芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

道具の値段

2014-06-09 20:11:27 | 道具、砥ぎの話
これから仕事を始めようという若い方は、道具の値段いったいどれ位に捉えているんだろうか?

人に勧められるがままに10万~20万の鉋を買う人も少なくない なんていうバカな話も耳にするので参考までに10数年前の道具の値段やその背景となっているんじゃないかなと私が勝手に思うことを書いてみる。

当時のネットショッピングの値段をプリントアウトした物が結構残っていて、そういった明確な物と記憶のみの曖昧なものもあるが、まあ大きく外れてはいないと思う。

まず鑿

2003年11月:  田斎作 追い入れ鑿10本組 12万円(税込み) 心童銘で8万円

2005年4月:   高橋和巳作 カネタケ追い入れ鑿10本組 66000円  カネタカで77000円

2006年11月:  同じくカネタケ追い入れ鑿10本組 85000円  カネタカで96000円

2009年頃:    田斎作 追い入れ鑿10本組 16万円※上記と同じ物  舟弘作も大体おなじ位だった

2000年頃:    地元の長野でプロが使うそこそこの上物が、陣太鼓銘 追い入れ鑿10本組 4~5万円 同社の廉価版 市秀銘で約半値

地元で開かれる展示会に8~10万円が最上位クラス。それでも高いと誰も買う人はいなかった。

全国展レベルの展示会で1度だけ市弘 追い入れ鑿10本組が20万円程で売っていたのを見た事がある。当時にしては珍しく穂も柄も無塗装で、「ザ・本物!!」という印象だった。

