ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ツバキ文具店/鎌倉代書屋物語』最終回

2018-12-31 12:31:04 | 多部未華子







 
亡くなったペットのお悔やみに始まり、離婚報告や絶縁状など多種多様な手紙を題材にして来たドラマですが、最後は亡くなった身内への感謝、生前に伝えられなった想いを伝えたいっていう、とても普遍的なテーマが描かれました。

それはシリーズ全話かけて綴られて来たヒロイン=鳩子(多部未華子)と先代=祖母(倍賞美津子)の物語、そのクライマックスですから、やっぱ展開が予想出来ても泣かされちゃいます。

前回完結した高橋克典さんのエピソードは、逆に亡くなった身内から生きてる身内に想いを伝えるストーリーでした。こちらもシリーズ序盤から描かれてますから、多部ちゃんの話と高橋さんの話は「対」になってたと、言えなくもありません。

高橋克典さんと言えば『特命係長 只野仁』等に代表されるアクの強い芝居が印象的だけど、今回は母の介護に苦しむ平凡な男をナチュラルに、かつ繊細に演じておられました。

NHKのトーク番組で代表作を問われ、この『ツバキ文具店』が新たな代表作だと答えておられた高橋さん。それは半分社交辞令だとしても、もう半分はご本心だったんじゃないでしょうか。それくらい良い仕事をされたと思います。

高橋さんだけじゃなく、ヒロインの恋のお相手となった上地雄輔くん、そのキュートな娘役の新津ちせちゃん、口は悪いが心根は優しい「男爵」役の奥田瑛二さん、恋する乙女「パンティー」役の片瀬那奈さん、日本人離れを通り越して浮世離れしちゃってるお隣さん「バーバラ婦人」役の江波杏子さん等、皆さん本当にチャーミングで、一人一人がいとおしかったです。

もちろん、その中心にいる多部ちゃんと倍賞さんが素晴らしいのは、もはや言うまでもありません。

俳優さんがみんな輝いて見えるのはスタッフ全員の功績に他ならないけど、特に多部未華子という女優さんの本質を的確に理解し、100%活かしてくれた脚本&演出は、2017年度タベリスト特別賞を授与すべき、近年稀れなベストワークと言えましょう。

さすが、局の看板番組である朝ドラのヒロインに、何千といる候補者の中から、まだマイナーだった多部ちゃんを見いだしたNHKさんです。多部ちゃんの連ドラとしては、かなり久々のホームランとなりました。

恋愛ネタもあるにはあったけど「壁ドン」だの「萌えキュン」だのといった空虚なもんじゃなく、ヒロインが壁を乗り越えるための糧として無くてはならない要素でした。

ただし、1つだけ疑問が……  かつて上地くんの奥さんが通り魔に「殺された」っていう設定は、あんまり意味無かったですよねw 上地くんが再婚を積極的に考えない理由としては、ちょっとブラック過ぎて『ツバキ文具店』の世界観だと違和感があり、余計な付け足しとしか思えませんでした。

気になったのはそれ位で、基本的にはハイクオリティーを最後までキープしつつ、明確なメッセージを真摯に伝えてくれた、本当に素晴らしいドラマ。タベリスト特別賞決定です。エクセレント!
 
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『デカワンコ』最終回

2018-12-31 00:00:18 | 多部未華子




 
☆LAST FILE『愛と絆! 13係ラブ』

(2011.3.26.OA/脚本=伴 一彦/演出=中島 悟)

これまで何度か書いて来ました通り、殉職も転勤も無く、これと言った大事件も起きず、刑事たちの慰安旅行記だけで終わっちゃう画期的な最終回でしたw

とは言え、その旅行中にワンコ(多部未華子)が指名手配犯と出くわし、拉致されちゃうというトラブルは発生するんだけど、ワンコの嗅覚と13係のチームワークで、事件化すること無く速攻解決。

あらためて仲間との絆と、刑事という仕事の意味を再認識し、またちょっと成長するワンコ、というドラマはちゃんと盛り込まれてました。

けど、そんなドラマチックな要素は別にいらない位、慰安旅行の描写だけで充分面白いんですよねw

そこが『デカワンコ』の凄さであり、真骨頂と言えましょう。究極のキャラクタードラマで最高のアンサンブルドラマ。事件が起こらなくても成立しちゃう刑事ドラマなんて空前絶後です。

