老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

黄昏

2015-10-22 16:16:10 | 俳句


    自分史の稿のいよいよ黄落期   葉

    黄落やバンドネオンの流れくる   葉

    黄落や川の対ひに芝居小屋   葉




昨日、とある銀行に行った。
銀行は滅多に行かない。金の出し入れは、カードで済ませる。
銀行に用事は無い。しかし昨日はどうしても、のっぴきならぬことで訪ねた。

あらららまあ、私が作った、小さなお人形が窓口に飾られている。
手にとってじっくりと眺める。私が作ったお人形に間違いがない。
「これ、私が作ったお人形だけど」言うと、窓口の女性が
「可愛いでしょう、○×さんが、お作りになったのですか」
「前から、ずーと、置いてあるんですよ」と言う。
認知症気味の私には記憶が無い。
帽子、匂い袋、巾着、作った片っ端から、人さまにプレゼントする。
そんな一つかも知れないし、行員さんが、我が家へ集金に来た時にあげたのかも知れない。
忘れ去っているのだ。



自分では、この子に雪ん娘と名前を付けていた。
何十個も作った。我が家には一個しか残っていない。
欲しくなったら、いつでも作られと思うから
「あら、可愛い」と言って褒めてくれた人にには、何でもあげてしまう。

記憶が無い。すべて、忘れている。
頭の中が黄落期にいよいよと差しかかったか。気を付けなくてはいけない。
オレオレ詐欺にかかるのも、他人事ではないか。



散歩の帰りにふと仰いだ空が薄く染まり綺麗だった。


       「おひとりでお散歩ですか」野菊の径

        秋の森コロボックルに逢ひに行く

        抽斗にしまふビー玉木の実独楽



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