―― 私は過激派を憎んではいない。過激派の子どもたちを含むすべての子どもに教育の機会を与えてほしいと伝えるためにやってきた、と、パキスタン、マララ・ユスフザイさんが国連で演説をした。
―― テロリストは私と友人を銃弾で黙らせようとしたが、私たちは止められない。私の志や希望、夢はなにも変わらない。
―― 一人の子どもが、一人の先生が、一冊の本が、一本のペンが世界を変えることができる。
―― Education is the only solution. Education is First.
http://webtv.un.org/watch/malala-yousafzai-addresses-united-nations-youth-assembly/2542094251001/
12 Jul 2013 00:17:42
Malala Yousafzai addresses United Nat...
日本経済新聞社
銃撃受けたパキスタン少女、国連で初演説
2013/7/13 11:30日本経済新聞 電子版
パキスタンで女子教育の権利を求め、イスラム過激派に銃撃された少女マララ・ユスフザイさんが16歳の誕生日を迎えた12日、世界の若者が集まる国連の会合に出席した。「私は全ての子供が教育を受ける権利のためここにいる」と述べ、銃弾で人を黙らせることはできないと訴えた。公の場での演説は初めて。
マララさんはテロや貧困の「唯一の解決策が教育だ」と述べ「ペンと本を手に取ろう。それこそが最強の武器」と訴えた。少女が教育を受けられない割合が高いと指摘し「私たち自身が動こう。今こそ声を上げるときだ」と呼び掛けた。「各国政府は全ての子供に無償の義務教育を」と求めた。
国連は、この日を「マララ・デー」と名付け、若者リーダーのほか潘基文事務総長らによる会合を開いた。
マララさんはイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」が女子教育を抑圧しているとブログで告発。昨年10月、下校途中に銃撃された。英国に搬送され、複数回の手術を経て命を取り留め、高校に通えるまでに回復した。(ニューヨーク=共同)
中日春秋 20120714
憎しみの連鎖はどこかで断ち切らなくてはならない-。流血の現場から遠く離れた場所でそんな理想論を唱えるのは簡単だ。テロリストに銃撃され、再襲撃も予告されている十六歳の女性は、憎しみを封じて生きようと決意するために、どれだけ勇気を振り絞ったのか
▼「私は過激派を憎んではいない。過激派の子どもたちを含むすべての子どもに教育の機会を与えてほしいと伝えるためにやってきた」。パキスタンのマララ・ユスフザイさんの国連での演説に胸を揺さぶられた
▼下校中のバスに乗り込んだ男に頭を撃たれたのは昨年十月。教育を受ける権利を訴えて、女性の社会進出を否定するイスラム過激派に狙われた。搬送先の英国の病院で砕けた頭蓋骨の修復手術などを受け奇跡的に回復した
▼「テロリストは私と友人を銃弾で黙らせようとしたが、私たちは止められない。私の志や希望、夢はなにも変わらない」「一人の子どもが、一人の先生が、一冊の本が、一本のペンが世界を変えることができる」
▼頭に巻いていたのは、二〇〇七年に暗殺されたパキスタンのブット元首相が使っていたピンクのショール。確信に満ちた声だった
▼「勇気のあるところに希望あり」とは古代ローマの歴史家タキトゥスの言葉だ。世界の希望の星となった勇気ある女性は、今年のノーベル平和賞の有力候補に挙がっているという。
朝日新聞、天声人語 13日
およそ戦争は「大人の男」が始め、あすを担う女性と子どもの犠牲に耐えかねて終わる。武力をもてあそぶ者にとって、時に「おんなこども」は煙たい。それが物申す人であれば、脅威にも映ろう▼パキスタンの武装勢力が、彼らの非道ぶりを訴えた14歳の少女を狙い撃ちにした。テロ組織アルカイダにつながるパキスタン・タリバーン運動(TTP)は犯行を認め、「誰だろうが逆らう者は殺す」と居直る▼銃撃されたマララ・ユスフザイさんは、女子教育を認めないTTPに屈せず、おびえながら学校に通う日々を3年前からブログに記してきた。パキスタン政府は平和賞を贈り、共感の輪が世界に広がったが、TTPには睨(にら)まれた▼地元の警察によると、下校の生徒を乗せたスクールバスに覆面の男が乗り込み、「マララはどこだ」とすごんで発砲したそうだ。銃弾は頭部に当たり、予断を許さぬ容体という。他の少女2人も負傷した▼見境なしとはこのことだ。子どもまで手にかける歪(ゆが)んだ大義に言葉を失う。過激なイスラム主義を奉じるタリバーンは、支配地で娯楽を禁じるなど、厳しい戒律を強いてきた。アフガニスタンでは、貴重なバーミヤンの大仏を「偶像崇拝だ」と爆破している▼蛮行の数々は、平和を愛するほとんどのイスラム教徒にも迷惑至極だろう。今はただ彼女の快復をアラー(神)に祈りたい。――少し休もうか、マララ。君を貫いた銃弾は、何万倍もの怒りとなって、女性差別と狂信者たちを撃つはずだ。
―― テロリストは私と友人を銃弾で黙らせようとしたが、私たちは止められない。私の志や希望、夢はなにも変わらない。
―― 一人の子どもが、一人の先生が、一冊の本が、一本のペンが世界を変えることができる。
―― Education is the only solution. Education is First.
http://webtv.un.org/watch/malala-yousafzai-addresses-united-nations-youth-assembly/2542094251001/
12 Jul 2013 00:17:42
Malala Yousafzai addresses United Nat...