同じスタッフによる同じテイストの番組を何作か観ましたけど、この『デカワンコ』のレベルにまで到達した作品は無かったように思います。

森本梢子さんによる原作マンガがまず傑作であるのと、多部ちゃんはじめ芸達者ばかり揃った奇跡のキャスティング、そして『太陽にほえろ!』サウンドの魅力も忘れちゃいけません。

ドラマ好きの方には絶対に観て頂きたい作品だし、リピーターの方も遠慮せず、初回からまた観直して下さいw

いやホント、つくづく、何回観ても飽きません。素晴らしい!
 
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『デカワンコ』#09

2018-12-30 12:30:35 | 多部未華子




 
☆FILE.9『警察犬が喋った!?』

(2011.3.19.OA/脚本=伴 一彦/演出=松永洋一)

いつものように、警察犬「ミハイル」と張り合いながら殺人容疑者の匂いを追う、花森一子=ワンコ(多部未華子)。

それぞれ別の匂いを追跡し、ミハイルが駐車場で行き詰まったのに対して、ワンコは容疑者のアパートにまで辿り着き、みごと逮捕に成功。捕まえたのは先輩刑事達だけどw

自分の嗅覚が捜査に役立ち、みんながアテにしてくれてる状況に、すっかり慢心しちゃうワンコ。

ところが、捕まえた容疑者には確かなアリバイがあり、真犯人は別にいる、つまり誤認逮捕だった事が判明し、今度はすっかり意気消沈。

おそらく、ミハイルが追ってた匂いの持ち主こそが真犯人なんだけど、そのミハイルも元気がなく、なぜか引きこもり状態。ワンコも嗅覚捜査を禁じられ、もはや事件は迷宮入り?

すると、ワンコの夢に謎のドイツ人(ジリ・ヴァンソン)が現れ、これからはキミがボクの相棒だと告げます。そう、そのドイツ人はミハイルなのでしたw

駐車場で匂いを見失った時、世話係の田村鑑識員(田口トモロヲ)が、自分じゃなくてワンコの鼻を信じて追跡を中止した事で、ミハイルは大きなショックを受け、失望していたのでした。

でも、真相は違ってた。田村鑑識員は、既に老齢の域に入ったミハイルと一緒に、自らも引退する覚悟を決めていた。追跡をやめたのはミハイルを信じてなかったからじゃなく、体調を心配しての事だったワケです。

ワンコが間に入ったお陰で信頼関係を取り戻したミハイル&田村鑑識員は、あらためて真犯人の匂いを追跡し、みごと逮捕して見せるのでした。

いつもワンコ刑事にお株を奪われ、いまいちパッとしなかった名警察犬ミハイル=フォン=アルト=オッペンバウアー=ゾーン号の活躍が描かれ、世話係の田村さんにもスポットが当てられた、ラスト前のエピソード。(東日本大震災の影響で放映が1週間延びました)

人間化したミハイルは原作マンガに登場済みだけど、まさか実写ドラマにまで出て来るとは!w しかも、今回はワンコ刑事が見た夢として描かれたけど、後の番外編スペシャル『デカワンコちょっとだけリターンズ』では普通に東京に現れるしw

よりメルヘンチックな世界観を目指したと言うより、犬に芝居させるのが面倒臭くなっただけかも知れませんw

前回、13係の仲間達から信頼されてることを自覚したワンコが、今回すっかり調子に乗って慢心しちゃってるのが可笑しいしw、それが大きなミスに繋がり、しょんぼり落ち込む姿がまた可愛いんですよね。

それを多部ちゃんが、いつもながら実に巧みに演じて、着実に笑わせてくれます。コミカルでありつつリアルなんですよね。同僚刑事たちの掛け合いも息ピッタリで、全編どこを切り取って観ても面白く、ダレ場がありません。

入院してたチャンコ刑事(石塚英彦)がいきなり現場に現れても誰もリアクションしないしw、いちいちツッコミを入れて解説したりしない、高度なユーモアが成立する『デカワンコ』は、ほんと超一級品のコメディドラマです。
 
