『イナズマン』は『仮面ライダー』『キカイダー』等と同じ石森章太郎 原作による特撮ヒーロー物だけど、ブームが下火になりつつあった時期の番組で視聴率には恵まれず、この『イナズマンF(フラッシュ)』は続編というより「テコ入れ」によるタイトル変更だったみたいです。
だけど前作でレギュラーだったガキンチョどもやヒロインが排除され、イナズマンに変身する主人公=渡五郎(伴 直弥)の味方がインターポール捜査官=荒井誠(上野山功一)の1人しかいないハードな世界観が、かえって大人の鑑賞に耐える作品を数々生み出し、後にカルト的な人気を得ることになりました。
確かに、私が東映チャンネルに契約してから観た数本は「子供だまし」と決して言えない面白さがあり、まるでATG映画みたいに渋い回もあったりして、認識を改めました。
正義側のレギュラーがおっさん2人しかいないお陰で、メインゲストに若い女優さんが起用されがちなのも功を奏してます。
この第17話『青い瞳のインベーダー』は特に私好みで、ちょっとウルッと来ちゃいました。本放映は1974年8月13日、山田哲久&楢岡八郎 両氏の共同脚本による作品です。
海辺に打ち上げられたゴムボートにひとりの美少女(郷田ジュン)。このシチュエーションだけで私は「うひょ〜!」ってなっちゃいますw
で、それを見つけた地元の荒くれ男どもが寄って来る。ま、まさかっ!?
「おいっ、やっちまおうぜ!」
期待通りに、いや心配した通りに、少女が襲われます。こいつら、悪の組織「デスパー」の回し者かと思いきや、ガチで女に飢えた普通のオッサンどもだったりする。こども番組やでっ!?
しかしまぁセオリー通り、そこに我らが渡五郎&荒井誠が通りかかり、野郎どもを蹴散らして我々をガッカリ、いや安心させてくれます。
2人がここへやって来たのは「未確認飛行物体」の目撃情報をキャッチしたから。当時、UFOと超能力が空前の大ブームで、あらゆる作品に影響を与えてました。
2人に気を許した少女は、イグアスという星からUFOに乗ってやって来たんだと打ち明けます。名前はクリスティーヌ。
数ヶ月前に友好使節として地球に送られた「ジェット」という男が消息を絶ち、行方を探しに来たと言う彼女はそいつの婚約者であり、イグアス星の大統領令嬢でもある。
「イナズマン!」
いきなりクリスティーヌに名前を呼ばれ、五郎は驚きます。もちろん、彼女は五郎=イナズマンであることを知りません。
「どうしてその名前を?」
「もし危ない目に遭遇したら、イナズマンと叫びなさいと、父が……必ず助けに来てくれると」
どうやらイナズマンの活躍はよその星でも評判らしく、五郎は今すぐ正体を明かしたい気持ちをぐっと堪え、荒井と2人でジェット探しを手伝うのでした。
ここで、思いがけずクリスティーヌ=郷田ジュンさんがパンティーをサービスしてくれます。
これはどう見ても想定外のパンチラで、現在なら女優さんの所属事務所が許さない事でしょう。当時はフィルム撮影ゆえ現場でチェックすることが出来ず、オンエアを観るまでご本人も気づいてなかったかも知れません。ありがとう!
さて、何だかんだあってクリスティーヌはジェットと再会するんだけど、この男、実はとんでもないクズだった!
地球に着くなり悪の組織「デスパー」入りを志願したジェットは、サイボーグ手術を受けて怪人「ジェットデスパー」に生まれ変わったのでした。
「どういう事なの、ジェット!?」
「オレは元々、お前の事など何とも思っていなかった」
以前からデスパーに憧れてたジェットは、大統領に取り入れば地球に友好使節として送ってもらえると考え、令嬢であるクリスティーヌに近づいた。
「あんな平和で退屈な星がイヤでイヤでたまらなかったんだ!」
どっかの国の志願兵とかテロリストを彷彿させる話です。
しかしこれじゃ、遠い星からはるばる地球までやって来たクリスティーヌがあまりに不憫。なのに昭和のクリエイターたちは容赦しません。
監獄に放り込まれた挙げ句、ヒゲのおっさんと並んで磔にされ、今まさに処刑されようとするクリスティーヌは、無意識にこう叫ぶのでした。
「……イナズマン……イナズマン!」
実にあざといタイミングでヒーロー登場!
