ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#231

2019-07-31 00:00:08 | 刑事ドラマ'70年代







 
☆第231話『孤独』(1976.12.17.OA/脚本=峯尾基三/監督=竹林 進)

工事現場から男の腐乱死体が発見され、その所持品から2年前に詐欺罪で指名手配された辻井 勉らしいことが判明。たった1人の身内である妹=君子(栗田ひろみ)も、それが辻井勉の死体であることを認めます。

ところが解剖の結果、辻井の死因は毒殺であることが判明。なのに、顔面を打ち砕かれた形跡がある。なぜ、そんなことをする必要が犯人にあったのか? あの死体は本当に辻井勉なのか?

藤堂チームは辻井の身辺を捜査するんだけど、彼は妹以外とは誰とも交流しておらず、全く手掛かりが掴めない。

人が誰ともいっさい交流せずに暮らすなんてことが有り得るのか? そんな疑問を抱きつつ、遺留品の1つである懐中時計を調べてみたら、野村(三ツ木清隆)という男が一度修理に出していることが判明し、ゴリさん(竜 雷太)が彼のアパートを訪ねます。

懐中時計はどこかで紛失したと言う野村は、部屋で油絵を描いて毎日を過ごす、やはり誰とも交流しない孤独な男。まさか……もしかして?

君子に面通しさせ、ろくに顔も見ないで「あんな人は知りません」と言う彼女の反応を見て、ゴリさんは確信します。野村を名乗るこの男こそが辻井勉であり、あの死体は野村なのだと。つまり、辻井は別人になりすまして詐欺容疑から逃れるために、野村という男を殺して顔を打ち砕いたのだと。

証拠が何1つ見当たらない中、ゴリさんは野村の部屋にあった少女の肖像画に目をつけます。

人間嫌いで、静物画しか描かない筈の野村が、たった1枚だけ保存してる人物画。そのモデルとなった少女が着てる制服は、辻井の妹=君子の出身高校と同じ物だった!

辻井が野村になりすましてることが証明されるのは、もはや時間の問題。辻井は、2年前に搾取した金を妹に残し、自分はこの世から消えることを決意します。

「刑事さん、お兄ちゃんを助けて! お兄ちゃんを死なせないで!」

たまらず君子が真実を明かし、ゴリさんが辻井に自首を促します。

「妹さんの気持ちが解らんのか? 彼女にとって大切なのは金なんかじゃない。お前だよ!」

観念した辻井は、誰にも頼らず妹と2人だけで生きていく為に犯行に及んだことを自供します。が、ゴリさんにはそんな彼の心情がどうしても理解出来ません。

「たった1人の身内の、妹さんとも他人を装わなきゃならない……そんな孤独に耐えられると思ったのか? お前は、信じ合える友達が欲しくはなかったのか?」

「別に……子供の時から世間に放り出されて、思い知らされてます。他人なんか信じちゃいけない、初めから信じなきゃいいんだ。そうすれば、裏切られることも無い」

「…………」

なんの迷いも無く言ってのける辻井に、ゴリさんは返す言葉を失うのでした。

大都会における凍えるような「孤独」は、たびたび『太陽にほえろ!』で描かれる定番テーマの1つであり、解決出来そうにない永遠のテーマでもあります。特に今回の事件は、加害者と被害者の両方が孤独でなければ成立しなかった筈。

時代が進み、人と人との(直接の)繋がりがどんどん希薄になってる反面、現在はインターネットにおける繋がりがある分、ここまで極端な孤独はかえって現実味が無くなってるかも?

……って思ったんだけど、そのネット社会の中でもイジメやシカトがあり、それが犯罪の引き金になったケースもあることを考えると、やっぱりこれは永遠に解決しそうにないテーマですよね。

「最初から信じなきゃ、裏切られずに済む」っていう辻井の言葉は、「二度と仲間を失いたくないから、誰とも組まない」っていうスコッチ(沖 雅也)の考え方に通じるものがあると思うんだけど、今回のスコッチには捜査上の客観的な発言しか無かったのが、ちょっと残念ではありました。

私自身、人を傷つけたり傷つけられたりするのがイヤで「だったら最初から距離を置こう」って思うタイプなんだけど、それはもしかすると人恋しさの裏返しで、実は人一倍「人との繋がり」を欲してる人間なのかも知れません。たぶん、そうでなきゃブログなんかやってないだろうし。