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『太陽にほえろ!』1984~1985

2018-12-30 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
#618 コンピューター計画

さて、ここでまた衝撃的な人事発表がありました。『西部警察 PART III』の撮影を終えたばかりの、石原良純さんの加入です。

正直言って、ガッカリしましたw あの濃過ぎる顔とぎこちない動きは、既に『西部』で見てましたからね。その印象は?と言えば「ダサい」の一言に尽きるw どんだけ三枚目を演じてもスタイリッシュに見えちゃう、あの世良公則さんの後釜なんですよ?w

しかも、ボス=石原裕次郎さんの親戚ですからね。100%コネじゃないスかw 石原プロ製作の『西部』ならまぁ、さもありなんって思えるけど、『太陽』まで巻き込まないでよ!って。

世間の人々が『太陽』も石原プロの作品だと思い込むようになったのは、多分この人事があってからです。神田正輝さんの時も裕次郎さんのプッシュがあったらしいけど、甥っ子となるとまた、話は違って来ますよねぇ。

その上、ニックネームが「マイコン」と来たもんだw 要するにパソコンの事で、当時はまだスペシャリストにしか扱えない代物だったんですね。

本作は、初めて直面する本格的なコンピューター犯罪に手を焼く捜査一係、そこに本庁から助っ人として水木 悠=良純さんが派遣されて来る「プレ登場編」の2時間スペシャルです。

かくして『太陽』の世界にやって来てしまった良純さんは、本当にダサかったw

つい最近DVD特典として収録された同窓会でも、神田さんからは「あれほど拳銃が似合わない刑事はいない」、長谷直美さんからは「背中に物差しが入ってるみたいな動き方」と、さんざんな言われ様w

特筆すべきは走り方のダサさで、良純さんは奥様(元 陸上選手)からも「お願いだからカメラの前で走らないで」ってw、ダメ出しを食らってたそうです。いやホントに、あんなダサい走り方は見たこと無いですw

立ち回りも画期的にぎこちなく、殴り方も蹴り方もとにかくダサい。歴代刑事の中じゃ殿下(小野寺 昭)も立ち回りはダメだったけど、マイコンの比じゃないですねw とにかく、何をやってもダサい !

だけど……今になって観直すと、マイコン刑事のキャラクターには共感出来る部分が多々あるんですよね。

歴代の『太陽』新人刑事の中で、私が最も感情移入したのはボン(宮内 淳)だけど、現実的に最も自分に近いキャラって、本当に残念な事だけどw、このマイコンかも知れません。

人付き合いが苦手で、得意分野であるパソコン操作が唯一、自分の存在価値を示せる心の拠り所だったりする。私の場合はそれが映画創りだったり物書きだったりしたワケで……

だから、パソコン(データ)に頼った捜査を先輩刑事達から否定されちゃう、彼の悔しさや切なさはよく解るし、何とか手柄を立てさせてあげたいって気持ちにもなって来るんですよね。

もし、マイコンを演じる役者がキムタクみたいな二枚目だったら、そんな気持ちにはなれないかも知れません。良純さんがダサいからこそw、マイコン刑事は彼ならではのポジションを、七曲署の中で築けたんじゃないかと思います。


#621 決闘

見事なガンさばきで犯人を逮捕するドック(神田正輝)。その現場を目撃したガンマニアの男(小野進也)が、ドックに決闘を申し込んで来ます。男は難病で自暴自棄になっており、ヤケを起こして無差別殺人に走る可能性を考慮したドックは、その挑戦を受けて立ちます。

射撃の名手・ゴリさん(竜 雷太)も、このテのイカレた粘着質野郎によく取り憑かれてました。若手をまとめるリーダーのポジションのみならず、そういう役回りもドックが受け継いだワケですね。


#622 ブルースの賞金稼ぎ

ブルース(又野誠治)がプロの賞金稼ぎ(石橋漣司)と人違いされ、その正体をつかむ為にあえて暗殺の依頼を引き受けます。セントラルアーツ作品を彷彿させる、横浜を舞台にしたアクション活劇編。

『太陽にほえろ!』にしては珍しい、かなり荒唐無稽なストーリーなんだけど、ブルースという劇画的なキャラクターがいればこそ成立する娯楽作で、私は大歓迎でした。

ただし、演じる又野さんが張り切り過ぎというか気負い過ぎというか、いつも以上に(『遊戯』シリーズあたりの)松田優作さんが憑依しまくってる感じで、観ててちょっと気恥ずかしくもありましたw


#623 マイコン刑事登場!

