朝夕の冷え込みが増してきた。夜空の輝きが冴える。圧倒的な木星の煌きに、天の川を挟んでの夏の大三角。その眺めの素晴らしさには、ため息が出る。時間も忘れての観覧に、ふと漂う香しい匂い。枇杷葉の花だ。薄茶色の苞を破って、白い五枚の花弁が開く。
枝の中央に固まって咲く。ビロードの花弁に、蜜蜂が集まっている。忙しく羽を動かせて蜜を吸う。交わす言葉も楽しげだ。蛙は、冬眠しているのか、葉の上で動かない。突くと目だけを微かにぎょろつかせる。螳螂の生き残ったオスが、葉裏に止まっていた。
小さな生き物たちは、枇杷葉の花の匂いを知っているんだ。癒しの香りを満喫しているのだろう。そう言えば、生前の銀河が、この時期には、どういう訳か外に出たがった。枇杷葉に頭を、体をこすり付けていた。教えなくても、本能でわかっていたのだ。
今年は、枇杷葉の苞が、西側や南の側のにもついた。長崎茂木には、昨年同様、たくさんの花芽である。年を追う毎に、花芽がつき、庭中に匂いが充満する。毎年この月を待ちつつ居るのも確か。ほんとうに心華やぐ。来月には満開になって、その芳香に心を奪われる。
枇杷苗を移植していたら、根を切られていた。芋虫か夜盗虫であろう。ナメクジは、枇杷葉茶が好きなことを発見する。銀河に、毎朝お茶湯を供えるに、わらわらと寄って来る。ゴキブリには効かないか?職場でゴキブリが出たら、何故か私を呼ぶ。叫ばず捕れば・・・
秋に咲いた、我が家の薔薇。ちょっと花の彩が深いように見えるが。