その他清忠さんが廃業した直後で、追い入れ鑿10本組 12万円ほどだった。        つづく

2013 松本研修会

2013-07-16 20:14:58 | 道具、砥ぎの話



今年も恒例の松本研修会。今回の講師は、ご存知御殿場の武藤さん
 
お題は「組木の世界」





ここ最近武藤さんが熱心に取り組まれていて、削ろう会会場でも目にされた方は

多いのではないだろうか。

作り始めたきっかけから簡単な仕組み、応用編への経緯等々

言うのは簡単だが、超ハイレベルな立体感覚と加工技術が無いと成立しない。

パズルなど小物専門の職人が使う道具などは、大工の武藤さんは持って無いだろうし

想像しただけでも気が遠くなってしまった。

いくつかの組木は、ただ組まれただけではバラけてしまうので、「ロック」と呼ばれる

装置でしっかり組み合わさっている。

図は「ロック」の簡略図、実際は下の画像のように色んな方向に欠きとりがあり
かなり複雑





大きな作品になると20何箇所も「ロック」が組み込まれていて、そこを解除しないと

バラす事が出来ない。



その他なにげなく見えるが、どうなっているか全く解らない「四方木口組」など



武藤さん自身は、飲まないと人前で喋れないからとすでに缶ビールで上機嫌、

いつもの如く周りを笑わせおられる。

まさしく緊張と緩和を見事に使い分けられ、理想的に人生を送られて

おられるのではないだろうかと思う。




山本式砥ぎ-その後-

2012-12-16 17:55:23 | 道具、砥ぎの話



積層台と平行してやっていた事なのだが、この辺りで入れ込んで行かないと

またまたタイミングをはずしてしまうので悪しからず。

裏を丁寧に砥いだ刃を、慎重に治具にセットして再度チャレンジしたら

なんとか杉がこれ位削れたので一安心。




話は前後するが、松本講習会でも皆さん試されている事が発覚した。

そんな中でこの砥ぎの問題点と感じた事をある方にぶつけてみた。





それは、裏刃の刃先が本刃と逆の角度につぶされてしまって

2回目に砥ぐ際には、裏刃の裏を直さなくてはならなくなる事。

その方もやはり問題にされていて、せいぜい2回砥ぐ度に裏刃の

裏を直す必要があると言う。つぶれてしまった裏を直すのは、

本刃を研ぐよりもずっと手間なのである。

他にも治具へのセットの難しさ、特にはずす際に刃先を欠けさせて

しまい易いと仰られていた。

山本さんが薄削りに特化した砥ぎだと前置きされた意味がここに来て

理解出来る。

次に普通に仕上げ砥までかけて、最後に砥ぎ角を少し立てて

8000番での刃先砥ぎ。こちらの方が仕事向きに感じる。



杉の削りはこんな感じ



さて置きこれとは別に試して見たかった事に凸型砥石での砥ぎ。

両端より2ミリ真ん中を高くとの事だったが、印象としてもっと

落差がある気がしたので、調べてみたがやはり2ミリのようだ。





アクリル板の切れ端でテンプレートを作り、それに合わせて

ひたすら砥石を整形する。







面直し用にセットで凹型の砥石も作成、最後はお互いにすり合わせて

なじませる。



こうして出来上がった凸型砥石。用途としては、グラインダー砥ぎの様に

中すきの刃を作って、次の仕上げ砥ぎで刃先にだけ効率良く砥石を当てる為

なのだが、いざやってみるとどうしても普通に砥げてしまい、全く意味の無い

事になってしまった。

長年かかってあみだされた技、そう簡単には真似出来ない

まだまだ修行が必要だ。

そうこうしている間に世間では「24年目の真実」のねちこ砥ぎ、

いわゆるラップ砥ぎを実践されて、素晴らしい結果をたたき出される方も

どんどん登場されている様だ。

まぁ、焦ってみてもしょうが無いので1歩1歩進んで行きたいと思う。

2012 松本研修会

2012-07-15 08:14:44 | 道具、砥ぎの話





今年も恒例、松本での研修会が行われた。