そんな私も、ゴリさんから見れば理解不可能な人種って事になるでしょう。他者と普通にコミュニケーション出来る人には、それが上手く出来ない人間の気持ちは解らないだろうと思います。

人とのコミュニケーションが面倒臭いだけだろう、サボってるだけだろうって、上手に出来る人は言うんだけど、そんな単純な問題じゃない。だからって犯罪に走ろうとは全く思わないけど、今回の犯人の気持ち、私は解らなくもないです。

犯人役の三ツ木清隆さんは、13歳の時に特撮ヒーロー『光速エスパー』の主役でデビューした俳優さんで、『太陽にほえろ!』は他に第265話『ゴリ、爆発!』、そして第512話『婚約者の死』と、いずれもゴリさん編でゲスト出演されてます。

他にも多数の刑事ドラマに出演され、特に『特捜最前線』では犬養刑事役でレギュラーも務められました。

妹役の栗田ひろみさんは当時19歳。'72年に大島渚監督の映画『夏の妹』で主役を演じ、以来アイドル的な人気を博してTVドラマやCMでも活躍、歌手デビューも果たされました。

刑事ドラマは『大都会/闘いの日々』『刑事物語/星空に撃て!』『東京メグレ警視シリーズ』『鉄道公安官』等にゲスト出演。'80年の大晦日をもって芸能界を引退されてます。

ヌードグラビアは18歳頃に撮られたものと思われます。
 
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『ジウ』メイキング抜粋―2

2019-07-30 12:00:15 | 多部未華子








 
☆メイサから見た多部未華子

メイサ「多部さんは、実際は基子寄りな部分があるんではないかと、私は思ってるんですけどw なんかこう、割りとサバサバしてる印象を、今回実際お会いして受けたので、意外でしたね。お会いする前はどっちかと言うと美咲寄りと言うか、白と黒で言うんだったらもちろん白のイメージがあったので、実際お会いしてちょっと… 一緒にお酒呑みに行きたいなと思いました(笑)」

☆多部ちゃんから見た黒木メイサ

多部ちゃん「メイサちゃんの方が女性らしいと思います、はいw なんだろ? なんか、動きが。雰囲気が。メイサちゃんは、あれですよ、きっと。ああいう風に見せてるだけで、絶対違うと… ちょっとこう、カッコいいしクールで、みたいなイメージを誰もが持ってると思うんだけど、もっと付き合っていって、砕けていくと、全然違うんじゃないかと思ってますけど勝手にw」

☆北村有起哉×多部未華子その1

多部ちゃん「メイキングインタビューで、北村さんどうでしたか?って言われたら、東のキャラを崩壊するような事を言おうと思ってw」

北村さん「(笑)分裂しそうだもんね」

多部ちゃん「ずっと喋ってます、ってw」

☆多部ちゃんから見た北村有起哉

多部ちゃん「北村さんは面白いですね、なんか。よく動くんですよ、北村さんって。1つのシーンに色んなこと詰め込むんですよ。キャラクターそのものになるタイプなのかな?って初めの方は思ってたんですけど、全く逆でしたね。びっくりしました。お芝居に対してすごく細かくて、だから芝居バカなんだろなあって、印象です」

☆北村さんから見た多部未華子

北村さん「僕と多部ちゃんともう一人で話してる時に監督が来て、そのもう一人の方に色々指示を出してて、それでごく自然に会話が止まって、僕らもその指示を聞いてるというか、関係無いからこっちで話を続けるっていうんじゃなくて、それはやっぱり関係あるんで、ちゃんと彼女もスッと聞く耳を持って… そういうパートナーであったというのは、恵まれてるというか、嬉しい事ですね。ちゃんと繋がりとか考えて、全体の事が見えてるんだなって」

☆北村有起哉×多部未華子その2

北 村「今日、取材で多部さんはどうでしたか?って」

多 部「おっ、なんて言ってくれたんですか?」

北 村「色々言ったよ」

多 部「なんて?」

(中略)

多 部「すごい、いい女だと」

北 村「いい女?w それって、もう熟してる感じじゃない。熟してるの?」

多 部「美咲としてよ、美咲としてw なんて言ってくれたのか気になる!」

(中略)