日本経済新聞社
銃撃受けたパキスタン少女、国連で初演説
2013/7/13 11:30日本経済新聞 電子版
パキスタンで女子教育の権利を求め、イスラム過激派に銃撃された少女マララ・ユスフザイさんが16歳の誕生日を迎えた12日、世界の若者が集まる国連の会合に出席した。「私は全ての子供が教育を受ける権利のためここにいる」と述べ、銃弾で人を黙らせることはできないと訴えた。公の場での演説は初めて。
マララさんはテロや貧困の「唯一の解決策が教育だ」と述べ「ペンと本を手に取ろう。それこそが最強の武器」と訴えた。少女が教育を受けられない割合が高いと指摘し「私たち自身が動こう。今こそ声を上げるときだ」と呼び掛けた。「各国政府は全ての子供に無償の義務教育を」と求めた。
国連は、この日を「マララ・デー」と名付け、若者リーダーのほか潘基文事務総長らによる会合を開いた。
マララさんはイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」が女子教育を抑圧しているとブログで告発。昨年10月、下校途中に銃撃された。英国に搬送され、複数回の手術を経て命を取り留め、高校に通えるまでに回復した。(ニューヨーク=共同)
中日春秋 20120714
憎しみの連鎖はどこかで断ち切らなくてはならない-。流血の現場から遠く離れた場所でそんな理想論を唱えるのは簡単だ。テロリストに銃撃され、再襲撃も予告されている十六歳の女性は、憎しみを封じて生きようと決意するために、どれだけ勇気を振り絞ったのか
▼「私は過激派を憎んではいない。過激派の子どもたちを含むすべての子どもに教育の機会を与えてほしいと伝えるためにやってきた」。パキスタンのマララ・ユスフザイさんの国連での演説に胸を揺さぶられた
▼下校中のバスに乗り込んだ男に頭を撃たれたのは昨年十月。教育を受ける権利を訴えて、女性の社会進出を否定するイスラム過激派に狙われた。搬送先の英国の病院で砕けた頭蓋骨の修復手術などを受け奇跡的に回復した
▼「テロリストは私と友人を銃弾で黙らせようとしたが、私たちは止められない。私の志や希望、夢はなにも変わらない」「一人の子どもが、一人の先生が、一冊の本が、一本のペンが世界を変えることができる」
▼頭に巻いていたのは、二〇〇七年に暗殺されたパキスタンのブット元首相が使っていたピンクのショール。確信に満ちた声だった
▼「勇気のあるところに希望あり」とは古代ローマの歴史家タキトゥスの言葉だ。世界の希望の星となった勇気ある女性は、今年のノーベル平和賞の有力候補に挙がっているという。
朝日新聞、天声人語 13日
およそ戦争は「大人の男」が始め、あすを担う女性と子どもの犠牲に耐えかねて終わる。武力をもてあそぶ者にとって、時に「おんなこども」は煙たい。それが物申す人であれば、脅威にも映ろう▼パキスタンの武装勢力が、彼らの非道ぶりを訴えた14歳の少女を狙い撃ちにした。テロ組織アルカイダにつながるパキスタン・タリバーン運動(TTP)は犯行を認め、「誰だろうが逆らう者は殺す」と居直る▼銃撃されたマララ・ユスフザイさんは、女子教育を認めないTTPに屈せず、おびえながら学校に通う日々を3年前からブログに記してきた。パキスタン政府は平和賞を贈り、共感の輪が世界に広がったが、TTPには睨(にら)まれた▼地元の警察によると、下校の生徒を乗せたスクールバスに覆面の男が乗り込み、「マララはどこだ」とすごんで発砲したそうだ。銃弾は頭部に当たり、予断を許さぬ容体という。他の少女2人も負傷した▼見境なしとはこのことだ。子どもまで手にかける歪(ゆが)んだ大義に言葉を失う。過激なイスラム主義を奉じるタリバーンは、支配地で娯楽を禁じるなど、厳しい戒律を強いてきた。アフガニスタンでは、貴重なバーミヤンの大仏を「偶像崇拝だ」と爆破している▼蛮行の数々は、平和を愛するほとんどのイスラム教徒にも迷惑至極だろう。今はただ彼女の快復をアラー(神)に祈りたい。――少し休もうか、マララ。君を貫いた銃弾は、何万倍もの怒りとなって、女性差別と狂信者たちを撃つはずだ。