今回の講師は畳屋の三枝さん、お題は「畳の話」

いぐさの種類や編み方、歴史などを話して頂いたのだが、

30分程で途中休憩を、入れたのが運のつき

そのまま削り会に突入してしまった。

なにせ、当の本人の三枝さんが「これ本物だよ」と言って出してきたのが

いきなりの是秀鉋「籐四朗」そりゃあ~畳そっちのけになりますわな。








大物スターに、サインでもして貰えるかの様なミーハーな気分で

ちょっと引かせて貰うと、私の様な下手くそでも かる~く屑が上がってくる。






この日 他にも色んな方々の鉋を引かせてもらったが、一番引きが軽かった様に思う。

そんな事の後 自分の道具を触る自己嫌悪感といったら・・・

たまにしか触らない鉋を、間際に調整した所でドロ縄状態

ここ最近で一番ダメダメだった。前日まで大雨が続いていたので、

台を調整せずにいたのも、さらにいけなかった。

直前に下端をペーパーで平らにして、無謀にも現場で4点付きに挑戦していたが

やはり 世の中そんなに甘くいってたら誰も苦労しない。

幸い、周りに良いお手本が沢山おられるので、実物を見せて頂きながら

色んな事を教えて貰えた。そんな話の中から幾つか・・


刃口と台尻をあてる2点付き:いままで自分もこの方式だった。確実に削れるが、

何回も削っていると、削り材のまんなかの方がへこんでくる。




台頭、刃口、台尻をあてる3点付き:いわゆる教科書通りの方式だが、台頭では無く

頭から2センチ程、刃口よりを当てている方もおられた。


台頭、刃口前(つつみ部分)、刃口、台尻を当てる4点付き:調整1番難しい。

つつみ部分当てる巾5ミリ前後、なおかつ台頭と共に他2点よりも弱く(=触れない様に)当てる。

漉き取りやすくする為にスリットを入れている方おられた。



甲丸台の効用:丸くした上端の方が表面積が増える為、下端側に縮まって

へこもうとする力を、通常よりも抑えられる。

同様にスリット部分も、表面積が増える為に何もしなければ、より乾燥が進み

下端の方が縮んで反ってしまうので、コーキング等で呼吸を止める必要あり。




その他御殿場の武藤さんが、製作された木のパズルのコーナー

バラすと元に戻らなくなってしまった。


右端には、去年に引き続き遠方からおいで下さった、小川三夫さんの姿も。





最後に亡くなった前場棟梁の遺品の古道具を少し分けて頂けた。

本当に有意義な1日に感謝

山本式砥ぎ 失敗例

2012-06-13 07:08:34 | 道具、砥ぎの話
昨日、削ろう会会報の最新号が届いた。

山本さんのシリーズ連載に、押さえ金を使った砥ぎ方が、詳しく載っている。

実は、知り合いの大工さんに 砥ぎ治具をわけて頂いてやってみたのだが、

全く切れなくなってしまったので、どうしたものかと考えていた所。

まさに「渡りに船」とは、この事か!

成功例は、会報を見て頂くとして。今回は敢えて失敗例

治具に挟んで刃をセット:じつはこの前に刃先をつぶして裏を整えておく

必要があった。(本刃、裏刃共)





中砥で研ぎ終えた様子:本当は本刃と裏刃の刃先の境目が肉眼で見えなくならないと

いけない。(刃先の部分が端まで一体化していない。隙間もあったようだ)






この後、天然砥石での仕上げをしたが、全然刃が切れなくなってしまった。

会報によると、ダイヤモンド砥石♯6000、アルミナ粉♯10000、中高にした

キング♯1000とそれぞれの砥面直しに同じ番手の砥石もう一丁ずつ必要。

これらを全部揃えると、金額的にも大変なので(ダイヤ砥石一丁で1万円以上)

とりあえず手持ちの砥石で、できるだけ近づけた砥ぎ方をしてみようと思う。

結果は又、いずれの報告で・・・

山本文義講演会-番外編-

2012-01-22 16:19:16 | 道具、砥ぎの話


先週の講演会の後、改めて削ろう会会報を読み直してみた(58号~60号)

