老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

花茨

2015-05-12 11:27:53 | 俳句
 花茨が真っ盛りだ。
海が見える散歩道。去年は、犬の 殿 がいつも一緒だった。
亡くなって一年、毎日散歩をするたび、どの道を散歩に行けども 殿 の記憶が甦る。
 切岸の上は葡萄畑。伏流水が、葡萄畑の下を通り、切岸に出てくる。
夏はそこに 殿 が喉を潤すくらいの水が溜まる。散歩の帰りに、ここを通ればいつも、おいしそうに、水を飲んでいた。殿 の思い出の強い場所だ。

  ☆ 愁いつつ丘にのぼれば花いばら   蕪村
  
  ★ 花いばら古郷の路に似たるかな   蕪村
 
 花茨の記憶は余り無い。故郷の思い出の花でもない。が好きな花だ。
 切岸に沿い50メートル程、裾を埋めて咲いている。辺りにいい匂いを放っている。ことに夕べがいい。白い花の色はますます白く。匂いは、より濃くなる。遥かに見える海。人も余り通らない。日常と離れた別世界のよう。
  
  ☆  城跡は石の塊花いばら    飛岡光江

 きっと切岸を埋める花いばらも、城の石垣を埋めている花いばらも景はよく似ていると思う。人のいない所にひっそり咲くが、存在を充分に発揮する。



  ⛅  花いばら早う帰らな子盗くる   

 

コメント
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