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絵で書いた日本人論 ジョルジュ・ビゴーの世界  清水勲

2024年06月20日 | 
 図書館の漫画なんかを置いてあるところで見かけて借りたのだが、とてもおもしろかった。
 明治時代に日本に来て日本人と結婚した(そしてそのうち妻子を捨てて日本を去ったらしい)画家が描いた漫画が当時の日本のこと、描いた本人の考えを表していてその作品そのままを紹介したもの。
 著者(清水)は画家と言い、作風から不当に評価が低いと考えているらしいが、これは漫画だ。漫画として評価が低いのかどうかはちっともわからない。
 変な評伝でなく、作品が収められていてすばらしい。描かれている人物の表情などをかってに解釈していてそれは実に良くない。
「その表情は、仕事に徹することからくる無表情な冷たさがうかがえ」
 などと描いてあったりするが、そうかなあ、僕には全然そんな風には見えない。
 これは楽譜の校訂にもよくあることだが、その時代の一般的な考えが盛り込まれてしまったり、個人的な解釈が入ってしまったりする。仕方のない面もあるが、ダメなことも多い。
 この著者はダメなところが多く、あまり参考にならない。
 逆に、もともとキャプションがついているものが多く、それをちゃんと逐語訳して欲しかったが、なくてとても残念だ。

 しつこく書くがともかく原典が大切。解釈は解釈としてあくまで個人あるいはその時代の解釈なのだとわかるようにすることが大切。考古学でも、今は、今の時代の技術、解釈で修復したりせず、埋め戻すというようになっていたりするのだ。(埋め戻したからと言って経年変化を完全になくすことはできないけれど。)

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