81 使われていた語が使われなくなるのはなぜ
語に意味があるととらえるか、語には用法があるととらえるか、そのいずれも語にあってその意味用法が語を存続させると考える。
人々がことばを使うのは場面また文脈にふさわしい意味内容を与えてそれをほかの人に伝えようとするからであるが、そのことばの知識、経験をもつと自らのうちに概念を形成することになる。
その概念がことばになると語として記憶される。
語が意味と内容を持って、つまり自らの経験にあわせて、次の新たなる場面、文脈に用いられ、それを人に伝えると、語は人々の共有する意味として存在することになる。
その語がよびおこす知識と経験は場面と文脈にふさわしいものとして使われることになる。
そうして使われ続ける語が記録されて言葉として学びの対象となっていくが、意味は語がつかわれるたびに記憶されて少しずつ経験に新たなものを加えてまた知識となり得る。
語を使うのは、そのことばがふさわしいと人々が捉えるからであるが、その場面、文脈にふさわしくない表現となると使われなくなる。
その経験が伝えられないと人々が判断すると、ことばとしての概念が共有されなくなり、語は使われなくなる。