講演会で、聞き逃した点が詳しく載っていたので、おさらいの意味も含め、

紹介しておこう。

1.鉋台の芯材となる集成材部分は、初期の物が2~3枚の貼り合せ、
 その後3cm巾のものを10~12枚の貼り合せ、
 
 上下の接着位置はずらす逆目の向きは揃えておく。接着は木工ボンド





2.ステンレスパイプを仕込んだ以降の接着は全てエポキシ系接着剤
 ボンドEセットMを使用

3.木端方向にも補強と縦方向の曲がり防止で、パンチングメタル2枚、又は
 使用済みのゼットソーを切断した物を入れる。
 
4.アロンアルファを全面にしみ込ませ、乾燥サンディング後エポキシ樹脂を
 拭き漆のように全面にすり込む。
 
 乾燥、サンディング後、ウレタン塗装を削り面以外に施す。

5.台が狂った時は、通常の様に表なじみの高いところを削らずに低い所にエポキシ樹脂
 を塗って盛り上げる。
 
 製作時の面を維持し続けて台を減らさない。

 この様にして製作されたのが下の画像:外側の仕上材は枇杷の木。
 






その他、新潟のK久さんが見えられており、ご自分の作られた鉋の削り具合を

チェックされておられた。

どうも納得のいく削り屑があがって来ず、刃の出来栄えのせいか非常に心配

されていていると、すかさず別の大工さんが台の具合をチェックし次の様な事を

指摘された。

○刃先側の押さえよりも上の方の押さえが効いているので、鉋を挽く時により強く

上から押し付けてしまうので、屑がかすれた様になってしまう。

仕込みを良くすれば、もっと良い屑が上がってくるはず。

○巾方向がぴったり過ぎて、このままだと台が割れてしまう。

それを聞いたK久さんは安心されたのと同時に瞬時にそれらのポイントを

見抜かれた大工さんを非常に感心されておられた。

噺家さんの様に非常に聞き取りやすい口調で説明されていたので、

いつの間にか周りに大勢の人だかりが出来ていた。他にも、

○鉋身の長さについても、あまり頭部分を長くすると台に刺さっている

部分とのバランスが悪くなり、刃先に少し抵抗があると、てこの原理で、

振動が増幅され波打ってしまう。

○削っている感触がダイレクトに伝わる薄台では、よりこのブレが出易いので、

頭が短い方が良い。

○頭が短い刃の欠点としては、裏を押す際に地金部分を砥ぎすぎてしまい、

仕込みが変わってしまう事(押さえ溝に納まる部分)

○鉋の刃はクサビ状になっている為、刃を刺したまま馴染ませておかないと

狂いが出易い等々。





実を言うと、しばらく鉋を触らない内に台がすっかり縮んでしまい、前日には

刃が全然出ない状態だった。何とか削れる状態に仕上げて、当日削ってはいたが、

上の指摘に有るように、屑は波打っていたし、巾も利きすぎてひび割れが少し

入っていた。



集成台に臨む前にもっと基本的な所からやり直さなければならない様だ。

山本文義氏講演会-鉋台編-

2012-01-16 14:01:46 | 道具、砥ぎの話




前回砥ぎの説明をしたが、実は砥ぎと同じぐらい薄削りで必要なのは、台である。

このことは削ろう会に参加された方は皆さんお気づきで各自それなりの工夫を

されていると思うがそこは山本氏。並の鉋台で済むはずが無い。

基本的には、削ろう会会報で紹介されている尺鉋のつくりをそのまま小さくした

感じ。







画像が各工程の実物見本:芯材に横方向の角ステンレスを仕込みステンレスの

木口にウレタンフォーム、最終的な化粧板の下には御覧のようなステンレス

メッシュが仕込まれている。

各材料の接着には、エポキシ系接着剤(削ろう会会報59号にはボンドEセットMを使用となっているが正確には不明)









