Heart and heart

ありきたりになりがちな毎日をオンリーワンな一日に

土門拳記念館 ~風貌~

2013-06-15 22:14:42 | アート

     土門拳記念館が開館して今年で30周年----
     今回 企画展示室では、「風貌」と題した著名人の
      肖像写真を展示していました。。。

     志賀直哉に谷崎潤一郎、島崎藤村に土井晩翠。。。。
     そうそうたる面子が顔をそろえていました

     「志賀直哉」
     まさに、被写体との対峙です
     土門が選んだ被写体は、
     窓辺に腰掛けたり、ピアノを弾いたり、まっすぐにレンズを見つめていたり。。。

     この志賀直哉の写真は大好きです
     まるで、ひとり思いがけず、ふっと息を小さくついた様な
     佇まいの自然な写真です。
     

     土門は肖像写真についてこういいます
     「撮られている人に撮られているという事を全然意識させない
      写真こそ今後最大の課題である。。。。」と

     これは、なかなか難しいものだと思います
     ここで、土門は多くの時間を費やし、粘り強さという執念を
      見せたようです。。。。

     「絶対非演出の絶対スナップ的、肖像写真
      いい写真というのは写したのではなく 写ったのである------
       僕はそれを、鬼が手伝った写真と言っている・・・」

     写した写真が、写った写真になるまで、きっと彼は
      何度も被写体に逢い、時間をかけ、時を待ったと想像出来ます。

      もちろん彼ら達の情報収集にも余念がなかったのです。


     「梅原龍三郎」
      
     「気力は眼に出る-----
      生活は顔色に出る----
      教養は声に出る-----
      しかし、悲しいかな声は写真のモチーフにならない。
      年は後ろ姿に出る。悲しみもである-----」

     そうです。。。皆、被写体は眼にチカラがあるのです。。。。
     作家、画家、作曲家、女優。。。。
      やさしい眼差しに、人を射るような眼光
      表現者には、眼からエネルギーが発せられています。

     そして、カメラのレンズを覗く 土門自身の眼光もまさに
     鋭いものだったに違いありません。

     写真は隠そうとしても写し取るのです
     カメラの前で、人間の意図など何の意味も果たしません

     人の顔とは何て興味深いものなんでしょう!!!
     たくさんの人を 撮ってきた 土門のレンズは
     人生や、こころの奥まで写し取ってしまうのです。