「あなたがイナズマン?」
そりゃもう、現れたのが例え温水洋一さんでも惚れないワケに行かんでしょう。
必殺の錐揉みキックでジェットデスパー爆死! だけど昭和のクリエイターは甘くない。戦闘中に流れ弾を受け、クリスティーヌが倒れちゃうワケです。
「イナズマン……私、あなたを信じて地球にやって来ました」
「だが、私はジェットを死なせてしまった……」
「いいえ、あなたの責任ではありません。あなたは、私たちの為に全力を尽くしてくれました」
「…………」
「私は、イグアスへ……父の元へ帰ります。イナズマンも一緒に来て下さい。そして、私の星で一緒に暮らして下さい」
「…………」
「お願い、イナズマン。私と一緒に、イグアスの星に来て下さい」
「……分かった。一緒に行こう」
「私……地球に来て、本当に良かった……」
「クリスティーヌ!」
あまりに可哀想なクリスティーヌ。だけど、かりそめにせよ憧れの人と約束を交わせて、最期は幸せだったかも知れません。
「クリスティーヌは本当に、宇宙からやって来たんだろうか?」
「……誰にも分からないまま、デスパーの犠牲になってしまった……」
当時は特撮にせよアニメにせよ、登場人物をポンポン殺しすぎるきらいがあるんだけど、そうしないと味わえない感動も確かにあるんですよね。
俳優さんの演技がリアル過ぎないのがまた良いんです。クリスティーヌ役の郷田ジュンさんは台詞回しがけっこう棒読みなんだけど、その方が異星人っぽいし、最期のシーンもよりファンタジックに感じられる。だからこそ泣けたりするんです。
『イナズマンF』、昭和の特撮ヒーロー、決してあなどれません。
今年から契約したCS「東映チャンネル」の三本柱は刑事、ヤクザ、そして特撮ヒーローで、毎日が「東映まんがまつり」状態。それも目的の1つでした。
現在のCG特撮じゃ味わえない「手作りの温かみ」が昭和ヒーロー番組の大きな魅力だけど、それともう1つ、子供の頃には気づかなかった「隠し味」とか「裏テーマ」みたいなのを発見する楽しさもあるんですよね。
1973年10月6日に放映された『キカイダー01』第21話は、まさにそういう回。サブタイトルは『吸血の館 美人女子寮の恐怖!! 』、後に『特捜最前線』のメインライターとなる長坂秀佳さんの脚本です。
なにしろ、冒頭からいきなりこんなシーン! 昭和のヒーロー物は基本「こども番組」なのに!
BIG BOSSならぬビッグシャドウ(八名信夫)が率いる大犯罪組織「シャドウ」の狙いは、若い女の子たちの血液なんだけど、いちいちブラウスを剥がしてブラジャー姿にしちゃう、その演出に込められた意図は大人でないと分からない!
キカイダー01ことイチロー(池田駿介)が駆けつけ、1人の女子高生が九死に一生を得るんだけど、翌朝、彼女は学校で吐き気を催し、保健室に運ばれちゃう。
で、たまたま校内にいたヒロインのリエコ(隅田和世)が目撃するんです。女子高生が悪魔の子を出産させられる姿を!
実際には、彼女から採取した血液から敵ロボット「吸血コウモリ」が生まれるワケだけど、だったら彼女を手術台に寝かせる必要が無いし、わざわざ人間(赤ちゃん人形)の姿で生まれて来る必然性もまったく無い!
言うまでもなく完全にレイプの暗喩で、子供には解らないけど親が観たら「おいっ!」ってw、絶対言いますよね。さすが名脚本家!
おまけに赤ちゃん人形が迫って来るビジュアルが絶妙に怖い! これ、もしかしたらハリウッドのホラー映画『チャイルド・プレイ』に影響を与えてるかも?