最終的に出来上がった表面から瞬間接着剤が含浸されている。

瞬間接着剤は水よりも浸透性が高く、塗料などよりもずっと木材の内部まで

浸透するので、使われている。

核となる芯材の作りは細かく集成されたものや上下二段程集成されたもの等様々。







木表木裏や板目柾目の使い方も一見すると法則性は無いように見えるが、山本氏

のことなので、何か秘密があるのかもしれない。



下端のすき具合は、2μ。これは下端定規では確認できない程の微妙な透かせ具合

なので、確認方法としては、2μに削った鉋屑を二台の鉋台に挟んだ状態で

鉋屑が引っこ抜けるかどうかで見ているそうだ。



基本となる下端の平面は平らな御影石に油を敷き、そこに鉋下端をこすりつけ、

油が滲んだ所を、カッターナイフで作ってたスクレーパーでこそぎ落として作る。

こうして出来上がった台と砥ぎで削った特徴としては、薄削りをしても、

一切屑たまりに粉がふかない。

又、通常薄削りの削り屑はくしゃくしゃとすぐ絡み合ってしまうのだが、

刃が良く切れているせいか、屑自体も両面仕上がっていて、つるっと

しているので、絡み合わないし、永切れもする。

最後に、気をつける点として言われていたのは静電気の発生。

山本氏の想像では静電気が発生してている瞬間に刃先にスパークが起こり

その際の高温で鋼が溶ける為、切れ止むのが早くなってしまうと考えられている。

防止法として、前日まで水に漬けておいた材料2枚で、直前まで削り材を

サンドイッチしておくことを挙げられていた。

あくまでも薄削りオンリーの仕込みと前置きされていたが、仕事にも充分応用

出来ると考えられる。

さてこの集成台、実は3年前の三木山鉋塾の際にすでに真似をされて作っておられるのを

見た事があり、その後色々な方のブログに山本さんの講習会の様子などが

紹介されているのも知っていたが、実物を目の当たりにするのは、

今回が初めてだった。

愛媛県内ではもちろん、関西方面では既に多くの方が見聞きされ、かなり普及

していると見受けられる。

しかしながら、私の住む長野県では実践している人は一人も居なく、

大分遅れをとっているのではないだろうかと感じていた。

賛否両論はあるだろうが、私自身は、良い結果が出せる一つの方法として

取り入れていきたいと思うし、未だ知らない人々に是非紹介していきたい。














山本文義氏講演会-砥ぎ編-

2012-01-16 10:23:56 | 道具、砥ぎの話


前回の少しおさらい。

砥石の表面にある無数の穴から飛び出した粒子が刃先と衝突して切っ先が

丸くなり、いわゆるだれた状態になる。10μぐらいの削りの場合

このだれは問題にならないが、3μ以下のきれいな鉋屑を目指すと

このだれが致命的な問題になる。

力を抜く程砥ぎ面は美しくなるが、切っ先は鋭さを失っていく。

      -町屋発ほんまもん 第3回新春初削り配布資料より一部抜粋-

そこで編み出されたのが、裏金を本刃にクランプして一緒に砥ぐ捨て金砥ぎ:

刃と同じ硬度に作ってもらったという特製裏金を本刃よりも0.3㎜飛び出させて

砥いでやると刃返り等のダメな要因が全て裏金で押さえられ、良い刃が

つくという方法。



実際実演された事を順を追って紹介すると、

1 裏金の刃先を0.3㎜程つぶす:番手不明の砥石に刃を立てた状態で4~5往復

2 裏金の裏押し:エビ印の焼結ダイヤモンド砥石♯8000使用
 (山本氏曰く色々使った中でこの砥石がベストとの事)



3 本刃の裏押し:同じくエビの焼結ダイヤモンド砥石♯8000





4 本刃の裏押し:天然仕上げ砥石の上に♯10000の白色パウダー(アルミナか?)プラス
  すべりを良くする為にグリセリンを2分の一希釈したものをかけた状態で研磨



5 自作のクランプで本刃と裏金を合わせる:締め付ける位置はしのぎ面の
  すぐ上くらいなので締め付けクランプの下端が砥面に干渉しないように
  刃と同じ角度=28度に削り落とされている。





  締め付け強さは砥いでいてずれない程度。おそらく締め付け過ぎると
 刃が変形するので、そうならない程度と思われる。

6 裏金側の砥ぎ:キングハイパー♯1000使用(斜め砥ぎ横砥ぎ)





7 本刃側の中砥ぎ:キング♯800か♯1000(不明)使用 (縦砥ぎ押し方向のみ)
※砥面が画像のようにかなり中高に仕上げてある。本人曰く、
両端との高さの差が2㎜。(実際はもっとあるように思われる)


この工程の意味が今ひとつわからなかったのだが、グラインダーでの中すき砥ぎ
の様に刃先に砥石が当たり易くする為の、準備工程なのか?



8 本刃の中仕上げ砥ぎ:キングG-1プラス♯10000パウダー、グリセリン液
 (斜め砥ぎ、横砥ぎ) 

9 本刃の仕上げ砥ぎ:4で使用したままの状態の天然砥石プラス♯10000パウダー、
 グリセリン液(斜め砥ぎ、横砥ぎ)



以上で砥ぎの工程は終わり、時間にして5分間程。

この砥ぎで削った様子:削り屑は見ての通り薄くてもかすれていない状態

屑先を持ってもらわなくても丸まらずに排出されている



補足説明として:

○砥面の修正はキングの♯800~♯1000(不明)とキングハイパー♯1000使用。







○手押しか、自動鉋の刃を定規代わりに砥面の平面確認をされていたが、砥面が

真平らになっている必要はあまり無いと言っておられた。





○実際、砥石の長さに対して刃の巾は4分の1程度なので砥面が狂っていたとしても

4分の1しか狂わないとの事。

○キング砥石の使用が多いのは、ただ単に昔から慣れ親しんでいるだけであって
砥石の番手は関係ない。あくまでもパウダーを転がす為の定盤であり、
その為もあって、砥面が狂う前に素早く研ぎ終わらなければならない。