多 部「じゃあ私もインタビューでなんて答えよう? 北村さん、どういう人かなぁ……(じーっと北村の顔を見つめる)」

北 村「(渋い顔を作って)温かみのある……」

多 部「(笑)温かみがあって、後は?」

北 村「非常に、紳士的で……」

多 部「紳士的で」

北 村「ユーモアもあり、非常に理知的で… ウィットに富んで」

(一同爆笑)

多 部「褒め讃えすぎじゃないですか!」

いいなぁ… 有起哉めっ!w

☆多部ちゃんから見たL君(出た!w)

多部ちゃん「ジウっていう役はすごく、難しいと思うんですよね。心に傷があるっていうか…(中略)むしろ、どういう風に思って演じてたのかなって、気になりますよね… なんか、画面では綺麗な、美しい… 殺人鬼って感じでもないから、それもまた難しかったんじゃないかなって思う… 普段ああいう可愛らしい感じだし… うん」

↑慎重に言葉を選びながらも、要は全然なってなかったぞハナクソ!ってw、言ってるようなものでは?

ちなみにメイサは、素のL君を見てるとジウにもこういう純な子供の部分があるんじゃないかと想像を掻き立てられる、などと語っており、演技についてはあえて触れてませんでしたw

※トリビアその5

最終回放映時に流れたDVD-BOXの告知CMに「私、この日のために、今まで夏をやって来た……ぐらいな気持ちですからね」っていう多部ちゃんのコメントが入ってましたが、あれは最後に東主任が叫ぶ「美咲ーっ!」の声を聞く為に、という意味でした。

多部ちゃん「そうじゃないと、ずーっと東主任のこと想い続けて来て、すごい空回りして、怒ったりとかスネたりとか泣いたりしてるのにw、あれが無いとホント救われないよなーって、思ってたので……」

☆撮影を終えて

メイサ「連ドラで、こう… 同い年の多部さんと、主演という形でやらせてもらうのが、初めてだったので… どこの現場に行ってもやっぱり、現場の空気って、中心にいる人(主役)が作っていくんだなって、そういう人になれればいいなと思いながら過ごして来たんですけど、簡単な事じゃないなとw やっぱりまだまだ自分の事でいっぱいいっぱいになるし…(中略)最終的には、大変な事もいっぱいあったけど楽しかったな、いっぱい勉強になったな今回っていう、思いでいっぱいですね」

多部ちゃん「最初から最後まで難しい……作品、でした。突破口がなかなか、見つけられなくて、すごく悩んだ作品ではあったんですが、終わってから色々と気づくんだろうけど… 何とも言えない、すごい難しいなあっていう印象しか、まだ無いかな。(中略)『ジウ』っていう作品を一言でというよりは、美咲ちゃんを一言で、になっちゃうかも知れないけど……愛をとことん貫く……っていう感じかな(照)」

ご本人たちが認めてる通り、メイサの方がシャイで気を張ってて、多部ちゃんの方が自然体というか、上記の北村さんとの掛け合いみたいなリラックスムードで、キャリアの差も大きいでしょうけど、多部ちゃんの方が内面の強さを感じさせます。

だから創り手から見ても、多部ちゃんには安定感があるから頼りにしたくなる。ゆえに引く手あまたな現状も納得出来ますよね。

でも、メイサの頑張りがもっと報われて欲しい!とも思います。世間的にはメイサの方が人気女優なイメージでしょうけど、多部ちゃんに比べるとまだまだ不安定な感じがします。

それはともかく、お二人とも正直なのが良いですね、ホントに。コメントに嘘や虚飾が無い。このメイキングが面白いのは、そんなお二人のキャラあればこそだと思います。
 
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『ジウ』メイキング抜粋―1

2019-07-30 00:00:11 | 多部未華子








 
『デカワンコ』と同じ年に放映された刑事ドラマで、多部未華子さんがワンコ刑事とは対照的にシリアスな演技と、ささやかなお色気にも挑戦された『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』は、タベリストとして数年先に「あの時(少女からオンナへの過渡期)の多部ちゃんは、どんなだったっけ?」って、振り返りたくなる作品のような気がするんですよね。

黒木メイサさんの本気アクションと、金髪坊やL君のへなちょこアクションも(ネタとして)大いに楽しませてもらえたし、美咲(多部ちゃん)から東主任(北村有起哉)すなわち中年男への恋心なんて要素にも、タベリストはもっと萌えても良かったんじゃないでしょうか?w

