無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

母に捧げる料理

2008-03-12 22:43:48 | 食べ物
TVの料理番組で、林家こぶ平改め正蔵氏が、母の海老名香葉子氏に、かき揚げを作っていた。子供の頃から料理などした事がなく、「本当に出来るの?」と言う香葉子氏のニュアンスで始まった。正蔵氏はプロの板前にコツを教わり、挑戦したらしい。お品書きは貝柱とミツパのかき揚げで、主婦の目から見ても難しい料理でもない。その過程で、天つゆを作っていたのだが、鰹と昆布出しにザラメをガバッと入れるのを見た我が家の女どもは、「わぁっ!」と声を上げた。我が家では煮物などにもミリンの代わりは酒で、砂糖類は入れない。それが昔から馴染んだ味の為、外食では麺類の汁でも甘いと感じる。時々ラーメンにも甘味を感じて、げんなりする事もあるのだ。

我が家は職人の家だった為、汗かきの労働を思って、汁の塩気は多い。砂糖は甘い物だけに入れる。母の実家では、冷や麦でもソーメンのつゆでも砂糖っ気が多かった。昔は甘い事が贅沢の為、ハレの日のご馳走には、たっぷりと砂糖が入っていた。我々姉妹は、そっと隠れて醤油を足して食べた。「砂糖の代わりに水飴も使うよね。」と言った途端、話題は思わぬ方へ変わっていった。

母が言うには、水飴は自分の家で作ったものだそうだ。最近の事は忘れても、昔の事は鮮明に思い出す母だが、「餅米のお粥で作るんだ。」と言った辺りから、娘達は「本当だろうか。」と疑いだした。餅米のお粥を練って、瓶に入れて寝かすのだそうだが、そんなもので出来ないだろう、腐ってしまうのではと、根掘り葉掘り尋ねたら、母は「あー、もー、判らね~。」と席を立ってしまった。なおも娘達は、砂糖を入れるんだろうか、麦芽と言う方法もあるぞと、外野で騒いでいた。

もちろん、判らない事があったらネットで調べてみるのが日課だが、正式の水飴は母の言う通り、餅米のお粥と麦芽で出来る事が判明された。餅米も粉にしてお粥にした方が良い事も、麦芽だって自分達で作っただろうし、力をこめて何時間も瓶の中をかき混ぜたり、寝かせたりと作業としては大変だろうが、思いもよらぬ所から甘い物が出来るなんて驚いてしまった。母の言う事が正解だったのを告げると、「うん、作るのは結構大変だけど、何度も作ったものだ。」なのだそうだ。

話は変わって、自然の素材を使って甘味を出すのに、「所さんの目がテン!」でチューリップの球根を使っていた。この球根でケーキのモンブランを作っていたのだが、まったく砂糖を入れずに甘味は充分なのだそうだ。どうりで、庭に植えた球根をタヌキ達が穿り返した訳だ。一度作ってみようか、ちょっと勇気もいるなと、心は揺れている。
コメント (21)
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