スペシャルから約1カ月経って、良純さんは正式に七曲署の一員になっちゃいました。私は正直、ガッカリしましたw 当時はホント、最終回に至るまで毎週「嗚呼、マイコン…」「やれやれ、マイコン…」ってw

でも今思えば、コメディーリリーフとしてのマイコンの存在って、これから終盤の『太陽にほえろ!』にとって貴重な存在だったかも知れません。

七曲署の刑事が必ず格好良くなければならないっていう偏見さえ捨てれば、こんなに面白いキャラクターは他にいないですからね。ご本人が真剣になればなるほど笑えるんだから最強ですw そこがまた『太陽』の凄い所なんですよね!

『西部警察』における良純さんは、あくまで二枚目として扱われてました。だから余計にダサさが際立っちゃうんです。それに対して『太陽』は、マイコンを刑事ドラマ史上でも前例が無かった「おたく刑事」として、徹底的に三枚目扱いしたんですね。

つまり設定からしてダサい刑事だから、良純さんの動きがどんなにダサくても全然オッケーになっちゃうワケです。これはホントに、さすがは岡田Pだと思います。

で、そういう全く異質なキャラクターが入って来ても難なく成立しちゃう『太陽』の柔軟性が、ホントに素晴らしいと思うんですね。『西部』だとそうは行かないでしょう。

あのボギー刑事(世良公則)の後釜がマイコンであった事は返す返すも残念だけどw、マイコンのお陰で更に新鮮な『太陽にほえろ!』が観られたのも事実なんです。もし普通に格好良い人が入って来てたら、かえってつまんなくなってたかも知れません。

なお、この登場編にはマイコンのガールフレンド(マイコンのくせに!w)の交通課婦警として、沢口靖子さんも登場します。映画デビュー直後で、『太陽』が初のTVドラマ出演。

当時のテレビ誌の記事で、沢口さんは交通課時代の長谷直美さんみたいに「セミレギュラーで出演」ってアナウンスされてた筈ですが、この直後に朝ドラ『澪つくし』のヒロイン役が決まったせいで流れちゃいました。(番組スポンサーと競合する企業のCMに出演しちゃったから、との説もあり)

もちろん婦警の制服姿は超絶に可愛かった沢口さん。1回きりの出演で終わったのは実に勿体ない限りです。


#624 張り込み

逃亡中の殺人犯(北村総一朗)が、娘(壇まゆみ)の結婚式に必ず現れると確信したトシさん(地井武男)が、マイコンと組んで娘を張り込みます。

ヘマばかりして、トシさんの足を引っ張りまくるマイコンがダサいですw ボンやテキサス(勝野 洋)も最初はチームのお荷物みたいになったもんだけど、そのダメさ加減はマイコンの比じゃないですねw

そもそも、様々な人間とガッツリ向き合わなきゃならない刑事ってのは、オタクに務まるような仕事じゃないワケで。もし自分が間違って刑事になったら、多分こんな風になっちゃうんだろなあって、観てると身につまされます。

そんな彼に対する各刑事のリアクションがまた、個性的で面白いし、リアルなんですよね。それぞれ厳しかったり冷たかったりする中で、マミー(長谷直美)だけは親身に心配してくれたりして。

だからマイコンを否定しないで、自分に最も近いキャラクターが彼である事を認め、自己投影しちゃえば、まるで自分が七曲署の一員になれた気がして、意外と心地良かったりするんですよね。

皆さんホントに不本意でしょうがw、認めて下さい。出来ればドックやブルースになりたいでしょうけど、それは無理です。ましてやボスとか山さん(露口 茂)とか、ふざけないで下さいw

私もアナタも、所詮はマイコンなんですw しかも、彼みたいにお坊ちゃんでも高学歴でもなく、あんなにはパソコンを使いこなせないマイコン刑事ですよ! ふっ……死にたくなって来ましたw