で、すぐ吸血コウモリに変態するワケだけど、赤ちゃんのままでいる方がよっぽど怖かったw
原典は聖書とかドラキュラなんでしょうけど、レイプや妊娠にまつわる当時の社会問題が反映されてるのかも知れません。
そして悪のヒーロー「ハカイダー」が登場し、女子高生をしつこくレイプ、いや採血しようとします。血液からロボットが生まれる理屈がサッパリ解りませんw
当然ながら正義のヒーローも駆けつけ、あとはバトルになるワケだけど、キカイダーはこのダブルマシン(サイドカー)がとにかくカッコ良かった!
なおもしつこく女子高生をいたぶる吸血コウモリ。子供には解らないエロティシズムがここにある!
もちろんキカイダー怒りの「電磁エンド」であえなく爆死。ハンパない火薬量ですw
というワケでセクシーショットはヒロインのリエコさん。実はアンドロイドであることがもうすぐ(第24話で)明かされ、自ら爆死という結末を迎えます。
演じた隅田和世さんは日活のご出身。だけどポルノ路線に背を向けテレビを主戦場とし、本作のみならず『ダイヤモンド・アイ』の蘭花、『イナズマンF』の大橋あけみ役など、悲劇的な結末を迎える特撮ヒロイン役で知られた女優さんです。
'80年代唯一のウルトラシリーズ『ウルトラマン80』は予定通り1年間放映されたものの、視聴率は最後まで低空飛行のままだったみたいです。
1クールが過ぎたところで学園ドラマ設定が撤廃され、2クール目からウルトラシリーズらしくハードなSF路線にシフトしたものの数字は上がらず、3クール目からは毎回ストーリーに子供を絡めるファンタジー&コメディー路線という、一番きっちゃいけない方向に舵をきってしまい、いよいよTBSと円谷プロが喧嘩別れしちゃう泥沼を招いちゃうのでした。だから子供に媚びちゃダメなんですよ、絶対に!
で、最後の苦肉策だったのかどうか分からないけど、殉職した城野エミ隊員(石田えり)に替わって第43話から登場したのが、星涼子隊員(萩原佐代子)。その正体はウルトラの星の王女にしてウルトラマン80の幼馴染み=女性ウルトラ戦士の「ユリアン」なのでした。
ただし、涼子隊員が初めてユリアンに変身するのは最終回直前のエピソード=第49話『80最大のピンチ! 変身! 女ウルトラマン』(1981.3.18.OA) で、怪獣と戦うのはこの1回のみ。2頭の怪獣に大苦戦する80を救う為のスクランブル参戦でした。
「女ウルトラマン」っていう呼び方が日本語(あるいは英語)として正しいのか?っていう疑問は置いといて、女性戦士が背後から羽交い締めにされ、リンチされる描写にはやはり歪んだ興奮を覚えずにいられません。
しかも80とユリアンは「敵は2頭が合体して強くなった。僕たちも1つになるぞ!」「いいわよ、来て!」みたいなやり取りのあと、合体技で怪獣を倒すんだから目のやり場に困りますw
だって、男のウルトラマンと女のウルトラマンが合体するんです。男と女が合体するんですよ、合体を。合体を。合体すなわち、男と女が体を合わせるワケです。
見た目はあんまり変わらないけど、男と女なんです。そんな2人が合体して戦うんです、合体して。戦うんですよ、合体して。合体して。合体して。合体。合体。合体。合体。男と女が合体。
ユリアンと合体したお陰で死なずに済んだ80なのに、矢的猛(長谷川初範)の姿に戻った彼は「もし僕が死んだら、その後いったい誰が地球を守るんだ?」とか言って、自らの命を危険に晒したユリアン=涼子を責めます。いや、だからアンタが死なないように助けたんじゃん!
「わたし、地球人に生まれたかった……」
そう言って涙を流す涼子=ユリアンは、きっと80のことが好きなんでしょう。だから彼女は危険を顧みず、彼と合体したワケです。合体を。女が男と合体!
