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陰口を叩くのと、悪口を言う

2013-04-03 | 日本語新百科
現代日本語「誤」百科 779 は、人の陰口を言う を、例題にしている。

ひもとく 日本「誤」百科 というコラムに、日本語新百科をこしらえようとして、日本語はどうなっているかと、日本語百科を書いてしまいました。コラムの著者には解説を簡潔に書いていくという制約があるでしょう。ご苦労を思いつつ、このようなブログを書くきっかけをくださって感謝いたします。

「誤」百科 779 は、人の陰口を言う を、例題にしている。
慣用句の使い方を、誤りとする。陰口 が、言う と結びつかないと解説する。悪口を言う という言い方は例外かもしれないとして、口を言う の使い方にもおかしいと説明がある。

言語の現象を規範によった正誤を言う場合がある。しかし、言語が規範だけによることのない現象であることは、文化の現象として蓋然性をあてはめることで理解できる。

また、慣用句の成立に、陰口をきく 陰口をたたく とする由来があるなら、語の成立を明らかにする作業として必要なことであるが、その一方で、きく たたく という行為を、言う、と同じ言語行為にとらえれば、意味内容をあらわすのに不自然ではない。

ここで、ふと気づくことに、口を利くと、陰口をきくとの関係だ。


デジタル大辞泉の解説
口(くち)を利・く
1 ものを言う。話をする。「生意気な―・く」
2 仲を取り持つ。「なんとか先方に―・いてもらいたい」
3 口が達者である。「坂東武者は馬の上でこそ口はきき候ふとも」〈平家・一一〉
4 幅を利かす。「さてこの宿に口きくやさ者は」〈浮・一代男・二〉

この言い方は、本来、便利な物言いでもあったようである

口を利く <口>
〈話す〉 speak [talk] 《to》; 〈仲裁する〉 mediate 《between》; 〈世話する〉 use one's influence 《for》; 〈取りなす〉 put in a (good) word 《for, on somebody's behalf》; 〈仲人をする〉 act as go‐between 《for [between] A and B, in the matter of》


大きな口をきく
boast
brag
《口語》 talk big
be boastful


その使い方に、口の利き方に関係して、良い意味とならない用法が加わったか。

互いに口をきかないほど仲が悪い
生意気な口をきくな
大口を利く
悪たれ口をきく
むだ口をきく人
利口ぶった口を利く
はしたない口を利く

ここに、陰口をきく、というのを並べると、陰口を利く、となるかどうか。
つまり、陰口を利く、であるなら、その口の利き方には用法としての意味内容がある。

言うという使い方の類推で、陰口を言うと使うようになったように考えると、

陰口を言う
陰口を利く
陰口を叩く

悪口を言う
悪口を利く
悪口を叩く

ここに悪口を並べてみると、その意味する内容は、陰口の場合と違ってくるようである。



デジタル大辞泉の解説.
かげ‐ぐち 【陰口】
その人のいない所で、悪口を言うこと。また、その悪口。かげごと。「―をたたく」


陰口をきく
陰口をする
陰口をたたかれる
陰口をたたく
陰口を叩かれる


悪口をいう
意義素・用例  陰口をきく
類語・縁語  内緒ばなし ・ ヒソヒソと ・ (~の)悪口をいう ・ そしる


叩く、について、次のような意味がある。


たた・く【×叩く/×敲く】 [動カ五(四)]

㋐手や道具を用いて打つ。また、続けて、あるいは何度も打つ。「ハエを―・く」「肩を―・く」
㋑打って音を出す。「手を―・いて呼ぶ」「太鼓を―・く」
㋒強く打つ。なぐる。ぶつ。「棒で―・く」「尻を―・く」
㋓さかんに当たる。雨・風が打ちつける。「窓を―・く雨」
2 魚肉を包丁で打つようにして細かく切ったり柔らかくしたりする。「アジを―・く」

㋐攻撃を加えて相手を負かす。やっつける。「敵の精鋭を―・く」「出はなを―・く」
㋑厳しく仕込む。鍛える。「新弟子のうちに―・いておく」
㋒相手の言論・文章などを徹底的に批判する。強く非難する。「新聞に―・かれる」
4 相手の考えを聞いたり、ようすを探ったりする。打診する。「先方の意向を―・く」
5 値段をまけさせる。値切る。買いたたく。「二束三文に―・いて買う」
6 すっかり使ってしまう。はたく。「財布の底を―・く」
7 (多く「…口をたたく」の形で)さかんに、またいろいろに言う。「むだ口を―・く」「陰口を―・く」
8 (「門をたたく」などの形で)教えを請うためにたずねる。「師の門を―・く」
9 《扇子などで演台をたたくところから》講談を演じる。「一席―・く」
10 将棋で、歩(ふ)を打ち捨てる。
11 《鳴き声が戸をたたく音に似ているところから》クイナが鳴く。
「早苗とるころ、水鶏(くひな)の―・くなど」〈徒然・一九〉


ちなみに、漢字は、次のようである。

http://www.taishukan.co.jp/kanji/qa11.html
Q0506 「叩(たた)く」という漢字は、手に関係する意味なのに、どうして「手へん」ではないのですか?
 「叩」は、漢和辞典では「口へん」に分類されていることが多いのですが、意味的に重要なのは、むしろ「卩」の方です。この漢字は、甲骨文字では図のような形をしていて、人がひざまずいている姿を表したものだとされています。
 そこで、「叩」という漢字もひざまずくことに関係があって、本来は、ひざまずいて頭を地面につけることを意味していました。日本風に考えれば、土下座をしている格好をイメージすればいいでしょう。そうすると、額(ひたい)が地面にくっつきます。額のことを「ぬか」とも言うので、これを「ぬかずく」というのですが、「ぬかずく」ことは、ちょっと痛そうではあるのですが、額で地面を「たたく」ことにもなります。その結果、「叩」は「たたく」をも意味することになった、というのが一般的な説明です。
 そうすると、「口」の方はどうなるのかというと、これはいわゆる形声文字の音符で、コウという発音を表しているに過ぎないようです。その証拠に、現在ではあまり使われませんが「扣」という漢字もあって、これも音読みはコウ、「たたく」という意味を持っています。
 「たたく」という意味からすると、「叩」よりも「扣」の方がわかりやすそうなものですが、結果的に現在、定着しているのは「叩」の方。このあたりは、漢字のおもしろいところで、なんらかの事情で、「扣」よりも「叩」の方が好まれたのでしょう。人間様の勝手な好みで、漢字の運命は大きく左右されるのです。


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