#626 激走・大雪溪

オフ日に2人して渓流釣りに出掛けたブルースとマイコンが、事件に巻き込まれるサバイバルアクション編。

アナログとデジタル、ワイルドとソフト、ツッコミとボケ。この2人の組み合わせは、服装からしても明らかに『俺たちの勲章』の松田優作&中村雅俊を意図的に再現してました。

この当時はまだ2人とも芝居が硬くて、見ててちょっとツラい部分もあったけど、2年目あたりからは息もピッタリ、すこぶる面白いコンビに成長して大いに我々を楽しませてくれました。


#627 感謝状

犯人追跡中のラガー(渡辺 徹)が危うく子供を巻き込みそうになるんだけど、通りがかりの女子高生(川田あつ子)が捨て身で子供を守った上に、ラガーをひっぱたいて叱咤します。

そんな彼女に七曲署から感謝状が贈られる事が決まった矢先に、彼女はマンション屋上から転落死しちゃう。状況から見れば自殺なんだけど、ラガーは疑問を抱きます。あんな気丈な女の子が、果たして自殺なんかするだろうか?

調べてみると、未解決の轢き逃げ事件に彼女が関与していた事が判明します。彼女はその犯人に殺されたのか? それとも……?

同年に好評を集めた『ボギーの妹?』で、芯の強さと思春期ならではの脆さが同居する難しいキャラを、見事に演じきった川田あつ子さん。本作はまるで、彼女の為に設定されたようなストーリーですね。


#628 ヒーローになれなかった刑事

線路に横たわる男を、マイコンが救助しようとするんだけど、男の身体をどうしても動かせず、あえなく電車に轢かれて男は死んでしまいます。

男を救ってヒーローになれなかったのは、マイコンだから仕方ないのか? それとも……?

「自殺だと思う」

マスコミの前で、つい口走ってしまったマイコンに、世間は「責任逃れだ!」「軽はずみだ!」「卑怯者!」「眉毛!」「ダサい!」と集中放火を浴びせます。動揺したマイコンは、発言を撤回して謝罪しようとするのですが……

そんなダサいマイコンを、山さんが「逃げちゃいかん!」と叱咤激励します。「プライドを捨てて頭を下げれば、お前の気持ちは楽になるだろう。だがな、お前のその一言で、1人の人間の一生が決まってしまうんだぞ!」

現在インターネットの世界で頻繁に起こる、いわゆる「炎上」を先取りしたようなストーリーを、マイコンに演じさせるという先見眼が素晴らしいと思います。やっぱり『太陽にほえろ!』は凄い! そしてマイコンはダサい!


☆1985年

#636 ラガー倒れる

画像を見て頂くと判るように、この1年でラガーこと渡辺徹さんはすっかり大きく成長しw、ニックネームを「ちゃんこ」に変えなきゃいけない程になってました。

だからってワケじゃないけど、この回からしばらく「骨肉腫」の治療の為にラガーは入院、見舞いに来た同僚刑事と会話する病室場面のみの出番となります。『デカワンコ』のちゃんこ刑事(石塚英彦)がしょっちゅう入院してたのは、そんなラガーのパロディだったのかも?w

これは文学座の舞台出演に配慮しての処置で、他にも主演ドラマ『風の中のあいつ』と掛け持ち出演する等、徹さんは『太陽』の新人刑事としては異例の扱いをされてました。(通常は掛け持ち禁止なのです)

ちなみに徹さんは本来、太った状態こそが標準スタイルであり、デビュー当時はダイエットと極度な緊張により、たまたま痩せてただけ……なんだそうです。つまり本来の姿に戻ったワケですねw


#642 ハワイアン・コネクション

ハワイを拠点とする拳銃密輸組織に雇われた殺し屋を、ドックが追います。数シーンのみ現地で撮影された、プチ・ハワイロケ編。これは裕次郎さんが年末年始の休暇、神田さんが映画のロケで、それぞれハワイにおられたのを上手に生かしたエピソード。


#644 七曲署全員出動!狙われたコンピューター

入院してたラガーが捜査の第一線に復帰し、ハワイへ出張(笑)してたボスも帰国して、久々にフルメンバーが揃う2時間スペシャル。

ハッカーが暗躍するサイバーテロにより、マイコンの愛機であるパソコン「ホームズ三世」が使用出来なくなり、マイコン刑事が窮地に陥ります。すると、捜査はデータを頼らず「足でするもの」がモットーだった一係メンバー達(特にブルース)が、ホームズ復活の為に発奮するんですよね。