そういうワケで、私は『ジウ』のDVD-BOXを買いました。まずは、コンパクトで高級感のあるデジパック仕様が良いですね。1枚1枚をページみたいにめくって行く構造で、それぞれ裏面にストーリー解説が印刷されてる分、ブックレットはありません。

最大の興味はやっぱり映像特典で、不要なL君の密着取材映像がくっついて来るのは仕方がないとして、メインとなるメイキングはTV放映もされなかった貴重な映像資料ですから、その出来如何で価値が決まると言っても過言じゃありません。

結果は、充分に満足させてもらえる内容でした。60分という尺もさる事ながら、こちらが観たいと思うツボを外さない誠実な作りで、女優さん達のインタビューもふんだんに入ってます。北村さんと城田優くんの素顔がまた、二人とも実に楽しいキャラで楽しませてくれます。

特に、けっこうタップリと見られる多部ちゃん×北村さんの掛け合いは、中年タベリスト必見かと思いますw 多部ちゃんが中年男とどんな風に会話するのかが、つぶさに、かつ臨場感をもって撮られてますから、とても勉強になりますw

他の特典で密着取材されてるからだけど、L君がほとんど登場しないのもポイント高いですね。ただし、多部・黒木・北村・城田の4名以外のキャストがほぼ無視されてるのは残念でした。伊武さんや岸本さん、石坂さんあたりのコメントも聞きたかったです。

ひと通り観た感想としては、とにかく主演女優2人の関係性と、仕事に取り組む姿勢が本当にカッコイイなぁと。シビレますね。

お互い、必要以上に人とベタベタしない性格という共通点を最初に感じ合い、解り合ったからこそ、適度な距離感を保ったまま、それぞれの役割を淡々と、的確にこなしてる。まさにプロフェッショナル!

クール過ぎずホット過ぎず。そんな両者の姿勢が現場全体にも浸透してる感じで、『デカワンコ』組のアットホームさとはまた違った形の、チームワークの良さを感じました。

クランク・アップの瞬間を見ても、多部ちゃんが泣いてないんですよね、珍しくw ダブル主演の相方と二人同時のALLアップ(最終回ラストシーン)とあって、ここは泣く場面じゃないっていう判断を、両者とも暗黙にしてたように感じました。

そこで二人が泣きながら抱き合うなり、握手するなりのパフォーマンスも有り得る場面だと思うのですが、二人揃ってそういうキャラじゃない。本人達が認めてる通り、内面が似てるんでしょうね、このお二人は。

それぞれの相手役である北村さんと城田くんが、揃って穏やか&お喋りな人であるのも、偶然にせよ良く出来たキャスティングだなぁと思いました。……L君以外はw いや、L君も素直でいい子みたいなんだけど、性格が良けりゃいいってもんじゃないですからねw

そんなこんなで、このメイキングは良かったです。レンタル版では観られないと思われますので、ここでファンの皆さんにお裾分けします。


☆門倉美咲を演じて

多部ちゃん「楽しかったですよ。一番、登場人物の中で、精神的にも体力的にも、強い女… 鉄のようなw そういう女性だから」

「すごく大変な事件を背負ってるにも関わらず、伊崎さん(メイサ)に対する愛だったりとか、東主任(北村さん)に対する恋愛感情だったりとか、そういう所にも重きを置いている美咲ちゃんというのがですねー、非常に……難解だったなぁって感じですね」

※トリビアその1

多部ちゃんの撮影初日は、両親との食事シーン。メイサは、美咲を脱がせた立てこもり犯との格闘シーンからイン。

☆伊崎基子を演じて

メイサ「撮影に入る前から原作を読ませて頂いて、すごい楽しみにしていたので、かなり気合い入れてやって来たつもりでいるんですけど(中略)精神的にも強くいなきゃいけないんだけど、私はどこかで基子って、弱さを抱えてる人なのかなと思ってたので… 人に付け入れられたくない所があるから周りを全部敵にして、自分が裏切られるのが嫌だから信頼する人も作らなくて、結局は自分を守ってる人なんだと思うんですよね」

「だから美咲のことも、嫌いとかじゃなくて、どっかでこう… 誰にでも素直に、真っすぐ生きられる、ああいう女性を、羨ましいというか、素敵なんだと思ってる部分があって、それを認められないだけ、なのかなと思いました」

