢奈央さん等、充実のキャスト陣でした。芥川賞作家のピース又吉さんも何げに出てましたw

再放送の予定は無いんでしょうか? 未見の方には是非ともオススメだし、特に多部ちゃんと堺さんに興味がおありの方は必見の作品です。
 
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『デカワンコ』#03―2

2018-11-26 11:26:27 | 多部未華子









 
ワンコ(多部未華子)&キリ(手越祐也)の若手コンビはカップルを装い、元妻と密会する容疑者=中村に近づきますが、あまりに動きと服装が不自然なもんでw、すぐにバレちゃいます。

逃走する中村を追って颯爽と走るキリ&ワンコ! 『太陽にほえろ!』ばりの華麗なる追跡&格闘が見られるかと思いきや、肝心なところでキリは下痢に襲われて撃沈w

一方のワンコも、オシャレ優先の服装(ヒール履き)ゆえに土手の斜面で足を挫きw、あえなく中村を取り逃がしちゃいます。2人ともポンコツとしか言いようがありませんw

「馬鹿野郎ーっ! お前らクビだぁーっ! 北海道に飛ばしてやるーっ!!」

ボス(升 毅)のお怒りもごもっともで、仲間の刑事たちも「今回ばかりは同情出来ねぇな」と冷たい態度。手柄を焦って応援を呼ばなかった報いです。

自宅謹慎を命じられたワンコは、家に遊びに来た親友の交通課婦警=琴美(渡辺直美)に愚痴をこぼします。包帯を巻いたワンコのナマ足が痛々しくもセクスィ~ですw

「網走あたりかなぁ……函館がいいんだけど、希望なんて聞いてくれないよね?」

「一子、警察官っていうのは地方公務員なんだよ? 飛ばされたとしても都内だよ」

「えっ、そうなの? 良かったぁ~」

「言っとくけど、八丈島も小笠原も東京都だよ」

「えっ……」

小笠原諸島へは移動手段が船しか無く、都心から24時間以上かかるんだそうですw

「飛ばされたら、私達の友情もお終いね」

本気だか冗談だか判んない琴美の毒舌。まだ当時はマイナーだった渡辺直美さんの活かし方もまた絶品。

と、そこにコマさん(吹越 満)とヤナさん(大倉孝二)が見舞い……と言うよりコマさんの姪っ子=ありさ(志村玲那)の働きぶりを伺いに来ます。

その瞬間にまず眼を輝かせたのは琴美。交通課婦警の間じゃコマさんが大人気のようです。そして、琴美の姿を捉えたヤナさんの眼もまた、ギンギラギンに輝きます。

「あ、どうも。例のボクです」

実にどーでもいい三角関係ですw

もんじゃ焼きをご馳走になりながら、コマさんは中村の元妻子についてワンコから聞き出します。

「という事は、その娘を張り込んどけばマルヒ(被疑者)を逮捕出来るって事か」

それを聞いて、中村と同じ境遇(離婚し、幼い子供となかなか会えない)ヤナさんが人間味のある一面を見せます。ただの変態じゃなかったんですねw

「それじゃ子供の前で逮捕する事になりますよ? やめましょうよ! 子供が可哀想ですよ!」

「ヤナ。殺された斎藤さんには2人の子供がいたんだよ。その子たちの為にも、チャンスがあればどんな状況でも捕まえる。お前は何年デカやってんだ?」

「……はい」

「ま、そういう状況は避けたいがな……」

翌日、中村が乗り捨てた車が発見され、警察犬ミハイル号の出番となります。キリもワンコも駆けつけますが、謹慎中の身ゆえ捜査には参加させてもらえません。

だけどワンコもキリも自分のミスを何としてでも挽回したい。特に今回ええとこ無しのキリは、藁にもすがりたい想いです。

「ワンコ……嗅げ!」

肉まんの一件が身に染みたのか、ついにキリもワンコの嗅覚を認めたようです。

「はい!」

それが嬉しかったのか、ワンコは普段にも増して力強く、車に残った中村の匂いを嗅ぎまくるのでした。

「あっちです!」

↑ これもワンコの決め台詞の1つ。ワンコが指差す方向には、先に動き出したミハイル&田村さん(田口トモロヲ)の姿が見えます。負けてはいられません。

捻挫でマトモに歩けないワンコに背を向け、キリは跪きます。

「えっ、おぶってくれるんですか?」

「俺は匂いを追えない」

「共同作業ですね!」

「重いなまったく」

「急いで下さい!」

すぐ上から目線で物申すワンコって、ある意味「ドS刑事」ですよねw 日テレのスタッフは多部ちゃんの本質をよく解っていらっしゃるw

