無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

ひとつ私に下さいな

2008-03-14 19:15:06 | 食べ物
桃太郎の話に付きもののキビダンゴ。犬も猿もキジも、キビダンゴ欲しさに家来になったのだから、どれだけ美味しい物なのだろう。駄菓子屋でもキビダンゴは売っているが、ダンゴとは名ばかりの細長くて平べったくて、食べるとニチャニチャしていて、ういろうとか、くじら餅の感覚に近い。しかも包装紙を開けると、オブラートにつつまれていたりもした。それでも名前はちゃんと「桃太郎さんのきびだんご」だったりする。昔話の絵本に描かれているのとは、随分と違うと、子供ながらに思っていた。

小学生の頃、宿題をしながら、きびだんごの話をしていた。話を聞いていた母が、「昔はよく作ったものだ。」と言った。さらに「香ばしくて、うまいもんだよ。」と続けた。食べた記憶がないので尋ねると、嫁いでからは作っていないのだそうだ。お~っとばかりに、後日作ってもらう事にした。

作り方としては、きびの粉に水を足し、団子状にまるめてゆでる。きびと言ってもトウモロコシの粉ではなく、見た目にもアワ、ヒエの類のキビだった。湯気の上がる鍋を覗き込むと、フワフワと団子が浮いてくる。こうなったらもう食べられるのだそうだ。出来上がった物に、砂糖をかけたのか、きな粉をまぶしたのかは記憶にないが、はっきり言って「まずい!」物だった。「ちっとも美味くね~~!」と騒ぐ子供達を前に、「おかしいな、昔は美味かったのに。」と呟く母。せっかく作ったのに、自分も美味しくないと感じたらしい。「昔は食べ物がなかったから、こんな物でも美味く感じたのか。」と言う類の事を喋っていた。あれ以来、我が家では、キビダンゴは作っていない。
コメント (14)
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