さて、続く最終回(第50話、'81.3.25.OA)では、地球防衛隊「UGM」のキャップ=オオヤマ(中山 仁)がついにウルトラマン80の正体に気づき、しかもユリアンが80を呼び戻すために地球に来た(どうやらウルトラの星がピンチらしい)ことも察してしまい、80と訣別する道を選択します。
「我々はこれまでウルトラマンに頼り過ぎた。もう彼の手は借りない!」
そしてUGMは怪獣に冷却液をぶっかけて凍らせ、戦闘機からぶら下げた鉄球をぶつけて粉砕するという、後の『シン・ゴジラ』を彷彿させる作戦を成功させ、みごとウルトラマンの手を借りずに怪獣を倒してみせるのでした。
つまり地球人の自立を描いたストーリーで、80とユリアンが二人で宇宙へと旅立つラストシーンまでウルトラマンが登場しない!という異色の最終回。
「今回の怪獣がおそらく最後の怪獣だ」と何の根拠もなく言い放って我々を笑わせるオオヤマ隊長だけど、最後の送別会における「本当は、いつまでもウルトラマン80にいて欲しかった……」っていう台詞にはちょっとホロリと来ました。めちゃくちゃ本音ですよねw
久々に(もしかして初めて?)ガキンチョがいっさい絡んで来ないハードな内容で、ウルトラマン抜きの特撮バトルにも気合いが入ってて、さすがは最終回!と言える充実の内容でした。
ちなみにサブタイトルは『あっ! キリンも象も氷になった!』…………確かにキリンも象も凍ってましたけど、それってウルトラマンとお別れするより大事なことなんでしょうか?w
最終回を彩る女優陣は、桜ヶ丘中学校の事務員=ノンちゃんの出番が無くなるや、シレッと別人(UGMの気象班=小坂ユリ子隊員)になって再登場された白坂紀子さんと、殉職したけどアンドロイド・エミとしてボインぼよよ~ん!と蘇った石田えりさん。
そしてセクシーショットはもちろん、ユリアンこと星涼子隊員を演じた萩原佐代子さん。モデル出身で、この『ウルトラマン80』をきっかけに『科学戦隊ダイナマン』('83) の立花レイ=ダイナピンク役や『超新星フラッシュマン』('86) のレー・ネフェル役など特撮ヒーロー物での活躍が目立ちました。
刑事ドラマへのゲスト出演は'81年の『警視庁殺人課』#21と'84年の『特捜最前線』#375がWikipediaに記載されてます。
『ウルトラマン80』(ウルトラマンエイティ) は1980年4月から1981年3月まで、TBS系列・水曜夜7時の30分枠で全50話が放送された、TBS&円谷プロダクション制作による特撮テレビ番組。『ウルトラマンレオ』('74~'75) 以来5年振りとなるウルトラシリーズで通算9作目にあたります。
前年に先行して制作&放映されたアニメ『ザ☆ウルトラマン』が不発に終わり、起死回生として放たれた「'80年代のウルトラマン」だけど、これも残念ながら視聴率は振るわず、海外向け作品を除けば'96年に放映スタートする『ウルトラマンティガ』まで実に15年もの間、シリーズは長期休眠することになっちゃいます。
人気が出なかった理由は色々あるだろうけど、最大の原因は恐らく、特撮ヒーロー番組をあくまで「子供向け」と捉える大人たち(創り手側)と、そうとは思ってない子供たち(視聴者側)との、認識のズレにあったんじゃないかと私は思ってます。
1980年当時、私はすでに中学三年生で『太陽にほえろ!』に夢中でしたからヒーロー番組は卒業したつもりでいたけど、もし創り手側が「子供向け」という意識に囚われずに作品を創ってたら、これも一緒に観てたかも知れません。
そのズレは、私自身がまさに「子供向け」の対象年齢だった、小学生低学年の頃からずっと感じてました。『仮面ライダー』にせよ『マジンガーZ』にせよ、劇中に自分と同じ子供のキャラが出てきて活躍したりすると、私は嬉しいどころか「アホかこのガキゃ、引っ込んでろ!」って思ってましたw
創り手側は、観てる我々が自己投影できるようにと思って子供のキャラを出すワケだけど、そこが大いなる勘違いで、我々はあくまで主人公(ヒーロー)になりたくて観てるんだからガキンチョなど目障りにしかならんワケです。
大人の登場人物たちも皆こぞって「子供向け」の解りやすい芝居をするんだけど、そうじゃない! 我々はフツーにカッコいい大人の演技を観たいワケです。