キャスト全員に見せ場が配分され、どんでん返し有りのサスペンスも見事だし、森本レオ、石橋蓮司といったゲスト陣も豪華な、これは劇場公開しても遜色ない出来映えだったと思います。

なお、この回からラガーが背広姿になり、もはや徹さんも太り過ぎた事だしw、若手のポジションを卒業=ベテラン化して、殉職は無くなったのかと思ったのですが……


#648 検視官ドック

心臓発作による男の死に疑問を抱いたドックが、病死と判断した「検死の神様」と呼ばれるベテラン検視官(高松英郎)と対立します。曲がりなりにも医学を学んで来たドックが勝つか、検死の神様が勝つか? クビを賭けて他殺説を押し通し、みごと証明して見せたドックに、神様はシャッポを脱ぐ事になります。

この事件を最後に引退するつもりだった検死の神様が、ドックに触発されて辞意を撤回するラストシーンが爽やかで、高松英郎さんの気張らない自然体の名演も光る、ナイスなエピソードでした。


#650 山村刑事左遷命令

轢き逃げにより浮浪者が死亡、代議士の運転手が自首して来ますが、山さんは代議士本人こそが犯人だと睨みます。

暴力団を使って目撃者を脅迫する等、あの手この手で保身しようとする代議士に、山さんの怒りが爆発! クビを覚悟で代議士を追い詰め、強引に自白させたのと引き換えに、山さんは上層部からの左遷命令を受け入れるのですが……

抜群の洞察力や推理力のみならず……いや、それ以上に山さんが魅力的なのは、こうして怒りに火が点いたら捨て身にもなれちゃう正義感というか、刑事バカっぷりですよね。


#652 相続ゲーム

3億円の財産を持つ老人が殺され、その一族に犯人がいると睨んだドックが、養女(中村明美)の婚約者を装って潜入捜査します。横溝正史ミステリーを彷彿させる異色作ですが、ドックが主役だと陰湿にならないのが不思議だし、面白いです。

ゲストの中村明美さんはNHKの朝ドラ『まんさくの花』のヒロイン役でデビューされた無名塾出身の女優さんで、私の好みですw

又この回は、神田正輝さんの挿入歌が流れる点でも異色だったりします。過去にも萩原健一さん、小野寺昭さん、勝野洋さん、宮内淳さん、木之元亮さんが『太陽』で歌声を披露されてます。

本職がミュージシャンの世良公則さんにも当然、挿入歌のオファーがあったんだけど「この番組にはあくまで役者として参加してるから」って事と「僕の歌は『太陽』には合わない」って理由で、固辞されたんだそうです。


#655 左ききのラガー

自分と同じ「骨肉腫」で利き腕を切断する手術を受けなきゃならない少年と、ラガーの交流。

手術を拒む少年を説得しようとするラガーは、少年に「利き腕じゃない方の手(つまり左手)で射撃して的に当てたら、手術を受ける」と言われて、その約束を果たすべくトレーニングを始めます。そんな折、ライフル銃による無差別殺人事件が発生、ラガーは犯人との銃撃戦で左腕を負傷してしまい……

少年とラガーのハートフルなドラマが描かれる一方、仲が良かった自分の妹まであっさり射殺しちゃう、マッドな犯人(大村波彦)との対決という、ハードなアクションも見応えあるラガー編屈指の名エピソード。

ラガーに撃たれて致命傷を負った犯人が、最期に犯行の動機を問われて、こう答えるんです。

「靴の紐が、ほどけたから……」

無差別殺人に、ハッキリした動機なんか無いんですよね。こういう不条理さにこそ真実味が感じられて、私は思わず唸ってしまいました、


#658 ラガーよ、俺たちはお前がなぜ死んだか知っている

そして、番組史上最も長いサブタイトルの本作で、ラガーも殉職する事になっちゃいます。ボンと同じ4年間の任期でした。(新人刑事の最長寿はロッキーの5年)

ラガーが撃たれた瞬間に大量の血しぶきが飛ぶ『椿三十郎』ばりの演出が話題を呼び、あれは失敗じゃないかって声もあったみたいですが、私はチャレンジ精神がよく伝わる名場面だと思ってます。

