読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

開城工業団地、ちょうどいい厄介払いに

2013-04-11 09:37:26 | 経済
wsj社説から 
北朝鮮は先週、韓国と共同で運営する開城(ケソン)工業団地への韓国企業関係者の立ち入りや資材供給を拒否し、9日には北朝鮮の労働者がこの特別経済区域への「出勤を拒否した」。これは、危機を作り出すことによって、韓国と米国に北朝鮮に講和を求めるよう脅しながら強要するという金正恩第1書記の計画の一部だ。しかし、韓国の朴槿恵大統領はこの機会をとらえて、開城工業団地は誤った実験で永遠に閉鎖すべきだと主張すべきだろう。



Associated Press
開城工業団地の工場でケーブルを組み立てる北朝鮮の労働者(昨年)

関連記事

第2次朝鮮戦争は起きるか
朝鮮半島情勢、緊張やや緩和もリスク残る
孤立感で被害妄想に駆られる北朝鮮
 開城工業団地は、韓国の元大統領、故・金大中氏と盧泰愚氏による北朝鮮への「太陽政策」と称される関与政策の一環として、2004年に生産活動を開始した。ソウルに向かい合う軍事境界線の北側に位置する都市規模の開城工業団地では約123社が5万3000人の労働者を雇っている。

 韓国人の多くは開始当時、北朝鮮が平和的交渉に応じ、中国型の経済改革を追求する可能性があるとまだ信じていた。北朝鮮側が2010年に韓国船を攻撃し、漁村を砲撃した後、そのような甘い考えの韓国人はほとんどいなくなっている。北朝鮮の金正恩第1書記が軍隊を抑制して民間企業を支援するという期待は、この1年間で打ち砕かれた。

 開城工業団地が韓国の労働法に従っていれば、そこは北朝鮮にとってより良いモデルとなっていた可能性がある。しかし、そうではなく、企業は政府に直接賃金を支払い、政府はそのうちのごく一部を労働者に渡している。それでも、北朝鮮の国民の大半の稼ぎよりは多いかもしれない。しかし、同工業団地の労働者は政府が選び、政治的な忠誠心は疑いの余地がない。

 北朝鮮の気まぐれな政策を研究する専門家は、同国は開城工業団地で稼ぐ外貨収入に頼っていないことを証明するために同団地を圧迫していると臆測している。こういった意味で北朝鮮の指導者たちはおそらく、韓国のメディア報道によって侮辱されたと感じていることだろう。資本主義の韓国よりも北朝鮮が優れているとの錯覚は何としても維持される必要があり、北朝鮮政府は割安な労働力を提供することで韓国に便宜を図ってきたのだと主張している。

 現実世界では、開城工業団地は年間9000万ドル(約89億円)の賃金を生み出し、韓国企業はこれまでのところ総額8億4500万ドルを投資してきた。これは、11年の輸入財の規模が40億ドル相当の北朝鮮にとっては相当な額だ。韓国は現在、人道支援として年間2000万ドル未満を供与している。

 開城工業団地は北朝鮮にもう1つ価値あるものへのアクセスも提供している。つまり、人質だ。約400人の韓国人が引き続き、この工業団地内部にいる。現時点ではこうした韓国人がここを離れられないことは示唆されていないが、彼らがここにいる限りは韓国の機動作戦の余地がより狭まる。同工業団地に投資している企業もまた、北朝鮮を怒らせるような行動を避けるよう要求している。

 韓国の朴大統領は9日、開城工業団地の操業停止により北朝鮮への将来の投資が妨げられると警告した。それは事実だが、それだけでは十分ではない。北朝鮮にしっぺ返しをして、韓国人の労働者に帰宅するよう命じる好機を与えられている。残忍な北朝鮮政権にとっての、この支柱を外すために、企業に対し、損失補てんすることはほんのわずかの代償で済むことになるだろう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