せろふえ

チェロとリコーダー
自閉症の娘
本と漫画 農と食 囲碁パズル
とっちらかっているので、気になるカテゴリーやリンクを

神と悪魔の薬サリドマイド トレント・ステフェン ロック・ブリンナー 本間 徳子訳

2022年12月27日 | 
 サリドマイドのことはまさに僕の世代が被害を受けた。「サイドマイドのゆりかごにナチスの影」というのは実感が湧かないが、「単純で安価な方法」で抗生物質を作ろうとし、できたサリドマイドが抗生物質でも抗ヒスタミン剤でも鎮静作用もなく、だがどんなに大量に服用しても(実験用ラットは)死なないから、なんか使い道はないのかとおざなりに試験し、無料で医者にばらまき…と読み進めるとムカムカし、怒り狂う。「神と悪魔の薬」なんかじゃなくて人間(の一部)が愚かで傲慢な悪魔だ(もちろんだれも愚かではある)と思う。だが読み進めていくとそのサリドマイドがいくつかの病気の治療に欠かせない(今でも!)という。「神と悪魔の薬」なのか、あるいは人間というか生物は神が作ったのか悪魔が作ったのか、それからそういうしくみ(サリドマイドの催奇性のしくみや、そもそも人間や動物の「発生」のしくみ)を解明しようとし、しつつある人間とはなんなのか、と考え込んでしまう。
 それから、サイドマイドによって自閉症が高い率で発生する、そしてサリドマイドを利用して自閉症の病態の解明が進められている、と言うのだ。まったく知らなかったので驚いた。なんということだろうか。