当時の創り手たちは、ご自身が子供の頃にそういう番組がまだ存在しなかったもんだから、観る側が本当は何を求めてるかを、まるで解ってなかったんだろうと思います。
だから昭和の『ウルトラ』や『ライダー』のシリーズはどんどんつまんなくなって廃れちゃった。それが後年、復活して今や神格化するほどのBIGタイトルになったのは、当時ガキンチョだった視聴者たちが大人になり、今度は創り手側に回ったから。観る側が求めてるものをちゃんと知ってる人らが創るようになったからだろうと思います。
それが「ウルトラシリーズ」で言えば前述の『ウルトラマンティガ』であり、残念ながらこの『ウルトラマン80』はまだ解ってない人たちによって創られた、最後のTVシリーズって事になります。
『ウルトラマン80』最大の特徴は、主人公=矢的猛(長谷川初範)が中学校の先生であること。つまり教師と地球防衛隊(UGM)の隊員という2つの激務をこなす二刀流で、いくらなんでも物理的にそりゃ無理やろ!(だけどウルトラマンだから平気?)っていう設定。つまりヒーロー番組に学園ドラマの要素を取り入れた作品なんですね。
これは当時の『三年B組金八先生』ブームに便乗して……かと思いきやそうじゃないらしく、プロデューサー氏が以前から「生命の尊さ、愛の美しさ、勇気の誇らしさ等を啓蒙し、ウルトラ文化と呼ばれる子供文化を作り上げていきたい」と考え、その手段として「ウルトラマン=先生というドラマ設定にした」んだとか。
これって、ちょうど同時期に『太陽にほえろ!』が「高視聴率を社会に還元したい」とか言い始めて社会問題をドラマに取り入れ、やたら小難しいエピソードばかり連発した挙げ句、ホントに視聴率をよその番組(金八先生)に献上しちゃって危うく打ち切りになりかけたw、あの大いなる勘違いと似てるような気がします。
視聴者は、そんなの誰も求めてない! 説教されたくてテレビを観るヤツぁおらんやろ!って、私は思うワケです。
刑事物なら悪党どもを片っ端からぶん殴り、ヒーロー物ならカッコいいメカや必殺技で怪獣をやっつける。少なくとも私はそれしか期待しない。ましてや「ウルトラシリーズ」はSFのハードな世界観が魅力なんだから、甘っちょろい学園ドラマなど邪魔にしかなりません。
スタッフも実は同じ想いだったのか、1クールが経過して「ウルトラマン=先生」の設定を推し進めたプロデューサー氏が他部署へ異動になった途端、中学校のシーンはいっさい出て来なくなり、主人公=教師っていう設定は無かったことにされちゃいました。ロケ場所の学校が日曜日にしか使えず、スケジュールが回らなくなったせいもあるようです。
地球防衛隊=UGM(Utility Government Members)のメンバーは、キャップのオオヤマ(中山 仁)を筆頭に、隊員のハラダ(無双大介)とタジマ(新田修平)、そして紅一点の城野エミ(石田えり)。さらに#14からチーフのイトウ(大門正明)が加わり、#27から隊員2人がフジモリ(古田正志)とイケダ(岡田達哉)に交代、そして#43でエミが殉職し(!)、代わってウルトラ星の王女=ユリアンが星涼子(萩原佐代子)として最終回まで紅一点を務めます。
しかし、番組がウケなかった最大の原因は、実際のところウルトラマン80やUGMメカのデザインが(私個人の感覚で見ると)あまりカッコ良くない……ハッキリ言ってダサいからかも知れません。
初代『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』は、ヒーローもメカもとにかくデザインが格好良かった! もっと攻撃的で悪魔的だったりしたんですよね。
仮面ライダーやマジンガーZも同じで、パッと見はイカツイからこそ格好良いんです。なのにシリーズが進むにつれ、やっぱり「子供向け」を意識してかポップな感じになって行っちゃう。大人が見てカッコいいと思わなければ、子供が見てもそりゃカッコ良くないですよ。カッコ良くないヒーロー番組なんか、そりゃ誰も観ないに決まってます。
……とまあ、悪口ばっかりになっちゃったけど、過去のウルトラシリーズとは違うことをしなくちゃ意味がない!っていうパイオニア精神は素晴らしいし、'80年代唯一のウルトラシリーズとしての存在価値は大きいかも知れません。まだCGが存在しない、アナログ特撮の集大成としても観る価値は充分にあり!
