無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

飽海地域史研究会 in 旧青山邸

2023-06-15 11:42:39 | 歴史
ちょっと長いかも!



明治時代に、北海道のニシン漁で財をなした青山留吉氏の旧本邸にて、今回は飽海地域史研究会が開催された。



第一部は、遊佐町教育委員会の金野さんが講師になり、北海道のニシン漁で財を築いた青山留吉が故郷に建てた建造物の説明をして頂いた。


玄関の踏み段は、梨材を使っている。
板は丸い穴が空いており、指を突っ込んで自由に取り外しが出来る。
その中には、下駄などの履物が入っている。

右側の建具は、3枚引きであり、そのものが扉となり直角に収納する。



柱は4.5寸角か5寸角で太い。
欅の大鴨居。掛け時計は外来品らしい。


本業は漁業なのだが、船を利用した海産物などの移入販売、また田畑を多く持ち支配人5人に管理を任せその元締としてこの帳場を使った。


帳場に置かれた金庫は、国産の最初の物のようだ。



帳場の隣の居間には、暖房の為の炉が切ってある。
灰の周りに小石が見えるが、過去には全てメノウだったそうだ。
客が入る度に、メノウを持ち帰る人間が増え、現在はガラス玉などを入れガラス板で蓋をした。
まったく、もう!


黒柿のテーブル。質の良いものだ。
散々「黒柿をこんなに使えるのは金持ちの・・。」と言っていたが、秋田県横手市増田の旧石田理吉邸を見た後では、上には上がいるとも思ってしまう。


さて、普通の部屋は欅の大鴨居がかかっている。
座敷となると、その上に長押が回っている。
留め付けの金具も、それぞれ意匠を凝らしている。


一番奥の、留吉翁の部屋は、(客室でもないのに)長押も二重にかけてあり、それぞれ金物が違っている。


この部屋の天袋の襖絵は、見事である。


青山留吉翁の肖像画。描き手は池田亀太郎(写真家、絵師)


鮭の絵といえば、高橋由一(日本初の洋画家)だが、池田亀太郎とも懇意にしていた関係から、この絵が生まれたそうだ。
池田亀太郎の筆は、青山留吉の絵にしても、日本画ではない要素が入っており、精密画ではあるが洋画の香りがする。


柱梁、鴨居や建具に至るまで漆塗り(春慶塗・下地を色止めした後に透明の漆を掛けたもの)で仕上げられている。
戸の框は黒漆。どれも建てられてから塗り直しはしたことがないそうだ。
毎日丁寧に磨いていたのだろう。家の家事を担当する女子衆も多かった。


家人の為の湯殿。町家に住む者にとって内風呂があるのは羨ましい。
勿論、厠も並んであった。奉公人が多かったから外便所もあったと思う。


客間か。



ここが驚くなかれ、奉公人が使う部屋だった。
床の間があるのに驚かされる。

男女それぞれの寝間は、別口の階段から、屋根裏の部屋へと上る。


青山家の家紋。



箱膳。これも漆塗りである。


出来た当時から普通に硝子は使われていたそうだ。
この模様の入った硝子も珍しい。


女子衆の部屋はこの上(中2階)


梁の上には、明かり取りの硝子窓が付いている。
私の隣に、ボランティアで青山邸のガイドを務めている方がおり、この梁組が見えるようにアッパーライトの照明が欲しいと何度も頼んでいるそうなのだが、未だに未完のままである。
確かに、カメラでもフラッシュを焚かないと、真っ暗で見えない。

若勢の部屋はこの隣で、隠し階段を上って入る。



奉公人専用の湯殿。


台所


面白い仕掛けがあちこちにあった。


瓦は家紋入り


これは主人の間に入る縁側の戸袋。
こんな所まで彫刻が施してある。


軒の出が5尺。非常に大きい。




どうやって運んだのだろうと思うほどの、見上げる岩。(鳥海山産)


この岩は削ったものではなく、自然の形を使っている。
庭の奥の稲荷神社に集まり説明を聞く。



資料館に移って、第二弾の小野寺先生のお話を聴く。


青山邸に残る史料を見る。


明治の頃の書簡。


講義が終わって、別棟の資料館に入る。


川崎船。


鎧兜も展示じてある。


帯留めの見事なこと。

この資料館ではないが、先程の講義を受けた棟には、遊佐町で発掘された縄文の遺物が飾ってあった。
縄文の犬の骨もあり、現在の犬と狼の中間のような頭蓋骨をしているそうだ。
もちろん、カメラには収めてきたが、公表しない。



そこから歩いて、青山家の墓標を見に行く。
高台に集落の墓場があり、鳥海山が望めたり、海の香りが黒松の間から吹き抜ける、気持ちの良い場所だった。



6月14日付けの山形新聞の記事。


そうそう、普段は入れない蔵にも入れて頂いた。
写真は、扉の上の飾り。
中で5振りの日本刀も拝見する。



解散してから、女子3名で吹浦の「たちかわ」で板そばを食べる。
今度はニシン蕎麦を食べてみよう。



コメント
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