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日本語語彙論 語の意味記述

2013-11-06 | 語と語彙
語は文法の単位と捉えられた。文法は明治期に取り入れられた枠組みである。文法が翻訳語と説明される。

その外来の文法のとらえ方は文とはなんであるかという議論を日本語に持ち込んだ。しかし、日本語は文よりも語とは何かということを議論し続けてきた。語の意味はそうして捉えようとしたのであるが、語は語法という枠組みで議論される。文法の語よりも、語法としての語の記述は日本語に句法をもたらし得なかっただけに詞と辞とその分類にとどまる。

文法、語法、句法となるとそこでの語の扱いは枠組みによっておのずと異なるところである。文法が捉えられて国語に自覚的になって、ほかの法が詳しく議論を展開したわけではないので、いまだにその区別があきらかにされないままに日本語の実態はある。文法の語の意味記述はいくつかみられるところ、語法となると語の構成をとらえながらそれを語の規則として整理することはなかったようだ。

語はそのままで、いま言うところの、文になりうる。語の意味記述には詞を見るだけであった。いまでいう品詞である。その詞をとらえれば句が現れて、句そのものが、また言うところの文であるから、その句に語を見ることが大切となる。いま言うところ、文は句であるに過ぎないのである。

したがって語の意味記述は句におけるとらえ方をおくことになる。句の中で語と語とが関係しあって、語の意味は句に表れる意味情報をそれぞれにになうことになるから、本来的に、日本語は句と語の意味関係が議論されて良いはずである。句を文の位置において、それは外国語との対比において作られる文の単位であるから、それを唱えようとした文法学者はふたつの流れがある。

述体の句、喚体の句を区別した山田学説とその継承者、といっても、ほとんどは議論をそのままにしている。語論と句論は性質論と運用論にわけ、語はまた観念語と関係語に分けるところがあり、その分類思考は独自のものであるが、文法学説の発展に寄与する大であろう。
もう一つの流れは松下学説で連詞と原辞を述べる。句は断句の論として連詞が作用するところであり、松下学説においては詞の議論が中核となってその流れを作っていたが、文という概念を取り入れた文法学の勢いに松下学説再発見の動きにもかかわらず、目立たなくなった。次いでそれでは、文法の文とすべきは日本語では何か、それは文章である。


日本人名大辞典
山田孝雄
やまだ-よしお
1875-1958
明治-昭和時代の国語学者。
明治8年8月20日生まれ。論理学をとりいれて山田文法を構築し,「日本文法論」をあらわす。さらに「平安朝文法史」「五十音図の歴史」で独創的な研究をしめした。また「平家物語考」「国学の本義」など,国文学,国史学にも業績をのこした。東北帝大教授,神宮皇学館大学長,国史編修院長などを歴任。昭和32年文化勲章。昭和33年11月20日死去。83歳。富山県出身。富山中学中退。


日本国語大辞典
やまだ‐よしお 【山田孝雄】
国文学者、国語学者。富山県出身。国語調査委員会補助委員、日本大学高等師範部勤務、東北帝国大学教授を経て、昭和一五年(一九四〇)から同二〇年まで神宮皇学館大学学長。国語・国文学、特に文法研究の分野での功績が大きい。同三二年文化勲章受章。著「日本文法論」「奈良朝文法史」「平安朝文法史」「国語学史」など。明治六~昭和三三年(一八七三~一九五八)


日本人名大辞典
松下大三郎
まつした-だいざぶろう
1878-1935
明治-昭和時代前期の国語学者。
明治11年10月24日生まれ。34年日本最初の口語文法書「日本俗語文典」を刊行。大正2年日華学院を創設して中国人留学生の教育につくす。のち国学院大教授。渡辺文雄との共編「国歌大観」がある。昭和10年5月2日死去。58歳。静岡県出身。国学院卒。号は曲水。著作はほかに「標準日本文法」など。


日本大百科全書(ニッポニカ)
松下大三郎
まつしただいさぶろう
[1878―1935]
国語学者。静岡県生まれ。国学院大学卒業。中国人留学生教育に長く従事したのち、国学院大学教授。主著は『改撰(かいせん)標準日本文法』(1930)。ほかに、日本人によるもっとも早い口語文典である『日本俗語文典』(1901)や『標準日本文法』(1924)、『標準漢文法』(1926)、『標準日本口語法』(1930)などがある。松下の文法論は普遍的な一般理論文法学を目ざし、独自の論理的な体系性をもつ。言語構造を、なんらかの断定を表す断句、その成分たる詞、詞の材料となる原辞の三段階でとらえる。種々の動助辞(助動詞)の分析、格関係や受動・使役の論、題目語の論など、注目すべき論説が示され、近年、その先駆的な価値が高く評価されている。また、渡辺文雄との共編『国歌大観』(1901)、松下編『続国歌大観』(1911)は、各句ごとの索引付きの和歌集成で、広く利用されている。
[清水康行]

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