やまねこマッサージ

ねがうこと、ゆだねること

写真家・片野田斉さんによるハンセン病

2012-09-22 | photo
先日のOPEN SHOW TOKYOで発表いただいた
写真家・片野田斉さんのハンセン病のことを、
ここで書いたけど、続きを。

これがきっかけで遅まきながらハンセン病のことを
知ることができた。



熱に弱く感染性も弱いことが判明し、治療法が確立し、
世界でも病棟隔離することは無くなった後でも、
日本(政府)は隔離政策であり根絶政策を続けた。
動き出した政策がなかなか変えられないっていう
コトなのだろうか。

隔離政策は療養所への封じ込めであり、根絶政策は
具体的には、結婚する場合でも子どもを作らない
ことが条件で許可された。結婚にも国の許可が必要
だったわけで、あとは推してしるべし。

結婚生活にも人権がなかったそうで、奥さんのきみ江さん
曰く、
「プライバシーはなく、共有部屋だったのよ。
 4カップルと2人の独身が一緒の家に住んでたから
 1人身の人は、じっとしているか外に散歩へでたのよ」

子どもが「間違って」妊娠した場合は、強制中絶が横行し、
出産した新生児を職員が殺害した例も多数ある。

2001年熊本地裁が国の隔離政策の継続は違憲であると
判断し、当時の小泉純一郎首相が謝罪をもって、控訴を
断念したことは記憶にある。



その後、差別や偏見がなくなるわけではない。晴れて
自由の身になれた、山内夫妻は療養所をでて、アパート
暮らしを始めようとするが、借りられない。

元ハンセン病患者(とっくに治癒している)であることが
判明すると大家が契約を拒否。やっとのことで近くの中古の
マンションを手に入れる。これが世間だ。

そこでの水入らずの普通の暮らしをどんなに楽しんだことか。

かえって若い世代はハンセン病へ知識や偏見がないから、
彼女に触ってくるという象徴的な写真と片野田さんが
紹介した1枚。


いじめも差別もなくならない。ヒトの心の闇。
暴力だって犯罪だってなくならない。



現在日本で発症するのことはほとんどない。でも
ブラジル、インド、インドネシア、タイを始め
経済的に恵まれない、南半球の国々での発症は
毎年25万人単位だ。北半球では発症しないのは
寒いからだろうか。適切な医療により、

残念ながら夫の定さんは昨年2011年84歳で亡く
なる。50余年を社会と隔離された場所で生きなくては
ならなかった。



きみ江さんが話していた「指がないのも、必要が
ないから無くなったのよ。それでも生きてこれるし、
料理だって大好きよ」

「洋裁の糸通しに30回失敗したら、31回目を
やればいいの。できるまでやれば必ずできる」

78歳とは思えない元気のいいおばあちゃんだ。片野田
さんによれば、いろんな人に接することが嬉しくて
たまらないそうだ。紹介いただいたボクにもたくさん
話をしてくださって、止まらない感じで楽しかった。

写真展「生きるって、楽しくって
~ハンセン病を生きた山内夫妻の愛情物語~

は多摩全生園で、9/30まで。写真集はクラッセから
9/25発売。