メイサは、そんな基子は自分に似てる、とも語ってます。

☆多部ちゃんから見た、基子と美咲

多部ちゃん「すごい極端だなと思いますねホントに。基子のキャラクターも、美咲ちゃんのキャラクターも。どっちも無いかも。どっちも有る? どっちも無いかな。どっちも無いですね」

「でも、基子が美咲に対して、けっこうキツイこと言うじゃないですか。そういうのは解る。すごい解る(笑)」

☆メイサと多部ちゃんの距離感

メイサ「最初にお会いした時から、何となくどこかしら基子と美咲っていう感覚でお会いしてるんで、多部さんに。なんかこう、別に私も多部さんのプライベートとか、空き時間に何やってるかとか知りたいとは思わないし、多部さんもそれを知ろうとは思わないみたいな話を、撮影に入る前に何となく話せたので、もうそっから気楽に、別に現場で二人っきりで隣どうしで座りました、ちょっと待ち時間ですってなっても、普段だったらたぶん気を使って、何か話してみなきゃとか思うところを、それすら思う必要が無かったと言うか、だから私はすごく、多部さんにそういう空気を作ってもらえたのは、有難かったですね」

多部ちゃん「黒木さんは、現場で会うことは少なかったし、プライベートな話をワーワーしたワケじゃないんですけど、初めからすごく… きっと似てるんだろなと言うか、同じ匂いを感じるなっていうのは、ずっと思ってたんですけど、そこに入り込もうともしないし、私もマイペースだから(中略)お互い何かを主張し合わなくても、何とかなる人……って感じかな」

※トリビアその2

メイサのアクションは、思った以上にご本人が自分でこなしておられます。おそらく90%以上、吹替え無し。ロープ1本で廃ビルを登る場面もご自分でやられてます。ブラボー!

☆城田優くんのメイサ評

「(前略)僕は人間観察が趣味だったりするんですけど、本当にいつ見てても、スキが無いw 基子に似てる感じが… そういう人だからこそ、たまに笑顔を見せたりすると、ちょっとホッとするというか… すごい可愛く見えますね。あっ、黒木メイサが笑った!みたいなw感じでしたね」

※トリビアその3

旧知の仲である多部ちゃんと城田くん(無名時代に舞台で共演)の会話も見たかったですが、残念ながら収録されてませんでした。

ただし、城田くん殉職=出番アップの現場に多部ちゃんもいて、共演者みんなが城田くんと握手する中、多部ちゃんだけは(城田くんの手が血糊で汚れてるから)人差し指だけで握手するというw、仲良しでなければ出来ない冗談をかましてました。贈る言葉も「お疲れぇー」でしたからw、ほんとに友達感覚なんですね。羨ましいにも程があるw

☆美咲という女性

多部ちゃん「撮影が始まる前の方が、女性らしい女性らしいって思ってたけど、最後の方になって来ると、あんまり意識しなかったですかね… やっぱり刑事だし(中略)慣れて来てっていうか、役を3ヶ月やって来て、溶け込んで来たのかも分からないですけど、最初は色々考えてたのが無くなって、美咲ちゃんをやってたっていう変化はありましたね」

※トリビアその4

「なぜか多部さんには優しい、アクションコーディネーターの田渕さん」……さもありなんw

PS. ちなみに2枚目の画像は、美咲が犯人に殴られ、切りつけられる場面のメイクアップ風景です。

「本当かわいそう」とは多部ちゃんの弁で、自分で演じてる美咲に対して「ちゃん」付けで呼んでたり、すごく客観視してるのが面白いですね。普通の役者さんは、もっと自分自身と混同しがちだと思うのですが。

この後、メイクさんが「台詞は『……伊崎さん』だけだしね」って言ったら多部ちゃん大笑いして、「今日なに言うんだろって台本見たら、『……伊崎さん』しか言わないの」だって。萌えーw いやホント、めちゃくちゃ可愛いですから、タベリストはこれ買うべきですよ、やっぱりw

(つづく)
 
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『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』2011

2019-07-29 00:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY









 
誉田哲也さんの警察小説『ジウ』シリーズを原作とする『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』は、テレビ朝日系列の金曜深夜「金曜ナイトドラマ」枠で2011年夏シーズン、全9話が放映されました。

『デカワンコ』にハマったこの年、すっかり多部未華子さんのファンになった私は、彼女の次なる出演作を心待ちにしてました。

そこに飛び込んで来た夏の連ドラ情報に、私は狂喜乱舞しました。多部ちゃんが同い年の黒木メイサさんとダブル主演する新番組はなんと、またしても刑事物だと言うではないですか!

