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大英博物館「死者の書」展

2012-09-17 | art
六本木の森アーツセンターギャラリーへ
「大英博物館 古代エジプト展」を見に行く。
最終日。混んでいるって聞いてたから朝一番で
乗りこむけど、けっこう混雑。

「古代エジプト展」といってもメインは副題に
あるように「死者の書でよみとく来世への旅」で、
死者の書をめぐるコレクションや研究が展示して
あって、面白かった。

というのも、2011年の春に本場大英博物館で
開催されて好評を博したものを日本に持ってきた
ものだから、もともとが相当練られている。

大英博物館は行った方なら知って通り、とてつも
なく広い。古代エジプトだけでも1日かかりそう。
棺やミイラだけでもたくさん並んでいる。死者の書の
記憶はほとんどない。



そもそも死者の書とは、古代エジプトにおいては死後、
冥界の旅を経て来世で復活すると考えていたんだけど、
その冥界の旅で様々な試練を乗りこえないと、復活でき
ない。その試練に守護の力を与える呪文集。

どういう場面で、どういう呪文を唱えれば試練が乗りこえ
られるかが描かれているわけだ。冥界の旅で死者を待ち
受ける神々、動物、風景も呪文とともに描かれている。



最終的な審判のところまで行き着くと、そこでは神による
ジャッジではなく、心臓を天秤のはかりにかけて、
バランスするかどうかできまる。

生前の行いがよければバランスするらしい。ある意味客観的だが
どきどきするクライマックスを迎える。

こういう考えが、ギリシャやローマの原始宗教や、
キリスト教までひろく影響を与えたことが想像できる。

ちょっとゲームソフトのストーリー展開との共通性を
感じる、平面性豊かな絵だし。

当初は王家が中心で、棺が安置されている部屋の内部や
棺に呪文集が描かれていたのが、パピルスの発明と
ともに紙に描かれるようになり、王家から貴族、市民へと
広がっていく。



その過程で、複雑になったり、簡素化されたり、さまざまな
変遷過程がある。

様々な死者の書は基本は日本の絵巻と同じ様式だと思う。
右から読むのか、左から読むのか・・どちらだろうって
会場をすすむと、今回の目玉、初国外出展の37m世界最長の
「グリーンフィールド・パピルス」を見て納得。

右から左へと日本と同じ様に読むのだった。ローマ時代は
映画でもあるような縦に読む巻物ってイメージあるけど、
今回の展示では縦形式の死者の書は見かけなかった。