○ストローク時の力加減は強め。決して力を抜かない事。





山本文義氏講演会-概念編-

2012-01-16 09:14:44 | 道具、砥ぎの話




昨日、大鉋削りで有名な山本文義氏の講演会に行ってきた。

とても内容の濃い講演だったので忘れない内にその内容の一部をここに紹介

していきたい。

今までの常識を覆す内容も多く、ついて行けない部分も多々あるが、

イメージだけでも掴んでもらえる事を願いたい。

まず山本氏が前置きとして言われたのは、次のポイント。

1 あくまでも薄削り用オンリーの研ぎと仕込み

2 従来の様な手を離しても砥石の上に刃がひっついて倒れないような
  研ぎをしたら薄削りはおろか、仕事削りも出来なくなった事

3 本等に紹介されている研ぎ方や仕込み方は、削りをやった事の無い
  学者や日曜大工程度のレベルの人が多い。

特に仕上げ砥石をかければかける程良いというのは、
次に紹介する刃先のダメージの点から言っても、やってはいけない工程



まず、砥石面がどうなっているかのイメージとして画像の様に表面に無数に

穴が開いていて、そこにゴマ粒の様に色々な物質がめりこんで飛び出た状態。

研ぎの際、刃先がこの飛び出した異物にどんどんぶつかり、ダメージを

受けて時間をかけて研げば砥ぐ程刃先が痛められる。

始末の悪い事に顕微鏡で見た際は、砥ぎ傷が減り、良い刃がついてきたように

思われてきたが、実際は刃先が、だれた状態になっている。



もう一点山本氏が指摘されていた点は、平らな物の上に平らな刃を

こすりつけても、実際は刃先と一番後ろ側に力がかかり、平らに砥げない

という事。

これらの事を解消する為に次回に紹介する砥ぎ編で捨て金を利用した研磨法を

編み出された。                         つづく

 

片刃の直し

2011-10-30 20:03:46 | 道具、砥ぎの話


刃こぼれを直すついでに、刃の傾きもチェックしてみた。



スコヤを当てると右側の方が高くなっている。

念の為に、逆側のスコヤを当ててみるとほぼ90度。

アレッ!?今迄あまり気にしていなかったが、鑿の刃も鉋刃と同様に、

刃先に向かって巾が狭くなっているのか?



鉋刃の傾きをチェックする時と同様に方眼紙のマス目に合わせて、

刃を置いてみた。左右均等にテーパーになる位置で刃先の傾きを

再チェックしてみると、僅かだが、右側の方が高くなっている。



   

ダイヤ砥石♯300で傾きを修正:画像の様に刃裏を手前に向けて

高くなっている方の刃先をつぶす感じで立てた刃を手前に引く

(※刃の向きが逆だと、刃返りが刃裏側に大量に出てしまい、

その刃返りを取る際に関係ない刃先までボロボロになってしまうので

必ず刃表に刃返りが出る様に手前に引く)





一寸判りづらいが、右側だけ刃先がつぶれている。





もう一度方眼紙の上で刃の傾きをチェックしてOKならば

研ぎ直し開始

今回使った砥石:シャプトン刃の黒幕♯1000/♯2000、大平巣板、

砥面直し用ダイヤ砥石:アイウッド♯300(荒仕込)アトマ♯400(仕上げ)

♯1000の砥面直しは、ダイヤ砥石の寿命をかなり縮める為、2枚使い分けている






本当は完全に縦研ぎしたいのだが、安定して研ぎ辛いので、画像の様に

ほんの僅か斜め研ぎ



仕上がった様子:

刃の傾きも良さそうだ