多部ちゃんサイドとしては、別に好んで刑事物を選んだワケじゃなく「コメディの次はシリアスな作品を」という意図で選んだ企画が、たまたま刑事物だっただけの話かと思います。

けれども私は「多部ちゃんにはいつか、スタンダードな刑事ドラマにも出てもらいたいなぁ」と思ってた矢先で、そんな漠然とした願いがいきなり叶ってくれたワケです。

スタンダードというのはつまり『デカワンコ』みたいな変化球と違って、ストレートに『太陽にほえろ!』の流れを汲む正統派の刑事物ってことです。

で、企画の概略を読むと、クールな武闘派刑事(黒のイメージ)に黒木メイサ、心優しい庶民派刑事(白のイメージ)に多部未華子、みたいなことが書かれてたんで、これは『太陽~』と言うより女性版『俺たちの勲章』だなと、私は勝手に想像を膨らませました。

と言うことは、対照的な2人の刑事が反目し合いながら犯罪者と闘う内に、やがて信頼の絆を結んで行くバディ物のパターンが想像され、いずれにせよスタンダードな刑事ドラマが観られるに違いないと、私はワクワクしながら放映日を待ちました。

ところが、いざ蓋を開けてみたら驚いた! そこに映し出されたのはスタンダードどころか、近来まれに見る珍品ドラマなのでしたw

『ジウ』というドラマはある意味『デカワンコ』を凌ぐ変化球? いや、魔球? 暴投?w とにかくそれは、ヘンなドラマとしか言いようの無い代物だったんです。

まず、メイサ扮する伊崎基子と多部ちゃん扮する門倉美咲は、ほとんど顔を合わしません。最初こそ同じ特殊犯捜査係=SITの所属だけど、すぐに基子は女性初の特殊急襲部隊=SAT隊員に抜擢され、美咲は所轄・柿の木坂署に異動しちゃう。

映画『ヒート』のロバート・デニーロとアル・パチーノみたいなもんで、それぞれの活躍が別個に描かれて重要なポイントでしか交わる事がない。だから反目する機会も少なく信頼の絆が育まれる時間も無い。2人の間の距離感は、最後まで変わらないままなんです。

基子は人を一切信じないロンリーウルフなんだけど、ヒューマニズム一直線の美咲に感化されることも無く、孤独なまんまでドラマは終わっちゃう。これには度肝を抜かれました。普通なら孤独な主人公が誰かと絆を結び、愛や友情の大切さを知るのがドラマってもんですから。

また、美咲は同僚達から「カンヌ」と呼ばれてて、それは泣きの芝居で犯罪者を落とす交渉テクニックが「主演女優賞もの」って理由なんだけど、彼女はドラマの中でその特技を、なんと一度たりとも披露しない!

それって「ジーパン」と呼ばれてる刑事が背広姿のまま最後まで通しちゃうようなもんで、彼女の一体どこが「カンヌ」なのか視聴者にはサッパリ解んないw

それより何より、彼女らが追う「ジウ」と呼ばれる謎めいた連続殺人鬼と、その背後に潜む「新世界秩序」なる怪しいテロ組織の存在が、怖いんだか可笑しいんだか、そもそも奴らは一体何をどうしたかったのか、最終回まで観てもよく解んないw

そしてタイトルロールにもなってる若き殺し屋「ジウ」です。言わばこのドラマの核となる人物で、彼の得体の知れない恐ろしさや、無敵とも言える強さがあればこそ、それに立ち向かうメイサ&多部ちゃんの活躍が光るワケです。

ところが、そのジウを演じる韓国から来たダンサー少年=L君が、ちっとも強そうにも怖そうにも見えない! これはホントに、返す返すも致命的でした。ミスキャストどころの話じゃありません。

そもそも、見かけは可愛い少年だけど眼が死んでるとか、全身に殺気が漲ってるとか、背中に哀しみが滲み出てるとか、そういうのは文字の世界(小説)じゃ成立しても、映像で表現するのは極めて難しいことです。

それだけハードルの高いキャラクターなのに、よりによってほとんど芝居が出来ない、見かけもお人好しの中学生にしか見えないガキンチョを、なんでわざわざ韓国くんだりから引っ張って来なきゃいけないのか?