大勢の乗客を乗せたバスを、自分の命と引き換えに狙撃から救ったラガーですが、その黒幕を暴く事は叶わず、彼の死は新聞のごく小さな記事で報道されただけ。

世間では誰も知らなくても、ラガーがなぜ死んだか、俺達だけは知っている…… マカロニやボギーらの「犬死に」とはまた違った、とっても切ないラガーの最期でした。

しかし、ラガーやボギーといった明るくてアクティブなキャラクターが去って行くのは寂しいし、ちょっと心細くもありました。

その穴埋めってワケでもないでしょうが、最初は無口で冷静沈着なキャラだったブルースが、この辺りから饒舌かつ短気になり、どんどん面白くなって行きますw その変貌ぶりには賛否両論あるみたいだけど、私自身は言うまでもなく、後半の面白いブルースが大好きですw

……さて、いよいよ『太陽にほえろ!』も終盤に差し掛かって来ました。この当時は番組がもうすぐ終わる事など知る由も無かったワケですが、日没へと向かう寂しいシーズンに、これから入って行く事になります。

(つづく)
 
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『私鉄沿線97分署』#01

2018-12-29 12:00:09 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第1話『プレハブだからSOS!!』

(1984.10.28.OA/脚本=峯尾基三/監督=野田幸男)

新庁舎設立の為、プレハブの仮庁舎に勤務する第97分署の刑事たち。初回は、前週『西部警察PART III』最終回で死んだばっかりの渡 哲也さんがw、新任の検視官として登場する場面からスタートします。

その出勤途中で愛車がオーバーヒートを起こすんだけど、オタオタするばかりで何も出来ない渡さん=榊検視官。で、そこに通り掛かった97分署の若手刑事=片山(時任三郎)に助けてもらうという、完全無欠のスーパー団長=大門くぅ~ん!とは全く違う地味な普通人である事が、冒頭から強調されてます。

地味なのはキャラクターだけでなく、扱う事件も地味そのもの。ファーストエピソードの発端は、スーパーで小学生の男子が起こした万引き事件。

現実でも所轄署が単独で捜査するのはこういった軽犯罪ばかりだそうで、このドラマがリアリティにもこだわってる事がよく分かります。毎回マシンガンやロケットランチャーを撃ちまくるテロ集団と戦ってた、前週までの所轄署とはえらい違いですw

で、万引きした少年の家庭を調べたら、母親は1年前に育児放棄して家出しており、唯一の肉親である父親も3日前から帰宅してない。独りぼっちで食糧も底を尽き、空腹に耐えかねて少年は林檎を盗んだワケです。

やがて、管轄外の場所で発見された遺体が、その少年の父親である事が判明します。同情した片山は、とりあえず少年をプレハブ庁舎に連れて来て保護するんだけど、そこに別の事件で連行されて来たチンピラが、警官の拳銃を奪って大暴れ!

チンピラは取り押さえたものの、巻き込まれた少年が負傷しちゃう。ほんの軽い怪我なのに出血が止まらず、医師免許を持つ榊検視官が診断してみたら、少年は止血出来ない病気である上に、特殊な血液型である為にすぐ輸血出来ない事が判明!

少年の生命を救うには、同じ血液型の母親を連れて来るしかない。かくして、行方不明の母親を必死で捜索する97分署の刑事たち。

果たして、刑事たちは母親を見つけ出すことが出来るのか? 見つかったとしても、息子を見捨てた母親が輸血に応じるのか? 少年の運命や如何に!?

……まぁ、なにしろ、松山千春さんの歌声で始まるドラマです。人情ドラマなんです。ヒューマニズムでハートフルなんです。結末は言うまでもありませんw

当時も今も、私はお涙頂戴がチョー苦手なんだけど、たかが林檎1個の万引き事件が、あれよあれよと生死を賭けたサスペンスに発展していく作劇は、なかなか見事だし面白いと思います。かなり強引な展開ではあるけどもw

そうしたユニークなコンセプトと、人気上昇中だった時任三郎、鹿賀丈史、小西博之、坂口良子、早見 優ら豪華レギュラー俳優陣。地味な内容ながらも人気番組になった理由が、この第1話を観るとよく解ります。
 
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