そして本作を彩る女優陣の華やかさ! 最初の1クールは主人公が勤める桜ケ岡中学校の体育教師=相原京子(浅野真弓)がヒロインだったけど、前述の通り学園ドラマ設定の撤廃により、野崎教頭役の和田幾子さんと共に出番が無くなっちゃいました。
だけど同じ桜ケ岡中学校の事務員「ノンちゃん」を演じられた白坂紀子さんは、『西部警察』の舘ひろしさんより先に別人(UGMの気象班=小坂ユリ子)としてシレッと続投されてますw
ほか、遠藤真理子さん、竹井みどりさん、加山麗子さん、児島美ゆきさん、倉田まり子さん等がゲスト出演。初代『ウルトラマン』のヒロイン=桜井浩子さんが登場された回もあるみたいです。
そして何と言ってもUGMの紅一点=城野エミ隊員を演じる石田えりさん(当時19歳)のボイン!……じゃなくて可憐さに、やっぱり眼を引かれちゃいます。まだ無名で最初は出番が少なかったのに、どんどん活躍シーンが増えていくのは当然の流れでしょう。#43で殉職するも、最終回(#50)ではアンドロイドとして復活! なんじゃそりゃ!?w
レトロついでに、吉永小百合さんが14歳の頃にヒロインを務められた、この特撮ヒーロードラマをご紹介。
『月光仮面』『8マン』等で知られる桑田次郎(現・桑田二郎)さんのマンガを実写化した30分番組で、1959年4月から'60年3月までKRT(現TBSテレビ) で全56話が放映されました。フィルムは傷だらけながら映像がちゃんと残ってるのが凄い!
警視庁の敏腕警部を父親に持つ少年新聞記者の主人公=富士 進(加藤 弘)が、ひとたび事件が起きるとSMチックな仮面でコスプレし、まぼろし探偵を名乗って悪を成敗します。
原作ではバイクに乗り二挺拳銃をぶっ放すんだけど、ドラマ版ではダットサン・フェアレディをベースにしたスーパーマシン「まぼろし号」で空を飛び、電波ピストルという怪しげな兵器で敵を懲らしめます。
吉永小百合さんが演じられたのは、ただ1人まぼろし探偵の正体を知ってる博士の、愛娘(孫?)である吉野さくら。彼女は憧れのまぼろし探偵が誰なのか知らずに進と仲良くしてるという、まぁよくある設定ですw
とにかく吉永さんの美少女ぶりが圧倒的で、こんな子とイチャイチャできる主人公が憎くて仕方ありませんw 彼女の出番が多い第6話『二人のまぼろし探偵』などは段違いにクオリティーが高く感じられます。
作品そのものは正直言って、下手な自主映画を見せられてる感じですw 特撮はもちろん撮影や編集、脚本、そして演技の技術レベルがおしなべて低く、これじゃあ業界内で「ジャリ番(こども向け)」と差別されても仕方ないかも知れません。いや、だけどそれは優れた人材や潤沢な予算が与えられなかった結果でしょうから、最初からヒーロー番組は差別されてたんですよね。
そんな中だから余計に吉永さんの可憐さ、美しさが際立つワケです。ちなみに主人公の妹役で子役時代の藤田弓子さん(一番下の画像)もレギュラー出演されてますが、普通ですw そりゃ比較対象が吉永小百合じゃどうしょうもありません。
いやぁ~しかし、こうして黎明期のヒーロー物や刑事物をあらためて観ると、主人公たちがやたら品行方正で綺麗事ばっか言うもんで、ちょっと鼻についちゃいます。いや、というより'70年代~'80年代のヒーローや刑事が野蛮すぎただけかも知れませんw
現在のテレビ番組におけるヒーローや刑事たちも野蛮なことが出来なくなってますから、テレビとは本来こういう窮屈なメディアなんですよね。我々世代が夢中になって観た、あの時代のテレビ番組こそが異常なんですw 自由すぎたんですね。
思春期にそんなもんばっか観て育った我々が、とにかくカドが立たないよう無難に無難に作られた昨今のテレビ番組を観て、そりゃ面白いと思えるワケがない。リアルタイムで凄いものが観られた幸運に恵まれたからこその不幸です。
やっぱり、時代は廻るんですよね。いつかまた野蛮な時代が、エロとバイオレンスの時代が廻って来るんでしょうか?