そこには抗いようの無い大人の事情があったのかも知れないけど、ハッキリ言ってこのキャスティングは、全てを「台無し」にしたと私は思ってます。

……とまぁ、ツッコミだしたらキリが無い『ジウ』なんだけど、それでも私はこの作品を駄作だとは言いたくありません。だって多部ちゃんが出てるから……っていうのが主たる理由だけどw、それだけじゃないんです。

手垢が付きまくった既製のフォーマットに、旬の人気俳優をとっかえひっかえハメ込んだだけの、まるでインスタント食品みたいにお手軽で無個性な刑事ドラマがはびこる今のご時世においては、「非凡である」という事こそが何より素晴らしい!と私は思うワケです。

確かに私はスタンダードな刑事ドラマが好きだけど、そこに何かプラスアルファの新しさが無ければ、創る意味が無いとも思ってます。

良くも悪くも、他の刑事ドラマには無い味わいが『ジウ』には溢れてました。返す返すもL君の起用は大失敗だけど、安易に日本のメジャーアイドルを使わなかったチャレンジ精神は評価すべきかも知れません。

チャレンジと言えば、スタントマンに頼ることなく数々のハードアクションを自らこなした黒木メイサさんにも拍手を贈りたいです。彼女の殺陣は本当にカッコ良かった!

私は格闘技に関して素人ですから、殺陣のレベルがどれほどなのか判断出来ないけれど、彼女の全身から漲る殺気が、べらぼうに強いキャラクターに説得力を与えてました。L君のへなちょこアクションとは大違いw(今あらためて観直してもホントへなちょこ)

そしてやっぱり、果てしなくB級(いやC級?)に近いこの番組を、ちゃんと大人の鑑賞に耐え得る作品に底上げしたのは、間違いなく多部未華子さんの功績です。『デカワンコ』もそうであったように、彼女の卓越した演技力がキャラクターに実在感をもたらし、作品の世界観を「荒唐無稽」一歩手前でつなぎ止めてくれました。

美咲が冴えない中年男である東主任(北村有起哉)にほのかな想いを寄せる展開も、我々に夢を与えてくれましたw 多部ちゃんはなぜか、中高年のオッサン世代にファンが多いんです。

そんな多部ちゃんが籠城犯の要求に従って下着姿になったり、メイサはSATの同僚=城田 優くん相手にベッドシーンを披露する等、お色気描写も忘れない姿勢がまた素晴らしい!

その他キャストは、警察関係者に伊武雅刀、モロ師岡、阿南敦子、小柳 友、矢島健一、飯田基祐、宮川一朗太、石丸謙二郎、光石 研、寮のまかないオバサンに岸本加世子、美咲の両親に不破万作&松本じゅん、ジャーナリストに小市漫太郎、新世界秩序の首領に石坂浩二、といった面々。

主題歌はレディ・ガガ(ただしDVDでは差し替え)、そして制作はテレビ朝日&東宝という珍しい組み合わせ(映画化を目論んでたのでしょう)。

一般的な眼で観て面白いかと問われると返答に困るしw、決して名作とは言えない、どちらかと言えば迷作、珍作なんだけど……いや、だからこそ、これは忘れられない作品であり、昨今の無個性極まりない刑事ドラマ群に飽き飽きしておられる方には、恐る恐るながらもオススメしたいですw

多部ちゃんの下着姿やメイサの本格アクションも必見だし、L君の下手すぎる芝居&へなちょこアクションを見て笑うのも、これまた一興ですからw
 
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『これは経費で落ちません!』#01

2019-07-28 00:25:03 | 多部未華子







 
2019年の夏シーズン、NHK総合テレビの金曜夜10時「ドラマ10」枠でスタートした新ドラマ。青木祐子さん著作のライト文芸で、漫画化もされた連作短編集の実写化作品です。

天天コーポレーション経理部勤務の独身OL・森若さん(多部未華子)が、各部署から持ち込まれる領収書から社内の疑惑や人間関係を洗い出し、様々な問題を淡々と解決していく姿を描いた、お仕事コメディでありつつ新種の謎解きドラマとも言えそうです。

