芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

山本文義氏講演会-鉋台編-

2012-01-16 14:01:46 | 道具、砥ぎの話




前回砥ぎの説明をしたが、実は砥ぎと同じぐらい薄削りで必要なのは、台である。

このことは削ろう会に参加された方は皆さんお気づきで各自それなりの工夫を

されていると思うがそこは山本氏。並の鉋台で済むはずが無い。

基本的には、削ろう会会報で紹介されている尺鉋のつくりをそのまま小さくした

感じ。







画像が各工程の実物見本:芯材に横方向の角ステンレスを仕込みステンレスの

木口にウレタンフォーム、最終的な化粧板の下には御覧のようなステンレス

メッシュが仕込まれている。

各材料の接着には、エポキシ系接着剤(削ろう会会報59号にはボンドEセットMを使用となっているが正確には不明)









最終的に出来上がった表面から瞬間接着剤が含浸されている。

瞬間接着剤は水よりも浸透性が高く、塗料などよりもずっと木材の内部まで

浸透するので、使われている。

核となる芯材の作りは細かく集成されたものや上下二段程集成されたもの等様々。







木表木裏や板目柾目の使い方も一見すると法則性は無いように見えるが、山本氏

のことなので、何か秘密があるのかもしれない。



下端のすき具合は、2μ。これは下端定規では確認できない程の微妙な透かせ具合

なので、確認方法としては、2μに削った鉋屑を二台の鉋台に挟んだ状態で

鉋屑が引っこ抜けるかどうかで見ているそうだ。



基本となる下端の平面は平らな御影石に油を敷き、そこに鉋下端をこすりつけ、

油が滲んだ所を、カッターナイフで作ってたスクレーパーでこそぎ落として作る。

こうして出来上がった台と砥ぎで削った特徴としては、薄削りをしても、

一切屑たまりに粉がふかない。

又、通常薄削りの削り屑はくしゃくしゃとすぐ絡み合ってしまうのだが、

刃が良く切れているせいか、屑自体も両面仕上がっていて、つるっと

しているので、絡み合わないし、永切れもする。

最後に、気をつける点として言われていたのは静電気の発生。

山本氏の想像では静電気が発生してている瞬間に刃先にスパークが起こり

その際の高温で鋼が溶ける為、切れ止むのが早くなってしまうと考えられている。

防止法として、前日まで水に漬けておいた材料2枚で、直前まで削り材を

サンドイッチしておくことを挙げられていた。

あくまでも薄削りオンリーの仕込みと前置きされていたが、仕事にも充分応用

出来ると考えられる。

さてこの集成台、実は3年前の三木山鉋塾の際にすでに真似をされて作っておられるのを

見た事があり、その後色々な方のブログに山本さんの講習会の様子などが

紹介されているのも知っていたが、実物を目の当たりにするのは、

今回が初めてだった。

愛媛県内ではもちろん、関西方面では既に多くの方が見聞きされ、かなり普及

していると見受けられる。

しかしながら、私の住む長野県では実践している人は一人も居なく、

大分遅れをとっているのではないだろうかと感じていた。

賛否両論はあるだろうが、私自身は、良い結果が出せる一つの方法として

取り入れていきたいと思うし、未だ知らない人々に是非紹介していきたい。














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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
勝手な真似をしてしまって大変申し訳ありません (名古屋の津田)
2012-01-18 19:49:44
はじめまして。名古屋で大工見習いをしています。津田と申します。
私も日曜日のほんまもんの会に参加していました☆

とてもわかりやすく解説してあり、とても勉強になりました。
それと一つお詫びを申し上げなければなりません。

谷口さんのブログの方で芭屋框組さんのブログの名前を芭屋框組さんの許可もなく勝手に引用させて頂きました。

誠に申し訳ありませんでした(ρ_;)
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本刃側の中砥ぎ (craft WAKU)
2012-01-19 00:14:19

こんばんは。
会場では、削りにハマってしまい、ゆっくりお話できずにすみませんでした。もう少しお話さえていただきたかったです。

本刃側の中砥ぎ:キング♯800か♯1000の工程は、仰るように仕上げ砥石で刃先を当てるためと思いました。
0.3mmの裏金があるため簡単に刃先研ぎができなさそうですので、この工程があると思います。
刃先をやや広く砥石に当てるのと、仕上げ砥石の研ぐ回数を意図的に減らすためと思いますがどうでしょうね。
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Unknown (管理人)
2012-01-19 21:31:47
津田様
名古屋から2.3人で来られて、入口から一番奥の台で削っていた方ですか?
だとすると、同じ台にいたのは私です。

つたない文章でどこまで伝わったのか疑問ですが、お役に立てれば幸いです。

無断引用の件、私も今迄気に掛けずやってしまった部分もあるので、えらそうな事は言えませんが、冷静に考えればやっぱりまずいですね。

今後はお互い気をつけましょう。
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Unknown (管理人)
2012-01-19 21:42:47
craft WAKU様

講義内容の他に、お馴染みの鍛冶屋さん、大工さん、道具屋さん等オールスター勢ぞろいといった感じで、時間がいくらあっても足りませんでしたね。

色々目移りしている間に見逃してしまったり聞き逃してしまった事たくさんあり、後悔しきりですが、早速のフォロー有難うございました。

砥ぎもさることながら、あの狂いにくい台は魅力です。今度作ってみようと思っています。

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初めまして (勉強中)
2012-11-18 06:49:52
よろしかったら教えて頂けないでしょうか?
尺鉋の台なんですが 台幅と 台頭から台知までの台丈を知りたいのですが 情報お持ちではないですか?
または 寸法の決め方 鉋身の 位置決め 割付方なども…
宜しくお願いします。
いきなり すみませんでした。
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尺鉋寸法 (管理人)
2012-11-20 21:37:01
勉強中さん

返事が遅くなりすいません。

尺鉋寸法:刃巾=320ミリ 台巾=390ミリ 台丈=550ミリ 台厚=50ミリです。

詳しくは削ろう会会報59号に載っていますので、そちらを見た方が早いと思います。

刃口の位置は前から220ミリの所でセオリー通り
2対3になっています。

25ミリ角のステンレス角パイプを中心に上下19ミリずつ
合わせて38ミリまでが芯材で、上端側に8ミリの
甲丸材下端側に4ミリ厚の化粧板が貼られています。

2011年9月の情報なので、おそらく山本さんとその周辺の方々は、新たな物を作られていると思いますので、ご承知下さい。



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