ところが、中村は路線バスに乗って移動したらしく、バス停でミハイルの動きが止まっちゃいました。

「匂いが消えてます!」

同じく匂いを見失ったワンコを見て、田村さんニンマリw 警察犬係の心優しい田村さんは、ミハイルがワンコに負けて傷つく姿を見たくないんですよね。

だけどワンコ&キリは、めげずに追跡を続行します。中村じゃなくて、その娘である涼子(大森絢音)の匂いをワンコがキャッチしたのでした。

「ストップ!」

ワンコが指差す先には、神社へと続く長~い坂道が。

「嘘だろ? これ登れってか!?」

「早く!」

やっぱりワンコはドS刑事ですw

ヘロヘロになりながら登った甲斐あって、神社には涼子にプレゼントを渡す中村の姿がありました。

「応援、呼びますか?」

「いや、俺……俺たちで逮捕しよう」

「私たち、2人で?」

「お前、ヘンな意味じゃねえからな」

ほんとポンコツなコンビだけどw、それだけに何だか可愛くて、応援したくなっちゃいます。

「……でも、涼子ちゃんがいます」

ためらってる間にワンコのケータイが『太陽にほえろ!メインテーマ』(着信音)を奏で、今回もアッサリ気づかれちゃうポンコツコンビw

「あっ、お姉ちゃん!」

涼子の前じゃ中村も逃げるワケにはいきません。

「ごめんな。お姉ちゃん、ベンチに座りたいみたいなんだ。連れて行ってあげてくれる?」

「うん、いいよ」

機転を利かせたキリは、涼子を中村から引き離すことに成功します。

「下手な事をしないで下さい。涼子ちゃんの前で手錠を掛ける事になります」

「…………」

かくして、キリはその場で中村を逮捕せず、ゆっくり父娘の時間を過ごさせる道を選択します。

「自首するって約束した。俺は信じるぞ」

「……いいと思います」

「 !? なんだよ、その上から目線!」

「中村さん、嘘ついてません」

「匂いで判ったのか?」

「いえ。デカのカンです」

「その台詞な、百年早いっ!」

自分で手柄を立てる事ばかりに気を取られてたキリが、ライバルのワンコを受け入れた上、犯人に温情をかけるという、人間としての成長を見せてくれました。

かくして涼子と楽しい時間を過ごした中村が、キリとの約束を守ってちゃんと自首した事を、ワンコは拘置所のガラさん(佐野史郎)に報告します。

「そうか、いい解決だったな。デカはホシを挙げてナンボだけどな」

「ホシは挙げたいです。でも所轄にいる時、先輩に教えてもらった事があります。物を盗もうとしてるヤツを見つけたら、盗んでいる最中じゃなく、盗み終わってから捕まえろって」

「間違ってる」

「ですよねぇ。その時、警察って怖いなあって思ったんです。自分でホシを作れるから」

「…………」

その言葉を聞いたガラさんの表情に翳りが見えたんだけど、ポンコツなもんでワンコは気づきませんw 初回で同僚たちに逮捕されちゃったガラさんですが、あの事件にはまだ何か裏がありそうです。

「しかし、そこの2人!!」

ともかく事件は解決したと言うのに、ボスはまたワンコとキリを槍玉に上げます。

「えっ、私たち?」

「一緒くたかよ……」

「お前たちは本当に働かなかったな。マジで小笠原送るよ?」

「ボス! キリさんは頑張っ……」

「ワンコ、よせよ」

どうやらキリは、少しでも中村の罪が軽くなって涼子に早く会えるよう、自分が自首を勧めた事は報告してないみたいです。

キ リ「それよりボス、ワンコに必要経費を落としてやって下さい」

ボ ス「じょ、冗談じゃな……」

ワンコ「さっき経理に回して来ましたよ」

ボ ス「ホワッチャ!?」

キ リ「グッジョブ!!」

楽しそうにハイタッチを交わすワンコ&キリを見て、13係の仲間たちが疑惑の眼を向けます。

チャンコ「お前ら、張り込みの時に何かあったな?」

キ リ「はぁ? 何もありませんよ! お前も何か言えよ!」

ワンコ「キリさんの汗、デカの匂いがします!」

キ リ「はあ?」

ボ ス「何がデカの匂いだ。その台詞、百年ぐらい早いぞ!」

すっかりワンコもチームに溶け込み、いよいよ13係のホームドラマ的な雰囲気が出来上がって来ました。

ワンコ「さぁ~、今日は呑むぞぉ~!」

また呑むんですか?w
 
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