初回は、営業部のエースと云われる若手社員・山田(重岡大毅)が新テーマパーク事業のリサーチと称して人妻の有名デザイナー(藤原紀子)とデートまがいの打ち合わせを重ね、それが不倫疑惑に発展して大問題になるも、森若さんが淡々と領収書の内容を精査し、あくまで業務上の接待であったことを証明して彼を救います。

裏番組『凪のお暇』(TBS系列、黒木華 主演) の出来がすこぶる良く、多部ちゃんを差し置いて今季ナンバーワン作品になるかも?って前回書きましたけど、さっそく撤回しますw

さすが多部ちゃん! さすがドラマ10! 予想を上回る面白さで、この初回だけでもう今季ナンバーワンはほぼ確定。もはや辛気くさい法医学モノや悪趣味な刑事モノは観る気が失せました。今季は『これは経費で落ちません!』『凪のお暇』『ルパンの娘』の3本だけで充分です。

まず経理の業務内容のみに話を絞った着眼点と、そこにミステリー要素を盛り込んだアイデアの新鮮さで、根本はありがちな自分探しドラマの『凪のお暇』を軽く超えちゃいました。こんなドラマ、今まで観たことない!

そして演技力と吸引力で黒木華さんに全くひけをとらない多部ちゃんと、初共演の伊藤沙莉さん、『デカワンコ』の吹越 満さん、『大奥/誕生』の平山浩行さんという芸達者たちが揃った経理部の楽しさたるや!

さらに『ツバキ文具店』の片瀬那奈さん、『ジウ』のモロ師岡さん、そして角田晃広さん、松井愛莉さんといったレギュラーキャスト陣の多彩さでも他番組を圧倒してます。『凪のお暇』の高橋一生くんに対抗するには弱すぎるのでは?と思ってた重岡大毅くん=ヒロインの相手役も意外と悪くなかったし。(だけど彼にスポットを当てた番宣はハッキリ言って失敗。私はあれを観て期待値を下げてました)

それより何より、あらためて多部未華子さんの素晴らしさです。『凪のお暇』の揺れまくるヒロインとは全く対照的に我が道を突き進む、鋼の女キャラ(これまで多部ちゃんが演じた中でも最強クラス)に血を通わせ、実在感をもたらせる手腕はやっぱり「さすが」の一言。

でも今回はそれ以上に、他の女優さんではなかなか味わえない「声」と「台詞回し」の魅力が際立ってるように感じました。『ボイス』で真木よう子さんの酷い台詞回しをさんざん聞かされた後だけに尚更です。

多部ちゃんの場合、ただ滑舌が良くて聞き取り易いだけじゃなく、一言一句の意味(脚本・演出の意図)を的確に理解した上で声のトーンを絶妙に使い分け、そのつど最も適切な台詞回しで表現してくれるから、耳にスーっと入ってハートに染み込んで来るんですよね。

選挙の政見放送なんか観てると、やっぱり俳優出身の三原じゅん子さんや山本太郎さんの演説は他の政治家たちと全然違って、どんなに難しい話でもスーっと耳に入って来て、何となく理解し共感したような気分にさせられちゃう。プロの技術はやっぱり凄いんです。

そんなプロフェッショナルたちの中でも、多部ちゃんの台詞回しは間違いなくトップクラス。今回演じる森若さんは決してエキセントリックな人物ではなく、ただそこにある事実を理路整然と、ひたすら淡々と語るだけで、啖呵を切ったり、ましてや泣いて見せるようなことは一切しません。なのに、例えばTBSの「日曜劇場」でしょっちゅうやってる熱血主人公のくっさい演説なんかより、遥かに我々の心を揺さぶるワケです。

自分が多部ちゃんに萌えてることに初めて気づいたのが、『デカワンコ』における彼女の声に聞き惚れた時だと以前書いたことがありますが、今回あらためてそれを再認識し、惚れ直しましたw あれは完全に天賦の才、それを持たない人がいくら練習したってマネ出来るもんじゃありません。あの眼力、そして多彩すぎる表情もしかり。

そんな多部ちゃんの凄さは、『ドS刑事』みたいなドラマじゃ活かし切れないワケですw 本作『これは経費で落ちません!』は、女優・多部未華子の真骨頂が久々に活かされた連ドラとして、ファンはもちろん、よく知らない方々にも是非オススメしたいです。

このドラマはイケます。何の心配もありません。
 
コメント (2)
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